彦根市長選は、過去最少の39票差で現職の獅山氏の勝利に終わった。しかし、有効投票者数3万7912人のうち、74・5%の2万8237人が新人4人に入れた。この現市政に批判票を投じたという現実を、獅山氏は真摯に受け入れる必要がある。
獅山氏は当選後の喜びの声や記者会見で、「4年間の実績が信任された」「批判票ではない」などと強がったが、選挙戦を「冷静に」振り返ると、現職が知名度と組織力で圧倒していたにもかかわらず、薄氷で終わったことからは、組織に属さない「一般」の市民の多くが現市政に不信任を突きつけたと言える。
獅山氏の実績は、国の法律を活用しながらの街づくりの「道標」を整備したことだが、今回の選挙結果から、市民は市政の主課題である「行財政改革の推進」と「市立病院の再建など医療問題」を重視していることがくみ取れる。
獅山氏は選挙戦で、中島市政からの引き継ぎによる財政難と、行財政改革の進捗ぶりの強調に終始し、ほかの新人が唱えた人件費の更なる削減や市長退職金カットまでには、ほとんど踏み込まなかった。
また、39票差で惜敗した次点の大久保氏は、「病院再生」を第一に掲げて選挙戦を展開し、「病院長を副市長に格上げし、市長自らの責任で必ず再生させる」と訴えた。同氏も「本来、取れないような票をいただいた」と話しているように、病院再建は市民の切実な思いの表れである。同氏はほかにも、彦根城周辺だけでなく、荒神山など南部の振興も唱えた。
一方、和田氏は、企業や研究所の誘致による税収増や市教委・PTAの改革を訴え、辻橋氏は、現市政は市民団体に冷たいと切り捨て、「市民協働での市政運営」を呼びかけた。伊藤氏は、市長自らが学校でしつけ教育を行うというユニークな提案をした。 獅山氏には、焦眉の急である行財政改革と病院再建を率先して取り組むと共に、敵として戦った4人の良策を政策に組み入れる闊達さを求めたい。(山田貴之)
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