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2020年11月30日月曜日

富川和代さんこどもにほんご教室JUMPアドバイザーなど日本語指導者

彦根市大薮町の富川和代さん(75)は、彦根ユネスコ協会こどもにほんご教室JUMP(ジャンプ)のアドバイザーなど日本語指導者を長年務めている。今月14日にはひこね燦ぱれすで日本語検定を実施した。富川さんに外国人向けの日本語教育や多文化共生の課題、日本人の日本語力について聞いた。

「オリジナル教材」必要
指導者の「人手不足」課題
 富川さんは福井県敦賀市出身。父親は国鉄(JR)の社員で転勤が多かったため、中学校のころには3校に通い、虎姫高校時代は下宿生活も経験した。大学卒業後は滋賀県立の高校やミシガン州立大学連合日本センターで国語や日本語を教え、近江高校では13年間、英語の指導にもあたった。また滋賀県立大学をはじめ大学や専門学校の非常勤講師として、日本語や日本語の教授法、国語・英語に関する科目を担っている。
外国人の労働者や留学生が増加していた1990年以降は「日本語を学びたい外国人を支援しよう」と、ボランティア団体に所属し日本語を教えてきた。現在はJUMPアドバイザーや彦根にほんご教師会WAGT代表、日本語検定研究委員などを務めている。
 そのうちJUMPには現在、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、米国、モンゴル、ネパール出身の幼稚園児から中学生までの子ども16人と保護者4人が大学サテライトプラザ彦根で学習している。コロナ禍以前は保護者の受講も多かったが、仕事などの影響で減ってきているという。
 富川さんは、日本語を教えるボランティアの人手不足と時間的な忙しさから、「学習している外国人の子どもたちや保護者の希望に合っているかが課題だ」とした上で「今後は文化や母語が異なる子どもたち一人一人に合ったオリジナルの教材の作成が必要な状況だ」と述べた。

日本人の日本語力も指摘
多文化共生「みんな違っていい」
 日本人と外国人が一緒に過ごす「多文化共生」の課題について、富川さんは文化、習慣、ものの考え方の違いをあげながら「互いに理解しようと努力する必要はあるが、結局は『みんな違って、みんないい』ではないだろうか。日本人同士でも育った環境によって生活習慣などに違いがある」と説明。JUMPでは外国人の子どもたちのスピーチ大会や成人の日本語学習者のディベート大会を開催しており「市民の皆さんとの交流する機会になっている。また異なる意見の論戦は多文化共生の第一歩になるとも思う」と話していた。
 富川さんは大学で日本人向けの日本語科目も担当。日本人の日本語力について「国語の苦手な人には漢字の力をつけるよう、大学生には社会人になる準備として特に敬語と慣用表現、四字熟語を理解できるようにアドバイスしている」と解説。そのうち敬語については「若者だけでなく、大人も正しく使えていないと感じる。敬語は『言葉のおもてなし』とも言える」と語った。
 一方で、子どもの頃は父親の仕事の影響で駅近くの官舎で暮らしていたため、電車に乗ることが好きで大学の卒業旅行も電車での旅だったという。富川さんは「新型コロナが収束した後はゆっくりと国内外を特急電車で旅をして、全国各地のさまざまな日本語や海外の言葉に触れたい」と笑顔を見せていた。

彦根市立図書館の中央館 誘致へ河瀬学区と亀山学区が始動

 彦根市は新しい彦根市立図書館の中央館を河瀬学区か亀山学区に建設する計画を進めている。各学区でも地元の自治会などが候補地を選定し、すでに市へ報告している状況で、今月7日夜には河瀬学区連合自治会が河瀬地区公民館で「市立図書館(中央館)誘致委員会」の発足式を開いた。
 
両学区とも候補地絞る
1回目の用地選定委員会
 河瀬学区連合自治会は複数の候補地から彦根工業高校の北側の土地2万2813平方㍍を選定。その土地を所有する18人(21筆)の承諾も得ているといい、1013日には大久保貴市長へ要望書を提出した。
 誘致委員会は連合自治会の永畑幸雄会長らが役員、所属する14町1地区の自治会長と同学区の社協・青少協・体育振興会などの会長が委員、ほかの5自治会長が特別委員、野村博雄・杉原祥浩・小川隆史の3市議らが顧問に就いた。
 発足式で永畑会長は「図書館の設立は河瀬地域の悲願であり、ワンチームとなって誘致に努めたい」と意気込みを語った。最後には参加した約30人で頑張ろうコールをした。
一方の亀山学区は彦根亀山郵便局(清崎町)の近くを候補地に選定し、河瀬学区と同様に市へ報告済みだという。
 市教委は用地選定委員会の1回目の会議を先日開いた。今年度内の協議で候補地1カ所を選ぶ方針。

市の図書館整備計画
 彦根市の図書館整備基本計画では新しい市内の図書館について、拠点になる「中央館」を河瀬学区か亀山学区に設け、「地域館」として現図書館を北部館に、稲枝支所の周辺に南部館を創設する。南彦根駅西側に建設中の新しい市民体育センター内にも図書の貸し出しと返却、検索ができる場所を設ける。
 各図書館の概要として、中央館は15万冊を収容できるスペース、70万冊を所蔵できる書庫、会議室、事務室などを整備。建物の延べ床面積が約4300平方㍍、駐車場が現在の150台と緑地帯を入れて約4000平方㍍で、合計の敷地面積が約9000㍍。施設内の特徴は、車いすの利用者を含めて来館者が楽に通れる通路、障害者や高齢者向けの大活字本・朗読本など視聴覚資料の充実、時節に応じた話題・トピックスなどの特設コーナー、ユニバーサルデザインの導入、バリアフリー化を予定。湖東定住自立圏1市4町の拠点となる図書館を目指す。
 北部館は本棚に8万冊、書庫に置く本を含めて計12万冊を収容するほか、旧彦根藩領に関する古文書や歴史資料、舟橋聖一記念文庫などの特別コレクションを紹介する施設にする。南部館は5万冊程度を収容する。

スポーツカーが琵琶湖1周ガンバールラリー彦根ビューホテル発着で

 スポーツカーなどが琵琶湖を1周するイベント「ガンバールラリー」が22日、彦根ビューホテル発着で行われた。
 県内外の自動車の愛好家7人が観光振興と自動車を通してのコミュニティーの促進のほか、地域の人たちに「がんばる」気持ちを持ってもらおうと初めて企画。全国各地からスポーツカーなどの愛好家を募り、QRコードを活用してスタンプラリーをしながら琵琶湖を1周する形式で開催した。
 当日は近畿や東海、関東地方からスポーツカーやスーパーカー、クラシックカーなど165台が彦根ビューホテルの駐車場に集結。参加者たちは近江八幡方面と長浜方面に分かれ、数カ所のチェックポイントと琵琶湖大橋を経て約170㌔の湖周道路を1周し、彦根ビューホテルに戻った。
 代表の米田和真さん(46)=京都市=は、ポルシェ911カブリオレに乗車して走行。「紅葉の観光シーズンと重なり、渋滞の中での開催だったが、参加者の皆さんからは『楽しかった』『琵琶湖はすごく広かった』との声があり、滋賀の良さをわかって頂けて心が救われました」と話した。

2020年11月20日金曜日

佐和山城城下町のメインストリート本町筋跡発見、道の敷設の胴木工法「国内初確認」

 県文化財保護協会は12日、彦根市佐和山町で発掘中の旧佐和山城の城下町跡から、城下町のメインストリートだった「本町筋」の痕跡が発見されたと発表。道の敷設には城郭石垣に用いられる胴木(どうき)工法が採用されていた。城下町の道跡が確認されたのは県内初めてで、専門家によると道での胴木工法の確認は「国内で初めて」だという。
 国道8号線の米原バイパスの建設工事に伴って2018年度から佐和山城跡の発掘調査を実施。昨年度は城下ふもとの武家屋敷と本町筋をつなぐ道や橋台などの跡が見つかった。今年度は城下町跡エリアの5534平方㍍で4月から12月まで調査している。
江戸時代に作られた「佐和山古絵図」によると、内堀(現在の西法寺川)と外堀(小野川)に挟まれたエリアには、南北方向約400㍍の道の本町筋が通っていた。本町筋は佐和山城本丸から続く大手道と合流し、その両サイドには複数の町屋があったことから、城下町のメインストリートとしての位置づけができる。さらに東側の中山道とつながっていたとも考えられる。これまでの発掘調査で9棟の町屋の掘立柱跡が見つかっている。
 今年度の発掘調査によって、本町筋は現在の市道の約60㌢直下に幅6090㌢で整備されたことがわかった。道路を敷設するため粘土を1530㌢盛った上に砂利を混ぜた土で固めた硬化面を形成し、側面を幅1525㌢×高さ5~15㌢×奥行き2030㌢の石材を積み上げて固める工法で作られていた。江戸時代以降の水田化によって、石材をはじめ道路跡が壊されているが、最も残りの良い西側の部分では2段分の石材が残っており、硬化面の高さからもう1、2段分が積み上げられていたとみられる。
 
城郭石垣の工法採用
丹羽長秀時代以降
 また石積みの崩落を防ぐため、部分的に土台の役割の胴木を設置していることも確認された。丸太材を使い、胴木がずれないよう外側に等間隔で杭を打ち込む胴木工法は天正年間(1573年~92年)の織田氏関連の城郭石垣にも用いられていることから、県文化財保護協会は「織田信長の勢力下にあった段階に道路が敷設された可能性が想定される」としている。早ければ、豊臣家に移行する前の丹羽長秀が佐和山城主だった時に整備された可能性もある。
 滋賀県立大学の中井均教授は「本町筋の敷設に胴木を用いた石積で側溝を構えた事例は日本で初めてのもの。城郭石垣と同じ胴木工法を採用していることは城下の道路が城主主導で設計、施工されたことを示しており、極めて注目できる」とコメントしている。新型コロナウイルスの感染防止のため現地説明会は行われない。

2020年11月15日日曜日

日展で日夏町の非常勤講師 志萱州朗さんが彫刻で特選

 改組新第7回日本美術展覧会(日展)の特選受賞者が22日発表され、彦根犬上地域からは日夏町の非常勤講師、志萱州朗(くにあき)さん(63)が彫刻の部門で選ばれた。
 志萱さんは2018年に彦根市立東中学校の美術科教諭を定年退職した後、市立鳥居本中学校や県立盲学校、町立多賀中学校で非常勤講師を務めている。八坂町のアトリエで創作活動をしており、これまでに日展で入選を15回、滋賀県美術展覧会で特選を12回受賞してきた。
 日展で初の特選になった作品は題名が「東雲(しののめ)の湖(うみ)」。高さ183㌢×横73㌢×奥行き38㌢で、堂々とした若い女性を表現した作品。志萱さんは「これから始まる世界に夢を抱いてのぞむ人の姿を表した」と説明した。
 授賞理由では「人体の構造が造形的にしっかりできていて、とても伸びやか。現代を生きる
若き女性の一瞬の動きの美しさが見事に表現された魅力的な作品」としている。
 特選の報告を受けて、志萱さんは「驚きと共にうれしさが込み上げている。長年、美術の授業に喜びを感じ、自分自身の制作に楽しさも感じてきた。今後も学校や地域の活動で美術の魅力を伝えたい」と話していた。
 今年の日展は30日から1122日まで東京都の国立新美術館で開催されている。

 

新製 陸舟奔車 発明した彦根藩士・平石久平次の250回忌法要、住職が試運転

 自転車のルーツとされる三輪の「新製 陸舟奔車(りくしゅうほんしゃ)」を発明した彦根藩士・平石久平次時光(1696~1771)の墓がある中央町の長松院は先月25日、久平次の250回忌法要を営んだ。法要後には手塚紀洋住職(49)が陸舟奔車の復元品の試運転を行った。
 久平次は200石を受領して蔵奉行などを務めた一方、年暦を編さんするなど当時の一流の天文暦学の学者だった。発明家としても知られ、平石家文書のうち「新製陸舟奔車之記」には享保13年(1728年)から同17年にかけて久平次が3種類の異なる機構の舟形の自転車を考案したことがわかる設計図が掲載。陸舟奔車はそのうちの1種類で同17年に作られたとされる。世界的にはドイツのドライジーネが1818年に2つの車輪を一直線に並べてハンドルを付けて足で地面をけって走行。ペダルを付けた自転車はフランスのピエール・ミショーが1860年に考案したとされる。久平次が発明した陸舟奔車はそれらよりも前のため「世界で最初」の自転車の可能性もある。

1130日まで展示

 平成15年(2003年)1025日に放送されたテレビ番組で復元品が作られ、彦根市立図書館に寄贈。大きさは幅約2㍍27×奥行き約1㍍×高さ約1㍍4㍍。長松院は久平次の250回忌に合わせて、墓を今年7月初めに本堂前に移動。復元品を借り、9月1日から1130日まで「可休庵」で展示している。
 250回忌法要には自転車研究家として知られる小池一介さん、長松院が行う寺子屋に通う子どもたち9人を含む計約40人が参加。法要の中では交通安全の祈とうも行われた。城東小5年生の佐川涼君(11)は「(陸舟奔車の復元品を)初めて見たが、久平次の発想力はすごいと思った。僕も何か発明できる大人になりたい」と話していた。
法要後には手塚住職が本堂内で復元品を試乗。手塚住職は「後ろにも進めて、思っていたよりもペダルをこぐのが軽かった。久平次は稀代の面白がり屋だったろうし、にっこりと笑ってくれているのでは」と笑顔で語っていた。

市川農場 国産の3種の果実使ったマーマレード販売

 
豊郷町吉田の市川農場は先月21日から、国産の3種の果実を使ったマーマレードを販売している。
 当初はオレンジのみのマーマレードを検討していたが、市川健治社長(45)の妻のわかなさん(37)が他社のマーマレードを食べながら味を選定。試作を重ねる中で複数の果実をブレンドした方が果肉感が残り、特有の苦みを抑えることがわかった。
 原料は四国地方を中心にした国産のレモン、伊予柑、甘夏をブレンド。市川農場によると、3種の素材を混ぜ合わせたマーマレードはほとんどないという。瓶のラベルもわかなさんがデザインした。製造は長野市の信越食品工業。内容量190㌘。税抜き900円。パリヤや豊郷町観光協会、木村商店(田附町)のネットショップなどで販売。人気のいちごバターとのセットも。
 市川社長は「国産にこだわり、味もおいしい。いちごバターを超える商品にしたい」と意気込んでいた。問い合わせは市川農場☎(35)2589。

2020年11月4日水曜日

千代神社が墨絵で描いた石田三成の御朱印 関ヶ原の戦いに合わせて頒布式

 彦根市京町2丁目の千代神社は、墨絵で描いた戦国武将・石田三成の御朱印を作成。関ヶ原の戦いがあった日時に合わせて、21日午前8時に頒布(はんぷ)式を行った。
 千代神社は佐和山の山ろくに千代宮(ちよのみや)としてあったが、三成が佐和山城主を務めていた天正18年(1590年)、「神様を見おろすことは恐れ多い」として彦根山山ろくの尾末の地に移築したとされる。その後、明治2年(1869年)に千代神社と改称され、昭和41年に現在の地に移っている。
 これまで千代神社には三成ゆかりの品がなかったため、墨絵師として全国的に知られる御歌頭(おかず)さんに御朱印の制作を依頼。完成した御朱印は甲冑姿の三成のみと、三成と佐和山城を描いた2バージョン。金箔か銀箔で「千代宮」と押した計4種類を用意した。縦17・7㌢×横11・8㌢。1枚1000円。立てかけたり、壁につり下げたりできる。ほかに三成のみの墨絵を印刷したA4サイズのクリアファイルも金箔と銀箔の2種類を500円で販売している。

関ヶ原合戦に合わせ
「ゆかりの社知って」
 関ヶ原の合戦は庚子(かのえね)の慶長5年(1600年)9月15日朝に起こり、現在の暦では1021日にあたる。今年は庚子の年でもあるため、同時刻に合わせて頒布式を行い、氏子ら約10人といしだみつにゃんが出席し、玉串奉てんなどをした。
 布施博章宮司(45)は「三成の義の精神を伝えるために広く頒布したい。三成ゆかりの宮であることもこれを機に知っていただけたら」と話していた。

あいふぁーむHIKIDAがSDGs宣言

 彦根市三津屋町で米や野菜などを栽培している株式会社あいふぁーむHIKIDAは、環境への配慮や食品ロスの削減に努めているとして「SDGs宣言」を公表。チラシを作成しJA東びわこの直売所などに配布した。
 同社は琵琶湖と荒神山に挟まれた約35㌶の田畑で米、麦、大豆、キャベツ、ホウレンソウ、小松菜などを栽培。代表取締役の疋田翔悟さん(36)が父親の博幸さん(65)のもとで2016年に農業者となり、その翌年に会社を設立。「安心安全で体にいい」農産物の提供を心がけて生産してきた。
 
滋大生がインターン
チラシJAなど配布
 以前から関心があったSDGs(持続可能な開発目標)との関わりを目指し、今年8月19日から9月29日まで滋賀大学経済学部3年の片岡拓さん(20)をインターン実習生として招いた。新型コロナウイルスの影響でオンラインでのやり取りが中心だったが、「SDGs宣言」に向けて一緒に研究を進めてきた。
 研究の中では▽環境こだわり栽培で減農薬、減化学肥料で米を育てている▽大規模なトラクターの導入で米の安定供給につなげている▽農産物のパッケージに社名を記しており、品質を証明した農産物を提供している▽規格外の野菜を社会福祉施設に無償提供するなど食品ロスの削減に尽力している―として、SDGsの17項目のうち7項目に該当すると報告。インターン最終日の9月29日に「SDGs宣言」を行い、チラシ200枚を作成して取引先などに配った。
 疋田さんは「消費者の皆さまにSDGsに関する取り組みを知っていただけたら。今後も時代に合った新技術や取り組みにアンテナを張って、継続的な進化を続けていきたい」と話していた。