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2009年4月28日火曜日

彦根市長選、現職薄氷の勝利 批判の声を真摯に受け止めよ

 彦根市長選は、過去最少の39票差で現職の獅山氏の勝利に終わった。しかし、有効投票者数3万7912人のうち、74・5%の2万8237人が新人4人に入れた。この現市政に批判票を投じたという現実を、獅山氏は真摯に受け入れる必要がある。
 獅山氏は当選後の喜びの声や記者会見で、「4年間の実績が信任された」「批判票ではない」などと強がったが、選挙戦を「冷静に」振り返ると、現職が知名度と組織力で圧倒していたにもかかわらず、薄氷で終わったことからは、組織に属さない「一般」の市民の多くが現市政に不信任を突きつけたと言える。
 獅山氏の実績は、国の法律を活用しながらの街づくりの「道標」を整備したことだが、今回の選挙結果から、市民は市政の主課題である「行財政改革の推進」と「市立病院の再建など医療問題」を重視していることがくみ取れる。
 獅山氏は選挙戦で、中島市政からの引き継ぎによる財政難と、行財政改革の進捗ぶりの強調に終始し、ほかの新人が唱えた人件費の更なる削減や市長退職金カットまでには、ほとんど踏み込まなかった。
 また、39票差で惜敗した次点の大久保氏は、「病院再生」を第一に掲げて選挙戦を展開し、「病院長を副市長に格上げし、市長自らの責任で必ず再生させる」と訴えた。同氏も「本来、取れないような票をいただいた」と話しているように、病院再建は市民の切実な思いの表れである。同氏はほかにも、彦根城周辺だけでなく、荒神山など南部の振興も唱えた。
 一方、和田氏は、企業や研究所の誘致による税収増や市教委・PTAの改革を訴え、辻橋氏は、現市政は市民団体に冷たいと切り捨て、「市民協働での市政運営」を呼びかけた。伊藤氏は、市長自らが学校でしつけ教育を行うというユニークな提案をした。 獅山氏には、焦眉の急である行財政改革と病院再建を率先して取り組むと共に、敵として戦った4人の良策を政策に組み入れる闊達さを求めたい。(山田貴之)

獅山氏39票差で3選も 批判票は7割以上

彦根市長選は26日投開票が行われ、現職の獅山向洋氏(68)が新人4人を破り、3選目を果たした。しかし、次点の大久保貴氏(45)との差は、わずか39票で、有効投票数の7割が現市政に批判票を投じた結果に。結局、その批判票の分散が、現職の再選につながった。投票率は、争点がなく、投票日が雨天だったためか、戦後2番目に低い44・89%。当日有権者は8万5321人。
 選挙戦は、序盤から中盤にかけて、獅山氏が知名度と組織力からリードしていたが、終盤にかけて、大久保氏、和田裕行氏(38)、辻橋正一氏(61)の「現市政の問題点」の指摘が徐々に浸透。3人が追い上げて、その後を伊藤善規氏(61)が追い駆ける情勢となったが、結局、あと一歩、及ばなかった。
 獅山氏は、自民党市連協の推薦を受け、県議や市議、公明党の市議、彦根商議所幹部らの支援もあり、組織力でほかを圧倒したことが、勝利につながった。
 大久保氏は、民主党の県議や市議、旧さきがけのグループらが支持。選挙戦では「病院再生」を第一に掲げ、市南部地域を含めた均衡発展も唱え、善戦したものの、あと一歩だった。
 和田氏は、自民党の県議、地元の市議、嘉田知事の支援者、若手有志らの支援を受け、企業誘致による景気回復や子育て支援の充実を訴えたが、前回と同様、約1000票届かなかった。
 辻橋氏は、民主党の県議や市議、嘉田知事の支援者、地元住民が支え、「市民協働での市政運営」を全面に出した。しかし、福祉や医療の関係者票が大久保氏と分け合う形となり、票が伸びなかった。
 伊藤氏は、地元や保守系の一部が応援に回り、芹谷ダム建設の推進と、しつけ教育の導入を呼びかけたが、支持を得られなかった。
 なお白票は188票で、「ひこにゃん」も10票前後あったという。

 午後10時45分に当確の知らせが入ると、銀座町の獅山陣営の事務所からは歓声があがり、獅山氏が登場すると拍手がわき起こり、万歳三唱が行われた。
 勝因について、獅山氏は「4年間の実績が認められた」と強調。接戦になったことには、「それぞれの候補の主張に共鳴する市民が多くいたということだろう。地域性も出たと分析している」と話した。
 最初に取り組む政策としては、「新型インフルエンザ対策」と「景気対策」の実施をあげた。
 27日には、当選証書の授与式も市役所で開かれ、小川良紘・市選管委員長から当選証書が授与された。

ゆるキャラ電車、近江鉄道で運行開始

 近江鉄道は、花しょうぶ通り商店街と共同で、いしだみつにゃんとしまさこにゃんがイラストされた電車「近江キャラ電」の運行を始めた。初日の24日には、いしだみつにゃんとしまさこにゃんも乗車し、戦国ファンの女性たちと記念撮影に応じていた。
 公共交通の利用促進による環境保全の促進と、「ひこね芹川」駅の開設に合わせての企画。4月8日からラッピング作業をし、車外の正面と側面は、環境保全をイメージしたグリーン調の下地にキャラクターをラッピング。内装は、通路と座席に写真の印刷を貼った。
 運行初日には、いしだみつにゃんとしまさこにゃんに、近江鉄道の女性社員から花束が贈られ、2つのキャラのファンや花しょうぶ通りの商店主ら約100人が彦根~米原間の試乗運行に乗車した。
 横浜市から訪れた松井理帆さん(24)は「2つのキャラクターともとても大好きでファンクラブにも入っている。彦根の人たちは皆さん優しくて、いい人たちばかり」と話していた。
 運行日時は、平日は通常便、土日・祝日は近江鉄道のホームページで。

2009年4月24日金曜日

彦根市長選、26日投票

彦根市長選は、4月26日投票を迎える。新市長が誕生するのか、現職が3回目の当選を果たすのか、注目される。候補者は、いずれも無所属で、元県議の大久保貴(45)=三津屋、元市議の辻橋正一(61)=中薮、現職の獅山向洋(68)=城町1、輸入販売会社役員の和田裕行(38)=高宮、元市議の伊藤善規(61)=佐和=の5人(敬称略)。
 大久保陣営は、「病院再生」を第一にあげ「必ず再生してみせる」と訴えている。中学校給食の実現など子育て支援も重視。山内勉選対本部長は「最も早くから活動してきた。病院の再生と中学校給食の実現を最後まで粘り強く訴えていきたい」と話す。
 辻橋陣営は、自転車隊を結成し、自動車が通れない路地裏を回った。「市長が代われば、彦根が変わる」と唱え、「市立病院の再建にまず取り組む」ときっぱり。夏川享介選対本部長は「日に日に手応えを感じ始めている。陣営のメンバー総動員でできる活動をすべてやる」と意気込んでいる。
 獅山陣営は、自民党の県議や市議らと連携し、堅実な選挙戦を展開。告示後にはビラを2日間続けて新聞に折り込み、芹谷ダム建設の必要性と4年間の実績をアピールした。小林武選対本部長は「最後まで陣営を引き締め、支持を広げたい」と語る。
 和田陣営は、行財政改革を主眼に子育て支援にも重点を置き、「税収がない今こそ、民間経営的な支出削減と自主財源で財政を回復させ、医療や教育、地域社会を発展させたい」と演説。宮元純一事務局長は「前回、投票してもらえなかった人たちの支持を感じる。陣営も盛り上がっている」と話す。
 伊藤陣営は、芹谷ダムの復活のほか、「市長自らが教育現場に入り、子どもたちに『しつけ教育』を行う」と唱えた。事務局担当の北村学さんは「苦しい戦いだが、ほかの陣営にはない具体的な政策を訴え、浸透しつつある」と述べた。
 有権者数は8万6949人(18日発表)。当日の投票時間は午前7時~午後8時。
 期日前投票は25日まで市役所4階の市選管と稲枝支所で行われている。時間は午前8時半~午後8時(稲枝支所は同5時)。
 なお市長選の投票率は、前回が47・19%。平成に入って最低は13年の47・16%、最高は元年の62・83%。

2009年4月21日火曜日

彦根市長選告示、26日投票

 任期満了に伴う彦根市長選が4月19日告示され、元県議の大久保貴(45)=三津屋、元市議の辻橋正一(61)=中薮、現職の獅山向洋(68)=城町1、輸入販売会社役員の和田裕行(38)=高宮、元市議の伊藤善規(61)=佐和=の5人が立候補した。5人の出馬は過去最多。いずれも無所属だが、獅山は自民党市連協の推薦を受けている。投票は26日(敬称略)。
 前回の市長選は獅山と和田、大久保の戦いだったが、今回は3人に元市議2人を加えた現職対新人4人の混戦に。争点はないが、行財政改革と市立病院再建を中心に、各候補の舌戦が繰り広げられている。
 告示日朝の各候補の第一声は以下の通り。

 大久保候補は、約300人の支持者を前に、告示前のラジオ討論会で最優先施策に現職が市立病院問題をあげなかったことを批判した上で「出馬表明前から『病院再生』の旗を掲げて演説活動をしてきた。(病院問題は)、間違いなく解決できる」「市役所全体で市民の安全を守る形にしていきたい。安心を与えることが最大の経済対策だ」と訴えた。
 中学校給食については、「おかずだけ給食を実施する。学校と家庭が協力して給食を導入させせる。次の世代の人間としてがんばりたい」とし、「彦根が均衡ある発展を遂げられるようにしたい」と語った。出陣式では、民主党の江畑県議、市議らが応援演説した(三津屋町公民館前)。

 辻橋候補は約500人を前に、現職が約60億円かけて給食センターを建設しようとしたことに「現職は借金しても構わないと明言したが、財政再建を進めることは市長としての責務。一歩一歩確実に進める必要がある」と述べた。
 地元の中地区公民館が住民グループによって管理している現状にふれ、「市職員の人件費削減などで運営費が3割削減され、住民からも好評。この方式を全施設に広めたい」「NPO法人やボランティア団体との協働が大変重要。市民と協力しての街づくりを進めたい」と話した。民主党の中沢県議、市議らが駆けつけた(中薮町の選挙事務所)。

 獅山候補は約200人を前に、「『チェンジ』がもてはやされているが、激動時に(市政を)変えてはならない」と訴え、▽歴史まちづくり法指定▽定住自立圏の中心市▽湖東・湖北の観光圏中核▽彦根城の世界遺産登録―への取り組みをアピール。
 中止決定した芹谷ダム事業を「将来に危険のツケを回す」として計画の復活を唱えている。県内13市で最悪の財政改革については「下水道工事など、借金もどう使われるかが大事」として「川の中流で馬を変えるな」と強調した。自民党の藤井衆院議員、中村県議、北村昌造・彦根商議所会頭が応援演説した(銀座町の事務所)。

 和田候補は約250人を前に、「乱立した選挙戦で、難しい戦いと言われるが、現職かそれ以外か、政治経験者か未経験者かを選択する選挙ではない。過去か未来かの選択だ」「未来の責任世代として、若者がしっかりと仕事をし、高齢者の皆さんを支えたい。『子どもにツケを回さない』を全域に訴えていきたい」と述べた。
 また「現職がリードしているが、背中はとらえている。全力疾走をして、必ず追い抜いてみせる。一緒に本丸を攻め落としましょう」語った。出陣式では、西村県議、地元の市議らが応援演説した(高宮町の事務所前)。

 伊藤候補は、中止になった芹谷ダム事業の計画復活を主張。芹橋地区で2度避難したという幼少時の経験から、「住民の生死に関わる最大の争点」だと主張した。ダム計画を中止した嘉田県政を批判した上で、「地球温暖化による異常気象が著しい今、芹川でどんな大洪水が起こるかわからない」「川底のヘドロを除去した上で、最も安全なダムの建設が必要」と訴えた。
 行財政改革にもふれ、「超過勤務手当の削減や給与カットで年間約6億5000万円の人件費削減ができる」「労働組合をねじ伏せてでも実現する」と支持を呼びかけた。

彦根市長選、候補者がラジオで討論

 エフエムひこねと滋賀彦根新聞社は、告示前の4月17日、市長選の立候補者を招いてのラジオ討論会を開き、市立病院や経済・雇用対策の問題で熱い討論が繰り広げられた(以下敬称略)。
 
医師不足や経営難に陥っている市立病院について―。
 大久保貴「悪い循環を断ち切るためにはどうあるべきか、院長を副市長に格上げして、再生へのシフトを敷く。市民が当事者となり、一緒に再生を果たしたい」。
 辻橋正一「市立病院の問題は医師不足に尽きる。1つの大学だけから医師を確保するのではなく、色々な医大と交渉する必要がある。再建に真っ先に取り組む」。
 獅山向洋「1つの病院からではなく、3つ以上の大学病院から来て頂いている。医師を集めれば良いだけでなく、部長級が来てもらわなければならない。無いそでは触れないといえる」。
 和田裕行「まずは風評被害を取り払わなければならない。街ぐるみで医者を迎える体制づくりをすることと、良い設備を整えなければならない。そのための財源を捻出したい」。
 伊藤善規「評判が悪すぎるため、市長就任時は一度、当直勤務を体験し、その実態を把握したい」。
 
経済活性化と雇用対策について―。
 大久保「中学校給食や、ごみの堆肥化、病院・介護サービスで100人程度の雇用は確保できる」。
 辻橋「南回りと北回りのルートを設けることで、滞在型観光が生まれ、産業も生まれる。郷土出身者のネットワークを作り、情報を集めることで、企業誘致にもつなげたい」。
 獅山「お金が動くことをやっていく必要がある。住宅リフォームの補助やプレミアム商品券など、行政はきっかけをつくるものだ」
 和田「彦根は城だけでなく、宿場町など様々な宝があり、その活性化により数年で効果は出てくる。産官学が連携して起業家を育成するためのシステムの構築も必要」。
 伊藤「高宮駅から市立病院、県立大学方面に路面電車を走らせることで、土木産業、河川事業が生まれる。具体的に仕事を出していかなければならない」。
 
討論会の最後には1人ずつがコメント。
 大久保「病院再生、中学校給食、子育て支援などの体制を整えていきたい」。
 辻橋「市民の声を聞いて、市民と協力して、病院や福祉、教育の問題に取り組みたい」。
 獅山「歴史まちづくり、定住自立圏など国の支援を得ながらの手法が行政本来のやり方だ」。
 和田「彦根には宝が幾つもある。子どもたちにツケを回さない30年後を見据えた街づくりをしたい」。
 伊藤「芹谷ダム建設の復活を何としてもやりたい。スッポンのように知事に食らいつく」。 

2009年4月17日金曜日

彦根市政展望④観光施策へ本腰を入れよ

 「彦根の観光は日帰りで十分こと足る」―。これは、滋賀大学産業共同研究センターがさきごろ発表した「平成20年の彦根市観光に関する経済効果測定調査・報告書」でのまとめの一文だが、現在の彦根の観光を如実に表している。
 この報告書では、20年の観光客数185万人のうち、90%の164・4万人が日帰りだった。また、観光客の飲食費や土産購入費など観光消費額は170億円で、それに伴う経済波及効果総額は331億円と推計したが、築城400年祭を一年間として計算した場合の19年の経済波及効果総額は507億円に達していることから、35%も一気に減少したことがわかる。
 立ち寄り地点は、彦根城内44%、夢京橋キャッスルロード28%、四番町スクエア15%と、この3地点がほとんど。これらの調査結果から、「彦根は城周辺のみが観光エリアで、日帰りで十分回れる観光地だと思われている」と汲み取れる。彦根出身のジャーナリスト・田原総一朗氏が「彦根の観光はごみだけ落ちて、金が落ちない」と揶揄するのも頷ける。
 以前から課題にあがっているが、市内の寺社仏閣や芹橋地区、七曲がり仏壇街、花しょうぶ通り、高宮・鳥居本宿、荒神山、稲枝地区へ、いかに観光客を周遊させるか―、世界遺産登録を夢物語に終わらせないためにも、もうそろそろ本腰を入れる必要があるのではないか。         (山田貴之)

彦根市長選、19日告示 投票は26日

 彦根市長選挙が、4月19日に告示される。立候補予定者は表明順に、元県議の大久保貴(45)=三津屋、現職の獅山向洋(68)=城町1、元市議の辻橋正一(61)=中薮、輸入販売会社役員の和田裕行(38)=高宮、元市議の伊藤善規(61)の5氏。獅山は自民党彦根支部の推薦を受けているが、ほかの新人は無所属。投票は26日(敬称略)。
 大久保は平成13年、同17年に続いて3度目の挑戦。昨年9月に出馬を表明し、市研究事務所のある長曽根南町内を中心に活動してきた。19日の出陣式は午前10時~事務所のある三津屋町民会館で。
 獅山は昨年12月議会で表明。選挙運動期間中は、がい旋カーを全域に走らせる。個人演説会などを開く予定はないという。稲枝地区専用のチラシも制作し配布する。出陣式は午前9時~銀座町の事務所で。
 辻橋は今年1月に表明、地元でタウンミーティングを開いてきた。選挙運動期間中は、がい旋カーやスポットを行う。当日は松原と長久寺(後三条)で個人演説会も。出陣式は午前9時~中薮町の事務所で。
 和田は次点に終わった前回に続いて2度目の挑戦で、今年1月に表明。運動期間中は、がい旋カーやスポットのほか、鳥居本から稲枝まで幅広い地区で個人演説会を開く。出陣式は午前9時~高宮町の事務所で。 
 伊藤は4月2日に表明。運動期間中の序盤は、芹谷ダム建設の必要性を訴えるため、芹川沿いにがい旋カーを走らせる。メガフォン部隊も設けて市内を回る。出陣式は午前9時~佐和町の事務所で。

2009年4月13日月曜日

彦根市長選公開討論会、立候補予定者5人が登壇

 彦根市長選挙(19日告示、26日投票)の立候補予定者の大久保貴(45)、獅山向洋(68)、辻橋正一(61)、和田裕行(38)、伊藤善規(61)=出馬表明順、敬称略=を迎えての公開討論会が12日、ひこね市文化プラザで開かれ、約210人の市民が傍聴した。以下、テーマごとの各氏の意見要旨(発言順)。
 【行財政改革】
 ◇和田「まずは人件費の削減をしなければならないが、削るだけでなく、自主財源の確保にも努める。補助金についても、いったんゼロベースにして、必要な所に補助していきたい」
 ◇獅山「借金が悪、公共事業が悪だという考えは改めて頂きたい。お金を集めて一事業をするのが政治。借金をして未来の子どもたちのために教育施設を作ることは大切なことだ」
 ◇伊藤「1169億円の借金を解消するには歳出の削減が必要。市長の退職金をゼロにし、市職員の超過勤務手当のカットで年間6億5000万円の削減ができる」
 ◇辻橋「市長の報酬2割カットと退職金をゼロにする。本丸は人件費削減。中地区公民館が任意団体になったように、市民活動団体やNPOと共同で進めていきたい」
 ◇大久保「借金は決して悪ではない。収入が減っていく中で必要なことは時代感だと思う。分かりやすい会計にしていきたい」
 【地域振興】
 ◇獅山「税収が増えることは望めないため、交流人口を増やすことを重視する。観光客に来てもらって、彦根にお金を落としてもらう。観光と、新しい地場産業を育てたい」
 ◇伊藤「京橋口櫓門の復元事業と、定住自立圏構想の中で高宮駅を拠点として病院や県立大学方面へ路面電車を走らせたい。ビッグ事業になる」
 ◇辻橋「築城400年祭は大きなチャンスだったが、観光客は長浜に勝てていない。稲枝や荒神山の南周遊コースや、鳥居本の北周遊コースを作りたい。農業振興にも取り組みたい」
 ◇大久保「観光、農業、医療、介護の分野で地域振興を図りたい。江戸時代以前の荒神山などももっと発信していきたい。彦根で国際会議が行われるようにもしたい」
 ◇和田「彦根は宝の山。佐和山、鳥居本、荒神山など観光資源として十分、活用できる。赤をテーマに街づくりを進めてきたが、黒壁の黒で勝負している長浜と、赤と黒で勝負したい」
 【医療(市立病院)、福祉】
 ◇辻橋「市立病院の1人の医師が7部門を担当するなど失敗している。1医大ではなく、複数の医大とパイプをつながなければ。市外の病院で働く彦根出身者のUターンも促したい」
 ◇大久保「赤字経営だというが、ランニングは悪くない。開業医と勤務医が協力し、紹介率を上げ、ベッド数が埋まるような、受け入れの体制づくりが大事」
 ◇和田「お金をどうやって生み出すか。十分な収入を確保しなければならない。開業医のネットワークを構築し、地域医療を行っていく。ミニコミ紙などで開業医を紹介したい」
 ◇獅山「市立病院の産科医は、民間診療所が1軒しかなかったため、負担が重く2人も辞めた。医師に魅力ある病院にするため、待遇面の改善や、医療器具の導入に努めた」
 ◇伊藤「高齢者か障がい者の福祉なら、障がい者の方にウエートを置きたい。重度の施設の定員を増やすようにしたい」
 公開討論会では、1人がほかの4人に質問する形式も取り入れられた。そのうち、現職の獅山市長から自身が推進する芹谷ダムについて、4人に質問した。
 ◇伊藤「嘉田知事には是々非々の姿勢をとりたい。少年時代に洪水による被害を受けた経験があり、知事にはダム建設の必要性を訴えたい」
 ◇辻橋「NPO芹川でのアンケートで地域住民の75%が河川整備、ダム建設は8%だった。地域住民は河川整備をしてほしいという願いをもっている」
 ◇大久保「県と一緒に現実的な対応をしていくのが市民の利益になる」
◇ 和田「ダムは必要だが、いまの時期ではない。100年に一度の経済危機の方に重点を置くべきだ」

彦根市政展望③遅々と進まぬ中学校給食

 現市政下で進められて来た中学校給食は、結局、任期中での実現はなくなった。給食センターの建設予定地は決まっているものの、運営方式は決定しておらず、中学校給食は事実上、頓挫している。
 現市政は中学校給食をセンター方式にする方針を示し、センターについては開出今町の約4300平方㍍の敷地に建設するとしている。
 一方、センターの整備・運営方式については、民間の経営能力を活用するPFIのBTO(民間が施設建設後、所有権が市に譲渡された上で、民間が運営する)方式を採用する意向を示した。
 しかし、この事業にかかる一般財源額は15年間で総額約53億6500万円にも上る。前々号でも紹介したが、彦根市の財政は実質公債費比率が県内13市で最悪の数値を示すなど極めて逼迫しており、BTO方式はその財政状況が理由で昨年3月議会でも否定された。
 次期市政には、この財政状況下で中学校給食を実施する場合の運営方式をどのようにするのか、または財政状況が改善するまで先延ばしするのか―、決断が求められている。 (山田貴之)

いしだみつにゃん、しまさこにゃんと、「かねたん」が再会劇、佐和山城下で

 石田三成と直江兼続との再会をゆるキャラで演じる劇「義の旗のもとに『第三章 義から愛へ』」が4月12日、佐和山城下の龍潭寺前広場で開かれ、戦国ファンの女性ら約1500人(主催者発表)が全国から訪れた。
 劇では、しまさこにゃんとおおたににゃんぶが待つステージに、兼続の「かねたん」が関西で初めての登場。
 そこに佐和山城から降りてきたとする「いしだみつにゃん」が現れ、かねたんと握手をして再会を懐かしんでいた。
 劇の後は、ゲーム大会や抽選会も開かれ、来場者はキャラクターと一緒に楽しんでいた。

ひこにゃん3歳 ゆるキャラたち祝う

 4月13日に3歳を迎えたひこにゃんを祝う「ひこにゃん誕生祭」が12日、四番町スクエアで開かれ、県内外のキャラクターもお祝いに駆けつけた。
 誕生祭には、ひこちゅう、やちにゃんのほか、ドウタクくん(野洲市)、やなな(岐阜県柳ケ瀬)、ちかもんくん(福井県鯖江市)など計8つのゆるキャラが駆けつけ、ひこにゃんに各地区の名産品などを贈った。
 また、先月20日から今月10日まで募集していた「お祝いメッセージ」も、やちにゃんからひこにゃんへ手渡され、ひこにゃんはうれしそうにしていた。

2009年4月10日金曜日

彦根市政展望②病院再建へ死力を尽くせ

 平成19年度決算で約12億2021万円の赤字を計上した彦根市立病院―。現在地に移転した同14年度以降、毎年赤字が続いており、累積赤字は約85億円にも上る。また医師と看護師の不足も深刻で、産科を初めとして、5つの科で診療制限に陥っている。

 平成16年からの新医師臨床研修制度により地方病院の医師不足が進んでおり、彦根市立病院でも、19年度の医師の退職者が16人だったのに対し採用は13人にとどまっている。看護師も退職者43人に対し採用は29人で、職員の不足に伴い、診療科の制限も余儀なくされており、一部の病棟を閉鎖するなど悪循環に陥っている。
 また、職員不足による診療科の制限で、入院・外来収益も減少。19年度決算では、総収益が前年度比8・6%減の83億9616万円だった一方、総費用は96億1937万円となり赤字に。経常収支比率(人件費など経常的支出に市税など経常的収入が充当されている割合)は、ここ5年間で最悪の87・3%を示すなど財政状況も悪化している。
 市は、総務省の指針による「経営改革プログラム」を策定し、▽診療所からの紹介率を24年度には20年度の倍の40%にする▽院内保育所の24時間保育と新任研修金の支給で21年度に患者対看護師の割合を7対1にする▽医師の負担軽減のため夜間救急のコンビニ受診者に追加経費を行う―ことなどをあげ、地方公共団体の枠組みから外す「独立行政法人化」への移行も検討。
 24年度の黒字化を目指しているが、その実現性は不透明。市立病院など医療問題は、行財政改革と並んで次期市政の大きな問題のひとつとなっている。(山田貴之)

井伊直弼使用?のかごが修復終え埋木舎に戻る 当主・大久保治男さんも彦根に 

 井伊直弼が利用したとされる駕篭(かご)が、修復を終え、4月9日に、もともと展示されていた埋木舎に戻った。埋木舎当主の大久保治男さん(74)=東京都内在住=も来彦し、修復された駕篭を見て喜びの表情を見せていた。
 駕篭は、直弼が17歳から32歳まで過ごした埋木舎で使用していたと伝えられる。損傷が激しかったため、彦根仏壇の職人ら4人で組織の団体「Links(リンクス)」が昨年11月から修復作業を開始。もとの材料を約半分残して、今月初めに完成させた。
 大久保さんは「全体的にきれいにして頂いて感謝している。直弼が乗っていたのは間違いないので、修復された駕篭を見に来てほしい」と話している。
 ※ 大久保家は井伊家の家臣。直弼死後、大久保小膳(員好)は藩の重要文書を極秘に隠し、直弼時代の藩の様子が現在まで伝わることになった。また明治政府が彦根城を取り壊し始めた時、小膳が取り壊し中止の運動をし、参議・大隈重信などの明治天皇への助言で彦根城が残ったとされる。明治4年以降、埋木舎は大久保家が管理。治男氏は第十一代当主で駒澤大名誉教授、武蔵野学院大大学院教授。

今年結成の彦根総合高校・野球部、公式戦初出場

 彦根総合高校(芹川町)の硬式野球部は、4月1日に県高野連への加盟が決定。公式戦への出場が許可され、11日開幕の春季近畿地区高校野球県大会に初めて出場した。
 野球部は昨年度まで部員が少なく、野球同好会として活動してきたが、新年度は2年生6人、1年生5人の計11人となるため、県高野連に加盟申請をしていた。初代監督には伊香高校野球部の監督として、これまでに夏2回、春1回の甲子園出場を果たしている西岡義夫さん(72)=東浅井郡湖北町=が就任した。
 西岡さんは「いまは野球への取り組み方を教えている最中で、技術面はこれから」と語っている。初戦は堅田高戦。主将の出口雄大君(16)=原町=は「勝つとか負けるとかよりも、基本をしっかりしたい」と話している。

2009年4月7日火曜日

彦根市政展望①最悪財政に厳正なメスを

 平成19年度決算で、地方債残高が約1169億円、実質公債費比率(一般財源のうち借金返済に充てた割合)が県内13市で最悪の20%―など彦根市の財政状況は極めて厳しく、厳正な行財政改革が急務な状況となっている。
 財政状況が厳しい理由については、経済情勢のほかに、下水道事業への投資、市立病院の赤字経営、彦根駅東口前の開発などがあげられる。改善計画として現市政は、▽投資事業の見直しや人件費削減などで平成20年度当初予算額と同21年度を比較した場合の「削減等効果額」を約19億円にする▽同22年度までに職員を67人削減する定員適正化計画を図る▽公債費負担比率を同22年度決算時で適正化基準の18%を下回させる―としている。
 しかし、世界的な経済状況の悪化の波は彦根にも押し寄せており、派遣切りなどによる生活保護の相談件数は今年1月だけで43件と前年の12件から大幅に増えている。今後も国内の景気が回復する見通しは不透明で、市の財政面にも影響が及ぶのは避けられない。
 歳入面の減少に伴い、投資事業の選択と人件費削減など歳出面の見直しが急務で、現市政が進める行財政改革よりも更に厳しい改革の推進が求められている。     (山田貴之)

近江鉄道、「ひこね芹川」駅が開業

 近江鉄道の彦根駅・彦根口駅間に「ひこね芹川駅」が4月8日、開業した。
 新駅は、彦根駅から約1・2㌔、彦根口駅から約800㍍の場所で、約360平方㍍の敷地に、屋根付きのプラットホーム(幅3㍍×長さ45㍍)、スロープ、トイレなどが設置。無人駅。
 新駅周辺は住宅開発が進んでおり、近江鉄道では地域住民や学生の利用を見込んでいるほか、観光客の花しょうぶ通りや七曲がり通りへのアクセス駅としても期待している。同社として33番目の駅で、工事は昨年11月7日から行われていた。
 一日の運行本数は平日が上下線83本、休日が同72本で、初年度の利用者数は約3万5000人を見込んでいる。

彦根市長選、自民が「現職推薦」 民主は自主投票へ

 自民党の彦根市支部連協(会長・中村善一郎県議)は4月5日会合を開き、19日告示、26日投票の彦根市長選で、現職の獅山向洋氏(68)を推薦する方針を固めた。ただ一部党員は他候補を支持しており、前回同様、分裂する。
 会合の出席者によると、一部の党員からほかの候補を推す声があったものの、最終的には「これまでの実績を評価する」として、現職を推薦することで了承。中村会長は「(現職は)さまざまな法律を通して4年間、堅実に執行し、まちづくりに貢献してきた」と話している。
 ただ、稲枝の県議陣営や鳥居本などの党員は、新人の和田裕行氏(38)を推しており、一枚岩にはなっていない。
 一方、民主党は県議2人と市議(党系含む)が、辻橋正一氏(61)と大久保貴氏(45)=いずれも新人=に分かれており、一部は和田氏の支持にもまわっている。党第2区総支部としては「自主投票の方向で調整している」。保守派の一部は伊藤善規氏(60)に。
 ほかに、辻橋氏と和田氏には嘉田知事の支援者、大久保氏には旧さきがけのグループが支持している。
 共産党は「出馬の是非を今週中に発表したい」と、候補者擁立に含みを残している。公明党の市議は「今後、支持母体内で話し合って決めたい」、社民党の党員は「自主投票になるのでは」としている。

「日本の福祉は拉致状態」、大熊由紀子教授

 元朝日新聞論説委員で国際医療福祉大大学院の大熊由紀子教授が4月5日、彦根市のビバシティホールで医療と福祉をテーマに講演。約300人の来場者を前に「彦根から日本を変えよう」と呼びかけた。
 大熊教授は、北朝鮮による日本人拉致問題にふれながら「認知症の人や精神病患者をそれぞれの専用施設に入れており、日本の福祉や医療も拉致状態だ」と批判。
 「認知症の人々の異常な行動は、異常な環境、異常なケアによる正常な行為だ」「より分けるのではなく、みんなが街で暮らしていけるようにしないと」と、ノーマライゼーショーンの促進を求めた。

しだれ桜の下で狂言 多賀大社で

 多賀大社のしだれ桜の下で狂言が演舞される「桜狂言」が4月5日、太閤橋前で催され、満開の桜の下での演舞に見物客は酔いしれていた。11日にも多賀大社の能舞殿で開かれる。
 多賀大社の巫女による琴の演奏、小舞の後、「滋賀近江狂言」の狂言師3人が「口真似」を披露。酒ぐせの悪い客と、主人、従者のやり取りをユーモラスに演じ、観客から笑いを誘っていた。
 11日は午後1時~と同5時半~。しだれ桜は15日までライトアップされている。

県内高校生がエレクトロニクス学ぶ 人間コピーなど体験、大日本スクリーン製造彦根地区事業所で

 高校生が半導体関連企業でエレクトロニクス(電子工学)を学ぶ教育プログラム「ハイテク・ユニバーシティ」がこのほど、彦根市高宮町の大日本スクリーン製造彦根地区事業所で行われた。
 マイクロエレクトロニクス(極微小電子工学)など製造業の国際的組織「SEMI」(日本事務所・東京都千代田区)が、次代を担う高校生に半導体産業への関心をもってもらおうと企画。平成19年から行っており、3回目の今年は滋賀県で開講し、米原高や長浜北星高など県内5校から31人が参加した。
 大日本スクリーンでは、半導体についての説明を受けた後、6グループに分かれて、巨大コピー機で複写される「人間コピー機」や、半導体になったつもりで計算する「人間計算機」などを体験。人間コピー機では、高さ2・4㍍の縦式と幅1・2㍍の横式のカラーコピー機が使われ、複写された生徒たちは自分の「複製」を見て、驚きの表情を見せていた。
 米原高校理数科の大橋卓弥君(17)=高宮町=は「半導体がどのような所に活用されているのか勉強になった。工学やエネルギーの分野に興味があるので、将来的にも役に立った」と話していた。

2009年4月3日金曜日

元市議の伊藤善規氏、彦根市長選に出馬へ

 元市議の伊藤善規氏(60)が4月2日、26日投票の市長選への出馬を表明した。 これで立候補予定者は5人となった。
 伊藤氏は▽芹川の治水対策は芹谷ダム建設が不可欠▽市長退職金の廃止や市職員の人件費削減による歳出削減▽子どもの躾(しつけ)と安全を守る―を柱に、財政が健全化するまで中学校給食は延期、市立病院と民間病院との診療科統廃合、荒神山山麓への道の駅創設なども政策に掲げている。
 伊藤氏は彦根東高、関西大学法学部卒。大阪府警勤務後、平成7年から市議を2期務め、現在は伊藤警備社員。

彦根東高応援団が最優秀受賞

 彦根東高校の応援団が、センバツの応援団賞の部で最優秀賞を受賞。野球部3年生で団長の永福剛史君(17)が4月2日の閉会式に出席し、楯を受け取った。
 応援団は、野球部や吹奏学部、チアリーダー、東・西中の吹奏楽部らのほか、同校生徒や保護者、OB組織・金亀会会員ら総勢約5000人で組織。そろいの赤いジャンパーを着てアルプス席を「赤一色」に染めた。
 青木靖夫教頭は「皆さんのお陰だと思います。感謝しています」と話している。

ゆるキャラの巨大画、やまもとひまりさん描く

 6月に高宮町内で開かれる恒例の「蝸牛会アート展」に合わせて3月31日、エフエムひこねのパーソナリティ・やまもとひまりさんによるテント画の仕上げ作業が、ブリヂストン体育館で公開された。
 同展では、高宮小学校のフェンスや徳性禅寺の壁に、キャラクターや動物などがテントに描かれたものが展示されるイベントで、今年は6月1日から31日まで開かれ、約40点が展示される。
 やまもとさんは一昨年に続いての参加で、今年の作品は4㍍×1・7㍍の長方形に、彦根城と佐和山城の天守のほか、ひこにゃんや、やまもとさんが考案したしまさこにゃんなどのゆるキャラを描いたもの。作品はゆるキャラたちの宴会に、ほかのねこ45匹が訪れて一緒に宴会を楽しむ様子をイメージした。
 作品の完成には約2週間かかり、完成を目前にしてやまもとさんは「彦根がもっと元気になってほしいとの思いを込めて描いた」と笑顔で話していた。