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2021年11月3日水曜日

維新の躍進と野党共闘の失敗

 衆院選の結果の注目点は「与党の絶対安定多数の維持」や「立憲民主党が公示前から議席を減らしたこと」よりも、日本維新の会の躍進である。
 公示前と比較した主要政党の議席数は、自民が276→261、公明が2932、立憲民主が109→96、共産が1210、国民民主が8→11、そして日本維新の会が1141と大幅に議席を増やした。
 日本維新の会は地盤の大阪で候補を擁立した15選挙区で全勝し、与野党の著名な政治家をも下した。近畿以外でも関東や東海、九州で一定の比例票を獲得し、自民、立憲民主に次ぐ第3の勢力に躍り出た。
 この原因としては、新型コロナ対策で大阪の吉村洋文知事の言動が連日報道されていたこともあるが、小生はそれ以上の原因があると分析する。その1点目は与野党の各政党が「成長」や「分配」を唱える一方で、日本維新の会はそこに「身を切る改革」を取り入れたことである。コロナ禍で国債の発行による財政出動はやむを得ない中でも、やはり有権者の間には「財源」を危惧する思いが無意識としてあり、そこに改革というキャッチフレーズが有権者に妙に入り込んだ。
 つまり、政党や候補者が給付金や支援金という名の「甘いニンジン」をぶらさげるだけでは、有権者はそう容易く誘いに乗らなくなっているということに、そろそろ気づく必要がある。
 原因の2点目は「野党共闘」である。立憲民主、共産、社民、れいわは20項目の共通政策に合意し、国民民主を加えた5党が全国217選挙区で候補者を一本化した。しかしふたを開けると、その中心政党の立憲民主と共産が公示前から議席数を減らす結果に終わり、全体的に見て野党共闘は失敗に終わった。
 野党共闘の失敗の要因は▽立憲民主の支持母体の連合が共産党との連携に反対していたこと▽外交安保や天皇制といった日本という国家における重要政策が異なること―などにある。そして最大の失敗要因は、これまでにも小生が何度か指摘してきたが、政党や政治家にとって根幹にある思想信条(民主主義・社会主義・共産主義)が異なる政党同士による共闘は、まさに同床異夢の状態であり、自民党政治を打破するだけという魂胆を有権者は見透かしていると断言できる。
 つまり、日本維新の会が躍進した要因は野党共闘から距離を置き、独自政策による第三極の選択肢を設けた戦略にある。「自公もだめだけど、野党共闘もおかしい。それ以外を」の有権者の無意識を含めた思いをうまくくみ取ったというわけだ。
 岸田政権にとっては、新型コロナ対策や経済政策をはじめ、台湾を巡る米中の対立など国内外における問題が山積みである。躍進した日本維新の会、地味ながらも微増した国民民主党、野党共闘の失敗で議席を減らしたものの、社会的弱者に対しては良き政策がある立憲民主党や共産党の各野党の政策も取り入れて頂きたい。【山田貴之】

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