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2021年2月14日日曜日

彦根総合高校の生徒たち陸舟奔車の復元品製作

 彦根総合高校の生徒たちが、自転車のルーツとされる三輪車「陸舟奔車(りくしゅうほんしゃ)」(※)の復元品を完成させた。江戸時代に陸舟奔車を発明した旧彦根藩士・平石久平次時光(1696~1771)の墓がある中央町の長松院で2月16日から展示する。
 彦根市立図書館所蔵の陸舟奔車の復元品が、久平次の250回忌を前に長松院に移されたという本紙9月5日付の記事を読んだ彦根総合高の教員・熊谷貴文さん(43)が、人文自然系列の3年生20人に卒業制作として新しい復元品作りを打診。生徒たちも興味を示し、1019日に長松院を訪れて復元品を見学した。
 その後、11月にコンパネやベニヤ板など材料を購入し、設計や模型を作成して準備を整えた上で12月上旬から製作に取りかかった。休日や冬休みを返上して作業し、溶接や車輪の製造など一部の工程を生徒の保護者らが担いながら、今月23日に完成させた。
強化するためペダルのクランク部分や前輪が鉄製になっているが、大部分が木製。周囲をステイン(塗料)で茶褐色にした。大きさは長さ約2㍍20㌢、幅約1㍍5㌢、高さ約1㍍20㌢で、市立図書館所蔵の復元品とほぼ同じ。
 中心になって製作した生徒の村西晃徳君(17)=甲良町=は「工業高校ではない僕たちができるのかと思ったが、いい出来で仕上がった。すべて木だけで作った江戸時代の人たちはすごいと思う」と話していた。
 生徒たちが作った復元品は長松院へ運び、2月16日午後2時~安全祈祷式がある。3月末まで長松院で展示される。
  
【陸舟奔車】平石家文書のうち「新製陸舟奔車之記」には、享保13年(1728年)から同17年までに久平次が3種類の異なる機構の舟形の自転車を考案したことがわかる設計図などが掲載。3種類のうち陸舟奔車はハンドルを設け、車輪に付けたクランク軸に回転するペダルを取り付けている点が特徴。世界最古のペダルを付けた自転車はフランスのピエール・ミショーが1860年に考案。久平次が発明した陸舟奔車はそれよりも前ということになる。
復元品は平成15年(2003年)1025日に放送されたテレビ番組で作られた後、彦根市立図書館に寄贈された。

HIJが作るタイニーハウスWOW

 彦根市内から国道306号線で多賀町方面へ向かい、セブンイレブン多賀大社前店の道を左折して数百㍍進むと、左手の建物屋上に円筒形のユニークな建造物が見えてくる。木造製品販売会社「HIJ」が作るタイニーハウス(小さな家)「WOW(ワオ)」だ。
 
「秘密基地のよう」
当初「UFOハウス」
 HIJはひらつか建築が昨年4月7日に住宅建築以外の商品販売会社として設立し、WOWの販売を開始した。
 WOWは丸太を横にしたような円筒形の建物。平塚一弘社長(56)が「子どものころの秘密基地のようなツリーハウスを作りたい」との思いから発案。当初は未確認飛行物体(UFO)が木に引っかかったイメージから「UFOハウス」と名付けていたが、建物内に入った時の第一声にちなんで「WOW」と命名した。
 
グランピングにも
水道・電気対応可
スギを使って仕上げており、木材の特性により調湿性があるのが特徴。木の香りに包まれた空間で、屋上テラスやグランピング施設、個人用の別荘、店舗などとして活用できるほか、コロナ禍で広まりつつあるテレワーク用のオフィスとしても使用できる。またけん引して海や山、郊外への移動させることも可能だ。
 床面積6・15平方㍍の「ショート」、同7・69平方㍍の「ミドル」、同9・22平方㍍の「ロング」の3種類。水道、電気、トイレ、調理器具などの設備にも対応できる。
 平塚社長は「さまざまなオプションに対応し、オリジナリティあふれる空間作りがお手伝いできると思います」と話している。米などのエコ保冷庫「GOREZO」、木材乾燥庫「PARITTO」もある。問いい合わせはHIJ☎(20)8184。

2021年2月4日木曜日

森のお家 ふぁみりぃ国森康弘さん撮影の写真集の作成目指しクラウドファンディング

 医療的ケアが必要な重症児者が通所している施設「森のお家 ふぁみりぃ」(彦根市高宮町)は、写真家の国森康弘さんが施設内や重症児者の自宅で撮影した写真をまとめた写真集の作成を目指し、製作費などをクラウドファンディングで募っている。
 ふぁみりぃは、たんの吸引や経管栄養などが必要な重症心身障害児者と医療的ケア児者向けのデイサービス。運営団体のNPO法人「道」が2018年4月に平田町から高宮町へ移転する形でオープン。障害児者や難病患者、家族、関係機関の職員からの相談に応じる「ちゃれんじ」、24時間・365日対応する訪問看護ステーション「ふれんず」も運営している。
 
「子どもたちの姿 多くの人に」
800冊作成し配布、パネル展示も
 ふぁみりぃは彦愛犬の0歳児から20代までの30人以上が利用している。柴田恵子理事長(66)らは「一生懸命に生きているふぁみりぃの子どもたちのことをより多くの人に知ってもらいたい」との思いから写真集作りを企画。撮影依頼を受けた国森さんは昨年9月から10月までの計6日間、施設や重症児者の自宅を訪れて撮影した。
写真集は撮影された約1万5000枚から約60枚を選んでまとめる。親子や施設の職員たちとふれあう様子が収められた各写真には親が我が子に向けたメッセージも記される予定。写真集は800冊を4月頃に作成し、そのうち500冊を彦愛犬の小学校や保育所、県内の病院、図書館、障害者施設に配布する。残り300冊を販売する。写真30枚をA3判のパネルにして県内の関連イベントで展示するなどの取り組みも行う。
クラウドファンディングはキャンプファイヤーで3月30日まで。目標金額は300万円。寄付額は2000円~10万円。柴田理事長は「(重症児者の)ご家族のそれぞれの思いが詰まった写真ばかり。ふぁみりぃの仲間たちの姿を多くの人に知って頂き、誰もが社会の一人として認められて存在し、地域の中で生き生きと暮らせる社会になれば」と話していた。問い合わせはふぁみりぃ☎(49)2531。