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2022年8月15日月曜日

戦争と平和を考える

終戦記念日のこの時期、先の大東亜戦争または太平洋戦争について思いを巡らす国民は少なくないであろう。そして今年は「戦争」に対し、身近に感じる年でもあり、分岐点の年でもあるように感じる。
 戦争は人間同士の殺りくであり、悲惨かつ壊滅的な被害を生じる点において、起こってはならぬ惨事であることは国民大多数の共通認識である。しかし例えば、今のウクライナのように国土を他国に侵略され、奪われても良しとする絶対的平和主義の主張に対しては大多数が異を唱えるに違いない。
 世界を鳥瞰図的に見ると、G7を主にする日米欧の自由・民主主義国家と、中ロら権威主義(または全体主義)国家との対立が強まっており、ウクライナ情勢はまさにその狭間にあり、台湾においても米中対立に巻き込まれている感がある。
 その中ロに挟まれているのが我が国であるが、もし台湾で戦争が起こり、米中が対決した際、米軍の拠点は日本(沖縄)であり、中国軍の攻撃の的になるのは言わずもがなである。そして先の大戦で日ソ不可侵条約を破棄して、米軍の原爆投下直後に宣戦布告し、北方四島の占領後も不法占拠を続けているロシアが、混乱に乗じて再び日本の北方を侵略してくることも容易に予想できる。
 
安倍氏の国葬賛成
防衛費の増大も
 
 ストックホルム国際平和研究所のデータによると、昨年の世界の軍事費シェアは米国が38・5%とトップ、次いで中国が14・1%と米中で5割超となっている。そしてインドが3・7%、ロシアが3・2%、日本が2・6%、韓国が2・4%と続く。中国は情報公開が不透明なため、さらに多いとの見方もできる。
 翻って、日本の防衛費はGDP比1%台で推移しており、ウクライナ情勢を受けて政府は2%超を目指す意向だが、一部の野党や国民は「戦争をする国にするのか」と反対を主張し、その是非が今後、議論になるかもしれぬ。
 しかし多くの国民はロシアのウクライナ侵略や中国の台湾への威圧行為を目にしたことで、権威主義国家に綺麗事は通じぬと理解しており、防衛費の2%超も認めるに違いない。小生としても、国際法に悪気もなく違反するロシアなどの国家が存在する限り、抑止力の観点からも十分な水準の軍事力を保持するべきだと考える。
 今、国内では安倍元首相の国葬に対する是非が話題の一つに取り上げられており、世論調査ではその賛否が分かれているという。小生としては、安倍元首相の在任中のモリカケや桜の諸問題よりも、国内はもちろん世界に影響を及ぼした功績を高く評価しており、国葬に賛成である(基準が明確になっていない点から大賛成とまではいえないが)。
 小生がここで安倍元首相の死に触れたのは、先に述べた民主主義国家と権威主義国家との対立を収める力を安倍元首相が保持していたと考えるからである。その理由については先日のコラムでも述べたが、権威主義国家にとって、いわゆるその国にいる保守派(日本ではタカ派とも言う)の急先鋒は脅威であると言え、プーチンは安倍元首相と27回も会談した。また安倍元首相は、日米欧と中ロの対立に距離を置き、両軸を支持するインドなどの国家との関係も濃かった。いわば安倍元首相には世界情勢を安定させる力があったとも言え、その亡き後の世界情勢を危惧する者は小生だけではあるまい。
 国防費の増大にしろ、国葬にしろ、賛否については分かれるかもしれぬ。しかし、我が国で再び戦争を起こさせないという思いは共通認識のはずである。先の大戦で亡くなった御英霊に感謝の誠を捧げながら、現代の日本人が苦手な「戦争と平和について考える」お盆にしたい。【山田貴之】

2022年5月25日水曜日

天守前でラジオ体操禁止に一考

 天守前でのラジオ体操に参加していた市民2人と市長との面談は、その日に中止が決まるという予想外の展開だった。
 背景にはこの問題が全国ニュースとなったことで、性悪説の観点から早急に防犯面を強化せざるを得なかったことがある。文化財保護や防犯・防災の面からすれば、市側の即断は評価できるのかもしれぬ。
 ただし、あまりにも早急過ぎたという感はぬぐえない。小生は、市民との面談後にも市長に質したが、折衷案は本当になかったのか、継続の道はなかったのか―、何とも煮え切らぬ思いである。
 この問題が全国ニュースになった際、ネット上では市側の姿勢を支持する意見が大半を占めた。市長も小生に「このネット上の意見がサイレントマジョリティーだ」と主張していた。だが一市民である小生はそうは思わない。
 そもそも彦根市民は子ども、市内大学に通う学生、高齢者、障害者が身分証の提示で無料となり、ほかの世代も広報誌に折り込まれている無料チケットを使うか、マイナンバーカードを提示するかで無料になる。そのためネット上であった「観覧料を払わずに入場するな」の指摘は市民には事実上あたらない。また長年、彦根城を庭または公園のように身近な存在として接してきた市民性もある。
 ほかの時間外での入場の是非や防犯面への対処を含め、何らかの良きアイデアでの天守前でのラジオ体操を継続させる策はあったはずだ。頻繁に「経営者としての視点で」と唱える市長なら、何らかの良き策を提示すると期待していた市民も少なくないだろう。
 今回の市の措置で、身近だった彦根城の存在は遠くなってしまった。世界遺産を目指すうえで重要な市民の機運醸成に影響が出なければ良いのだが。(山田貴之)

2021年11月3日水曜日

維新の躍進と野党共闘の失敗

 衆院選の結果の注目点は「与党の絶対安定多数の維持」や「立憲民主党が公示前から議席を減らしたこと」よりも、日本維新の会の躍進である。
 公示前と比較した主要政党の議席数は、自民が276→261、公明が2932、立憲民主が109→96、共産が1210、国民民主が8→11、そして日本維新の会が1141と大幅に議席を増やした。
 日本維新の会は地盤の大阪で候補を擁立した15選挙区で全勝し、与野党の著名な政治家をも下した。近畿以外でも関東や東海、九州で一定の比例票を獲得し、自民、立憲民主に次ぐ第3の勢力に躍り出た。
 この原因としては、新型コロナ対策で大阪の吉村洋文知事の言動が連日報道されていたこともあるが、小生はそれ以上の原因があると分析する。その1点目は与野党の各政党が「成長」や「分配」を唱える一方で、日本維新の会はそこに「身を切る改革」を取り入れたことである。コロナ禍で国債の発行による財政出動はやむを得ない中でも、やはり有権者の間には「財源」を危惧する思いが無意識としてあり、そこに改革というキャッチフレーズが有権者に妙に入り込んだ。
 つまり、政党や候補者が給付金や支援金という名の「甘いニンジン」をぶらさげるだけでは、有権者はそう容易く誘いに乗らなくなっているということに、そろそろ気づく必要がある。
 原因の2点目は「野党共闘」である。立憲民主、共産、社民、れいわは20項目の共通政策に合意し、国民民主を加えた5党が全国217選挙区で候補者を一本化した。しかしふたを開けると、その中心政党の立憲民主と共産が公示前から議席数を減らす結果に終わり、全体的に見て野党共闘は失敗に終わった。
 野党共闘の失敗の要因は▽立憲民主の支持母体の連合が共産党との連携に反対していたこと▽外交安保や天皇制といった日本という国家における重要政策が異なること―などにある。そして最大の失敗要因は、これまでにも小生が何度か指摘してきたが、政党や政治家にとって根幹にある思想信条(民主主義・社会主義・共産主義)が異なる政党同士による共闘は、まさに同床異夢の状態であり、自民党政治を打破するだけという魂胆を有権者は見透かしていると断言できる。
 つまり、日本維新の会が躍進した要因は野党共闘から距離を置き、独自政策による第三極の選択肢を設けた戦略にある。「自公もだめだけど、野党共闘もおかしい。それ以外を」の有権者の無意識を含めた思いをうまくくみ取ったというわけだ。
 岸田政権にとっては、新型コロナ対策や経済政策をはじめ、台湾を巡る米中の対立など国内外における問題が山積みである。躍進した日本維新の会、地味ながらも微増した国民民主党、野党共闘の失敗で議席を減らしたものの、社会的弱者に対しては良き政策がある立憲民主党や共産党の各野党の政策も取り入れて頂きたい。【山田貴之】

2021年10月11日月曜日

党議拘束・会派拘束と中国共産党政権

公共施設のひこね燦ぱれすの図書館化を巡り、彦根市議会の最大会派・公政会が「会派拘束」をかけた上で採決にのぞんでいた。これまでにも何度か会派拘束を耳にしてきたが、今一度、その意義と必要性を確認する。
 大辞林によると、拘束とは①捕らえて、行動の自由を奪うこと②行動や判断の自由を制限すること―とあり、政治などの舞台では②の意味を言う。国政においては政党内での「党議拘束」との言葉もある。つまりは思想信条が同一の議員が集まった政党や会派が、政局を左右する際などの重要な政策に関して、その賛否を同一にするために制限をかけることを党議拘束または会派拘束と呼ぶ。
 しかし、民主主義国家における我が国において、党議拘束や会派拘束という言葉を耳にするたびに違和感を抱くのは小生だけではないだろう。
 「行動や判断の自由を制限する」行為は最近で言うなら、香港の民主化運動を中国共産党の一党独裁のもとに策定された「法律」(香港国家安全維持法)による強制力と、それに伴う暴力において抑え込んだ中国共産党の体質と共通する。民主化を呼びかけるマスコミや学生運動の中心人物らを相次いで逮捕し、その行動と判断の自由を制限した愚行は記憶に新しい。ミャンマー国軍のクーデターによる政権も同質である。
 
踏み絵のごとき慣習

 しかしながら日本国内において党議拘束は通例化し、国会への法案提出前に与党の事前審査で決定し、衆参両議員に対し党議拘束をかけている。2005年の小泉純一郎首相による郵政選挙では党議拘束違反者を公認しない行為が話題にもなった。その後も暗黙のルールのように続いてはいるが、近年では党議拘束を疑問視する声が国政でもあがっている。先の自民党総裁選でも河野太郎氏が「党議拘束を全部にかけるのはやめた方がいい」と語っていた。この潮流は地方議会でも同様の指摘ができる。
 いわば、党議拘束および会派拘束は民主主義国家の政治の舞台で残る、踏み絵のごとく自由なき慣習だと言え、時にその違和感を共通認識として抱きつつも、政治の世界においては例外として利用されている。
翻って、彦根市議会をはじめとする地方議会における会派拘束だが、「行動や判断の自由を制限する」との観点からすれば、その発動は不要である。政局の安定等を目的とした国政の慣習に倣うのではなく、地方議会では今後、会派内でその規定および概念を無くす努力を求めたいものだ(紙面では「伝家の宝刀」等の文言を使い、会派拘束の発動を認める形の表現でしたが、その後、会派拘束は地方議会で不要だとの結論に至ったため、ネット版では後半部分を一部修正しました)。【山田貴之】

2021年4月30日金曜日

変革し始めた市民性

「驚天動地(きょうてんどうち)」、世間を非常に驚かせること(大辞林)。まさに、この言葉があてはまる市長選の結果であった。和田氏の支持者を除き、小生を含めて誰がこの結果を予想していたであろうか。
 現職の大久保氏の1万1663票に対し、和田氏と獅山氏を足したいわゆる批判票は2万2584票と倍近い数であり、批判票の6割以上が和田氏に入った。その要因としては失政が続いた現市政に対する不信感、団体や政党の支援を受けず、SNSを利用した和田氏の「新しい選挙スタイル」と「しがらみのない政治」、そして斬新な公約があげられる。
 
閉塞感打破求めた
 しかし、それら以上に小生はこれまでの幾年かにおよぶ鬱積してきた閉塞感や停滞感が漂う彦根特有の雰囲気の打破を望む市民の思いがうねりとなり、我々が見えぬ水面下で想像以上に広がったと考えられる。
 大久保氏の陣営幹部が敗北後、「私たちには和田さんが何をしているのか見えなかった。獅山さんとの戦いだと思っていた」と語り、獅山氏も敗北後「ドラマを見ているようだ」と漏らしていた。
 両陣営の率直な感想は小生も同感であり、両陣営についた国会議員や県議、市議らも同じ感覚だったに違いない。つまり選挙を何度も経験、取材してきた我々と、有権者との感覚には大きなズレが生じており、時代や潮流に追いついていないということだ。敗北した陣営のある市議もそのズレに触れながら市議たちの改心の必要性を説いていた。
 そして、これまで幾度となく「彦根は生ぬるいお湯にどっぷり浸かったたこつぼ状態にある」と指摘し、殿様文化の打破を求めてきた小生の認識も、今回の結果を受けてその誤りを認めざるを得ない。投票率の低さは相変わらずのため、まだまだ小規模ではあるが、市民性は変革(殿様文化は打破)し始めたとしか言いようがない。
 
課題山積みの市政
 さて、来月10日に就任する和田新市長には課題が山積みである。まずは新型コロナ対策に万全を期すことはもちろんだが、すでに建設中の市スポーツ・文化交流センターの整備をストップするのか、滋賀県と進めている彦根城の世界遺産登録をいかに扱うか、ひっ迫する市の財政をいかに立て直すのか、そのほかにも新しい広域ごみ処理施設や市立図書館中央館の整備方針も示す必要がある。和田新市長の手腕に期待したい。 【山田貴之】

 

 

2021年4月15日木曜日

財政再建に死力を尽くせ 4月25日市長選 市政課題

彦根市長選挙が4月18日告示、25日投開票で行われる。本紙は市長選を前に市政課題を数回に分けて取り上げている。今回は財政問題。
 
22年以降赤字も
3年後~市債返済
 彦根市が今年2月に示した市中期財政計画では2021年度から5年間の財政状況を予測。財源不足への対応を行わなかった場合として22年度以降、歳入から歳出を差し引いた実質収支が赤字に転落するというショッキングな数値を示した。
 具体的には、22年度の歳入から歳出を引いた実質収支がマイナス23億9141万円となり、その後も赤字額が増額して25年度にはマイナス34億2189万円になるとの試算だ。
 この最大の要因は人件費や扶助費(社会保障の経費)が増大する上、新型コロナウイルスの影響による市税収入の大幅な減少が追い打ちになっている。また市役所本庁舎の耐震工事、彦根市スポーツ・文化交流センターの整備、道路・橋りょうの改良など大型の投資事業が続いたため、市債の返済が24年度から開始する。これに伴って実質公債費比率(収入に対する負債返済の割合)は21年度の9・3%から、24年度には13・9%に悪化する見込みだ。
このほか、彦根市は21年度当初予算で貯金にあたる基金を、最も融通が利く財政調整基金をはじめ大幅に取り崩す予定で、22年度以降も取り崩しが必要になるため、財政調整基金は22年度末に3億9000万円となり、25年度末には1200万円とほぼ底をつくと見込んでいる。
 
歳入策 待ちの姿勢
歳出策は不透明
 これら財源不足への対応として、市財政課は22年度以降の予算編成について「更なる事業精査に向けた効果的な手法を検討して事業を見直し、歳入の確保にも努める」と説明。具体策と21年度比の22年度以降各年度の歳入増収額はネーミングライツの広告料の確保など新たな財源で1000万円ふるさと納税や企業版ふるさと納税で5000万円彦根城や彦根城博物館の観覧料収入の増加で5000万円を列記。
 一方で歳出削減の策と額・比率は業務の委託化、ICTの活用などで時間外勤務の縮減によりマイナス5%予定事業の延期、中止を含めた事業の見直しで25億円~29億円を削減市単独の補助金について再検証してマイナス1000万円など。そのうち事業見直しの25億円~29億円の具体的な内容は明らかになっていないが、市財政課では「一つの大きな事業の経費というよりも、複数の事業を少しずつカットしトータルで25億円以上を削減するのが現実的」としている。
 しかし市が示す歳入策は「待ち」の内容が目立ち、「攻め」の姿勢が見えてこない。歳出面もその具体策は不透明なままである。また今回の市中期財政計画には今後、控えている新しい市立図書館中央館や広域ごみ処理施設の大型事業の経費は入っておらず、10年後以上先の長期を見据えた財政計画も必要である。各候補がいかなる財政再建策を訴えるか注目したい。(山田貴之)

2021年4月7日水曜日

荒神山トンネル案 再考せよ

新しい広域ごみ処理施設の建設に伴う市道整備の一環で、彦根市は荒神山にトンネルを設ける案を立てている。しかし今月初めに開かれた新ごみ処理施設整備連絡協議会では委員である複数の市民らから荒神山トンネル案に「反対」の声があがった。周辺住民からも反対の意見があり、荒神山トンネル以外の案が求められる。
 市は昨年10月に開いた、環境影響評価(環境アセスメント)方法書を作成するための住民説明会で、ごみ収集車など関係車両が走行するアクセス道路案を発表。その中で突如、荒神山にトンネルなどを整備する案を示した。
 新しいごみ処理施設の整備候補地の西清崎地区にごみ収集車などが入るには専用の道路の整備が必要になる。そのため市は日夏町、賀田山町、稲里町の住居地域をう回するため、市道・大藪金田線から建設候補地、そして稲村山農道までをつなぐ約2・4㌔の案を立案。その大藪金田線から建設候補地までの途中には荒神山を約135㍍分含んでいるため、トンネルなどが整備される可能性が出ている。アクセス道路の概算経費は38億円。
 
自然を破壊して良いのか
 荒神山には天智天皇(626~672)の時代に設けられたとされる荒神山神社や国の史跡に指定されている荒神山古墳など、歴史的にも重要な文化財があることは言わずもがなであるが、周辺を含め生物や草花など自然豊かな場所でもある。
 特にトンネルを整備すると、少なからず自然が破壊されることは明らかである。大地を再生させる活動を全国で展開している矢野智徳さんは「現代の人工的なコンクリートやブロックで仕切る工事は、大地での水と空気の入れ換えが滞り、植物の根の呼吸も弱くなる」と指摘。さらに「土壌の空気と水がよどむことで有機ガスが停滞し、病菌類のバクテリアが増え、植物たちは不健康な状態になる」と解説している。
 長年、守られてきた文化財や自然を我々の世代で破壊してよいはずがない。荒神山トンネル案はまだ正式には決定していないが、市は進める意向だ。先の議会でも関連の議案が通過した。おそらく市議会も地元住民の反対の声を知らぬのであろう。荒神山トンネル案の見直しが求められる。【山田貴之】

2021年3月28日日曜日

庁舎耐震「迷走」振り返る

彦根市役所の本庁舎耐震化計画は2011年12月の市庁舎耐震整備基本計画の策定が始まり。9つの案から庁舎を耐震工法で補強し、前面に5階建ての増築、立体駐車場の整備、敷地内への仮設庁舎を建設する内容だった。
 しかし、2013年5月に就任した大久保市長は3カ月後の8月6日に県庁で「白紙」の意向を示し、9月議会での耐震整備の関連費計上を見送った。12月議会で「ゼロベース」を表明し、翌年4月から有識者による彦根市庁舎耐震化整備検討委員会を開始。1114日に同委員会から制震工法を採用するなどの報告書が提出された。
 2015年6月議会に市は彦根駅東口に仮設庁舎を建設する案などを提案したが、市議会は前年に出した5項目の付帯決議が守られていないとして、同案を否定(省いた修正案を可決)。市は9月議会に既存棟の前面に1階、後面に5階の建物を増築する整備計画を示したが、市議会は付帯決議が守られていないとして再び否定(関連議案を省いた修正案を可決)した。そのため市は4つの案を市議会側に提示し、その中から前面に増築する案に決定。17年6月に施工業者と契約を結んだ。
 だが、翌年1月に市は予定価格29億3900万円と施工業者の見積額38億7700万円の差額を埋めるため、一部職員が既存庁舎の改修、外構工事の一部取り止めや使用材料の変更などを施工業者に別途発注していたと発表。地方自治法施行令違反にあたる裏合意問題として大きなニュースになった。
この問題を受けて、当時の副市長(男性)が辞任。裏合意の公表時、市は「(当時の)副市長が主導した」と発表していたが、2018年4月9日から8月22日まで行われた百条委員会で、その副市長だった男性は「作為的で疑念を抱いている」などと関与を否定。一方で担当だった職員は「(裏合意が)地方自治法施行令違反にあたる認識はあった」と述べていた。
 市は2019年2月までに調停を行った上で施工業者との契約を解除。その後の入札も不調を繰り返し、1126日の4回目の入札で市と裏合意していた施工業者が落札し、12月議会での承認を経て工事が始まった。(山田貴之)

 

 

2020年9月9日水曜日

安倍首相辞任 新聞社説の読み比べ

 安倍晋三首相の8月28日の辞任会見は国内外に衝撃を与えた。翌日の全国主要5紙の社説(主張)はこれまでの安倍首相の功績に対し、賛否が大きく分かれた。
 朝日は「『安倍政治』の弊害 清算の時」と銘打ち、長期政権の終焉に対し、冒頭で「深く傷つけられた日本の民主主義を立て直す一歩としなければ」と書いた。「アベノミクスのもとで株高が進み、企業収益や雇用の改善につながった」と評価しつつも「賃金は伸び悩み、国民が広く実感できる状況ではない」と展開。「政策決定においては内閣に人事権を握られた官僚の忖度がはびこり、財務省の公文書改ざんという、民主主義の土台を崩す前代未聞の事態を招いた」と、終始批判的に論じた。
 毎日は「行き詰まった末の幕引き」の見出しで、「コロナ対応は迷走を続けた」との論調で始めた。そして「政権の長期化に伴い、内政、外交ともに停滞感が強まった」として「景気が1年半前から後退局面に入った」「北朝鮮の拉致や北方領土問題は解決に向けた糸口も見いだせていない」と指摘。朝日同様、官僚の忖度などの問題にふれながら「長期政権は維持したが、政策的な成果というより『負の遺産』の方が残されている」と非難した。
 読売は「危機対処へ政治空白を避けよ」と題した。長期政権の最大の功績に「不安定だった政治を立て直したこと」とし、景気の回復、日米同盟を基軸とした政策、安保関連法の成立を高く評価。一方で新型コロナの対応については「ちぐはぐだった」とし「官邸主導の政治は迅速な政策決定を可能にする一方で、首相に近い官僚の意向が反映されやすい。国民の不安の声が首相に届いていなかった」と論じた。
 日経も「コロナ禍に政治空白は許されない」とのタイトルで、読売と同様に経済や外交・安全保障の政策に対しては高評価した一方、森友・加計問題については「何かと身びいきする政権との印象を与えたことは否定できない」と記した。
 産経は主見出し「速やかに自民党総裁選を」、副見出し「『安倍政治』を発射台にせよ」で、「総じて安定した国政運営だった」「安倍政権の業績は歴代自民党内閣の中でも著しい」と高評価。第1次内閣での「教育基本法の改正」「憲法改正の是非を決める国民投票法の成立」、第2次内閣での「安全保障関連法の制定」「TPPの発効」「アベノミクス」「2度の消費税引き上げ」などに賛意を示した。北朝鮮の拉致や北方領土の問題に対しては「大きな進展は得られなかった」としながらも、最終的には「自民党総裁選に立候補する政治家は『安倍政治』の成果と方向性を尊重することが望ましい」と安倍政治の継続を求めている。
 予想通り、安倍政権に対して朝毎が批判的に論じた一方、読売と日経がおおよそ評価し、産経は終始好意的に論じた。短命で終わった近年の多くの首相を知る小生としては7年8カ月という歴代最長の政権を担った安倍首相に対しては敬意を表したい。
 確かに朝毎が指摘するように「官僚の忖度」という点は古い政治であり、問題視するべきだが、長期的、大局的視点に立てば、経済や外交・安全保障面での数々の政策は評価せざるを得ない。産経も主張していた通り、安倍首相にはまず体調を万全にしていただき、再び活躍していただくことを切に願っている。(山田貴之)

2020年6月22日月曜日

北の拉致 対話か圧力か

 北朝鮮に娘(横田めぐみさん)を拉致されたまま、先日お亡くなりになった横田滋さんの妻・早紀江さんと、めぐみさんの弟にあたる双子の拓也さん・哲也さんの記者会見をユーチューブ(https://www.youtube.com/watch?v=B1dvLtnnyiY)で拝見した。
 その中で、あるフリーのジャーナリストが「経済制裁の圧力よりも対話を重視しては」との意図の質問をした。これに対し、拓也さん・哲也さんは以下の返答をした(一部略)。
 拓也さん「皆さま方もそうだが、親からは間違ったことをしてはいけないと教えられたと思う。何が正義で、何が悪かを知った時に、北朝鮮が拉致を行い、人質外交を続けていることが正しいのか。日本国が何も言わずに相手の言うことを聞き続けるのが良いことか。それを私自身、日本国民自身、ジャーナリズムが意識する必要がある」。
 哲也さん「対話だけですむのなら、とっくにすんでいる。親が子どもを、先生が児童生徒をしつける時もそうだと思う。できていない人たちには対話もいいが、圧力が必要だ。政府にはそれを堅持してほしい」。
 つまりお二人の言葉をまとめると「北朝鮮は拉致という邪悪な行為を続けてきた。親や先生の立場の日本が悪行を何度もしてきた子の立場の北朝鮮をしつける時、対話だけで解決できるはずがない」ということだ。
 外交の基本は「対話」であるが、拉致という犯罪がまかり通る国との外交に対話が通ずるはずがない。しかし、未だにその妄想に固執する報道や主張が一部である。
 拉致をはじめ、核や弾道ミサイルの開発、対米韓に対する姿勢からも、北朝鮮はまさに非行や犯罪を繰り返し、駄々をこねる「子」であり、「親」である日本をはじめとした周辺国や米国は厳しく教育すること(圧力)が解決の道であることは間違いない。
 ただ「親の中の親」である米国と中国が対立し「新たな冷戦」状態にある上、新型コロナウイルスや香港・黒人差別の問題で国内や国際社会から非難されており、米中からすれば北朝鮮を相手している暇もなかろう。
 拉致の解決の道筋はまったく見えないが、我々日本人としてはこの拉致の問題を風化させてはならず、今後も国際社会に訴えていくことしかない。(山田貴之)

2020年3月18日水曜日

議会人の務め

 2020年度の当初予算案について、小生は2月16日付の紙面で、前年度の予算案否決という惨事を繰り返さないでおこうとの市長の思惑が透けて見えるとして「議会迎合・自己保身予算」と批判。市議会に対しては「ただ単なる追認で良いのか」と指摘した。
 だが小生は当初、市議会一般質問などでの雰囲気から、予算常任委員会ではその「単なる追認」がなされると思っていた。しかし結果は委員会レベルと言え、否決という惨事を再び繰り返した。大久保市長の短絡的な思惑や自己保身の精神が市議に見透かされたのであろう。
 小生は以前のコラムで、市が提案する議案を承認するだけだった市議会に対し「ベルトコンベヤー議会で良いのか」と非難した。そういう観点からすれば、予算常任委員会で反対した6人の議員は議会人として、いな政治家としての務めを果たしたと言え、高く評価できる。
 そして焦点は本会議での採決の行方に移る。市がこのままの内容の予算で貫き通すのか、議会側から修正案が出るのか、そして鍵を握る最大会派の公政会の議員諸氏が「議会人としての務め」を果たせるのか―。俄然注目の市議会となった。【山田貴之】

2020年2月20日木曜日

議会迎合・自己保身予算

 2020年度の当初予算案の特徴を一言で表すなら、「議会迎合・自己保身予算」と言えるだろう。
 2019年度の当初予算案では大幅に事業を削減したことがあだとなり、市議会で予算案が否決されたが、そのような市制初の惨事、いな珍事を「二度と繰り返したくない」との市長の思いが透けて見える。そして、もし大幅に削減した新年度予算案を提案し、再び市議会で否決された場合、市長不信任案の再提出が濃厚のため、それを避けたいとの思惑もあったのだろう。さらに踏み込めば、来年春に市長選を控え、庁舎耐震や新市民体育センターなど大型事業を「実績」として積み上げたいとの狙いもあったに違いない。
 ただ、そのような市長の自己保身のツケは市民に回り、将来の子どもたちが負うことも忘れてはならない。市債残高は1000億円を超える見込みで、広域ごみ処理場など大型事業が残るため、更に次年度以降もその残高が増えるのは必至であり、実質公債費比率も悪化している。
 市長は給与削減案を2月議会に提案するが、市の財政状況の健全性にとってはすずめの涙程度である。
 「議会迎合」予算を受け、市議会は迎合をただ単に追認するのか、更なる行財政改革を求めるのか、2月議会を注目したい。【山田貴之】

2019年12月19日木曜日

市長への辞任要求は当然の感覚

 昨年8月31日まで市職員だった黒澤議員が、職員時代にトップだった大久保市長と、市職員から昨年4月1日に副市長に就いた山田氏を痛烈に批判。市長には辞任を迫る勇敢さを見せた。
 小生は黒澤議員が市職員だった時代から知るが、良くも悪くも「大人しそうな方だな」との印象しか残っていなかった。市議になって以降もこれまで、1期目ということで存在感はあまりなかったが、今議会で議員としての頭角を現した。1年生議員ではほかの同期と比べて一歩も二歩も抜きん出たと言ってよい。
 レームダック状態の惨憺たる状況の現市政に対する黒澤議員の批判は、元市職員として市内部を把握しているという観点から説得力があり、信ぴょう性がある。一方の山田副市長は60歳の黒澤議員より5歳年上のため、同議員の質問(批判)に対して指を差しながら文句を言い、谷口典隆議員から注意を受ける場面もあった。火中の栗を拾った山田副市長にとっては気の毒ではあるが、これら元市職員同士が対立する構図の元凶は、大久保市長の政治家として、または行政トップとしての力量不足たる所以である。
 黒澤議員同様、小生もこれまで幾度となく指摘してきたが、市長が政治家らしく真に市民の幸せと将来の彦根の発展を願うのなら、その最善策は自ら辞することだと再度、忠告しておく。【山田貴之】

2019年12月3日火曜日

政治(不祥事等)の敵は「時」の経過

 彦根市都市建設部の前部長らと岐建滋賀支店の社員が地方自治法施行令違反にあたる裏合意を行い、調停を経て契約を解除した。その後、3度の入札が不調に終わったため、8月に副市長が「随意契約の可能性」を含めて岐建側と協議。しかし「随意契約の要件を満たさない」案件とのことで、4度目の入札が行われ、結局は岐建が再び落札した。
 法令違反により前副市長が辞任し、百条委員会で法令違反の行為を認めた前部長が(最も軽い)処分を受け、契約を解除、そして再びその業者と契約を結ぼうとする―。この流れに疑念を抱くのは当然の感覚だが、「許容」または「容認」の雰囲気が市議会を中心にあるのも事実である。
 政治の舞台において、ある不祥事が起こった場合の最大の敵は「時」という、時間の経過である。国政をはじめ、小生たちはこれまでに幾度となく、その流れを目にし、経験してきた。それは何も政治の舞台に限らず、数々の事件においても同じ指摘ができ、事件・不祥事直後の熱さが時の経過で冷めるという流れがこの人間社会にはある。
 12月議会では庁舎耐震化と合わせて、建設費が13億円の増額となった市民体育センターの建設の行方も焦点になる。時の経過によって過去の不祥事を許す感覚や、早期に完成を願う思いはいかにも人間的だが、行政と対峙するはずの議会という地方自治制度の役割からすれば徹底的な議論(抗戦)を願いたいものだ。【山田貴之】

2019年6月24日月曜日

現市長 続投させて大丈夫?

 2月議会での新年度予算否決と市長不信任案提出、ひこにゃんの活動休止騒動を経て、6月議会でようやく新年度予算が議会の承認を得た。予算案に賛成したある市議は「大久保市長を評価することは到底できないが、これ以上の市民への影響を考えると承認せざるを得なかった」と苦渋の思いを明らかにした。
2月議会で予算案の承認が得られなかった原因として、今議会等で大久保市長は議会への説明不足を強調していたが、案の定、複数の市議からは「議会への責任転嫁だ」と批判されていた。見直し事業による市民の反発や、ひこにゃんの活動休止の影響を予期できなかった観点から、小生も市政混迷の責任はすべて市長にあると確信しており、「責任転嫁」の論調は筋違いである。
 これまでのコラムにおいても指摘してきたが、政治家のうち首長に最も欠かすことができない資質は「先見性」である。この予算騒動をはじめ、市役所庁舎耐震化事業、広域ごみ処理施設の候補地選定などにおいて、現市長の判断ミス、いな先見性の無さで停滞している。
 小生は、現市長の続投は市民にとって不幸であり、彦根の将来にとっても何らプラスにならないと確信している。先の市長不信任案は可決するべきであったし、そういう観点からすると、市政混迷の責任は市議会にもあるといえよう。
 4月の改選を経て間もないため、現市政を見極めている新人市議もいるだろうが、「不安要素」が多々あるのが実状であり、「先見性」のある政治家ならば今後も市政の混迷が続くのは容易に予想できる。新人市議を含め市議会には、市民が安心できる暮らしのため、彦根の明るい未来のための判断を切望している。【山田貴之】

2019年3月28日木曜日

「死に体」市政が続く来期

 新年度予算案の討論の中で、獅山議員と谷口議員がドイツ政治学者のマックス・ウェーバーの著書「職業としての政治」を引用していたが、ウェーバーはその本で政治家に必要な資質として、情熱、責任感、判断力をあげている。小生はその3つに先見性を加えたいが、はたしてそれらの資質が大久保市長に備わっているだろうか。
 庁舎耐震化の裏合意問題では責任を副市長になすりつけて辞任に追い込み、庁舎耐震や広域ごみ処理施設などに対する先見性無き判断が要因で市政を混迷させていることから、強いて資質があるとすれば、選挙に出る誰しもが備えている情熱のみである。
 その政治家だと言い難い市長に対して、遅きに失した感は否めないが、市議選改選のタイミングで市議会が不信任案を提出。市議24人中、可決まであと1票の17人が賛成し、退席した八木議員も「気持ちは不信任」と話していた。公政会から反対に回った2人のうちの一人を含め、否決にするために水面下での駆け引きがあったとの見方をする市議や市民もおり、何とも後味が悪い結果に終わった。
 現市政に対しては、マスコミ各社が毎日のように批判記事を掲載し、本紙をはじめ地元紙には市職員とみられる市民から内部告発の投書も届いている。市議会に見放され、マスコミに非難され、他市町から嘲笑され、市職員からの信頼がない市長を続投させる意味はあるのか、市政に関心がある市民なら理解して頂けるのではないか。
 閉会後の会見で、辞して信を問う考えの有無に、市長は「選挙に市税を使うべきではない。選挙で事業を停滞させてはならない」と答えていたが、これまでどれほどの市税を無駄に使い、事業を停滞させてきたのか、早くも忘れているのか。
 市議会は来月、改選され、10人前後が新人になりそうであるため、市長への不信任決議は新しい議会では難しいだろう。その議会の代わりを果たすのは市民しかおらず、すでに参院選後からの市長リコールの声も聞こえ始めた。政治に関心がない「殿様文化」下のリコール運動はなかなかハードルが高いが、安藤議長が最後の挨拶で話していた言葉を引用すれば、この異常な市政状態は来期(次年度)以降も続くのは必至であり、小生も市政の停滞、いな衰退は続くと確信している。一市民として辟易する日常から早く抜け出したいと願っている。【山田貴之】

2019年2月28日木曜日

袋小路の大久保市政

 小生は、これまで「現市政はレームダック(死に体)状態にある」と指摘してきたが、先般の広域ごみ処理施設の建設候補地が白紙濃厚となったことを受け、現市政は更に袋小路に追い詰められており、レームダックまたは袋小路から抜け出す気配さえも見当たらない。
 今回の広域ごみ処理施設の建設候補地を巡り、組合議会が全会一致で可決した白紙を求める決議案が持つ意味は極めて重い。昨年までの組合議会は、愛荘町竹原地区の建設候補地を反対する彦根市議と甲良町議、賛成する愛荘、多賀、豊郷の各町議で意見が分かれていた。しかし先週の組合議会では愛荘町議を含む全員が白紙を求めた。これはつまり、今後の関連予算をすべて認めないとする意思表明でもある。
 そして何よりも、竹原地区を独断で決めた大久保市長の責任は極めて重大だ。庁舎耐震の裏合意を巡る問題について、市長は直接的な関与を否定しているため、かろうじて首の皮一枚で市長の座を維持し続けているが、広域ごみ処理施設の問題については直接的に関与しており、責任は逃れられない。
 先週の組合議会でも安澤勝議員からその責任を問われた市長は「建設に向けて進めていくことが私の責任」「議員の間にも色んな意見がある」と、あいかわらず的を射ない発言をしていた。
 議会後の小生の質問に、市長は「管理者会で対応を考える」と答えたが、早期に白紙を表明したうえで、裏合意問題をはじめとした市政停滞の責任を含め、潔く辞するのが政治家としての筋であり、市民のためでもある。
 市政停滞と並行する形で、巷(ちまた)ではすでに次期市長選に向けた動きが出始めている。今後、市議会において大久保降ろしに向けてどのような動きが出てくるかはまだ流動的だが、やはりキープレイヤーとなるのは最大会派で自民系の公政会である。
 公政会の議員からは「自民系の後釜探しが難しい」との声があるが、市政をこのまま停滞または衰退させるのか、独自の市長候補を何とか探し出すのか、市民のためにどちらを選択するべきかは論を俟たない。
 いずれにしても、キープレイヤーは公政会に所属の議員である。4月の市議選に向けて、25日に開会した2月議会で公政会を含めた現職議員たちがどのような対応をするのか、市民は注目している。【山田貴之】

2018年8月27日月曜日

曖昧に終わった百条委員会

 市役所耐震化を巡る裏合意の真相を究明する百条委員会が終了した。市制初の百条委だったため、委員長が認める通り「難しさがあった」のかもしれないが、何とも曖昧模糊に終わった。
 元々、百条委が設置された理由は「どの職員が裏合意を主導したのか」「市長の関与は本当になかったのか」を究明するためだった。特に「主導」について、市が今年1月に市議会やマスコミに発表した報告書では、発表直前に辞任した川嶋前副市長にその責任を負わせ、マスコミ各社もその発表に沿った報じ方をした。
 しかし百条委の証人尋問では意見の食い違いが表面化。前都市建設部長の山本氏は「私と川嶋前副市長、企画振興部長、総務部長が話し合って決めた」と述べ、大久保市長は「川嶋氏と山本氏」と答えた。企画振興部長や総務部長も議会などで関与を否定した。
 一方で川嶋氏は、市の発表の「川嶋主導説」に対し「私が(裏合意を)発案した内容で作為的。あらかじめストーリーが描かれ、その流れから外れないよう作られたと疑念を抱いている」と批判。「(山本氏から)『仕様は変更するが、契約そのものは変わらない』と報告を受けて了承したのは事実だが、今から思えば矛盾する話だった」と答えながらも、裏合意への関与は否定した。
 そして7月11日に行われた5回目の百条委員会では、市が当初作成した報告書の製作過程において、前副市長の山根氏が関与していたことも市の担当職員から明らかにされた。
 結局、誰が裏合意を主導したのかの真相は明らかにされないままで、百条委の報告書では「証人尋問で証言に差異が生じたことは執行部の連携体制に不安を感じる」とのみ記した。
 ただ、百条委の唯一の救いは「市長のガバナンス(統治)機能の強化」を求めた点だ。裏合意の問題は山本氏や川嶋氏らが責められているが、市長の統治能力の欠如が最大の要因であり、30億円超(40億円超?)の大事業を山本氏ら担当職員に任せっきりにしていた責任を忘れてはならない。
 さて、百条委の会議や最近の議会、委員会を傍聴しての率直な感想だが、一部市議は誰を見て意見を述べているのか、と首を傾げざるを得ない光景を頻繁に目にする。
 先の百条委でも山根氏の関与を報告書に載せるか否かで委員の意見が対立し、最後は副委員長の八木嘉之議員の折衷案で収まったが、その一方で同じ会派の委員(議員)同士が上役の顔をうかがうかのように同じ内容の意見を述べていた光景は惨めだった。上役からの苦言の恐れや会派のメンツよりも、市民を向いた姿勢が議員諸氏にも求められていると苦言を呈しておく。【山田貴之】

2018年8月23日木曜日

近江野球を手本に

 今年の近江高野球部は北村、林の投打の二枚看板に、捕手の有馬、外野手の住谷ら2年生選手が攻守で活躍を見せ、準優勝した2001年の83回大会で捕手だった現野球部コーチの小森博之さん(34)が「01年と雰囲気が似ていた」と話す通り、勝ち進むごとに実力が確実に上がっていた(一部敬称略)。
 だが、「甲子園には魔物がすむ」と語られるように、準々決勝の金足農戦は前日の3回戦で優勝候補の横浜を破った同校の勢いに押された感があった。また今大会はまさに金足農旋風が吹き、9回裏の無死満塁時は近江高アルプス席を除く内外野の来場者が金足農の応援歌に手拍子で応えるという、球場全体が異様な雰囲気に包まれていた。
 そんなアウェー感漂う中、最後は林・有馬の2年生バッテリーが飲まれたかもしれないが、試合後に野球部員の保護者が語っていた通り、小生も一野球ファン、一市民として「楽しい夏をありがとう」と部員たちに感謝したい。
 さて、今大会はプロ注目の金足農の吉田輝星をはじめ、一人で投げ抜く投手が注目された一方、近江の4本柱のように複数の投手が交互で先発したり、継投策で勝ち抜いたりするチームも複数校あった。
 確かに絶対的エースに頼って勝ち上がる光景はドラマチックであり、孤軍奮闘する雑草魂の精神を好む日本人の美的センスにもマッチするが、小生としては負担軽減のため、今年の近江高スタイルの方を推したい。絶対的エースからプロに進み、大リーグで活躍している投手もいるが、肩や肘を壊してプロで苦しんだり、プロに進めなかったりする選手は少なくない。
 将来ある高校生のために、高校野球はもちろん、野球に関わる皆さんにはぜひ、複数の投手を育てながら勝ち抜いていくスタイルを形成するようご尽力いただきたい。
 そしてもう1点、滋賀大会での各校の戦いや甲子園での近江高の全試合を観戦した感想として、滋賀の野球のレベルは確実に上がっており、全国でも上位クラスにあるのは間違いない。近畿で滋賀が唯一、春夏通して優勝していないと揶揄する声も聞くが、近江高の今夏の戦いを見る限り、その打破はそう長くかからないであろう。【山田貴之】

2018年6月28日木曜日

市長が辞任に値する理由

 先週の彦根市議会では大久保貴市長への辞職勧告決議案が提出。否決されたが、レームダックに陥ったままの現市政に対する市議会と市民の厳しい目は今後も続く。
 決議案に対しては提出者の奥野嘉己議員をはじめ、獅山向洋、谷口典隆、辻真理子、北川元気、山内善男、山田多津子の計7議員が賛成した。いずれも少数会派または無所属の議員で、現市政に対して厳しい姿勢をとっている。
 なぜ決議案が提出されるに至ったのかは、市議会やマスコミなど近くにいる人間は毎日のように「肌身」に感じているため理解できるが、市民のためにこれまでの経緯を簡単に紹介したい。
 まず市役所本庁舎耐震化を巡る問題だが、これは大久保市長が就任した直後に、それまで決定していた耐震化計画を白紙化したことから始まる。だが結局は市議会の反発で、パフォーマンスに終わり、白紙化前の計画に落ち着いた。がしかし、その計画にも市職員と施工業者との裏合意が発覚し、副市長が辞任したのは記憶に新しい。そして市制初の百条委員会が設置され、施工業者との契約解除や汚染土壌で庁舎耐震化の完成は先延ばしされている。
 2番目は彦愛犬の新しい広域ごみ処理施設の建設候補地を巡ってだが、彦根市の当初の方針は「原町」で、地元団体と契約した文書も発覚した。しかし管理組合の管理者会で会長を務める大久保市長が急きょ方針を転換し、当時の副市長が辞任寸前まで至った。その選考過程には不透明な点が多々あり、市長の説明も不足していることから、先週の市議会でも候補地の白紙撤回を求める決議案を可決している。
 ほかにも、昨年の市長選前と発表内容が異なり、市財政の危機を明らかにした市中期財政計画、JR河瀬駅前交番の警官殺害事件の情報伝達を巡る誤った発表等々、次から次へと出てくる問題を前にする度に、市長としての資質を疑わざるをえないのは小生だけではない。
 先の辞職勧告決議案には市長野党の公政会や公明党が反対した。その理由は「百条委員会の推移を見て判断しても遅くない」との趣旨だった。前回の百条委以上の情報が今後、出てくることは考えにくく、また市長が辞職に値するのは裏合意の問題だけではなく、「総合的な資質」が挙げられるため、百条委の推移だけでは理由にならない。公政会としては、最大会派としてのメンツを保つため、少数会派らによる決議案に賛成するわけにもいかなかったのだろう。今後は公政会がいつ辞職勧告決議案や不信任案等を提出するかが焦点になる。 【山田貴之】