滋賀彦根新聞

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2023年9月12日火曜日

視覚障害者の歩行に支障 中堀沿い歩道のポール3本

 彦根城中堀沿いの県道の歩道にある車止めのポールが、視覚障害者の通行に支障があるとして、障害者と支援者らが8月21日、県湖東土木事務所(彦根市元町)の職員にポールの移動などを現地で要望。県側は問題を認識し応じる姿勢を見せた。

県が4年前設置
大津の事故受け
 
 問題の場所は、県道25号線彦根・近江八幡線と市道立花佐和線が交差するT字路にある歩道で、ポールは立花町の県道内に立っている。2019年5月に大津市内で園児ら16人が死傷した事故を受け、県は19年度に県道交差点に防護柵やポールを整備。立花町の県道歩道には彦根城方面の横断歩道手前に1本、銀座方面の横断歩道手前に2本を設置した。
 しかし、それぞれのポールが点字ブロックと横断歩道の間にあるため、視覚障害者が歩行する際にぶつかるなどの支障が出ている。特に横断歩道から歩道に向かう際、ポールの存在を白杖で確認している間に信号が赤に変わってしまい、戸惑うこともあるという。
 一方で、近くの園の子どもたちも散歩などでこの歩道を利用している。視覚障害者の一人は「園児と視覚障害者の両方が過ごしやすい構造にしてほしい」と話す。
 県湖東土木事務所道路計画課の担当者は「なぜ、そのような場所に設置されたのかは不明だ」とした上で「問題があると認識している。近くの園などと相談しながら、ポールの位置をずらすなどの対処を検討したい」と語っている。

 

稲枝駅西側への専門職大学建設計画なくなる、重要遺構の発見で

映像分野の人材を育てる専門職大学の建設計画があった彦根市の稲枝駅西側のエリア近くで3世紀頃の遺跡が見つかり、同地での開校が困難になっていたことがわかった。市は専門職大学を創設する学校法人吉田学園(大阪市)に市内の代替地を提案している。
 稲枝駅西側のエリアは彦富町にある約4㌶の民有地で、市は当初、県立高専の候補地としていたが、「落選」後に吉田学園側と誘致について交渉。2027年度の開校を目指し、今年3月に基本合意書を締結した。
 吉田学園は大阪と東京でアミューズメントメディアの学校を運営。稲枝駅西側に開設を計画していた専門職大学は1学部・1学科で、映画、アニメ、俳優・声優の3専攻科を設け、1学年100人の4年制計400人の規模を想定していた。
 
稲部遺跡群で大溝跡発見
計画地近く、市は代替地提案
 
 しかし同地は稲部遺跡群の中に位置し、以前から重要な遺跡が見つかる可能性もあった。そんな中、同地近くでの市道整備に伴う市文化財課の発掘調査で、弥生時代後期から古墳時代前期とみられる幅10・8㍍×深さ1・22㍍・長さ約20㍍の大溝跡が昨年11月に発見。その後の学術的な調査で「(周囲を含めて)重要な遺構の可能性がある」とわかり、大溝が専門職大学の建設が計画されていたエリアに延びている可能性も判明。同地で試掘した上での本調査の必要が出てきた。
 文化財課からの報告を受けた市企画課は5月末に吉田学園側に事情を説明。吉田学園側が「早期開校」を目指しているため、稲枝西側のエリアでの開校はなくなった。そのため市企画課は市内の駅近くの地や市有地などを提案している状況だ。計画の白紙について市は否定している。

2023年9月7日木曜日

プロ野球の審判目指し奮闘 鳥居本中の川部大翔君

 彦根市立鳥居本中学校3年の川部大翔(はると)君(14)=鳥居本町=がプロ野球の審判を目指し、学童野球の試合で塁審などを務めている。8月20日に松原町のHPLベースボールパークで開かれた学童野球の試合では三塁塁審で的確なジャッジを見せていた。
 川部君は鳥居本小1年の時に野球を始め、城北小のスポーツ少年団に所属。一時休部があったが、主に捕手を守り、6年では主将を務めた。中学校ではハンドボール部に入ったが、体調不良もあって2年冬に退部。「ほかに何かできることはないか」と考えていたところ、城北小のスポーツ少年団の時に監督を務めていた彦根学童連盟審判部の松本圭生部長(57)の誘いを受けた。
 松本部長は、川部君が中学生になってからも学童野球の審判を手伝っていたため「審判のセンスがあると感じた」と、その腕前を評価。誘いを快諾した川部君は今年2月に審判講習を受けて以降、学童野球の試合で審判を務めている。
 審判を目指した理由について、川部君は「小学生の時からジャッジがかっこいいと思っていた」と説明。その魅力については「際どい判定が必要な際、シーンとする中でのジャッジが楽しい。ヤジがあっても気にしない」と話した。将来の夢については「県の連盟、高野連の審判を務め、最終的にはプロ野球の世界で審判をしたい」と熱く語った。
 彦根学童連盟審判部の審判は平均年齢が55歳(川部君除く)で、人数が川部君を入れて13人。松本部長は「川部君は言われたことを素直に受け入れる。我々もいい刺激になっている」と述べた。

彦根・高松の親善少年野球 2チームずつ対戦 交流深める

 姉妹城都市の香川県高松市の学童野球の代表団を招いた親善少年野球交歓大会が8月20日、松原町のHPLベースボールパークで開かれ、彦根と高松の学童野球のチームが白熱した試合を見せた。
 同大会は両市の交流を深めることを目的に昭和57年(1982年)から隔年ごとに各市で開かれており、新型コロナウイルスの影響で4年ぶりとなった39回目の今年は彦根を会場に開催。彦犬地区のチームの代表選手がレッドとブルー、高松の代表選手たちがレッドとブラックに分かれて2試合ずつ戦った。
 選手たちはこの日に向けて練習してきた成果を発揮し、いずれの試合も熱い戦いが展開された。4試合の結果は彦根の1勝3敗だった。
 前日の19日には甲良町総合運動公園で開会式があり、「友情の宣誓」「土産・手紙交換」などもあり、互いに健闘を誓っていた。

東レアローズ選手の バレー教室プロシードアリーナHIKОNEで

 平和堂は8月19日、プロシードアリーナHIKОNEで、バレーボールのVリーグに所属する東レアローズの選手を招いた小学生向けの教室を開き、選手たちと小学生が交流した。
 東レアローズ女子バレーボール部は大津市が活動拠点。平和堂はママさんバレーボール大会を開くなどバレーボールとのつながりが深く、東レアローズをサポートしている。
 この日は選手7人が来彦し、午前中に公開練習にのぞんだ。午後のバレーボール教室には城西・平田・金城・稲枝東・稲枝西・甲良の6チームの小学2年から6年までの72人と、サポート役として彦根東高と河瀬高のバレー部員が参加。
 小学生たちは選手のアドバイスを受けながら、各チームに分かれてトスやレシーブ、アタック、サーブなどを練習していた。甲良西小6年の宮本來采(くれあ)さん(11)は「選手の皆さんからのアドバイスを忘れず、練習に生かしてうまくなりたい」と話していた。

2023年9月1日金曜日

ビワフロント彦根オープン 温泉やヴィラ施設、琵琶湖の眺望重視

 ホテルニューアワジグループの「蒼の湖邸 BIWAFRONT HIKОNE(ビワフロント彦根)」が彦根市松原町に8月20日に開業した。内覧会で、木下学社長は「団体や施設と連携して、地域活性化に貢献したい」と述べた。
 敷地面積は3万9508平方㍍、延べ床面積1万1437平方㍍。前身の彦根ビューホテル(※)と同じ10階建てで、入り口からフロントがある最上階まで上がるエレベーターを新設。10階でエレベーターを降りると、井伊の赤備えにちなんだ朱色の漆塗りの自動扉があり、扉が開くと琵琶湖が眺められるレイクビュー方式を取り入れた。
 最上階はフリードリンクがそろうブースやライブラリーコーナー、県内の名産品を販売するセレクトショップ、ワークスペースなどとしても利用できる。
 旧彦根ビューホテルの本館には80室の客室があったが、各部屋を拡張して38室にし、2階から9階までに36平方㍍~110平方㍍(定員2人~6人)の広々とした客室を整備。全室から琵琶湖が眺められる。
 
愛犬とも宿泊グランピング
露天風呂新設、食にこだわり

隣接の旧コテージは22室から3タイプの計12室(定員3~7人)のヴィラを備えたグランピング施設にリニューアル。そのうち9室を愛犬と宿泊できるドッグフレンドリールームにした。
 地下約1500㍍を掘って湧き出た温泉を「びわ湖松原温泉」と銘打って、本館の隣接地に露天と内湯の大浴場を男女ごとに設け、内湯の壁面には琵琶湖産のヨシを張り付けた。またヴィラを含めた客室計50室のうち22室を露天風呂付きにした。温泉は炭酸水素塩泉で、冷え性や疲労回復、健康増進に効果があるという。
 料理については地産地消と健康志向にこだわり、近江牛、ビワマス、ホンモロコなどの湖魚、ふなずしなど発酵食品、地元野菜、北陸地方の魚などを用意。ディナーに和食を中心に洋も取り入れたコース料理、朝は和洋のブッフェ方式で提供。木下社長は「おいしく、かつ健康にをテーマに食材をそろえた。心と体が癒やせるウェルネスリゾートを実現させたい」と話す。
 また敷地内にはテニスコート、スリーオンスリーのバスケットコート、フットサル場、キッズパークを整備し、ホテル内だけで様々なアクテビティーが満喫できるようにもした。ほかに式典や宴会などに使用できるバンケット棟も整備する。
 ホテルニューアワジは淡路島、神戸、京都などで旅館やホテルなどを経営。ビワフロント彦根が17館目で、リニューアルの総事業費は約30億円。宿泊客以外にも来年春以降は宴席やセットでの露天風呂の利用も可能にする予定。
 
地域活性化へ団体と連携
木下社長「従業員113人一丸で」
 
 内覧会後には記者発表が行われた。最上階にフロントを設けたことや全客室から琵琶湖が眺望できるデザインについて、木下社長は「戦国時代の武将たちも見たであろう風景を見ながら、心と体を癒やして英気を養ってほしいとの思いを込めた」と解説。また「地域全体を活性化できるホテルづくりに努めたい。周辺地域のさまざまな施設・団体とも連携したい」と説明し、採用した113人のスタッフのうち9割が彦根市や周辺市町の住民だとした上で「スタッフ一丸となって地元の良さを伝えたい」と語った。

 ※【彦根ビューホテル】前身は1981年7月25日に近江鉄道が運営した彦根プリンスホテル。2008年3月に近江鉄道から、伊東園ホテルズとしてホテルや旅館を経営する「スタディー」(東京都豊島区)に経営譲渡され、彦根ビューホテルとなった。しかし新型コロナウイルスの影響もあり、2021年8月に「無期限の休館」に入った。翌年1月にホテルニューアワジが買収し、リニューアル工事を進めてきた。

2023年7月10日月曜日

彦根城の堀のハクチョウにパンなど与えないで

 彦根城内の堀で生息するハクチョウにパンなどを与える市民が相次いでおり、彦根城運営管理センターが頭を悩ませている。湖北野鳥センター(長浜市)でも「パンは鳥の健康に良くなく、鳥インフルエンザの感染拡大の恐れもある」と注意を呼びかけている。
 彦根城運営管理センターによると、城内には中堀と内堀にハクチョウが2羽ずついるが、毎日早朝から夕方にかけて市民がハクチョウにパンを与える光景があるといい、その数は確認できるだけで数十人いるという。
 本紙記者が中堀で、3月6日午前9時過ぎに確認したところ、男性がパンを堀内に投げ入れ、ハクチョウのほか、カモやトンビなど野生の鳥類も食べに集まっていた。7日午後5時半頃にも犬と散歩していた女性がエサを与える光景が見られた。男性や女性が近づくと、ハクチョウたちが寄って来ていたため、習慣化されていると思われる。
 
ほかの鳥と「密に」
カモやトンビも
 
 内堀と中堀にはハクチョウ用のエサ場が設けられている。宮川敏明所長(57)は「十分な量の専用のエサを与えている」と説明した上で「パンなどを与えている市民に悪気はなく、善意からやっているようで、こちら側も注意しにくい。パンなどには塩分や添加物が入っており、ハクチョウの健康が心配だ」と話している。
 湖北野鳥センター職員の荒田麻利さんも「塩分が入っているパンはハクチョウの体に良くない」とした上で「人と同じで、ほかの鳥が集まって密な状態になることは鳥インフルエンザの感染リスクが高まる。変異して人に感染する恐れもある」と指摘。トンビがエサを取りに来ている点にもふれ「餌づけされたトンビが人を襲う事例もあり、餌づけ自体が良くない」と話している。