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2021年10月30日土曜日

衆院選、上野賢一郎候補と田島一成候補にインタビュー③

滋賀彦根新聞社は滋賀2区に出馬している上野賢一郎候補と田島一成候補にインタビューを実施。最終3回目の今回は滋賀2区での実績と課題について質問した内容を紹介する(以下、敬称略)。
 
(上野候補)
インフラ整備と世界遺産推進
 
 ―彦犬地区、米原、長浜の今後について
 上野 さまざまあるが、一つはインフラ整備。特に彦根市は渋滞が激しい場所が多い。昭和40年代に計画された国道8号線の彦根バイパス計画はここ数年で大きく前進させることができた。今年度中には整備する場所を示すことができる。多賀のスマートインターチェンジは来年度の完成を目指している。彦根インターから古沢に抜けるトンネル工事も令和6年度に終える。市民の皆さんや観光客、湖東地域で働く製造業の皆さんの利便性にもなる。彦根城の世界遺産登録も実現に向けて後押ししたい。
米原バイパスは令和7年度に完成する予定。湖北は治水対策が遅れていたが、3年前に県が河川整備計画を策定。姉川、高時川、天の川などの河川整備に必要な予算がとれるように相当な力を入れていきたい。
 ―東海圏から観光客を招ける政策を
 上野 まずはJR東海との関係をより良いものにしたい。中京圏から彦根、米原、長浜へのルートで人が移動する流れを作っていければいい。コロナが落ち着けば、インバウンドという問題が出てくるため、セントレア空港を使って呼び込むルート設定が必要になる。

(田島候補)
人口減少対応と琵琶湖再生
 
 ―滋賀2区の課題は
 田島 一番大きな課題は人口減少。特に湖北は空き家や高齢者だけの集落が増えてきた。その代わり、シカ、サル、イノシシ、クマの存在が際立つようになってきた。彦根の隣の甲良町も過疎の対象になりつつある状況。一朝一夕で解決できる問題ではないが、地元の首長や議員と相談しながら、具体的な人口増、更には持続可能な街を守るための手立てを考えていかなければ。
 ―米原や長浜の湖北の課題は?
 田島 河川整備など社会資本整備は遅れている地域だと感じている。気候変動に伴って、災害が大規模化、突発型しており、滋賀でも河川の氾濫があった。決してひとごとではないため、リスクのある地域の河川については早めの対策が必要だ。
 ―ほかに進めたい政策は?
 田島 国道8号線の彦根バイパスがこの4年間、1㌢も進んでいない。滋賀国体を控えて主要幹線の整備は必要なため、強力に予算要求をしたい。4年前に琵琶湖保全再生法を議員立法で作った。琵琶湖に国からの財政支援を呼び起こすための恒久法だが、この4年間は予算が上乗せされていない。

2021年10月29日金曜日

衆院選滋賀2区上野・田島両候補へインタビュー②

19日に公示した衆院選の滋賀2区には、自民党前職の上野賢一郎候補(56)と、立憲民主党元職の田島一成候補(59)が出馬している。滋賀彦根新聞社は公示前、両候補にインタビューを実施した。前号からの続きを紹介する(以下、敬称略)。
 
(上野氏)
コロナ禍支援に大規模予算
 
 ―連立を組む公明党の公約に18歳以下に一律10万円相当を給付するとある
 上野 この選挙が終わり、再び自公政権になれば公明党の考えもしっかりうかがう。生活に困窮されている方、子育て世代、非正規雇用の皆さんを念頭に色んな現金給付を考えるべきというのが公明党の考え。困っていらっしゃる方にどのように手を差し伸べるかは、非常に大事な政策課題のため、しっかりと議論して、具体的な形にしたい。
 ―今後の新型コロナ対策は?
 上野 引き続き、新型コロナ対策は最優先の課題。菅政権では特にワクチン接種をがんばっており、世界でトップクラスのスピードで接種が進んでいる。県市町のご尽力のたま物だが、接種希望者には11月前半に2回目を完了する目標でやっている。第5波が急速に収まっている背景には医療現場の皆さんのご尽力や国民の皆さんが自粛をして頂いたというのがあるが、ワクチン接種の効果も非常に大きく、重症化や亡くなる方の割合が少なくなっている。第6波が来てもこれまでと状況は変わると思うし、第6波を乗り越えると日常の仕事、暮らしを取り戻すことに大きく近づくと思う。
 ―新型コロナによって打撃を受けた地方経済への支援は?
 上野 大企業は法人税収が上がっていて、製造業を中心に景気回復しているが、中小企業や小規模事業者、特に観光関係、飲食関係の皆さんは本当に厳しい状況に直面している方が多い。そのような皆さんをどのように積極的に応援していくか、しっかり考えたい。選挙が終われば、大規模な補正予算を組み、業種を問わずに困っている中小企業の事業の継続ができる環境を整えたい。
 ―憲法改正については
 上野 憲法改正がなかなか前に進まないが、国民の生活の基本部分にも関わるので、安全保障の問題を含めて議論した方が良い。どのような改正をするかは各党で色んな考えがあると思うため、必要があるものは実現していけば良い。
 
ジェンダー平等や再エネ推進
 
 ―公約にある消費税5%への引き下げ理由は
 田島 民主党政権時代に消費税を8%に引き上げた。社会保障を支えていきたいという思いからだが、これだけ経済が冷え切って、消費が落ち込んでいる中で、消費税が重くのしかかっているという声が多くある。恒久的に5%にするのではなく、コロナ禍に入る前の経済状況に戻るまでという時限的な形で、まずは消費税を5%に引き下げて消費を支えていこうというのが私どもの考え。
 ―引き下げる分の財源は?
 田島 国が借金をして補てんするしかない。それをしないと、低迷している経済を一段階上げる位置まで持っていけない。国が責任を持って将来への不安を払拭(ふっしょく)させるため国債を発行してでも支えるしかない。
 ―社会的弱者の視点に立った政策が多いが
 田島 弱い立場の人たちの権利がないがしろにされてきた事実を振り返ると、子ども、障害を持つ人、ジェンダー平等社会やLGBTQの当事者、すべての人が差別をされない権利保障の法制度の整備が時代の要請としてもあるのではないか。
 ―原発への考え方は与党と違うが
 田島 二酸化炭素を削減し、排出量をゼロに近づけていくカーボンニュートラルを実現させるという目標は政党や国に関係なく進めていかなければいけない。自然エネルギー、再生可能エネルギーを基本とした、それぞれの地域の特性に応じた分散型のエネルギーを中心に据えて広げていきたい。太陽光発電が不適切な地域もあれば、風力発電が向かない地域もある。地域の特性を把握したうえで、どの再生可能エネルギーを持ってきたらよいのか、という調査研究がまだ日の目を見ていない。例えば、滋賀ならば山があり、琵琶湖があり、風もある、こうした自然の資源を十分に把握した再生可能エネルギーの開発に取り組みたい

2021年10月27日水曜日

河野太郎氏と蓮舫氏が衆院選滋賀2区で応援演説

 衆院選の滋賀2区に出馬している自民党前職の上野賢一郎候補(56)と、立憲民主党元職の田島一成候補(59)を応援するため、各党の著名な弁士が23日、彦根市などで演説した。
 
「コロナ後の新しい日本を」
 自民党広報本部長の河野太郎氏はパリヤ前で上野候補の応援演説を行った。
 河野氏は新型コロナ対策について、国民の1回目の接種が4分の3、2回目が3分の2終えているとした上で「来るかもしれない第6波を小さくするためにワクチン接種に協力して頂きたい」と求めた。
 コロナ後については「新しい日本を作っていかなければならない」とした上で「コロナ禍の中で進んだテレワークを日本中に広めたい。大都市ではなく地方で仕事ができ、自宅で介護をしながらも仕事ができるようになる。都市で働くのと同様の所得で働けるため地方に若者が戻ってくることもできる」と説明。日本経済新聞の調査で全国10万人以上の自治体のうち、彦根市がテレワークに適した都市で1位だったことにも触れ「彦根に多くの若者が戻ってきてもらえる」と述べると、観衆から拍手が沸き起こった。
 河野氏は、上野候補が財務副大臣や国土交通大臣政務官、党財務金融部会長などを務めてきた実績をあげながら「日本はコロナ前に戻るのではなく、新しい日本経済を作っていきたい。要職を務めてきた上野候補はその経済を引っ張っていく存在だ」と支持を求めた。
 
「まっとうな政治取り戻そう」
 立憲民主党代表代行の蓮舫参院議員はパリヤ前で田島候補の応援演説を行った。
 蓮舫氏は衆院選後に岸田政権が大型の補正予算を組む意向を示していることに「経済を回す重要性を否定しないが」とした上で「観光以外の農業への支援も必要だ。原油高によって日常の生活が壊れている中、経済よりもまず国民の生活にお金を使うべきだ」と論じた。
 自民党と連立を組む公明党が18歳以下の子どもに一律10万円の支給を公約に掲げていることもあげ「皆さんの税金を使うことになる。なぜ選挙の前に実施しないのか。真っ当な政治を取り戻そう」と呼びかけた。
 森友学園を巡る財務省の公文書改ざん問題については「何が起こったのかを検証する必要がある。嘘をつかない政治を」と指摘。また蓮舫氏は、岸田首相が金融所得課税の強化に慎重姿勢を示しているとした上で「大企業ほど内部留保が多くある。それを大学に行けない子どもがいる世帯や、年金だけで暮らしていけない人たちに分配する政治をする」と述べた。
 最後には「国会に緊張感を持たせるため、これまでの傲慢な政治に判定をしてほしい。命と暮らしを守る政治をもう一度、取り戻そう」と支持を求めた。

 

2021年10月23日土曜日

衆院選滋賀2区候補者インタビュー①、コロナ対策・経済・地域振興は?

 19日に公示した衆院選の滋賀2区には、自民党前職の上野賢一郎候補(56)と、立憲民主党元職の田島一成候補(59)が出馬している。滋賀彦根新聞社は公示前、両候補にインタビューを実施。新型コロナ対策や経済対策、滋賀2区での実績と課題などについて質問した内容を次週に分けて紹介する(聞き手・山田貴之、以下敬称略)。
 
【上野賢一郎候補】

中小企業の所得増へ「分配」
 
 ―岸田新政権に対して
 上野 前の菅政権では新型コロナ対策を最優先で取り組み、デジタル庁を創設した。岸田政権になって、ベテランから若手までが一致結束して、これまで以上に全党一致の体制で色んな難しい課題に挑戦していく。
 ―岸田首相が掲げる成長と分配とは
 上野 安倍政権と菅政権は成長戦略に力を入れてきたが、儲かっている大企業の内部留保がたまっているという指摘がある。しっかりと働く人たちや取引先の中小企業に還元することで、所得が増え、新しい消費につながって更なる経済成長につながる、という流れが分配の意味。
 ―国民が直接感じとれる分配とは
 上野 例えば、コロナ禍で大変な仕事をしている介護や保育など福祉の現場の方はなかなか給与の水準が上がらない。公的価格の中で給料が支給されているためだが、現場で働いている皆さんの賃金や給料をもっと引き上げていくというのが一つある。あと、最低賃金1000円を目標にしているが、それを引き上げる方法もある。大企業と中小企業との関係を見直すことによって、中小企業や小規模事業者の皆さんも所得の向上ができる。所得の向上をどうやって図るかを、しっかり考えて政策として打ち出したい。
 ―野党は消費税率の引き下げを公約に掲げているが
 上野 日本は諸外国に比べて消費税に対してセンシティブな考えがあるため、悩ましいが、政府与党の立場からすると、消費税を一律下げるよりも、本当に苦労されている方や困っている方に給付金をしっかり届けるやり方がいい。
 
【田島一成候補】

コロナ対策「臨時医療施設を」

 ―新型コロナ対策は?
 田島 ワクチン接種や検査体制の拡充、医療現場のひっ迫の解消など誰もが望むべきことをやってもらわないと困る。緊急事態宣言が解除になって、新規陽性者数も落ち着きを見せているこの時期の体制整備が求められる。昨年春、日本は春節の観光客が引いてから緊急事態に入った。他国のニュースが入っていたのだから、対処しようと思えばできたのに、経済の欲をかいたがゆえに感染拡大のきっかけを作ってしまった。やはり水際防止の充実が何より大事。検査にも思い切った踏み込みが出来ていなかった。陽性であることを知らずに日常生活で感染を拡大させてはならないため、検査体制を整える。自宅療養をした患者が亡くなる事案をこれ以上起こさないためにも臨時の医療施設を都道府県単位で建設できる体制を整えたい。
 ―コロナ禍の地方経済対策は?
 田島 ためらうことなく、きちんとした支援策を充実させたい。アフターコロナに経済を動かそうという時に、肝心のエンジン部分の経営主体者が疲弊し、店を閉じている状態では動かせるものもない。厳しい状況にある中小零細、飲食業の方々にきちっとした補償や支援をすることで、持ちこたえてもらう財政的な施策が最優先。
 ―岸田政権の「分配」に対しては?
 田島 総裁選で金融所得課税に言及していたため、ようやく手を付けるようになったなと、他党ながら淡い期待を持った。ところが総裁になった途端、トーンダウンし、いつのまにか否定するようにもなった。これは分配という部分の意識が薄らいだと、がっかりしている。(次号へ続く)

2021年10月16日土曜日

衆院選滋賀2区は自民前職と立憲民主元職の一騎打ちに

 19日告示31日投票の衆院選を控え、滋賀第2選挙区では立候補を予定している自民党前職の上野賢一郎氏(56)と立憲民主党元職の田島一成氏(59)が事務所開きや決起集会を行うなど選挙戦に向けて本格始動した。
 彦根、米原、長浜などを選挙区とする滋賀2区は1996年の公選法改正で同選挙区が誕生して以来、3~4人で1議席を争う選挙戦が展開されてきたが、今回は初めて一騎打ちの構図となる見込み。政権与党の自民・公明と、立憲民主と共産を軸とする野党との直接対決となり、県内4選挙区の中でも特に注目を集めている。田島氏は2003年から3回連続で選挙区を制しているが、2012年以降は上野氏が3連勝している。
 
新型コロナ対策「最優先」
自民党・上野賢一郎氏
 上野氏は10日に戸賀町で事務所開きを行い、国会議員や県議、市町議、首長らが出席した。
新型コロナ対策について上野氏は「ワクチン接種は世界でもトップクラスで進んでおり、感染者病床の確保にも努めている。今後も最優先の課題として、しっかりと対策を講じていきたい」と述べた。
 この4年間については財務副大臣、国土交通省政務官として経済政策や中小企業対策に取り組んできたことを振り返り、「『結果を出す』をモットーに、経済政策や国土強じん化などに力を入れてきた」とした上で、彦根バイパスや多賀のスマートインターチェンジ、米原と長浜の治水対策を進めてきた実績を説明。彦根城の世界遺産登録や国スポ・障スポに向けた整備にもふれ「彦根をはじめとした湖東地域が元気になるようにがんばりたい」と語った。
 対抗馬が野党統一候補のため「与党対野党の一騎打ちになるが、自民公明がタイアップして政策を訴え、信頼して頂けるように最大限努力していきたい」と支援を求めた。
 選対本部代表の細江正人県議は、前回4年前の選挙の滋賀2区で彦根だけが539票差で対抗馬に負けたことをあげ「彦根でいかに票を積み上げるかが大事になる。自民・公明対立憲民主・共産の反自公かの政権選択の選挙になる」と説明した。
 
「国民の命と暮らしを守る」
立憲民主党・田島一成氏
 田島氏は9日にパリヤ前の街頭演説会、高宮町の彦根事務所で決起集会を開き、同党最高顧問で元首相の野田佳彦氏が応援に駆けつけた。
田島氏は先月27日に事務所で転倒して左足を骨折し、今月8日に退院。松葉づえ姿で「入院は初めての経験だったが、医療従事者の皆さんの苦労を日々、目にしてきた」と語った。
新政権に対しては「首をすり替えても政治の流れは変わらない。内閣支持率を見ても国民が辟易としていることは明らか」と批判。「国民の命と暮らしを守るには政治の力が必要。この4年間は臥薪嘗胆し、捲土重来を期してきた。私にしかできない政策があり、それに全力であたりたい」と支持を求めた。
野田氏は鶏卵業者から元大臣への贈賄や統合型リゾート(IR)参入を巡る汚職事件、金銭授受疑惑がある甘利明氏の幹事長就任にふれ「権力は続くと腐敗する。トップを変えても何も変わらない。真の政権交代しかない」と力を込めた。新型コロナ対策について野田氏は「総額
73
兆円の経済対策のうち3割が使われていない。コロナで地べたをはいつくばっている人、弱っている人、困っている人への政治が必要だ」と説明。アベノミクスなど経済対策については「輸出業者はもうかったが、国民みんなにその恩恵がない。格差是正の政治が求められている」と力説した。
 
両氏の彦根事務所
 上野氏の彦根事務所は戸賀町100-50。☎(47)5303。
 田島氏の彦根事務所は高宮町1751-1。☎(47)3270。

2021年10月11日月曜日

スタントマンが交通事故の場面を再現スケアードストレイト教室稲枝中学校で

 スタントマンが交通事故の場面を再現しながらその恐ろしさを教える「スケアードストレイト教室」が6日、彦根市立稲枝中学校のグラウンドで開かれた。自動車と自転車が衝突する場面では衝撃音が響き、生徒たちから驚きの声があがっていた。
 JA共済連滋賀とJA東びわこが映画などのアクションコーディネート会社「倉田プロモーション」(大阪市)の協力を得て実施。稲枝中は生徒の9割が自転車通学で、交通量の多い道路や見通しの悪い細い道路などがあるため、登下校時に車と自転車との接触事故が起こっており、今年度も稲枝中学校区で2件発生しているという。
 稲枝中の教室には同社の女性を含むスタントマン5人とスタッフ2人が来校。MCの吉田奈央さんの司会で、全校生徒286人と教職員23人、彦根署員を前に、走行する車と自転車との出会い頭での衝突、トラックと自転車の巻き込み、傘差し運転の自転車と歩行者との接触などの事故を再現。「一人ひとりの命を守るために交通ルールを順守して」と自転車の安全運転を呼びかけた。
 生徒会長の鈴木功さん(14)は「正しい自転車の乗り方を僕たちが意識し、その輪を広げていきたい」と話していた。

党議拘束・会派拘束と中国共産党政権

公共施設のひこね燦ぱれすの図書館化を巡り、彦根市議会の最大会派・公政会が「会派拘束」をかけた上で採決にのぞんでいた。これまでにも何度か会派拘束を耳にしてきたが、今一度、その意義と必要性を確認する。
 大辞林によると、拘束とは①捕らえて、行動の自由を奪うこと②行動や判断の自由を制限すること―とあり、政治などの舞台では②の意味を言う。国政においては政党内での「党議拘束」との言葉もある。つまりは思想信条が同一の議員が集まった政党や会派が、政局を左右する際などの重要な政策に関して、その賛否を同一にするために制限をかけることを党議拘束または会派拘束と呼ぶ。
 しかし、民主主義国家における我が国において、党議拘束や会派拘束という言葉を耳にするたびに違和感を抱くのは小生だけではないだろう。
 「行動や判断の自由を制限する」行為は最近で言うなら、香港の民主化運動を中国共産党の一党独裁のもとに策定された「法律」(香港国家安全維持法)による強制力と、それに伴う暴力において抑え込んだ中国共産党の体質と共通する。民主化を呼びかけるマスコミや学生運動の中心人物らを相次いで逮捕し、その行動と判断の自由を制限した愚行は記憶に新しい。ミャンマー国軍のクーデターによる政権も同質である。
 
踏み絵のごとき慣習

 しかしながら日本国内において党議拘束は通例化し、国会への法案提出前に与党の事前審査で決定し、衆参両議員に対し党議拘束をかけている。2005年の小泉純一郎首相による郵政選挙では党議拘束違反者を公認しない行為が話題にもなった。その後も暗黙のルールのように続いてはいるが、近年では党議拘束を疑問視する声が国政でもあがっている。先の自民党総裁選でも河野太郎氏が「党議拘束を全部にかけるのはやめた方がいい」と語っていた。この潮流は地方議会でも同様の指摘ができる。
 いわば、党議拘束および会派拘束は民主主義国家の政治の舞台で残る、踏み絵のごとく自由なき慣習だと言え、時にその違和感を共通認識として抱きつつも、政治の世界においては例外として利用されている。
翻って、彦根市議会をはじめとする地方議会における会派拘束だが、「行動や判断の自由を制限する」との観点からすれば、その発動は不要である。政局の安定等を目的とした国政の慣習に倣うのではなく、地方議会では今後、会派内でその規定および概念を無くす努力を求めたいものだ(紙面では「伝家の宝刀」等の文言を使い、会派拘束の発動を認める形の表現でしたが、その後、会派拘束は地方議会で不要だとの結論に至ったため、ネット版では後半部分を一部修正しました)。【山田貴之】

2021年10月8日金曜日

体調不良の高齢者助けた彦根市立南中学校の4人に感謝状

 下校途中に体調不良の高齢者を助けた彦根市立南中学校3年生の4人に、彦根署は感謝状を贈った。1日に校内で贈呈式があり、4人は感謝状を手に笑顔を見せていた。
 4人は井崎翼君(14)、岩本太生(たいせい)君(14)、澤田信矢(しんや)君(15)、西村結翔(ゆと)君(14)。4人と彦根署によると、今年7月17日午後0時半ごろ、4人がハンドボール部の練習を終えて自転車で下校していたところ、苦しそうにしながらよろよろと歩く女性(当時75)を発見。20㍍ほど通り過ぎたところで「戻ろう」との思いが合致し、女性にみんなで「大丈夫ですか」と声をかけた。
 
熱中症に水購入し対処
役割分担「助かって良かった」
 この日は気温30度を超える暑さだったため、女性は熱中症のような症状のほか、認知症もあったため道に迷った様子だった。4人は小学校からの同級生で気の合う間柄。とっさの判断で、井崎君と西村君が女性の証言をもとに自宅を探す役、澤田君が世話をする役、岩本君が警察などに電話をする役に分かれて行動した。そのうち西村君は近くの自動販売機で水を購入し、女性に飲ませたり、首元を冷やしたりしたという。結局、女性の自宅はわからなかったが、4人は申し訳なさそうにする女性に「コロナ大変ですね」などと話しかけながら世話をし続けた。
 女性を探していた親族は午後1時ごろに彦根署に連絡。4人からの連絡もあったため、約20分後に女性を親族に引き渡すことができた。
 西村君は「おばあさんが助かってくれて本当に良かった。人助けのいい経験にもなりました」、岩本君は「僕たち一人ひとりの良い所が今回の行動にも出た。チームワークで効率よく対処できた」、井崎君と澤田君は「女性が助かって、僕たちもうれしい」と話していた。
 4人に感謝状を渡した羽田賢一署長は「人は一人では生きていけないということを中学生の皆さんが教えてくれた。小さい子どもや高齢者らを助ける心を持って、これからの人生を歩んでほしい」と語った。

2021年10月5日火曜日

城東小学校の5年生旧港湾で外来魚駆除の釣り体験

 彦根市立城東小学校の5年生44人が9月28日、尾末町の旧港湾で外来魚駆除のための釣りを体験した。
 環境学習の一環で行い、県水産試験場(八坂町)から児童全員分のさおとワームなど釣り具を借りた。児童たちの中には初めて釣りをする子もいて、何匹も釣り上げる友だちや担任の先生に、エサのミミズの付け方や、捕った魚の外し方などを教えてもらいながら、魚釣りを楽しんでいた。旧港湾には外来魚を釣り上げる児童たちの喜びの声があがっていた。
 釣った外来魚は約2時間の間に児童全員でブルーギルを中心に約6㌔で、その場にあった回収ボックスに入れて処分された。今後、児童たちは外来魚駆除をはじめ琵琶湖の環境保全をテーマにしたポスターを作成していく。
 児童の音田菜々子さん(10)は「初めての釣りだったけれど、楽しかった。これからも釣りをする兄に教えてもらいながら、琵琶湖のために外来魚をどんどん釣っていきたい」と話していた。