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2015年4月29日水曜日

新しい彦根市議の皆さんへ 大久保市政へ厳しく追及を

 今回の彦根市議選に対し、何人かの読者から、政治に無関心な市民性の彦根で、なぜ定数を8人も超える候補者が出馬したのか―という質問があったため、以下で解説したい。
 小生はその原因として、市長就任から5月9日に丸2年を迎える大久保市政への不満と、それを追及するはずの市議会への物足りなさがあると確信している。
 まず大久保市長については「強い彦根をつくる」「福祉のモデル都市に」などを看板に掲げているが、この先の残り任期2年を含めて、果たしてその実感を感じることができるのか、疑い始めている市民は少なくない。
 大久保市政は、政策ごとに専門の委員会や協議会を立ち上げ、その答申を受けた後に市政に反映させるという、典型的な行政スタイルが目立つ。そのような「責任転嫁」型の行政マンでなく、政治家ならば、もっと市長独自の色を出すべきだ。
 小生は2年前の市長選後のコラムで「大久保氏が重視する福祉も重要だが、その財源の一つになる『観光』を最重視するべきだ」と提言していた。
 今回の市議選の選挙期間中、ある候補者の応援演説を行った滋賀2区選出の上野賢一郎衆院議員(自民党)は、今の彦根に求められる政策として、国体に向けたインフラ整備のほか、観光施策をあげた上で「彦根の場合は隣接する長浜などの他市と比べて腰が重い」と指摘していた。
 これは彦根市の行政体質を批判した言葉であり、言い換えるならば「彦根市は斬新な取り組みを嫌う体質があり、旧態依然とした政策ばかりだ」ということだ。生ぬるいタコつぼにどっぷりと浸かったままの行政の状況を打開させるのは市長の使命・役割であり、間もなく折り返しを迎える大久保市長はこれまでのやり方を見直す時期にある。
 さて市議会に関しては、市議選に出馬していたある元職の候補者が8人オーバーの立候補について「市議会もなめられたものだ」と揶揄していた。この表現が今の市議会を表しており、小生も上品過ぎると感じている。
 新しい市議の皆さんには大久保市政を厳しくただし、時には激しく対立する姿勢を存分に見せていただきたい。【山田貴之】

彦根市議選24人が当選トップは矢吹安子さん、豊郷町長選も

 彦根市議選は26日、投開票が行われ、出馬した32人のうち、現職15人・新人7人・元職2人の24人が当選。トップは現職の矢吹安子氏で、前市長の獅山向洋氏も当選した。政党別では自民1、民主2、公明2、共産2、無所属17だが、当選した新人のうち公明を除く6人全員が保守系のため、現職や元職を含めた今後の会派構成が注目される。
 矢吹氏は現新3人が出馬した金城学区での戦いだったが、見事にトップ当選を果たした。激戦を制した理由について矢吹氏は「3人出馬という厳しい戦いにより、逆に陣営が引き締まったからかもしれない」と話していた。
 当選した新人のうち、彦根のまちづくりの中心人物でもある和田一繁氏は当確の知らせを受け、花しょうぶ通りで万歳。「平成36年の国体の主会場が彦根に来るのは大きなチャンス。この4年間はその道筋をつくる大事な期間。厚かましいくらい中央(国)に意見を申していきたい。しっかりと議論をして彦根を作り上げていきたい」と語った。
 また再び市議に「転身」した獅山氏は城町の自宅で「この2年間、市政を見てきたが、停滞している事業が多い。市議会も傍聴してきたが、市議の追及がまだまだ甘く、彦根のことを真剣に考えているように思えない」と大久保市長と市議会を批判した上で「国体や彦根西高の跡地などの問題に取り組んでいきたい」と述べた。
 一方で、約2・5票差で落選した元職の伊藤善規氏は「言葉が見つからない」と信じられない様子で落胆していた。市選管によると、新人で同姓の候補者が出馬していた「伊藤」だけの票が8票あり、折半されたという。
 なお当選した新しい市議の任期は今年5月1日~平成31年4月30日。
投票率は50%超
 市議選の投票日の有権者数は8万7532人で、投票率は50・05%と前回の戦後最低だった45・65%よりは改善したものの、依然低い投票率に終わり、政治(公)に無関心な市民性を改めて浮き彫りにさせた。期日前投票は投票率としては11・37%の9950人(うちビバシティ4815人)と前回の3784人より大幅に増加した。
当選証書を付与
 市議の当選証書の付与式が27日に市役所であり、獅山氏を除く23人が出席。市選管の小川良紘委員長から一人ずつに当選証書が手渡された。小川委員長は「皆さまに投票された有権者の方々の一票の重みを忘れることなく、今後更なるご活躍を祈念します」とあいさつした。
豊郷町長選は伊藤氏が圧勝
 豊郷町長選が26日に投開票が行われ、現職の伊藤定勉氏(67)が2059票を獲得し、元町議の堀常一氏(52)、住民団体代表の本田清春氏(64)を破り、3選目を果たした。
 伊藤氏は町財政の健全化の推進や観光振興などの実績をアピールし、堀氏にダブルスコアに近い差をつける圧勝だった。堀氏は先の県議選で当選した大野和三郎氏らの支援を受けたが、1103票にとどまり惨敗。本田氏は554票だった。投票率は65・72%。

2015年4月28日火曜日

高宮の店 紹介のマップ制作 滋賀県立大おとくらプロジェクト

 彦根市高宮町で宿駅 座・楽庵を運営する滋賀県立大学の学生グループ「おとくらプロジェクト」が、地元の店舗を紹介した地図「高宮あきないMAP」を制作した。
 学生10人が昨年秋から年末にかけて各店舗を取材し、創業年や自慢の商品などを聞いてまとめた。中山道沿いの店舗を中心に計36店を手書きの地図と店主らの似顔絵を紹介。ほかにも、高宮の商店の成り立ち、座・楽庵の旧布惣の歴史、おとくらプロジェクト、商店街の行事を掲載している。
 広報担当の伊庭朱音さん(20)は「この地図で高宮のまちを歩いてもらって、高宮の明るい雰囲気を知ってもらえれば」と話していた。3000部作成し、座・楽庵などで無料配布している。
 なお座・楽庵では、障害児の支援活動をしている学生グループ「Harmony」が企画した、障害児の油絵と茶碗展が開かれている。25日には学生による抹茶サービスも。土日のみ開館。

荒神山周辺の環境整備と人材育成で「キャンパス」設立

 彦根市の荒神山周辺の環境整備と人材育成を目指し、滋賀県立大学と彦根市が「彦根デザイン・カレッジ 荒神山キャンパス」を設立。14日に拠点となる荒神山自然の家でキックオフフォーラムを行った。
 荒神山周辺の山林や宇曽川では環境の変化や人的な行為で、倒木や土砂の崩壊、野生動物による土壌の掘り起こし、水質汚濁、ごみの漂流などが顕著になっているほか、周辺で営まれてきた農林業など産業の消失や耕作放棄地の拡大の問題もある。
 県立大と市は、荒神山周辺の環境を元に戻し未来に継承するため、これらの課題の解決に取り組む人材を育てる拠点として「荒神山キャンパス」を設立。県立大学が文部科学省の補助を受け平成25年度から行っている「地(知)の拠点整備事業」の一環として、今後は環境改善、産業の振興、地域人材の育成に関する取り組みを進めていく。
 キックオフフォーラムには、地域で活動している市民団体の住民や市職員、県立大学の学生と教員の計36人が参加。県立大学地域共生センター長の濱崎一志教授が事業内容の説明、荒神山自然の家の職員が周辺の課題の解説、鵜飼修准教授が研究活動報告を行った。
 後半には参加者同士で「We Love荒神山」をテーマにワークショップもあり、「荒神山の眺めが好き」「気軽に川遊び、山遊びができるのが好き」「彦根に帰ってきたと思うランドマーク」など荒神山に対する思いを共有していた。
山道整備と河川清掃
 「荒神山キャンパス」ではまず、環境改善の取り組みとして間伐、山道整備、河川清掃などを始める。今月29日午前8時~は地元の荒神山山王会と一緒に枯れたマツの倒木を運んで、薪(まき)にする。5月6日午前8時50分~は宇曽川の清掃活動を行う。参加希望者は県大地域共生センター☎(28)9851。

2015年4月22日水曜日

彦根市議選32人が出馬の激戦

 彦根市議選が19日に告示され、定数24に対し、現職18人、元職3人、新人11人の計32人が出馬。8人オーバーの激戦になった。投開票は26日。
 政党別では自民1、民主2、公明2、共産2、無所属25だが、新人を含め無所属の多くが保守系のため、選挙後の会派構成も注目される。今回は学区内で対決する構図が目立っており、特に城南、金城、高宮の各学区では3人が争う激戦になる。各候補とも観光振興、インフラ整備、南部振興などの政策を訴える。
100歳の女性 期日前投票
 彦根市議選の期日前投票が20日から、市役所本庁舎、稲枝支所、ビバシティ彦根で始まった。そのうちビバシティでは、100歳の北村きく江さん=小泉町=が、息子の光男さん(74)、孫の光一さん(41)と三代一緒に投票していた。光男さんは「100歳でも投票所に足を運んでいるのだから、多くの人に投票に行ってもらいたい」と話していた。
 期日前投票は午前8時半~午後8時(稲枝支所が同5時)、ビバが午前10時~午後7時。ビバでは投票済証を店舗で提示すると特典も。

2015年4月18日土曜日

彦根市議選19日告示 定数24に現新元の32人が出馬へ、豊郷町長選も

 彦根市議選が19日告示、26日投開票で行われる。定数24人に対して、現職18人、元職3人、新人11人の計32人が出馬する予定で、8人オーバーの激戦になりそうだ。8人がオーバーする市議選は昭和46年の選挙で9人が落選して以来の多さになる(以下、敬称略・順不同)。
 出馬の意向を示している現職は、谷口典隆(栄町)、辻真理子(芹川)、小川喜三郎(西沼波)、北川元気(戸賀)、上杉正敏(八坂)、田中滋康(松原)、有馬裕次(中薮)、安澤勝(鳥居本)、安居正倫(田附)、赤井康彦(小泉)、安藤博(高宮)、八木嘉之(高宮)、矢吹安子(大藪)、馬場和子(平田)、西川正義(下西川)、北村収(松原)、山内善男(海瀬)、山田多津子(石寺)。
 元職は、獅山向洋(城町)、伊藤善規(佐和)、夏川嘉一郎(南川瀬)。
 新人は和田一繁(河原3)、長崎任男(賀田山)、野村博雄(川瀬馬場)、杉原祥浩(高宮)、中野正剛(野田山)、奥野嘉己(彦富)、伊藤容子(大藪)、成宮恵津子(日夏)、藤野信秀(戸賀)、小菅雅至(野田山)、森田久也(日夏)。
 城東や城北、城南、高宮、金城などの学区は2人以上による戦いになりそうで、同じ学区や町内で票を奪い合うことになる。目立った争点がないため、候補者はこれまでの実績や市政の問題点などを訴えていく。
 なお市議選の候補者の定数オーバー数は、戦後の昭和22年時が40人以上で、以降も多かったが、昭和42年時が11人、同46年が9人、同50年が6人、同56年が7人と続き、最近まで一けたが続いている。
 期日前投票は20日~25日。市役所本庁舎、稲枝支所、ビバシティ彦根(21日休み)で受け付けている。有権者数は県議選の投票日12日時点で8万7822人。前回、平成23年4月24日の選挙の投票率は45・65%だった。
豊郷町長選も告示

 豊郷町長選が21日に告示される。投開票は26日。現職の伊藤定勉氏(67)、町議の堀常一氏(51)、住民団体・豊郷小学校の歴史と未来を考える会代表の本田清春氏(63)の3人の争いになりそうだ。町役場の改築などが争点。

2015年4月17日金曜日

彦根初の小中一貫校・鳥居本学園開校

 彦根市内で初の小中一貫校「鳥居本学園」(通称)が10日、開校。同日、中学校側で開校式と入学式が開かれた。
 市教委は平成19年度から両校で小中一貫教育の研究を進め、同28年度からの導入を目指してきたが、同28年度の新入生が鳥居本小で6人、鳥居本中で20人以下に減少することから、1年前倒しで小中一貫校にすることにした。昨年12月には児童生徒を募集し、小学生1人、中学生2人が町外から入学した。
 通称の校名は鳥居本の児童と生徒によって出された12の案の中から、すべての児童生徒による投票で、鳥居本学園に決定。既存の学校名を基本に、小中合同で行う行事などの際に同学園の名を使う。新校の児童数は123人、生徒数は63人。
 英語に特化した学校として、中学の専任教員が小学校で英語を教えるほか、海外に拠点を置く地元企業と連携しながら海外の学校とインターネットを利用したスカイプなどで交流をしていく。
 学園章は昨年度の中学生が考案。鳥居本の「鳥」から、世界に羽ばたこうとする鳥の羽がデザインされ、「とり」という文字も記されている=写真

鈴木ヘルスサービス 小規模多機能ホーム鈴の郷 鳥居本に開設

 鈴木ヘルスケアサービス(鈴木則成社長)は彦根市鳥居本町に小規模多機能型居宅介護施設「小規模多機能ホーム鈴の郷」を開設。13日のオープンを前に11日まで見学会を実施している。
 小規模多機能型居宅介護は、通所介護(デイサービス)を主に利用しながら、必要に応じてショートステイ(宿泊)や訪問介護が受けられるサービス。これまでは別々の施設で各サービスを受けていたが、3種類を顔なじみのスタッフから1カ所で受けることができるため、人見知りの高齢者でも安心して利用できる。
 「鈴の郷」は木造平屋建て延べ137平方㍍。畳を敷いた民家風の造りで、居室、キッチン、食堂、浴室、畑を設けている。同社は平成12年4月から訪問介護・居宅介護支援などのサービスの提供を始め、翌年には平田町に「デイサービスセンターべるふらっと」を開設。平成15年には鳥居本町に築150年の民家を改装した「デイサービスエンター鈴の音」を設けた。「鈴の音」は「鈴の郷」の裏側にあり、デイサービスのみの希望者には「鈴の音」を、3種類のサービスの希望者は「鈴の郷」を利用してもらう。 
 見学会の時間は午前10時~正午と午後2時~同4時。問い合わせは「鈴の郷」☎(22)5544。

小学生向け解説本・すごいぞ!彦根城が発刊、ソロプチミスト彦根が寄贈へ

 小学生向けの解説本「すごいぞ!彦根城」がこのほど、刊行された。
 国際ソロプチミスト彦根が、彦根城について子どもたちに改めて理解させて、彦根に誇りをもってもらおうと企画。彦根城博物館研究員の谷口徹さん(62)が執筆を担当した。
 本は、小学生の2人が城内を探検しながら各所を説明する構成になっており、いろは松、佐和口多門櫓、馬屋、登り石垣、大堀切、鐘の丸、太鼓丸、天秤櫓、太鼓丸、天守、井戸曲輪、西の丸三重櫓、山崎曲輪などについて詳しく解説している。
 「豆知識」の欄では、登り石垣のルーツや鐘を作った人たち、石垣の積み方、石垣の長さと面積、3階建ての建物の数など、大人の市民でも知らないような内容も載っている。
 すべての文字にはふりがなが付いており、谷口さんは「最新の研究成果を元に、できるだけ平易な表現で正確な記述に努めた。子どもだけでなく、大人の皆さんも一緒に読んでもらえれば」と話している。本は全ページカラー。B5判48ページ。サンライズ出版。1080円で主な書店で販売。なおソロプチ彦根は5月に市内の小学4~6年の全児童にこの本を寄贈する予定。

2015年4月15日水曜日

大野・中沢・細江・西村が再選 滋賀県議選彦根・犬上地区、本紙編集長分析も

 滋賀県議選挙の投票が12日に行われ、彦根・犬上選挙区では自民党推薦の大野和三郎氏(59)=豊郷町高野瀬=が1万0920票を獲得しトップ当選。民主党公認の中沢啓子氏(56)=中央町、自民党公認の細江正人氏(68)=本町、自民党公認の西村久子氏(71)=甲崎町=も当選した。民主党公認の江畑弥八郎氏(60)=八坂町=と共産党公認の中川睦子氏(57)=日夏町=は落選した。
 大野氏は、国体に向けたインフラ整備の重要性や農業など第一次産業の振興を訴え、地元の豊郷を中心に犬上郡内では全体の6割以上の票を獲得したほか、彦根の建設関係者や稲枝地区の一部からも支持を受けた。
 中沢氏は国体に向けた準備、少子高齢化対策など幅広い政策を語り、彦根でトップとなる8803票を得た。またNPOの団体で活動している多賀でも640票を獲得した。
 細江氏は、市内の都市計画道路の進展やインフラ整備、健康寿命を伸ばす福祉問題を唱え、一部が大野氏に流れたものの、彦根の保守層や高齢者からの支持を得た。
 西村氏は稲枝駅前開発や農業振興などで稲枝地区を固めたほか、子育て政策や中京地方との連携の必要性を訴えて、一部の河瀬以北からも支持を得た。
 江畑氏は難病や認知症対策などの実績と、アベノミクスや安倍政権の保守的な政策の批判を展開。中川氏も原発廃止や安倍政権を非難する主張をしたが、いずれも支持を広めることはできなかった。
 彦根でトップになった中沢氏の選挙事務所(銀座町)では、NHKで当確が出された午後10時半過ぎ、支援者らの拍手でわき上がる中、中沢氏が登場し、握手しながら登壇。「子どもから高齢者までが安心して暮らせる滋賀を皆さんと一緒につくっていきたい」と抱負を述べた。
 ※【分析】
 大野氏がトップ当選を果たした理由は、やはり犬上郡出身で、犬上の6割以上を獲得した地の利が大きい。また彦根市内でも昨年から事務所を設けるなど着々と準備を進め、集会では会場を満員にさせる動員力を見せつけた。ただ、彦根での獲得数は3831票と最下位であり、中沢氏や細江氏の半分以下である。これは、まだまだ豊郷町長時代の旧豊郷小学校を巡る問題に対する彦根市民の「アレルギー」があると言える。また政治手法に対しては「強引過ぎる」との評判が市民の間にも広まっており、大野氏にはイメージ払拭に向けた謙虚な姿勢が求められる。
 さて、今回の彦根・犬上選挙区の焦点は西村氏か江畑氏か、どちらが4番手に入り込むかの争いだった。マスコミの間では選挙戦終盤から投票日にかけて、その差が数ポイントと言われ、結局350票差で西村氏が勝利した。西村氏が地盤の稲枝地区を固めた一方、江畑氏は市北部で知名度が低く、また有権者の民主党への厳しい目が依然残っていることが差に表れた。【山田貴之】
 当日の彦根の有権者数は8万7822人、投票者数が3万8902人で、投票率が44・30%と前回の41・72%から上昇したが、草津市(39・42)、愛荘町(43・77)、東近江(43・85)に次いで県内4番目の低さだった。
 豊郷町は有権者数5715人・投票者数3601人で投票率63・01%、甲良町が同6074人・同3754人で同61・8%、多賀町が同6253人・同3807人で同60・88%。
 彦根犬上選挙区全体の投票率は47・29%だった。なお県全体では46・54%。

2015年4月11日土曜日

滋賀県議選挙あす投票

 滋賀県議選挙は、いよいよあす12日、投開票を迎える。彦根・犬上選挙区(定数4)には、自民党公認の西村久子候補(71)=甲崎町、自民党推薦の大野和三郎候補(59)=豊郷町、民主党公認の江畑弥八郎候補(60)=八坂町、民主党公認の中沢啓子候補(56)=中央町、自民党公認の細江正人候補(68)=本町、共産党公認の中川睦子候補(57)=日夏町=が出馬している。選挙戦中に各候補が主に訴えた内容と各陣営幹部の話を紹介する。
 西村候補は、鉄道を利用した名古屋など東海地方との連携強化、助産師の地域での活動を充実させる子育て支援策、駅前開発や農業振興など稲枝地区の発展を訴えた。事務局長の辰己久雄さんは「稲枝地区を固めることを重点的にしてきたが、一部の自治会がほかの陣営に流れた。厳しい戦いだ」とし、11日は稲枝全域を全員で回る。
 大野候補は、国体とその後の湖東地域の発展に向けたインフラ整備の必要性や、農業林業漁業の第一次産業の支援などを唱えてきた。選対副本部長の夏原克研(よしとき)さんは「犬上郡内や稲枝で有権者の反応は良いが、彦根の河瀬から北部のエリアでは相当苦戦している」と分析。電話作戦のほか、高宮や旭森、松原などの地域を回る。
 江畑候補は、難病や認知症など福祉政策に取り組んできた実績をPRしながら、「アベノミクスは中小企業が置き去りだ」と現政権の批判を展開してきた。事務局担当の外海清光さんは「市北部を中心に他候補と比べて知名度が低く、非常に厳しい選挙戦が続いている」と解説。11日は地元を中心に中部や稲枝地区で重点的に活動していく。
 中沢候補は、高校統廃合の問題や国体主会場の誘致に向けて活動した実績をアピール。インフラ整備の必要性や子育て・高齢者福祉など幅広く訴えてきた。選対本部長の松田秀昭さんは「これまでの選挙戦同様、実績を訴えてきて、有権者からの手応えも感じている」と説明。11日は「ももたろう作戦」で全域を回る。
 細江候補は、市内の都市計画道路の実現や国体に向けたインフラ整備の重要性を示しながら、広域観光の振興や健康寿命を伸ばす必要性を語ってきた。選対本部長の武田拓夫さんは「これまでの選挙戦と違い、ほかの候補者に入り込まれており苦戦が続いている」と分析。11日は全域を街宣で回り、支持を求めていく。
 中川候補は、原発廃止、中学校まで医療費無料化、国保料引き下げを主張してきたほか、集団的自衛権の行使容認など現政権の保守的な政策に対し「戦争をする国にするな」と訴えてきた。選対本部の久保正弘さんは「国政の問題は地方でも同じだというスタンスで戦ってきた。日に日に広がりつつある」と説明。11日は地元を中心に街宣する。
期日前は好調だが・・・
 期日前に投票した彦根市民は8日時点で4133人。うちビバシティが2186人と最多で、本庁舎が1403人、稲枝支所が544人。ビバシティが入っていなかった4年前の同時期は1217人で、最終でも3303人だった。だが、昨年末の衆院選でも期日前投票は県内でも上位だったが、最終の投票率は県内13市で最下位だった。
FM彦根で開票速報
 エフエム彦根は12日午後9時~開票速報のラジオ番組を行う。滋賀大学放送研究会の学生が開票状況を伝える。本紙の山田貴之編集長もアドバイザーとして出演予定。
 彦根の投票率が県下最低レベルのため、市民有志による「彦根MS」は、今回の県議選で投票率アップの取り組みを行う。
投票済証もらおう
 期日前か当日の投票後に投票所で「投票済証」をもらい、投票日の12日に市内協力店で提示すると品物がもらえる。
 協力店はパリヤ、ピアゴ松原店、フタバヤ彦根店、平和堂日夏店とフレンドマート稲枝・地蔵の各店で、投票済証と各店所定の金額以上のレシート提示でペットボトルの茶や菓子、ラップが進呈される。先着の店もあり。問い合わせはエフエム彦根☎(30)3355。

2015年4月9日木曜日

子育て 南高北低 観光 医療福祉を語る

 滋賀彦根新聞社は告示前、6人にインタビューを行った。前号に続き、その内容を紹介する(以下敬称略)。
 【県政の懸案事項】
 西村「社会での子育て支援について、昔は出産時、家で産婆さんのお世話になった。今は病院で至れり尽くせりで、病院の職員さんが赤ちゃんの世話をして下さる。その後に家庭に戻った若いお母さん方は核家族の中で育児を困っているのが多いのではないか。家での子育てを教えてくれる助産師の地域での活動に力を入れていかなければならない」。
 大野「国体以降の20年後の湖東の有り様を予測しながら、農業・林業・漁業の第一次産業をしっかりと支援することで、生産から加工、流通まで六次産業が充実する。インフラ整備を進めることで、彦根犬上の観光資源を道路という線で繋げて大きな面とすることで、国体後もリピーター作りができる。交流人口を増やすことで地域の活性化になる」。
 江畑「以前は県庁を彦根にとの声があったが、南部は人口が集中し、北部は自然が多い。琵琶湖が滋賀の鏡だが、美しさは人口と比例している。一概に人が多ければ良いというわけではなく、医療福祉の偏重を解消させたい。そこを改善すれば湖東湖北に住む人は多くなる。また国によって中小企業の置き去りの政策が進んでいるため、地域から声を出していかないと」。
 中沢「国体の主会場は国体後に地域の観光や子どもの夢の実現、健康増進などにも活用できる。観光面ではスポーツツーリズムとして、スポーツをしてもらって、また来ようと思ってもらえるようなまちにしていきたい。少子高齢化の中で、子育て世代や高齢者の方がここで暮らせて良かったと思われる滋賀にしていきたい」。
 細江「健康寿命が滋賀の場合、あまり良くない。寝込んで長生きしても幸せではないので、健康寿命を平均寿命に近づけることが大事。人口減少社会においては交流人口が大切。彦根犬上の観光面で言えば、元々彦根は犬上郡。彦根城と多賀大社、湖北を含めて一円が観光圏になる。広域的なアピールをしないと世界には通じないため、一体として売り込みたい」。
 中川「犬上などは猿や鹿、獣害が切実な問題。山の管理をきちんとしていかないとならない。滋賀は医療福祉、子育ての予算が全国的に見ても低い割合。命と健康を守る課題はたくさんある。県民の声をしっかり聞き上げて実現していく道筋を作る必要がある。弱者のためや、国に物が言える滋賀であるために、共産党の議席を取り戻したい」。

 各候補は毎日、各所で個人演説会を開いている。時間と場所は以下の各選挙事務所へ。西村候補☎(43)7815。大野候補☎(35)4511。江畑候補☎(25)5800。中沢候補☎(24)7211。細江候補☎(30)1300。中川候補☎(25)5590。

2015年4月6日月曜日

滋賀県議選告示 彦根犬上は6人出馬

 滋賀県議選挙が3日告示された。彦根・犬上選挙区(定数4)には、自民党公認の西村久子氏(71)=甲崎町、自民党推薦の大野和三郎氏(59)=豊郷町、民主党公認の江畑弥八郎氏(60)=八坂町、民主党公認の中沢啓子氏(56)=中央町、自民党公認の細江正人氏(68)=本町、共産党公認の中川睦子氏(57)=日夏町=が出馬した。投開票は12日。告示前に6人に行ったインタビュー内容を紹介する(以下敬称略)。
 【前知事と現知事について】
 西村「卒原発については誰もが実現したいと思っているが、原発に代わるエネルギーを作るために何ができるかを考えた場合、ダムをもう一度考える必要がある。三日月県政については『一緒にやりましょう』という言葉を議会で70回以上聞いた。良い提案なら乗ってもらえると期待する」
 大野「嘉田さんは県民の財産や健康を守るために『もったいない』を主張し、財政の健全化に労を尽くされたことを評価したい。三日月さんは代議士時代に国交省副大臣として活躍したが、行政機構の長としてはまだ評価する段階ではない」
 江畑「滋賀は、武村、嘉田、三日月の各知事が草の根県政として継続させている。三日月知事は元民主党の代議士で、仲間の一人として共に活動してきた。昨年の選挙時に県民に約束した7つの大きな柱があったが、その実現に向けて支えたい」
 中沢「嘉田さんは『もったいない』を主張された。当時は色んな事が変わっていく時代だったが、変えるのは大変だったと思う。三日月さんは『一緒にやりましょう』という言葉が多い。新しい豊かさを滋賀からともおっしゃっており、非常に良い」
 細江「三日月知事は代議士として活躍され、政権与党時代も重職にいた。議会への理解があり、一緒にやろうという意気込みや聞く耳を持っている。私は是々非々で判断していく姿勢。理事者側の提案に対しては、県民や地元のためになるのかを自分の物差しで判断していく」
 中川「県立だった荒神山自然の家、(彦根総合運動場内)室内プール、湖北の施設が廃止または県立ではなくなった。南部と北部で地域間格差が広がっており、もっと県が手厚くするべきことがなおざりになっている」
 【力を入れてきた(入れたい)政策】
 西村「以前から南高北低だと言われているが、京都・大阪から滋賀に多くの人が移り住んできたことが南部の人口増になった。この視点を中京に向けたら良い。滋賀の土地は安く、市内には大学が3つもあり、名古屋の大学のサテライトなどができれば、人も物も交流できる。状況を変えて行けば、北部にも新しい発展の仕方が生まれる」
 大野「行財政改革に努めてきたほか、県土の均衡ある発展のため北部のインフラ整備を進めてきた。306号線のバイパスが整備されれば、外町の交差点の渋滞が緩和される。公共投資ばかり言っている時代ではないが、インフラの整備は公の責任ですることで、民間資本も動く」
 江畑「労働関係の発言をしてきたほか、難病の問題には地道に活動してきた。特にミオパチーの患者の代表が彦根におられるため、共に難病の疾患の指定に向けて取り組んできた。難病の対象が拡大されて、A型ミオパチーも難病に認定された。これからは創薬を実現させたい」
 中沢「高校統廃合が決まったが、子どもたちのために本当に良い高校にしてほしい。統合後の新校は県下で3番目に校庭が狭い学校になるため、運動場の確保が必要になる。国体主会場は1万5000人が収容できる競技場が予定さているが、それだけの方が動くには交通アクセスが重要。外町の渋滞がすごいため、国道306号線のバイパス整備を進めていく」
 細江「県全体のことを考えながら、半分は地元のことを見てきた。市議の時には動かなかった都市計画道路が、政権が交代したこともあって予算をつけることができた。国体主会場に向けて迅速にインフラの整備をしていかないとならない。総合運動場が彦根にあるが、1級がとれていない。また国体は終着点ではなく、通過点だ」
 中川「原発を廃止すべきだと国に言わなければならない。地域住民の運動が国を動かす。原発の無い生活のアイデアを出していくことも大事。中学校までの医療費無料や国保料の引き下げを県全体の問題として取り組みたい。県内のどの地域に住んでも安心して住めるようにする必要がある」
     (次号に続く)

2015年4月2日木曜日

滋賀県議選3日告示 彦根犬上は定数4に現新6人出馬へ

 滋賀県議選挙が3日に告示され、12日の投票に向けた選挙戦が始まる。彦根・犬上選挙区は、これまでの彦根4・犬上1から彦根・犬上で4と、定数が1減となる。
 彦根・犬上選挙区で出馬を予定しているのは、自民党から公認で西村久子氏(71)=甲崎町=と細江正人氏(68)=本町、推薦で大野和三郎氏(59)=豊郷町、民主党から公認で中沢啓子氏(56)=芹橋=と江畑弥八郎氏(60)=八坂町(以上いずれも現職)、共産党から公認で新人の中川睦子氏(57)=日夏。
 現新6人のうち2人が落選するという激戦となり、これまでの実績や彦犬地区の懸案事項に対する解決策について訴えを広めていく。
投票済証で買い物すると特典
 どの選挙でも彦根の投票率が県下最低レベルにあるため、市民有志による「彦根MS」では、県議選から投票率アップの取り組みを始める。
 内容は、期日前か当日の投票後に投票所で受け取る「投票済証」を市内の協力店で提示すると品物がもらえるというもの。
 パリヤでは1080円以上のレシートと一緒に提示でごみ袋、ピアゴ松原店では1000円以上のレシート提示でキャラメルコーン1個と子連れにはうまい棒2本、フタバヤ彦根店では1000円以上のレシート提示でラップ1本、平和堂日夏店とフレンドマート稲枝・地蔵の各店では500円以上のレシートでペットボトルの茶が進呈される。先着もあり。
 問い合わせはエフエムひこね☎(30)3355。

世界自閉症啓発デーの2日、彦根城ブルーライトアップ

 世界自閉症啓発デーの2日夜、彦根城ブルーライトアップが行われる。
 平成19年12月に国連総会で毎年4月2日を世界自閉症啓発デーにすることが決議され、8日までを発達障害啓発週間として、シンポジウムやブルーライトアップなどが各地で行われてきた。
 県民有志による実行委員会は県内で初めてブルーライトアップを彦根城で開催。当日は午後6時~天守前広場で点灯式があり、カウントダウン後に点灯された後、近江高校のブラスバンドによる演奏、ひこにゃんと記念撮影などがある。ライトアップは午後9時まで。

2015年4月1日水曜日

彦根市議選へ現新元32人が準備

 4月19日告示、26日投開票の日程で予定されている彦根市議選に向けて、定数24に対して、これまでに32人が準備を進めている。市選管が市内263カ所に設置したポスター掲示板は33人分のスペースしかなく=写真、オーバー時は追加の対応が必要なため市選管職員からは「気をもんでいる」との声も聞かれる。
 現職のうち、谷口典隆(栄町)、辻真理子(芹川)、小川喜三郎(西沼波)、北川元気(戸賀)、上杉正敏(八坂)、田中滋康(松原)、有馬裕次(中薮)、安澤勝(鳥居本)、安居正倫(田附)、赤井康彦(小泉)、安藤博(高宮)、八木嘉之(高宮)、矢吹安子(大藪)、馬場和子(平田)、西川正義(下西川)、北村収(松原)、山内善男(海瀬)、山田多津子(石寺)の18人が再選を狙う意向を示している。
 元職は、獅山向洋(城町)、伊藤善規(佐和)、夏川嘉一郎(南川瀬)の3人が出馬を予定。
 新人は和田一繁(河原3)、長崎任男(賀田山)、野村博雄(川瀬馬場)、藤野信秀(戸賀)、杉原祥浩(高宮)、奥野嘉己(彦富)、中野正剛(野田山)、伊藤容子(大藪)の8人が出馬を表明しており、小菅雅至(野田山)、成宮恵津子(日夏)、森田久也(日夏)も意欲を示している(以上、順不同・敬称略)。
 現新元の計32人が出馬に向けて準備を進めているが、今後、増減する可能性もある。