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2021年12月25日土曜日

彦根市清掃センター燃やすごみ処分する2号炉と3号炉が故障で停止、残り1号炉のみに

彦根市清掃センターは21日、燃やすごみなどを焼却処分する「2号炉」で不具合が発生し、焼却処分を停止したと発表。11日には「3号炉」も故障で停止しているため、残り「1号炉」のみとなった。同センターはごみの収集を通常通り行うものの、市民にごみ減量の協力を呼びかけている。
 同センターによると、11日午後1時15分ごろ、3号炉の排ガスを煙突へ送る誘引通風機に振動と異常音が確認されたため焼却処理を停止。内部を点検したところ、誘引通風機などに破損が見つかった。
 そのため12日午後1時33分から2号炉を立ち上げて稼働していたが、17日に職員が巡回点検していたところ、午後1時35分ごろに2号炉の誘引通風機にわずかな振動を確認。内部を調べたところ、一部で破損が確認されたため、焼却処理を停止した。いずれも、誘引通風機の吸い込み口が排ガスの温度低下によって水分が結露して腐食が進んだことが損傷の原因だという。
 3号炉については15日にメーカーが調査したところ、誘引通風機の軸や吸い込み口などで修理が必要なことがわかった。市清掃センターによると、当初は来年2月下旬の復旧を予定していたが、メーカーの人材と部品不足により遅延する見込みだ。2号炉についてもメーカーが今月20日に内部調査を実施。復旧時期は「未定だ」という。
 彦根市は2001年度に3基の焼却炉の大規模更新を実施。それから20年が経過しているため、今年度から2024年度にかけて、誘引通風機を含めた設備を更新するための大規模修繕費31億5800万円を予算化している。しかしどの焼却炉から着工するかなど未定のため、当面は応急的な修理を優先する意向。
 
外部搬出費5900万円
貯留に限度 処理方法「未定」
 市清掃センターは、以前まで1基の焼却炉で一日平均計45㌧の燃やすごみを処分してきたが、設備の老朽化に伴って処理機能が年々低下し、今年度は約30㌧になっている。同センターには一日平均で約90㌧の燃やすごみが集まるため、1号炉のみでは処理しきれない。処分できないごみは、今年10月から来年2月までの契約(約5900万円)で三重中央開発に搬出している。敷地内では最大で800㌧貯留できるが、今回の2つの焼却炉の故障で発生する処分できないごみの搬出先や処分方法については「まだ調整中」だという。
粗大ごみについては解体後の木材部分なども燃やすごみとして処分しているため、市清掃センターの担当者は「年末年始にかけて粗大ごみを含めたごみが多くなる。古紙のリサイクルや粗大ごみを他人に譲るなど協力してほしい」と要望。和田裕行市長は「ごみ処理の非常事態。市民の皆さんには申し訳ないが、ごみ排出量の抑制、リサイクルをお願いしたい」と協力を求めている。
 
生ごみ たい肥化しよう
ボカシ販売、水切りの協力も
市清掃センターによると、回収する燃やすごみの3割が生ごみで、生ごみの8割が水分のため、焼却処分する際に負担がかかるという。担当者は「生ごみを出す際は水分を無くして捨ててほしい」と要望している。
 また市役所などでは生ごみをたい肥化できる「ボカシ」を販売している。ボカシは米ぬかやもみ殻に乳酸菌や酵母、光合成細菌による有用微生物を混ぜて作成。「彦根市ごみ削減推進協議会」が作り、その普及啓発に取り組んでいる。
 手順は①生ごみ処理用のバケツの底に新聞紙を敷き、ボカシをまく②水切りした生ごみを入れ、合間にボカシを振りかける③上から押さえて、ふたをして密閉④底にたまる発酵液はこまめに抜き出す⑤②~④を繰り返してバケツがいっぱいになったら1~2週間発酵⑥ぬか漬けのような発酵臭がすれば完成。
 ボカシの販売場所は市生活環境課、鳥居本・亀山・稲枝の各郵便局。700㌘200円。収益は同協議会の活動費にあてられる。問い合わせは同課☎(30)6116。

多賀町180万年前のアケボノゾウの化石が国の天然記念物に

 多賀町で発見されて町立博物館で展示されている約180万年前の「アケボノゾウの化石」が17日、国の天然記念物に指定されることが決まった。翌日、同館で記念セレモニーが開かれた。
  アケボノゾウはゾウ類化石(※)のうち、石川県戸室で見つかった上あご臼歯を模式標本とする約250万年~約100万年前の化石を言う。多賀町では1993年2月中旬に、四手の工事現場で発見。頭部、体幹、体肢など全身の7割におよぶ部位191点の骨が見つかり、そのうち右手のように、すべての骨がつながった状態での発見は世界的にも珍しいという。
 骨の化石のうち112点は1999年に開館した町立博物館で公開展示してきた。2013年からは「多賀町古代ゾウ発掘プロジェクト」と題し、アケボノゾウが生息していたころの自然環境を探りながら、子どもたちの野外実習など教育活動もしてきた。
 
全身の7割残る
生息環境が影響
 同館の小早川隆館長(72)によると、多賀町のアケボノゾウは湿地帯で生息し、死後すぐに埋まったために保存状態が良かったのだという。国の天然記念物の指定に小早川館長は「全国的に見ても貴重な化石であり、それが認められてうれしい。これからも日本一の化石だと発信し続けたい」と述べた。
 記念セレモニーでは久保久良町長のあいさつ後、同プロジェクト検討委員会委員長で琵琶湖博物館の高橋啓一館長(64)が「7割の個体が見つかる化石はあまりなく、非常に価値がある。住んでいた環境を一緒に調査する活動もすばらしい。これからも地域で大切に保管してほしい」と語った。最後には地元の子どもたちを交えて、アケボノゾウの復元骨格の像前でくす玉割りもあった。
 
地元住民が団体結成
記念ロゴ作り発表
 


記念セレモニー後には地元住民たちの団体「シガタガゾウのサト」の結成式が開催。ゾウの衣装にふんした小早川館長と高橋館長の対談後、デザイナーの神谷利男さん(大阪市)が制作したロゴが発表された。同団体の中川信子さんは「イベントやグッズ展開など楽しい企画を考えていく」と話し、サポートメンバーを募集。問い合わせは町立文化財センター☎(48)0348。
 ※【ゾウ類化石】ゾウ類は約5000万年前に北アフリカに出現。日本列島に生息したのは約1900万年前とされ、岐阜県で発見されたアネクテンスゾウが最古だ。以降は約500万年前のセンダイゾウ(宮城県)、約430万年前のミエゾウ(三重県)、そしてアケボノゾウ、ゾウ類化石の6割を占める約2万年前に絶滅したナウマンゾウ、北海道でしか見つかっていない2万年前以前のマンモスゾウなど、全国では9種類のゾウの化石が全国約400カ所で見つかっている。
 そのうち滋賀県内ではアケボノゾウの4カ所を含め計18カ所で産出。多賀町ではアケボノゾウのほか、芹川河床からナウマンゾウの18点も見つかっている。

平和堂・夏原平和会長が肺がんで死去

 平和堂は20日、夏原平和会長が同日午前1時19分に、肺がんのため死去したと発表。享年77歳だった。平和堂は遺族の意向を受け、自宅への弔問や供花などを辞退するとしており、後日「お別れ会」を開く予定。
 夏原氏は平和堂創業者の平次郎氏の長男として1944年に彦根市内で生まれた。同志社大学法学部卒業後、1968年3月に平和堂へ入社。チェーンストアのペガサスクラブへの出向、敦賀店店長、専務、副社長を経て、89年5月に社長に就任。2017年5月から会長兼CEOに就いていた。
 社長時代の1989年にはオリジナルのポイントカード「HOPカード」を導入し、翌年には東証一部上場を果たした。91年には女性の社会進出や人出不足を見越して惣菜加工会社のベストーネを設立。98年には平次郎氏の強い希望を受け、中国湖南省に出店。尖閣諸島の問題を巡って暴動が起こった2012年には現地の4店も被害を受けたが、現地に赴いて被害の確認と対策の陣頭指揮をとり、2カ月後には全店で営業を再開させた。
 会長時代の創業60周年を迎えた2017年にはビバシティ彦根の隣接地に新本部「HATОC」を竣工。部長を対象にした経営者育成塾など社員研修を実施し、社員の人間力育成に努めた。
 遺族の意向により、通夜や葬儀、告別式については近親者のみでとり行われる。お別れ会の日時や場所は未定。
 
「店はお客さまのため」
社員「会長の言葉忘れない」
 和田裕行市長は「商工業の振興のみならず、地域の発展に多大なる貢献をいただいた。市政についても気にかけていただき、まだまだご教示たまわりたいことが多くあった。突然のことで残念でなりません」とコメントを発表。
 県内のフレンドマートで店長を務める40代の男性は「会長の『会社は社会のためにある。店はお客さまのためにある』という言葉が忘れられません。常に従業員の幸せを考える偉大な方でした」と話していた。

2021年12月23日木曜日

彦根商工会議所女性会が創立40周年記念のつどい

 彦根商工会議所女性会は5日、彦根商議所4階の大ホールで「創立40周年記念のつどい」を開き、会員35人が出席した。
 女性会は市内で経営に携わる女性たちで1981年4月に結成。記念のつどいで、渡邊僖子会長は「私たちは企業人であると同時に母親目線をあわせ持つことができる。明るい未来をつくる活動をこれからも続けたい」とあいさつした。
 来賓として和田裕行市長は「創立から現在まで激動の時代にご尽力頂いたことを感謝している。情報社会の中、情報処理能力は女性の方が優れているのではないか。これからも女性の視点、パワーで地域の発展に力を貸してほしい」と述べた。
 彦根商議所の小出英樹会頭は「女性会の皆さんには地域の教育、特にスティーム教育(科学・技術・工学・芸術・数学)に力を入れてほしい。城や琵琶湖などのこれだけの風景がある街は日本でも少なく、小さい時からそれが実感できる教育も重要。次の指針の参考にしてほしい」と語った。
 市社協が設置した子育て支援のための「はぴとも基金」への寄付金30万円の贈呈式もあり、渡邊会長が市社協の磯谷直一会長に目録を渡した。その後、創立40周年記念誌発行委員の藤田敦子委員長のあいさつ、歴代会長への花束贈呈、在籍40年と30年以上の会員への感謝状と記念品の贈呈があった。後半では彦根城の世界遺産登録をテーマにした講演会もあった。

2021年12月14日火曜日

大学生が彦根市内の企業のSDGsまとめた冊子Hikone Work Academiy2021完成

 県内外の大学生が彦根市内の企業のSDGsの取り組みをまとめた冊子「Hikone Work Academiy2021」が完成した。
 彦根商工会議所青年部が、各企業のSDGsに関する取り組みのPRと、将来の第2の故郷としての関係人口創出を目的に企画。滋賀大学18人、聖泉大学3人、神戸流通科学大学1人が6月から10月まで参加した。
 学生たちはオリエンテーションや取材講座、県版SDGsボードゲームの体験会を経て、同青年部の23社に分かれて入り込み、各企業のSDGsの取り組みを取材。ライティング講座を経て、文章(記事)にまとめた。本紙の山田貴之記者も滋賀大学で取材と記事の書き方の計2回の講義を担当した。
 冊子では各企業の業務内容、独自の取り組みなどを学生たちが考えた見出しと写真入りで紹介しているほか、「2030年に向けた彦根への貢献」コーナーもある。デザインは滋賀県立大学の成瀬碧衣さんが担当した。
 冊子の中で、滋賀大学の片山みずほさんは「この冊子がたくさんの人の目に触れることで、自分にもできることがあるかもしれないと、より多くの人に思ってもらい、SDGsに関する活動が広がってほしい」とコメントしている。B5判、カラー35ページ。同青年部のホームページでも閲覧できる。

2021年12月11日土曜日

NPOぽぽハウスが糸賀一雄記念未来賞

 障害者福祉で先進的な取り組みをしているとして、彦根市平田町の福祉団体「NPOぽぽハウス」が、今年度の糸賀一雄記念未来賞を受賞した。1125日に報告のため、若林重一理事長(65)と福井久美子理事(63)が和田裕行市長を表敬訪問した。
 ぽぽハウスは任意団体として1999年に設立。高齢者のデイサービスや障害児者の支援のほか、介護保険・障害児者に関する相談、子ども・子育て支援などの活動をしてきた。
 特に、さまざまな福祉サービスを提供する中で、介護保険制度などの制度外のニーズが多くあることに気づき、それらに対応するためのオリジナルの事業を開発。孤立しがちな障害児や子育て中の母親、生活困窮者など生きづらさを抱えている人たちを支援する「課題解決型」の福祉サービスを提供している。
 糸賀一雄記念財団は、障害者または生きづらさを感じている人たちに関する取り組みが先進的で、今後の活躍が期待できる個人・団体に糸賀一雄記念未来賞を授賞。また障害福祉などの分野で顕著な活躍をしている個人・団体に糸賀一雄記念賞を授けている。
NPОぽぽハウスは、「市民ニーズに必要なサービスを届けるという姿勢がすばらしく、既存制度のすき間となるようなニーズや課題を見つけ、それに対応していく先進性が高く評価できる」として、今年度の糸賀一雄記念未来賞を受賞した。
 市長を表敬訪問した若林理事長は「多様性が叫ばれている社会で、支援が必要な市民にとって暮らしやすい地域にするためにこれからも邁進していきたい」と述べた。
 ※【糸賀一雄】1914年(大正3年)3月29日、鳥取市生まれ。1940年(昭和15年)に滋賀県庁に入り、秘書課長など歴任。4611月に知的障害児の入所施設「近江学園」を創設し園長に。以降、重症心身障害児施設「びわこ学園」を設立するなど、障害者福祉の基礎作りに多大な貢献を残した。糸賀一雄記念財団は障害者福祉の向上に関する事業を行う団体として1996年(平成8年)1113日に設立された。

2021年12月8日水曜日

男鬼町の比婆神社でしめ縄飾り

 彦根市男鬼町の比婆(ひば)神社で1128日、しめ縄飾りが行われ、氏子らが社殿や鳥居などのしめ縄を交換した。
 この日は氏子ら計約20人が集まり、比婆神社の本殿前で神事を行った後、大小の手作りのしめ縄を飾った。そのうち最初の高さ約3㍍の大鳥居には長さ約5㍍のしめ縄を男性2人がかりで設置した。

2021年12月6日月曜日

平和堂、キリンビール、ブリヂストン企画「彦根の次世代を担う学生たちの街おこしの夢を応援!」入賞作発表

 平和堂、キリンビール、ブリヂストンの彦根地域に拠点を持つ3社は、地元の高校生を対象にした企画「彦根の次世代を担う学生たちの街おこしの夢を応援!」の入賞作を発表。1127日にビバシティ彦根で表彰式を開いた。
 3社は2014年から地域貢献につながる「彦根発 笑顔いっぱいプロジェクト」を進めており、16年から高校生を対象に地域資源を生かした企画や地域の課題解決につながる提案を募集。優秀賞の企画の実現に向けて3社が支援してきた。
 企画の実現性をより発展させるため、今年5月に滋賀大学と連携協定を締結。高校生の企画について滋賀大生が講義の中で具現化し、高校生と一緒に企画を実現していく。
 
インスタ映えマップなど
滋賀大生の協力で具現化へ
 今年は彦根を中心に個人やグループから75件の応募があり、8組に絞って企画の発表会を開催。その中から、優秀賞に彦根工業高校機械科の「リサイクル商品のブランド化」、彦根翔西館高校2班の「エクササイズinヒコネキャッスル」、近江高校のチーム「8・5海賊王」の「インスタ映えまとめマップ」を選考。特別賞に近江高のチーム「ここちゃん」の「プラスチックステンドグラス」を選んだ。
 表彰式では3社の代表者から表彰状や記念品が授与。優秀賞を受賞した彦根工業高3年の山川拓馬さん(17)は「彦根がよりよい地域になればうれしい」、彦根翔西館高2年の小林千珠(ゆきみ)さん(17)は「彦根の皆さんが健康で暮らしてほしいと思った」、近江高2年の佐野はなりさん(17)は「たくさんの人に彦根の良さを改めて知ってもらえたら」と話した。

 表彰式には滋賀大生9人も登壇して抱負を述べた。今後は大学生4~6人のグループが3つの企画の具現化に向けたアイデアなどを出し合い、来年1月20日の最終プレゼンテーションを経て、3社と彦根市が1つの企画を選定。3社が今年度中に実現をサポートしていく。
 平和堂の夏原陽平常務は「いい企画が出そろった。高校生や大学生たちにとって、これから進学、就職していく中で、今回の経験がプラスになればいい。今後もこのプロジェクトを続けていきたい」とあいさつした。

2021年12月4日土曜日

天秤櫓に設置するしめ縄の仕上げ作業ひこにゃんも手伝い

 彦根城の天秤櫓に設置するしめ縄の仕上げ作業が2日、彦根城管理事務所の作業所(金亀町)で行われ、ひこにゃんも手伝った。
 しめ縄は長さ約6㍍、太さ約45㌢、重さ約50㌔で城内最大。彦根城運営管理センターの宮川敏明所長(55)の「今年もがんばるぞー」のかけ声の後、赤い法被姿の作業員12人が縄3本を束ねて、ペンチを使って釣り糸でくくった。ひこにゃんも中に入り一緒に作業を手伝い、観光客約30人も写真撮影しながら見守った。例年は「よいしょ」「それ」などのかけ声があったが、新型コロナの感染拡大防止のため静かな中での作業だった。
 しめ縄は市内の農家から提供を受けたわら約100㌔が使われ、10月初旬から全部で8本製作。この日の天秤櫓向けが最後の1本で、すでに製作を終えた長さ60㌢から1㍍80㌢までのしめ縄と合わせて、天守入り口、玄宮園東口、開国記念館など合計8カ所に今月23日に設置される。
 城内での年末年始の行事は9日にすす払い、13日に鏡もちつきときな粉もちの振る舞い、16日に門松飾り、23日にしめ飾りと鏡もち設置、31日に除夜の鐘をつく集い、来年1月4日に鏡開きがある。

2021年12月2日木曜日

平田小学校が朝の会に芸術印象発表の朝鑑賞=対話型鑑賞を導入

 彦根市立平田小学校は朝の会の時間を活用し、著名な芸術作品の写真を見て子どもたちが印象を発表する「朝鑑賞(対話型鑑賞)」を導入。17日にその様子を公開した。
 教育現場での導入を推奨している滋賀大学大学院教育学研究科の青木善治教授(57)によると、対話型鑑賞は1980年代半ばにニューヨーク近代美術館で子ども向けの美術の鑑賞法として開発。日本では絵画や立体などの世界的に有名な芸術作品のアートカードを使用し、教員はそのアートカードを示して「何が描かれているか」「何を意味しているか」などと質問し、子どもたちは思いつくことを発表していく。
 教員は教える立場ではなくファシリテーター(司会)の役割を務め、子どもたちは問いに関して主体的に考え、他者の意見に賛同しながら、答えを導いていく。青木教授によると、対話型鑑賞によって子どもたちの自己肯定感の育成や学力向上につながるという。
 平田小学校では2学期から毎月1回、朝の会の時間の15分~20分、全学年のクラスごとに対話型鑑賞を実施。公開された17日、5年生のクラスではダリの絵画「記憶の固執」が画面に示され、教員の「季節はいつ?」「どんな音が聞こえる?」「どんな題名?」などの問いに、児童たちは絵の各部分を指しながら思い思いの答えを発表していた。
 各クラスの様子を見学した青木教授は「この教育法には正解も不正解もない。子どもたちが発表し、他者に認めてもらうことで自己肯定感につながり、学級運営にも役立つ。他校でもぜひ導入してほしい」と話した。平田小の加藤洋一校長は「導入してまだ3カ月だけだが、子どもたちの自尊感情は見違えるようで、いきいきしているのがわかる」と述べた。

 

幼稚園から高校までの制服や体操服など買い取るさくらや彦根店が日夏町にオープン

 不要になった幼稚園から高校までの制服や体操服などを買い取る「さくらや彦根店」が日夏町にこのほどオープンした。
 店主は中西裕子さん(55)。今年6月にテレビ番組で学生服リユースの取り組みを進める「さくらや」を知った。以前から自宅で好きな時間にできる仕事を探していたこともあり、居間を店にして滋賀で唯一の「さくらや」を開店。長女の満梨奈さん(21)と一緒に経営している。
 彦根市や周辺市町の園・学校の制服、体操服、指定のかばんや帽子などの買い取りと販売をしている。デザインが変更したり、破れやシミがある商品の買取は不可。
 制服回収用のボックスの設置に協力できる事業所も募集。同店が査定した金額が子どもの未来応援基金に寄付され、全国の子ども食堂や子ども支援の団体に活用される。回収した制服は同店で必要な家庭に販売する。
 中西さんは「経済的に困っている子育て中の家庭は多いと思うので、少しでも支援ができればうれしい。サポートして頂ける事業所も募集している」と話している。オープン時間は月水金の午後1時~同5時。住所は日夏町1776―9。問い合わせは☎090(5463)2291。
 
しんどい女子募集
 「なんでかしんどい女子会」が毎月第1日曜と第3の月水金のいずかれにさくらや彦根店で開かれている。つらい思いを共有したい、友だちがほしいなど悩んでいる小学生から20代の女性を募集。参加費無料。河瀬駅から送迎あり。問い合わせは同店へ。

2021年11月23日火曜日

コロナ禍の女性向け相談受付・生理用品の無料配布 彦根市男女共同参画センターウィズで

 新型コロナの影響で困難な生活を送っている女性への相談受付や、経済的な理由で生理用品を購入できない女性への無料配布の取り組みが、今月から彦根市男女共同参画センターウィズを拠点に行われて
いる。
 「心が疲れた」「相談相手がほしい」「生理用品が買えない」「生活が不安」「働きたい」など、コロナ禍で悩みや困難を抱える女性が増えている。同センターを運営する「ウィズで集う会」は彦根市からの委託を受ける形で、女性たちを支援する彦根市つながりサポート事業「つなサポ」を実施している。来年3月31日まで。主な支援内容は以下の通り。
 
電話 窓口 面談で
お金や生活、子育て、家族関係、仕事などでの悩みを女性の相談員が電話や面談で一緒に考える「つなサポ相談室」。電話は水金の午前9時~正午か月水木金土の午後1時~同4時(24日、祝日、年末年始除く)。面談はウィズで月土の午前9時~同10時~同11時~、一人40分。☎080(3841)7087。
 悩みを抱えた女性たちが集まって、茶を飲みながら話す「つなサポサロン」。ウィズで木曜午前10時~正午。予約不要。
 生理用品1パックを無料で配布する「つなサポスマイルプロジェクト」。300パックを用意。ウィズで月水の午前9時~午後5時半か木金土の午前9時~午後8時半。窓口で「つなサポスマイルプロジェクト」と伝えるか、掲示の卓上旗を指すだけでも可。
 相談員の瀧口美津子さんは「コロナの影響を受けて、水面下で悩んでいる女性は多いと思う。気軽に相談しに来てほしい」と話している。いずれも秘密厳守。無料。ホームページ(https://hikone-women-support.net/)やフェイスブック、インスタグラムもある。添付のQRコードから。

 

びわ湖のうえの物語・打ち上げ花火づくり体験&花火クルーズ・ジャンボタクシーツアー

 自作の打ち上げ花火を船上から観覧できる「大人の打ち上げ花火づくり体験&花火クルーズ・ジャンボタクシーツアー」が、12月4日から26日までの土日に行われる。
 ジャンボタクシーに乗車し、彦根駅東口、長浜駅西口、打ち上げ花火作り体験と作業風景見学、長浜城と黒壁スクエア散策またはローザンベリー多和田散策、彦根城とキャッスルロード散策、船上から自作を含む約200発の花火を見る花火クルーズを経て、午後7時に彦根駅東口解散。出発時間は長浜散策が彦根駅東口午前8時半・長浜駅西口同9時10分、米原散策が同10時・同1040分。価格は長浜散策が1万1000円、米原散策が1万2200円。定員一日6人。食事は各自で。彦根麦酒への送迎オプションもある。
 
サンセットクルーズ
花火のみも彦根港発
 ほかに、来年1月までの土日祝日(元日と2日除く)運航する彦根港午後4時15分発のサンセットクルーズと、12月の土日祝日に運航する午後5時半発の花火クルーズもある。料金と定員はサンセットが500円・40人、花火が2500円・30人。いずれも乳幼児無料。
問い合わせは「びわ湖のうえの物語」で検索か平日のみ近江ツーリズムボード☎(22)5580

彦根夜の陣 第二幕が開幕

 彦根城の夜間公開やライトアップ、茶席などのイベント「彦根夜の陣 第二幕」が催される。主なイベント内容は以下の通り。
 ▽彦根城夜間特別公開=城内を午後6時から同9時まで公開、事前予約制で天守を公開。天守の石垣に彦根城をはじめとした世界各国の名所画像を投影する「プロジェクトマッピング」も実施。来年1月30日までの土日祝日。ひこにゃんの散歩が今月13日、20日、27日の午後8時~15分間ある。高校生以上600円、小中学生200円。
 ▽錦秋の玄宮園ライトアップ=今月20日~12月5日の午後6時~同9時に園内をライトアップ。事前予約制で鳳翔台で茶席。旧八景亭の玄関で灯りアート展を開催。ひこにゃんが23日午後6時に登場。高校生以上700円、小中学生350円。
彦根城夜間特別公開と錦秋の玄宮園ライトアップが同時開催される今月20日~12月5日の土日祝日には共通入場券を表門券売所と玄宮園西口券売所で発売。高校生以上1000円、小中学生450円。
 ▽彦根城博物館「寒月の茶席」=館内の木造棟でライトアップされた庭園を眺めながら、茶と菓子を楽しむ。27日、28日、12月4日、5日の午後6時~・同6時45分~・同7時半~の30分制。一服500円。各日先着8人まで。予約は前日午後5時までに同館☎(22)6100。
 ▽Dramatic Legacy ひこね城あかり2021赤のまとい Wearing Your Red」=城内堀のライトアップと佐和口多門櫓への井伊家家紋の投影。来年2月13日まで。佐和口多門櫓前の水面に光のオブジェ240個を浮かべる「ヴァーミリオンシップ」は1212日までの日没~午後9時。
 ▽彦根夜の陣・周遊スタンプラリー=アプリ「彦根ほんもの歴史なぞとき」を使ったスタンプラリー。アプリをダウンロードし、彦根城、玄宮園、佐和口多門櫓、京橋口、二の丸駐車場でスタンプをゲットしてゴールすると抽選会に参加できる。
▽びわ湖のうえの物語・ナイトシャトルバス=彦根駅東口・いろは松駐車場・米原のローザンベリー多和田を経由する便と、彦根駅東口または長浜駅西口(米原駅東口経由)と彦根港を結ぶ便。来年1月30日までの土日祝日に無料で運行。ほかにライトアップに合わせて、彦根駅東口・いろは松駐車場・豊郷小学校旧校舎群・金剛輪寺を経由する無料のシャトル乗り合いタクシーが1314日と202123日に運行される。運行時間は近江鉄道のホームページなどから。

2021年11月21日日曜日

大橋悠依選手へ単独インタビュー、帰郷時の行きつけ・ひこにゃんへ・将来の目標

 大橋選手の滋賀県県民栄誉賞と彦根市市民最高栄誉賞の受賞に合わせ、滋賀彦根新聞はインタビューを実施。彦根でも思い出の場所、帰郷時の行きつけの店、彦根・滋賀への思い、今後の抱負などを聞いた(聞き手・山田貴之、写真は「ナガセ」提供)。
 
 ―金メダルを獲得したことに改めて現在の思いは?
 ◇あまり実感がないのは変わりません。ただなぜ自分が金メダルを獲れたのかということや金メダルを獲ってなにを得たのかなどをしばしば考えることはあります。その中ででてきた答えをこれからも大切にしていきたいと思っています。
 ―彦根市市民最高栄誉賞を受賞された率直な気持ちは?
 ◇新しく設けられた彦根市市民最高栄誉賞という素晴らしい賞を受賞することができ、それも1人目ということでとても光栄に思います。生まれてから高校卒業までずっと彦根市で過ごし、育ってきた者としてこれ以上嬉しいことはありません。さまざまな面での応援、サポートに心から感謝致します。本当にありがとうございます。
 
彦根ゆかた祭り毎年参加
ビバシティや三口屋で買い物
 
 ―子どもの頃の彦根の行きつけの店や場所は?
 ◇買い物や映画、友達と遊びに行くのはもっぱらビバシティ彦根でした。好きなお店はその近くの三口屋さんという駄菓子屋さんです。小学校の遠足の時のおやつは必ずここで買っていましたし、いまも帰省した際に行くこともあります。おかしの種類がとても豊富で、大人になった今でもワクワクします。
 ―彦根および滋賀(高校時代)で過ごされていた時の印象に残っている思い出の出来事や場所は?
 ◇今はもうなくなってしまいましたが、彦根総合運動場のプールは私の原点です。滋賀県は長水路のプールが屋外しかなく、屋内の長水路のプールをもつ県と比べると環境の面で決して恵まれていると言えないものだったかもしれませんが、私にとってはこの環境が自分の強さに繋がったと思っています。背泳ぎの浮き上がりの瞬間に、水中から見える空が大好きでした。もちろん建設中の新しいプールの完成も楽しみしています。
彦根ゆかた祭りが大好きなので、とても思い出に残っています。小学生から中学生の頃はゆかたを着て毎年参加していましたし、抽選にも参加して当たったこともあります。
高校時代は草津駅から学校までの道が思い出深いです。授業が終わって友達と話をしたりしていたら電車の時刻まで余裕がなくなってしまい、1550分の新快速を逃すと次の新快速が30分後なので必死に自転車をこいで駅まで行っていた記憶があります(笑)。もちろん間に合わない時もありました。
 ―大学時代以降、帰郷時に行っている場所や店は?
 ◇帰郷した際は家族で何度か「近江苑」という焼肉屋さんに足を運んでいます。お土産を買うために東京に戻る前に寄るのは、たねやさんとクラブハリエさんです。ラ・コリーナにも行ったことがあります。私自身もたねやさんのふくみ天秤が大好物で自分用にも買って帰ったり、母に送ってもらったりしています。
 
彦根のスポーツ振興に関心
ひこにゃんタオルお気に入り
 
 ―靴下以外に気に入っているひこにゃんグッズとひこにゃんに向けて
 ◇3種類のひこにゃんが書かれたタオルです。遠征に持っていき寝るときに枕の上に敷いて使うことが多いです。あとひこにゃんのルービックキューブも気に入っています。いつもひこにゃんを見て癒されています。2017年の世界選手権の後、ひこにゃんにお祝いしていただき、オリンピックが終わったらまた会えるかなとワクワクしてきたので会えて嬉しかったです。また彦根城にも会いに行きます!
 ―大橋選手にとって彦根および滋賀とは?
 ◇落ち着く場所であり、自分の中でとても大きい存在です。いつでも温かく迎えてくれる場所があることはとても有難いです。まだまだ行ったことのない場所がたくさんあるので行ってみたいです。
 ―彦根市民または滋賀県民の皆さん、および子どもたちに向けて
 ◇オリンピックをはじめ、いつも応援していただき本当にありがとうございます。オリンピック前にも応援の声をたくさんいただき、「離れていてもこんなに熱い応援をしてくださる方々がいるんだ!」と、本当に力になりました。またいい結果を報告できるように頑張りますので、今後とも応援よろしくお願い致します。そして今、全力で頑張っている子たちは、勉強・スポーツだけじゃなく興味があることにはどんどんチャレンジしてほしいと思います。うまくいかない時もあるかもしれないけど、いろんなことを自分で考えたり、たくさんの人と話をして得ることができる異なる視点を大切にしながら、自分自身で自分の道を選んでほしいと思います。そして頑張ることと同じくらい休むことも大事にしてください。いつかこの賞を受賞する子が現れることを楽しみに待っています。
 ―最後に好きな言葉や座右の銘は?
 ◇「意志あるところに道は開ける」です。
 

2021年11月17日水曜日

5市4町の商工団体と観光協会が世界遺産でつながるまちづくりコンソーシアムを設立

 彦根城の世界遺産登録の実現を目指し、経済と観光関係の団体が主体となってその機運を高めるため、旧彦根藩領の県内5市4町の商工団体と観光協会などが「世界遺産でつながるまちづくりコンソーシアム(彦根城世界遺産登録推進広域連携協議会)」を設立。17日に設立カンファレンスを米原市役所で開く。
 所属団体は彦根、東近江、近江八幡、長浜、米原の5市と犬上愛荘の4町の商工会議所、商工会、観光協会、一般社団法人近江ツーリズムボード、一般社団法人びわ湖の素DMО(米原市)の計23団体。
 彦根城の世界遺産登録の実現によって、各市町の観光振興が図れるという共通認識のもと、各市町が持つ資源を生かしながら、経済と観光の面から世界遺産登録を目指そうと、彦根商工会議所の呼びかけで同協議会を設置した。同様に世界遺産登録を目指している新潟の佐渡では「県民会議」が設置されているが、彦根城の場合は県民会議がないため、まずは湖東湖北の場からその機運を高めようという目的もある。
 同コンソーシアムでは▽機運醸成のための啓発と広報▽デジタルシステムを活用した情報発信▽世界遺産に関する学習機会の提供など、すでに彦根市内で行われてきた事業を他市町にも広げていく。
 

エンパワーメントレコーズ、コロナ禍を前向きにの歌「Future of the world~医療介護福祉からのメッセージ」ユーチューブで公開

医療や福祉の現場の従事者や当事者でありながら歌手活動もしているボランティア団体「エンパワーメントレコーズ」が、コロナ禍を前向きに生きてもらうための歌「Future of the world~医療介護福祉からのメッセージ」を制作。今月7日からユーチューブで無料公開している。
 同団体は「きつい」「大変」など医療や介護など福祉のネガティブなイメージを「楽しい」「やりがいがある」というポジティブなイメージに転換しようと、作業療法士をしながらDJ MINIYONの名で音楽活動をしている

田中孝史さん(41)=彦根市山之脇町=らが、県内外のシンガーソングライターやラッパー、レゲエ、ヒップホップらのアーティストたちと一緒に設立。
 これまでに2019年3月と昨年6月に計2枚のアルバムをリリースした。コロナ禍で働く医療や福祉の現場に対し、利用者や住民らから感謝や励ましの言葉が届いているため、今年1月にコロナ禍を生きる人たちへ届ける「アンサーソング」の第1弾を制作しユーチューブで公開した。
 第2弾の今回も田中さんの呼びかけに応じた県内外の作業療法士や介護福祉士、ヘルパー、車いすラッパーら計12人で歌を作った。田中さんが編曲を務め、11人のアーティストがそれぞれで作詞と歌を担当し、9月から10月にかけてレコーディングを行った。
 歌詞は「同じ痛みを抱えたなら一緒に悩めばいいさ ばらばらになったピースをもう一度集めよう」「出口の見えないこのコロナ禍 楽しめることなどこの頃なかった このままではなくまたここから 笑顔に変えてくこの物語」など、コロナ禍を一緒に乗り越えようと呼びかける歌詞になっている。
 車いすで生活しているラッパーのラージ・Tさん(41)は「情報が交錯する中で、コロナと共存する時代を生きていく方法を見つけようとの思いを込めた」と解説。彦根出身でシンガーのSAYALAさんは「子連れで近くの公園や施設にも行けず、もやもやする中でも未来に向けて変わっていこうと思った」と語った。田中さんは「皆さんからいただいたありがとうを音楽で返そうとの思いで作った。たくさんの人たちに捧げるエールになれば、うれしい」と話した。
 歌は1021秒。ユーチューブは「EPMT2018」で検索か添付のQRコードで閲覧できる。

2021年11月12日金曜日

彦根食品衛生協会が大学生協マンションで弁当を無料配布

 コロナ禍で食事に苦労している大学生を支援するため、彦根食品衛生協会は1029日、長曽根南町の大学生協マンションで弁当を無料配布した。
 同協会は彦愛犬1市4町の飲食店や食品を扱う事業所など計約530人が加盟。昨年の創立70周年時に用意していた事業費を活用し、コロナ禍でアルバイト先での収入が減るなどしている一人暮らしの学生向けに弁当の配布を企画した。
 同協会の20社が近江牛など地元食材を使って和洋中の20種類の弁当を作り、計580食用意。キリンビバレッジ滋賀工場も飲み物を提供した。聖泉大学に50食を事前に配った後、滋賀大学と滋賀県立大学の学生向けに530食を準備し、訪れた学生たちに会員たちが配布した。
 同協会の法村賢仁会長は「学生たちの生活費や食費の削減は切実な悩みと聞いている。地元食材を使ったおいしい弁当を味わってもらえたのでは」と話していた。県立大学環境科学部3年の本谷匠さん(21)は「料理を作るのはあまり得意ではないので、弁当がもらえたのはありがたい」と語っていた。

2021年11月9日火曜日

彦根保護区更生保護ネットワーク協議会バラ専用の花壇を手作りで設置

 彦根保護区更生保護ネットワーク協議会は平田町の市福祉センターの建物沿いにバラ専用の花壇を手作りで設置。10月23日に完成式を開いた。
 同協議会は犯罪や非行をした若者らの更生を目的に活動している彦根保護区保護司会や彦根地区更生保護女性会などで構成。さまざまな課題を抱える者の居場所として花壇作りを企画し、会員約30人が9月15日から1週間ほどかけ、レンガ400個、ブロック30個などを使って奥行き80㌢×幅約2㍍と幅3㍍の花壇を製作。2月から鉢植えで育ててきた18種類のバラの苗計20株を植えた。
 完成式には彦根保護区保護司会の平田敦之会長(58)=平田町=ら会員約20人と、育て方を指導したバラ愛好家の木村仁美さん(53)=開出今町=が参加。平田会長は「バラを育てながら会員同士で親睦を深めていくことができたら」と話していた。バラは11月中旬をはじめ、年に4回ほど咲くという。

2021年11月7日日曜日

大橋悠依選手への彦根市市民最高栄誉賞の授与式「ひこにゃんと共に」

 大橋悠依選手(26)に彦根市市民最高栄誉賞を授与する表彰式が市役所の特別応接室で開かれ、ひこにゃんに祝福された大橋選手は「これからもひこにゃんと共に頑張っていきたい」と笑顔で話した(大橋選手の金メダル獲得と同賞受賞を祝福する特集記事を2~4ページに掲載しています)。
 彦根市は、大橋選手が東京五輪の競泳女子200㍍と400㍍の個人メドレーで金メダルを獲得したことを受け、新たに同賞を創設した。
 表彰式では和田裕行市長が「改めて金メダルの獲得おめでとうございます。本当に感動を頂いた。これからもキングオブスイマーとして頑張ってほしい」とあいさつ。表彰状とトロフィーを受け取った大橋選手は「このような名誉な賞を頂き、ありがとうございます。たくさんの応援が自分の力になり、このような成績を残せたと思う」と礼を述べた。
 その後、ひこにゃんと原作者のもへろんさんが登場し、もへろんさんはこの日のために作ったという大橋選手とひこにゃんが抱き合う絵を持参し、プレゼントした。ひこにゃんと記念撮影をした大橋選手は「かわいい」と言いながら笑顔を見せていた。
 
「自己ベスト更新が目標」
「将来は彦根のスポーツ振興にも」
 表彰式後の記者会見で本紙の山田貴之記者の「今後の目標は」の質問に、大橋選手は「来年5月には世界水泳選手権がある。選手としては自己ベストを更新すること、そして水泳を心から楽しみ、それを応援してくださる方々に伝えていきたい。自身の経験や知識が役立つことがあれば、滋賀県や彦根市のスポーツの普及・振興にお力添えをしたいとも思っている」と答えた。
 ひこにゃんに対しては「きっと来てくれると思っていた。五輪の時もひこにゃんの靴下をはいていた。近くで触れ合えるのはレアなのでうれしい」と笑顔を見せた。
 大橋選手はこの後、母校の市立佐和山小学校や東中学校を訪問し、子どもたちと交流した。

金メダルを獲得した大橋悠依選手称え彦根駅西口に金色のゴールドポスト設置

 東京五輪の水泳競技で金メダルを獲得した大橋悠依選手(26)を称えるため、彦根駅西口ロータリーに金色のゴールドポストが設置。10月19日に大橋選手が出席して除幕式が開かれた。
 内閣官房東京オリンピック・パラリンピ
ック推進本部事務局は日本郵便と協力し、「ゴールドポストプロジェクト」と題して金メダリストの出身地に記念のゴールドポストを設置している。今年中に全国各地の70カ所に設ける予定で、3カ所目となった彦根市には大橋選手の「多くの市民の皆さんに利用してほしい」との希望で井伊直政公の銅像前に設置された。
 ゴールドポストは幅81・2㌢×高さ1㍍20㌢×奥行き56㌢。除幕式には大橋選手、和田裕行市長、彦根郵便局の松阪馨局長らが出席。除幕後、大橋選手は「たくさんの人にこのポストを利用してもらえたらうれしい」と述べ、その後の記者からの「手紙を出すなら誰に出すか」との質問には「仙台市にいる大学時代の友人に出したい」と話していた。
西口ロータリーへのゴールドポストの設置に伴い、近くにある従来型のポストは近く撤去される。

2021年11月3日水曜日

維新の躍進と野党共闘の失敗

 衆院選の結果の注目点は「与党の絶対安定多数の維持」や「立憲民主党が公示前から議席を減らしたこと」よりも、日本維新の会の躍進である。
 公示前と比較した主要政党の議席数は、自民が276→261、公明が2932、立憲民主が109→96、共産が1210、国民民主が8→11、そして日本維新の会が1141と大幅に議席を増やした。
 日本維新の会は地盤の大阪で候補を擁立した15選挙区で全勝し、与野党の著名な政治家をも下した。近畿以外でも関東や東海、九州で一定の比例票を獲得し、自民、立憲民主に次ぐ第3の勢力に躍り出た。
 この原因としては、新型コロナ対策で大阪の吉村洋文知事の言動が連日報道されていたこともあるが、小生はそれ以上の原因があると分析する。その1点目は与野党の各政党が「成長」や「分配」を唱える一方で、日本維新の会はそこに「身を切る改革」を取り入れたことである。コロナ禍で国債の発行による財政出動はやむを得ない中でも、やはり有権者の間には「財源」を危惧する思いが無意識としてあり、そこに改革というキャッチフレーズが有権者に妙に入り込んだ。
 つまり、政党や候補者が給付金や支援金という名の「甘いニンジン」をぶらさげるだけでは、有権者はそう容易く誘いに乗らなくなっているということに、そろそろ気づく必要がある。
 原因の2点目は「野党共闘」である。立憲民主、共産、社民、れいわは20項目の共通政策に合意し、国民民主を加えた5党が全国217選挙区で候補者を一本化した。しかしふたを開けると、その中心政党の立憲民主と共産が公示前から議席数を減らす結果に終わり、全体的に見て野党共闘は失敗に終わった。
 野党共闘の失敗の要因は▽立憲民主の支持母体の連合が共産党との連携に反対していたこと▽外交安保や天皇制といった日本という国家における重要政策が異なること―などにある。そして最大の失敗要因は、これまでにも小生が何度か指摘してきたが、政党や政治家にとって根幹にある思想信条(民主主義・社会主義・共産主義)が異なる政党同士による共闘は、まさに同床異夢の状態であり、自民党政治を打破するだけという魂胆を有権者は見透かしていると断言できる。
 つまり、日本維新の会が躍進した要因は野党共闘から距離を置き、独自政策による第三極の選択肢を設けた戦略にある。「自公もだめだけど、野党共闘もおかしい。それ以外を」の有権者の無意識を含めた思いをうまくくみ取ったというわけだ。
 岸田政権にとっては、新型コロナ対策や経済政策をはじめ、台湾を巡る米中の対立など国内外における問題が山積みである。躍進した日本維新の会、地味ながらも微増した国民民主党、野党共闘の失敗で議席を減らしたものの、社会的弱者に対しては良き政策がある立憲民主党や共産党の各野党の政策も取り入れて頂きたい。【山田貴之】

自民・上野氏 圧勝の5選 得票 全市町で田島氏上回る

 衆院選は1031日に投開票された。自民党前職の上野賢一郎氏(56)と立憲民主党元職の田島一成氏(59)が初めて一騎打ちで戦った滋賀2区では、上野氏が選挙区内の全市町で勝利し、8万3502票を獲得して5選目を果たした。田島氏は出身地の彦根で敗北するなど2万票近くの差を付けられ、比例復活も果たせなかった。
 
「暮らしと経済を進める」
上野氏、国政での活躍誓う
 
 長浜市の上野氏の事務所では、投票が締め切られた午後8時に早々と「当選確実」と報道されると、大きな拍手と歓声に包まれた。
 万雷の拍手に迎えられ事務所入りした上野氏は「与野党一騎打ちの大変厳しい戦いを勝ち抜くことができたのは、コロナ禍の大変な中で皆さんにお力を頂戴したおかげです」と繰り返し感謝の言葉を述べた。
 コロナ後の社会活動や経済活動の推進のため、地域の中小企業、農林水産業、医療・介護・保育の現場の支援を約束し、地元では国道8号線の彦根バイパス、スマートインターチェンジ(SIC)、河川整備など「暮らしと安全、経済活動の基盤となる事業を進め、地域の皆さんが安心して暮らせるようにこれからも努力していきたい」と語った。
 「大勢の皆さんのお力添えで5回目の当選を果たせたが、当選は一つのプロセス。この任期の間に、上野を国政に送って良かったと思ってもらえるよう仕事をしっかりして結果を出す。それが私の使命」と気を引き締めた。
 上野氏が田島氏と対決するのは4回目だが、一騎打ちは初めて。野党勢力を結集して統一候補として挑んできた田島氏に対する危機感は強く、地元でのインフラ整備など与党政治家としての実績を掲げて「結果を出してきた」とアピール。また、安全保障政策が異なる立憲民主党と共産党の選挙協力を批判してきた。さらに田島氏のお膝元の切り崩しを狙って彦根市内で精力的に活動し、選挙期間中には和田裕行彦根市長と動画配信サイトで「コラボトーク」を行うなど新しい選挙手法を模索しながら支持を広げた。
 
「現職の強みと元職の弱み」
田島氏、比例復活もかなわず
 午後8時に上野氏の当確の報道が流れると、高宮町の田島氏の選挙事務所内ではスタッフから驚きの声があがった。
 田島氏は午後8時25分ごろ、選挙事務所に松葉づえ姿で登場。用意されたステージ上に登壇し「4年前の選挙とは雰囲気が違うとの思いで、元気よく、気持ちよく戦えた」と12日間の選挙戦を振り返りつつ「この負けを重く受け止め、これからの活動の道をどう開いていくのかを考えたい。本当に申し訳なく思う」と深々と礼をした。
 記者陣からの「敗因は」の質問に、田島氏は「現職の強みと元職の弱みが出た。(上野氏は)インフラの整備など地域への貢献をアピールし、評価されたのだろう」と分析。当選した上野氏に対しては、財務省の公文書改ざん問題にふれ「財務副大臣も務めたのだから、都合の悪いことにはふたをせず、国民に説明された方が良いと思う」と求めた。
「政治生命をかけた戦い」と位置付けていた衆院選で比例復活も叶わず敗れた田島氏。「最後の覚悟で戦ったが、私一人では決められないこと」と、今後の去就については明言を避けた。
 
上野氏彦根で初勝利
 上野氏と田島氏とのこれまでの戦いでは、選挙区内のうち田島氏の出身地の彦根市内で上野氏が上回ることはなかったが、今回は初めて上野氏が256票上回った。
 選挙戦中、上野氏の陣営は「彦根で初の勝利」を目標に掲げ、河野太郎氏や野田聖子氏ら著名な政治家の応援演説を彦根市内で実施。選挙戦最終日には彦根を重点的に回るなど精力的に選挙活動していた。
 また上野氏は出身地の長浜市で1万4000票余りの大差をつけた。
 
投票率は彦根微増
 衆院選の投票率は県全体で5733%と、前回の5632%から微増。彦根市は5455%(前回5069%)で、市では東近江市2区と4区、湖南市に次いで下から3番目だった。犬上郡は豊郷5456%、甲良5872%、多賀6660%、愛荘町が5602%だった。第2選挙区全体では5693%(前回5580%)。投票日の有権者数は26万3110人、投票者数は14万9792人だった。
 
【滋賀2区の開票結果】
当 83502 上野賢一郎 自民前
  64119 田島 一成 立民元
 
  【市町別の得票数】
上野氏   田島氏
彦根 24737 24481
長浜 34484 20204
東近江 2986  2530
米原 10399  8296
市計 72606 55511
愛荘  5077  3945
豊郷  1808  1309
甲良  1830  1453
多賀  2181  1901
町計 10896  8608
惜敗率       76787
 
【比例代表(彦根市開票区)】
政党    得票数
 
自民党   16985
立憲民主党 10475
日本維新の会 9234
公明党    4185
共産党    3005
れいわ新選組 1872
国民民主党  1798
社民党     735
NHK党    706
(小数点以下を略)

2021年11月2日火曜日

彦根かるた巨大版製作、屋内外のイベントで使用

 彦根かるたの巨大版が完成し、15日に市役所屋上の展望スペースでお披露目会が開かれた。
 製作したのは、四番町スクエアで毎年5月と11月にマルシェを催している「三九三九(さくさく)ひこねマルシェ実行委員会」。昨年11月のマルシェではコロナ禍だったため、屋外でも楽しめるレクリエーションとして、巨大将棋と巨大オセロを作ったところ、来場者の人気を集めた。そして巨大版の新たなアイテムの一つとして、彦根市内の子どもたちに馴染みがある彦根かるたに着目。発泡スチロールのデコパネ素材で、絵札、読み札共に1枚が通常の約20倍のA3判で作った。
 お披露目会には同実行委員会代表の國嶋理恵さんと広報担当の沼波洋子さん、天晨堂の細江正人さんと細江恵子さんが出席。展望スペースに絵札が並べられ、沼波さんが読み手を務め、記者陣を交えて彦根かるた取りを楽しんだ。
 
無料貸し出しも
イベントに登場
 11月3日に四番町スクエアで開催するマルシェや、11月6日に荒神山公園である「ひこねいろクイズラリー」など今後のイベントで出展されるほか、依頼があれば学校や公民館に無料で貸し出す。
 國嶋さんは「子どもたちに楽しんでもらうことで、郷土愛を育む一助にばればうれしい」と話していた。問い合わせは沼波さん☎080(3032)5584。
 ※【彦根かるた】彦根青年会議所の彦根少年少女ふるさと研究友の会育成会が昭和581225日に製作し、天晨堂内の郷土資料刊行会が発行、八ツ波印刷所(岡町)が印刷を担当。「いろは松 土佐の産湯を あびてくる」の「い」から、「摺鉢の 茶屋と大杉 望湖堂」までの47句と「彦根に学び 彦根に育つ ふるさと研究の会」の「彦」を加えた48枚ずつの絵札と読み札で構成。絵札の表には、彦根の歴史的な名所や建造物、景観、人物、名産などが描かれ、裏には歌の下の句が書かれており、百人一首のように遊べる。読み札の裏側にはその歌についての解説が記載されている。夢京橋キャッスルロードの石畳には彦根かるたのレリーフが敷き詰められている。
 

2021年10月30日土曜日

衆院選、上野賢一郎候補と田島一成候補にインタビュー③

滋賀彦根新聞社は滋賀2区に出馬している上野賢一郎候補と田島一成候補にインタビューを実施。最終3回目の今回は滋賀2区での実績と課題について質問した内容を紹介する(以下、敬称略)。
 
(上野候補)
インフラ整備と世界遺産推進
 
 ―彦犬地区、米原、長浜の今後について
 上野 さまざまあるが、一つはインフラ整備。特に彦根市は渋滞が激しい場所が多い。昭和40年代に計画された国道8号線の彦根バイパス計画はここ数年で大きく前進させることができた。今年度中には整備する場所を示すことができる。多賀のスマートインターチェンジは来年度の完成を目指している。彦根インターから古沢に抜けるトンネル工事も令和6年度に終える。市民の皆さんや観光客、湖東地域で働く製造業の皆さんの利便性にもなる。彦根城の世界遺産登録も実現に向けて後押ししたい。
米原バイパスは令和7年度に完成する予定。湖北は治水対策が遅れていたが、3年前に県が河川整備計画を策定。姉川、高時川、天の川などの河川整備に必要な予算がとれるように相当な力を入れていきたい。
 ―東海圏から観光客を招ける政策を
 上野 まずはJR東海との関係をより良いものにしたい。中京圏から彦根、米原、長浜へのルートで人が移動する流れを作っていければいい。コロナが落ち着けば、インバウンドという問題が出てくるため、セントレア空港を使って呼び込むルート設定が必要になる。

(田島候補)
人口減少対応と琵琶湖再生
 
 ―滋賀2区の課題は
 田島 一番大きな課題は人口減少。特に湖北は空き家や高齢者だけの集落が増えてきた。その代わり、シカ、サル、イノシシ、クマの存在が際立つようになってきた。彦根の隣の甲良町も過疎の対象になりつつある状況。一朝一夕で解決できる問題ではないが、地元の首長や議員と相談しながら、具体的な人口増、更には持続可能な街を守るための手立てを考えていかなければ。
 ―米原や長浜の湖北の課題は?
 田島 河川整備など社会資本整備は遅れている地域だと感じている。気候変動に伴って、災害が大規模化、突発型しており、滋賀でも河川の氾濫があった。決してひとごとではないため、リスクのある地域の河川については早めの対策が必要だ。
 ―ほかに進めたい政策は?
 田島 国道8号線の彦根バイパスがこの4年間、1㌢も進んでいない。滋賀国体を控えて主要幹線の整備は必要なため、強力に予算要求をしたい。4年前に琵琶湖保全再生法を議員立法で作った。琵琶湖に国からの財政支援を呼び起こすための恒久法だが、この4年間は予算が上乗せされていない。

2021年10月29日金曜日

衆院選滋賀2区上野・田島両候補へインタビュー②

19日に公示した衆院選の滋賀2区には、自民党前職の上野賢一郎候補(56)と、立憲民主党元職の田島一成候補(59)が出馬している。滋賀彦根新聞社は公示前、両候補にインタビューを実施した。前号からの続きを紹介する(以下、敬称略)。
 
(上野氏)
コロナ禍支援に大規模予算
 
 ―連立を組む公明党の公約に18歳以下に一律10万円相当を給付するとある
 上野 この選挙が終わり、再び自公政権になれば公明党の考えもしっかりうかがう。生活に困窮されている方、子育て世代、非正規雇用の皆さんを念頭に色んな現金給付を考えるべきというのが公明党の考え。困っていらっしゃる方にどのように手を差し伸べるかは、非常に大事な政策課題のため、しっかりと議論して、具体的な形にしたい。
 ―今後の新型コロナ対策は?
 上野 引き続き、新型コロナ対策は最優先の課題。菅政権では特にワクチン接種をがんばっており、世界でトップクラスのスピードで接種が進んでいる。県市町のご尽力のたま物だが、接種希望者には11月前半に2回目を完了する目標でやっている。第5波が急速に収まっている背景には医療現場の皆さんのご尽力や国民の皆さんが自粛をして頂いたというのがあるが、ワクチン接種の効果も非常に大きく、重症化や亡くなる方の割合が少なくなっている。第6波が来てもこれまでと状況は変わると思うし、第6波を乗り越えると日常の仕事、暮らしを取り戻すことに大きく近づくと思う。
 ―新型コロナによって打撃を受けた地方経済への支援は?
 上野 大企業は法人税収が上がっていて、製造業を中心に景気回復しているが、中小企業や小規模事業者、特に観光関係、飲食関係の皆さんは本当に厳しい状況に直面している方が多い。そのような皆さんをどのように積極的に応援していくか、しっかり考えたい。選挙が終われば、大規模な補正予算を組み、業種を問わずに困っている中小企業の事業の継続ができる環境を整えたい。
 ―憲法改正については
 上野 憲法改正がなかなか前に進まないが、国民の生活の基本部分にも関わるので、安全保障の問題を含めて議論した方が良い。どのような改正をするかは各党で色んな考えがあると思うため、必要があるものは実現していけば良い。
 
ジェンダー平等や再エネ推進
 
 ―公約にある消費税5%への引き下げ理由は
 田島 民主党政権時代に消費税を8%に引き上げた。社会保障を支えていきたいという思いからだが、これだけ経済が冷え切って、消費が落ち込んでいる中で、消費税が重くのしかかっているという声が多くある。恒久的に5%にするのではなく、コロナ禍に入る前の経済状況に戻るまでという時限的な形で、まずは消費税を5%に引き下げて消費を支えていこうというのが私どもの考え。
 ―引き下げる分の財源は?
 田島 国が借金をして補てんするしかない。それをしないと、低迷している経済を一段階上げる位置まで持っていけない。国が責任を持って将来への不安を払拭(ふっしょく)させるため国債を発行してでも支えるしかない。
 ―社会的弱者の視点に立った政策が多いが
 田島 弱い立場の人たちの権利がないがしろにされてきた事実を振り返ると、子ども、障害を持つ人、ジェンダー平等社会やLGBTQの当事者、すべての人が差別をされない権利保障の法制度の整備が時代の要請としてもあるのではないか。
 ―原発への考え方は与党と違うが
 田島 二酸化炭素を削減し、排出量をゼロに近づけていくカーボンニュートラルを実現させるという目標は政党や国に関係なく進めていかなければいけない。自然エネルギー、再生可能エネルギーを基本とした、それぞれの地域の特性に応じた分散型のエネルギーを中心に据えて広げていきたい。太陽光発電が不適切な地域もあれば、風力発電が向かない地域もある。地域の特性を把握したうえで、どの再生可能エネルギーを持ってきたらよいのか、という調査研究がまだ日の目を見ていない。例えば、滋賀ならば山があり、琵琶湖があり、風もある、こうした自然の資源を十分に把握した再生可能エネルギーの開発に取り組みたい

2021年10月27日水曜日

河野太郎氏と蓮舫氏が衆院選滋賀2区で応援演説

 衆院選の滋賀2区に出馬している自民党前職の上野賢一郎候補(56)と、立憲民主党元職の田島一成候補(59)を応援するため、各党の著名な弁士が23日、彦根市などで演説した。
 
「コロナ後の新しい日本を」
 自民党広報本部長の河野太郎氏はパリヤ前で上野候補の応援演説を行った。
 河野氏は新型コロナ対策について、国民の1回目の接種が4分の3、2回目が3分の2終えているとした上で「来るかもしれない第6波を小さくするためにワクチン接種に協力して頂きたい」と求めた。
 コロナ後については「新しい日本を作っていかなければならない」とした上で「コロナ禍の中で進んだテレワークを日本中に広めたい。大都市ではなく地方で仕事ができ、自宅で介護をしながらも仕事ができるようになる。都市で働くのと同様の所得で働けるため地方に若者が戻ってくることもできる」と説明。日本経済新聞の調査で全国10万人以上の自治体のうち、彦根市がテレワークに適した都市で1位だったことにも触れ「彦根に多くの若者が戻ってきてもらえる」と述べると、観衆から拍手が沸き起こった。
 河野氏は、上野候補が財務副大臣や国土交通大臣政務官、党財務金融部会長などを務めてきた実績をあげながら「日本はコロナ前に戻るのではなく、新しい日本経済を作っていきたい。要職を務めてきた上野候補はその経済を引っ張っていく存在だ」と支持を求めた。
 
「まっとうな政治取り戻そう」
 立憲民主党代表代行の蓮舫参院議員はパリヤ前で田島候補の応援演説を行った。
 蓮舫氏は衆院選後に岸田政権が大型の補正予算を組む意向を示していることに「経済を回す重要性を否定しないが」とした上で「観光以外の農業への支援も必要だ。原油高によって日常の生活が壊れている中、経済よりもまず国民の生活にお金を使うべきだ」と論じた。
 自民党と連立を組む公明党が18歳以下の子どもに一律10万円の支給を公約に掲げていることもあげ「皆さんの税金を使うことになる。なぜ選挙の前に実施しないのか。真っ当な政治を取り戻そう」と呼びかけた。
 森友学園を巡る財務省の公文書改ざん問題については「何が起こったのかを検証する必要がある。嘘をつかない政治を」と指摘。また蓮舫氏は、岸田首相が金融所得課税の強化に慎重姿勢を示しているとした上で「大企業ほど内部留保が多くある。それを大学に行けない子どもがいる世帯や、年金だけで暮らしていけない人たちに分配する政治をする」と述べた。
 最後には「国会に緊張感を持たせるため、これまでの傲慢な政治に判定をしてほしい。命と暮らしを守る政治をもう一度、取り戻そう」と支持を求めた。

 

2021年10月23日土曜日

衆院選滋賀2区候補者インタビュー①、コロナ対策・経済・地域振興は?

 19日に公示した衆院選の滋賀2区には、自民党前職の上野賢一郎候補(56)と、立憲民主党元職の田島一成候補(59)が出馬している。滋賀彦根新聞社は公示前、両候補にインタビューを実施。新型コロナ対策や経済対策、滋賀2区での実績と課題などについて質問した内容を次週に分けて紹介する(聞き手・山田貴之、以下敬称略)。
 
【上野賢一郎候補】

中小企業の所得増へ「分配」
 
 ―岸田新政権に対して
 上野 前の菅政権では新型コロナ対策を最優先で取り組み、デジタル庁を創設した。岸田政権になって、ベテランから若手までが一致結束して、これまで以上に全党一致の体制で色んな難しい課題に挑戦していく。
 ―岸田首相が掲げる成長と分配とは
 上野 安倍政権と菅政権は成長戦略に力を入れてきたが、儲かっている大企業の内部留保がたまっているという指摘がある。しっかりと働く人たちや取引先の中小企業に還元することで、所得が増え、新しい消費につながって更なる経済成長につながる、という流れが分配の意味。
 ―国民が直接感じとれる分配とは
 上野 例えば、コロナ禍で大変な仕事をしている介護や保育など福祉の現場の方はなかなか給与の水準が上がらない。公的価格の中で給料が支給されているためだが、現場で働いている皆さんの賃金や給料をもっと引き上げていくというのが一つある。あと、最低賃金1000円を目標にしているが、それを引き上げる方法もある。大企業と中小企業との関係を見直すことによって、中小企業や小規模事業者の皆さんも所得の向上ができる。所得の向上をどうやって図るかを、しっかり考えて政策として打ち出したい。
 ―野党は消費税率の引き下げを公約に掲げているが
 上野 日本は諸外国に比べて消費税に対してセンシティブな考えがあるため、悩ましいが、政府与党の立場からすると、消費税を一律下げるよりも、本当に苦労されている方や困っている方に給付金をしっかり届けるやり方がいい。
 
【田島一成候補】

コロナ対策「臨時医療施設を」

 ―新型コロナ対策は?
 田島 ワクチン接種や検査体制の拡充、医療現場のひっ迫の解消など誰もが望むべきことをやってもらわないと困る。緊急事態宣言が解除になって、新規陽性者数も落ち着きを見せているこの時期の体制整備が求められる。昨年春、日本は春節の観光客が引いてから緊急事態に入った。他国のニュースが入っていたのだから、対処しようと思えばできたのに、経済の欲をかいたがゆえに感染拡大のきっかけを作ってしまった。やはり水際防止の充実が何より大事。検査にも思い切った踏み込みが出来ていなかった。陽性であることを知らずに日常生活で感染を拡大させてはならないため、検査体制を整える。自宅療養をした患者が亡くなる事案をこれ以上起こさないためにも臨時の医療施設を都道府県単位で建設できる体制を整えたい。
 ―コロナ禍の地方経済対策は?
 田島 ためらうことなく、きちんとした支援策を充実させたい。アフターコロナに経済を動かそうという時に、肝心のエンジン部分の経営主体者が疲弊し、店を閉じている状態では動かせるものもない。厳しい状況にある中小零細、飲食業の方々にきちっとした補償や支援をすることで、持ちこたえてもらう財政的な施策が最優先。
 ―岸田政権の「分配」に対しては?
 田島 総裁選で金融所得課税に言及していたため、ようやく手を付けるようになったなと、他党ながら淡い期待を持った。ところが総裁になった途端、トーンダウンし、いつのまにか否定するようにもなった。これは分配という部分の意識が薄らいだと、がっかりしている。(次号へ続く)

2021年10月16日土曜日

衆院選滋賀2区は自民前職と立憲民主元職の一騎打ちに

 19日告示31日投票の衆院選を控え、滋賀第2選挙区では立候補を予定している自民党前職の上野賢一郎氏(56)と立憲民主党元職の田島一成氏(59)が事務所開きや決起集会を行うなど選挙戦に向けて本格始動した。
 彦根、米原、長浜などを選挙区とする滋賀2区は1996年の公選法改正で同選挙区が誕生して以来、3~4人で1議席を争う選挙戦が展開されてきたが、今回は初めて一騎打ちの構図となる見込み。政権与党の自民・公明と、立憲民主と共産を軸とする野党との直接対決となり、県内4選挙区の中でも特に注目を集めている。田島氏は2003年から3回連続で選挙区を制しているが、2012年以降は上野氏が3連勝している。
 
新型コロナ対策「最優先」
自民党・上野賢一郎氏
 上野氏は10日に戸賀町で事務所開きを行い、国会議員や県議、市町議、首長らが出席した。
新型コロナ対策について上野氏は「ワクチン接種は世界でもトップクラスで進んでおり、感染者病床の確保にも努めている。今後も最優先の課題として、しっかりと対策を講じていきたい」と述べた。
 この4年間については財務副大臣、国土交通省政務官として経済政策や中小企業対策に取り組んできたことを振り返り、「『結果を出す』をモットーに、経済政策や国土強じん化などに力を入れてきた」とした上で、彦根バイパスや多賀のスマートインターチェンジ、米原と長浜の治水対策を進めてきた実績を説明。彦根城の世界遺産登録や国スポ・障スポに向けた整備にもふれ「彦根をはじめとした湖東地域が元気になるようにがんばりたい」と語った。
 対抗馬が野党統一候補のため「与党対野党の一騎打ちになるが、自民公明がタイアップして政策を訴え、信頼して頂けるように最大限努力していきたい」と支援を求めた。
 選対本部代表の細江正人県議は、前回4年前の選挙の滋賀2区で彦根だけが539票差で対抗馬に負けたことをあげ「彦根でいかに票を積み上げるかが大事になる。自民・公明対立憲民主・共産の反自公かの政権選択の選挙になる」と説明した。
 
「国民の命と暮らしを守る」
立憲民主党・田島一成氏
 田島氏は9日にパリヤ前の街頭演説会、高宮町の彦根事務所で決起集会を開き、同党最高顧問で元首相の野田佳彦氏が応援に駆けつけた。
田島氏は先月27日に事務所で転倒して左足を骨折し、今月8日に退院。松葉づえ姿で「入院は初めての経験だったが、医療従事者の皆さんの苦労を日々、目にしてきた」と語った。
新政権に対しては「首をすり替えても政治の流れは変わらない。内閣支持率を見ても国民が辟易としていることは明らか」と批判。「国民の命と暮らしを守るには政治の力が必要。この4年間は臥薪嘗胆し、捲土重来を期してきた。私にしかできない政策があり、それに全力であたりたい」と支持を求めた。
野田氏は鶏卵業者から元大臣への贈賄や統合型リゾート(IR)参入を巡る汚職事件、金銭授受疑惑がある甘利明氏の幹事長就任にふれ「権力は続くと腐敗する。トップを変えても何も変わらない。真の政権交代しかない」と力を込めた。新型コロナ対策について野田氏は「総額
73
兆円の経済対策のうち3割が使われていない。コロナで地べたをはいつくばっている人、弱っている人、困っている人への政治が必要だ」と説明。アベノミクスなど経済対策については「輸出業者はもうかったが、国民みんなにその恩恵がない。格差是正の政治が求められている」と力説した。
 
両氏の彦根事務所
 上野氏の彦根事務所は戸賀町100-50。☎(47)5303。
 田島氏の彦根事務所は高宮町1751-1。☎(47)3270。

2021年10月11日月曜日

スタントマンが交通事故の場面を再現スケアードストレイト教室稲枝中学校で

 スタントマンが交通事故の場面を再現しながらその恐ろしさを教える「スケアードストレイト教室」が6日、彦根市立稲枝中学校のグラウンドで開かれた。自動車と自転車が衝突する場面では衝撃音が響き、生徒たちから驚きの声があがっていた。
 JA共済連滋賀とJA東びわこが映画などのアクションコーディネート会社「倉田プロモーション」(大阪市)の協力を得て実施。稲枝中は生徒の9割が自転車通学で、交通量の多い道路や見通しの悪い細い道路などがあるため、登下校時に車と自転車との接触事故が起こっており、今年度も稲枝中学校区で2件発生しているという。
 稲枝中の教室には同社の女性を含むスタントマン5人とスタッフ2人が来校。MCの吉田奈央さんの司会で、全校生徒286人と教職員23人、彦根署員を前に、走行する車と自転車との出会い頭での衝突、トラックと自転車の巻き込み、傘差し運転の自転車と歩行者との接触などの事故を再現。「一人ひとりの命を守るために交通ルールを順守して」と自転車の安全運転を呼びかけた。
 生徒会長の鈴木功さん(14)は「正しい自転車の乗り方を僕たちが意識し、その輪を広げていきたい」と話していた。

党議拘束・会派拘束と中国共産党政権

公共施設のひこね燦ぱれすの図書館化を巡り、彦根市議会の最大会派・公政会が「会派拘束」をかけた上で採決にのぞんでいた。これまでにも何度か会派拘束を耳にしてきたが、今一度、その意義と必要性を確認する。
 大辞林によると、拘束とは①捕らえて、行動の自由を奪うこと②行動や判断の自由を制限すること―とあり、政治などの舞台では②の意味を言う。国政においては政党内での「党議拘束」との言葉もある。つまりは思想信条が同一の議員が集まった政党や会派が、政局を左右する際などの重要な政策に関して、その賛否を同一にするために制限をかけることを党議拘束または会派拘束と呼ぶ。
 しかし、民主主義国家における我が国において、党議拘束や会派拘束という言葉を耳にするたびに違和感を抱くのは小生だけではないだろう。
 「行動や判断の自由を制限する」行為は最近で言うなら、香港の民主化運動を中国共産党の一党独裁のもとに策定された「法律」(香港国家安全維持法)による強制力と、それに伴う暴力において抑え込んだ中国共産党の体質と共通する。民主化を呼びかけるマスコミや学生運動の中心人物らを相次いで逮捕し、その行動と判断の自由を制限した愚行は記憶に新しい。ミャンマー国軍のクーデターによる政権も同質である。
 
踏み絵のごとき慣習

 しかしながら日本国内において党議拘束は通例化し、国会への法案提出前に与党の事前審査で決定し、衆参両議員に対し党議拘束をかけている。2005年の小泉純一郎首相による郵政選挙では党議拘束違反者を公認しない行為が話題にもなった。その後も暗黙のルールのように続いてはいるが、近年では党議拘束を疑問視する声が国政でもあがっている。先の自民党総裁選でも河野太郎氏が「党議拘束を全部にかけるのはやめた方がいい」と語っていた。この潮流は地方議会でも同様の指摘ができる。
 いわば、党議拘束および会派拘束は民主主義国家の政治の舞台で残る、踏み絵のごとく自由なき慣習だと言え、時にその違和感を共通認識として抱きつつも、政治の世界においては例外として利用されている。
翻って、彦根市議会をはじめとする地方議会における会派拘束だが、「行動や判断の自由を制限する」との観点からすれば、その発動は不要である。政局の安定等を目的とした国政の慣習に倣うのではなく、地方議会では今後、会派内でその規定および概念を無くす努力を求めたいものだ(紙面では「伝家の宝刀」等の文言を使い、会派拘束の発動を認める形の表現でしたが、その後、会派拘束は地方議会で不要だとの結論に至ったため、ネット版では後半部分を一部修正しました)。【山田貴之】

2021年10月8日金曜日

体調不良の高齢者助けた彦根市立南中学校の4人に感謝状

 下校途中に体調不良の高齢者を助けた彦根市立南中学校3年生の4人に、彦根署は感謝状を贈った。1日に校内で贈呈式があり、4人は感謝状を手に笑顔を見せていた。
 4人は井崎翼君(14)、岩本太生(たいせい)君(14)、澤田信矢(しんや)君(15)、西村結翔(ゆと)君(14)。4人と彦根署によると、今年7月17日午後0時半ごろ、4人がハンドボール部の練習を終えて自転車で下校していたところ、苦しそうにしながらよろよろと歩く女性(当時75)を発見。20㍍ほど通り過ぎたところで「戻ろう」との思いが合致し、女性にみんなで「大丈夫ですか」と声をかけた。
 
熱中症に水購入し対処
役割分担「助かって良かった」
 この日は気温30度を超える暑さだったため、女性は熱中症のような症状のほか、認知症もあったため道に迷った様子だった。4人は小学校からの同級生で気の合う間柄。とっさの判断で、井崎君と西村君が女性の証言をもとに自宅を探す役、澤田君が世話をする役、岩本君が警察などに電話をする役に分かれて行動した。そのうち西村君は近くの自動販売機で水を購入し、女性に飲ませたり、首元を冷やしたりしたという。結局、女性の自宅はわからなかったが、4人は申し訳なさそうにする女性に「コロナ大変ですね」などと話しかけながら世話をし続けた。
 女性を探していた親族は午後1時ごろに彦根署に連絡。4人からの連絡もあったため、約20分後に女性を親族に引き渡すことができた。
 西村君は「おばあさんが助かってくれて本当に良かった。人助けのいい経験にもなりました」、岩本君は「僕たち一人ひとりの良い所が今回の行動にも出た。チームワークで効率よく対処できた」、井崎君と澤田君は「女性が助かって、僕たちもうれしい」と話していた。
 4人に感謝状を渡した羽田賢一署長は「人は一人では生きていけないということを中学生の皆さんが教えてくれた。小さい子どもや高齢者らを助ける心を持って、これからの人生を歩んでほしい」と語った。

2021年10月5日火曜日

城東小学校の5年生旧港湾で外来魚駆除の釣り体験

 彦根市立城東小学校の5年生44人が9月28日、尾末町の旧港湾で外来魚駆除のための釣りを体験した。
 環境学習の一環で行い、県水産試験場(八坂町)から児童全員分のさおとワームなど釣り具を借りた。児童たちの中には初めて釣りをする子もいて、何匹も釣り上げる友だちや担任の先生に、エサのミミズの付け方や、捕った魚の外し方などを教えてもらいながら、魚釣りを楽しんでいた。旧港湾には外来魚を釣り上げる児童たちの喜びの声があがっていた。
 釣った外来魚は約2時間の間に児童全員でブルーギルを中心に約6㌔で、その場にあった回収ボックスに入れて処分された。今後、児童たちは外来魚駆除をはじめ琵琶湖の環境保全をテーマにしたポスターを作成していく。
 児童の音田菜々子さん(10)は「初めての釣りだったけれど、楽しかった。これからも釣りをする兄に教えてもらいながら、琵琶湖のために外来魚をどんどん釣っていきたい」と話していた。

2021年9月26日日曜日

仏生寺みそ鳥居本地区公民館で販売

 彦根市鳥居本地区の住民手作りの「仏生寺みそ」が今年も製造を終え、10月3日に鳥居本地区公民館の駐車場で販売される。
 仏生寺町の信行寺で坊守を務める佐々木広子さん(80)が考案した商品。仏生寺みそと命名し、地元住民の団体・鳥居本お宝発見隊が2008年から開催している「とりいもと宿場まつり」の開催会場で、翌年の2回目から販売してきた。
 代表の小野隆さん(74)=仏生寺町=が育てる米のキヌヒカリ、佐々木さんが摘んだ山椒(さんしょう)、彦根市内で収穫された大豆を使って、2月から5月にかけて製造し8月末に完成させている。きび砂糖を加えているため、ピリ辛の山椒に甘さが感じる味が特徴だ。ごはんや野菜、コンニャクなどにつけるとおいしい。
 例年は毎年10月に開くとりいもと宿場まつりの会場のみで販売し、発売直後に売り切れる人気商品になっている。新型コロナの影響で昨年に続き、今年も中止を決めたが、仏生寺みそのみ販売することにした。
 小野さんは「鳥居本の名物を多くの市民の皆さんにも知ってほしい。色んな食材に合うので味わってもらいたい」と話している。100㌘の小瓶が500円、160㌘の大瓶が800円。計2000個用意。10月3日午後1時~同4時。事前予約制だが、余れば当日や10月のひこねで朝市でも販売。問い合わせは副代表の高橋邦男さん(70)☎090(4303)1429。

立花町の空き店舗にテイクアウトのピザ店・湖cоm.オープン

 彦根市立花町の空き店舗に18日、テイクアウトのピザ店「湖cоm.(ココム)」がオープンした。
 店主は市内在住の宮下美奈子さん。小麦アレルギーのある子どもたちにも食べてもらおうと、小麦の代わりに米粉を使ったグルテンフリーのピザを提供する。店名の「cоm」には共に、一緒にという意味があることから、宮下さんは「地元の皆さんと一緒にがんばっていこうとの思いを込めた。あっさりとした味わいのため子どもから高齢者まで食べやすい味だと思う」と来店を呼びかけていた。
 直径20㌢。ツナコーン、マルゲリータ、シーフードなど6種、税込み680円~1000円。営業日は木曜~日曜と祝日の午前11時~午後5時。問い合わせは同店☎080(6183)4687。

2021年9月22日水曜日

須山裕子さんの作品パリのアートフェアへ出展

 彦根市立花町を拠点に創作活動をしている画家の須山裕子さん(43)=神奈川県川崎市=の作品が、10月にフランスのパリで開催されるアートフェアに出展される。
 須山さんは神話や伝説上の生き物などを濃淡さまざまな色彩のアクリル絵の具で抽象画を描くアーティスト。
 パリのアートフェアはルーブル美術館から地下通路で直結する大型商業施設で1022日から24日まで開催される「Salon Art Shopping Paris」。世界中のさまざまな分野のアーティストが出展する国際色豊かな芸術展で、ルーブル美術館の学芸員、学術機関の教員、マスコミ、出版関係者らが観覧する。国内外の展覧会運営を行っている一般社団法人ジャパンプロモーション(東京都渋谷区)が須山さんら国内の芸術家を選出した。
 須山さんは「王神と馬」「最後の審判」「地水火風空と色」など5点を出展する。本紙の取材に「出展できることは、自分の心の色で『見るすべてが変わること』を海外の方にも伝えていくチャンスだと思っています。多くの方の心の彩りが見られることを楽しみにしています」とコメントした。

2021年9月17日金曜日

彦根地域の企業の景気状況・彦根企業景況等調査、多業種が新型コロナの影響受ける

彦根商工会議所は今年4月から6月まで(第1四半期)の彦根地域にある企業の景気状況を把握するため「彦根企業景況等調査」を実施し、その結果を公表。新型コロナの感染拡大の影響がさまざまな業種で出ていることがわかった。
 コロナ禍による地域経済への影響を数値で示そうと、稲枝商工会管内を除く彦根商議所会員の建設業、製造業、卸小売業、飲食業、サービス業の計242社を対象に調査票をメールまたはファクスで配布。
 「売上高」「採算」「仕入単価」「販売単価」「従業員」「業況」「資金繰り」の7項目について、今期の状況として①前年同期と②前期(今年1月~3月)とを、次期(今年7月~9月)の見通しとして③前年同期と④今期とを―比較しての回答を求めた。ほかに▽原材料価格の上昇▽事業資金の借入難▽従業員の確保難▽需要の停滞など「経営上の問題」や、▽後継者の確保・事業承継▽資金繰り改善▽感染防止対策▽新商品・新製品の開発▽新分野・異業種への進出▽自社ブランドの強化PRなど「支援を求めたいこと」などもたずねた。
 
景況DI値マイナス
「需要停滞で売上減」
 
 7割にあたる171社から回答があり、各質問に対して増加・好転・上昇・過剰と回答した企業数の構成割合から、減少・悪化・低下・不足と回答した企業数の構成割合を差し引いた値「DI」(ディフュージョン・インデックス)で報告した。
 その結果、市内企業の今期のDIは前年同期と比べてマイナス16・3ポイントと悪化しているが、次期についてはマイナス10・6ポイントと少し良くなる見通し。業種別のDIはサービス業が3・2ポイントと好調、製造業が0ポイント、建設業・卸小売業・飲食業がいずれもマイナス20ポイント以上だったが、業種別の次期のDIはサービス業が同マイナス6・7ポイントと悪化し、製造業が5・4ポイント好転、建設業・卸小売業・飲食業は同3~18ポイントマイナス幅が縮小する見通しだ。
 「経営上の問題点」としては、最多が「需要の停滞」でコロナ禍による売上減を問題とする企業が多かった。次に「原材料価格の上昇」「従業員の確保難」が続いた。「支援を求めたいこと」としては「自社ブランドの強化・PR」が全体の40%と全業種で多く、「新商品・新製品の開発」と「新分野・異業種への進出」が全体の27%だった。
 彦根商議所は今回の調査結果を県や彦根市、ハローワークなどに報告し「企業の経営環境の改善に向けた政策に反映してほしい」としている。今後も四半期ごとに報告する。

2021年9月13日月曜日

ひこね燦ぱれす図書館として活用で市長「概算として数十億円のコスト削減」

 彦根市は8月30日の定例会見で、小泉町のひこね燦ぱれすを解体せずに図書館として活用する意向を正式に発表した。和田裕行市長は図書館を新築した場合と比べて「感覚的な概算として数十億円のコスト削減が見込める」と述べた(本紙8月21日付参照)。
 市は図書館整備基本計画で、現在の図書館を北部館、河瀬・亀山地区に中央館、稲枝地区に南部館、燦ぱれすを含むエリアに建設中の市スポーツ・文化交流センター内のまちなか交流棟に図書コーナーを整備。蔵書数を北部館が現在の12万冊、中央館が15万冊、南部館が5万冊の計画だった。まちなか交流棟には児童書や雑誌、漫画など約1万5000冊を収める計画だったが、燦ぱれすの図書館化計画により、今後はまちなか交流棟の図書コーナーを無くし、冊数も少なくする予定。燦ぱれす内の蔵書数について、市は「未定」としている。
 前市長時代には中央館を亀山学区の清崎町に整備する方針が決まったが、和田市長は当選後の本紙のインタビューや市議会で白紙または延伸を表明していた。清崎町への図書館整備に関し、和田市長は会見で「中央館という呼称(位置づけ)は変わるかもしれないが、市の財政が改善した時には再び整備向けて進めたい。3館体制か4館体制かを含めて検討していく」と語った。燦ぱれすに図書館を整備する方針が示されたことで、市は今後、市図書館整備基本計画を見直す。
 
代替駐車場 民有地購入で確保
清崎の調査費減額や設計変更 提案へ
 前市長時代は燦ぱれすを解体し、約130台分の駐車場を整備する計画だった。その代替として市は燦ぱれす北側の民有地(田畑)を今後、購入する案を示した。市スポーツ・文化交流センターの総事業費は87億6000万円。そのうち燦ぱれすの解体と駐車場への造成、外構工事が約2億円だが、解体しなかった場合は用地買収と造成、外構工事で約2億円と変わらない見込みだという。
 また燦ぱれすに図書館を整備した場合、国の補助金が2分の1活用できる。図書館を新築した場合と比べて、和田市長は他市の事例を参考にした概算として、新築だと25億円~30億円かかるため、「ゼロから建設した場合よりも、最大で数十億円程度の削減が見込める」と話している。
 市は、設計の修正費用(1509万円)、清崎町に予定していた図書館の調査委託業務の減額補正(マイナス1127万円)、今年度以降の債務負担行為補正として、図書館整備のための調査検討業務の追加(1245万円)、解体しないことに伴う債務負担行為の廃止(1億0324万円)などを盛り込んだ補正予算案を9月議会に提案する。

鈴木はなさんキャラクター展パリヤで ポップコーンちゃんなど

 彦根市立旭森小学校の特別支援学級に通う5年生の鈴木はなさん(11)=正法寺町=考案のキャラクター展が、4日からパリヤで開かれている。
 はなさんは幼稚園児の時からイラストを描くのが好きで、小学生になってからは食べ物や生き物を擬人化したキャラクターも描いてきた。今年5月には母親の鈴木裕子さん(49)が勤務する福祉施設「NPОぽぽハウス」(彦根市平田町)が、はなさん考案の「ポップコーンちゃん」を使ったTシャツを愛荘町の障害者施設と共同で開発。本紙など新聞各紙が取り上げて人気商品になった。
 パリヤは7月10日からポイントに応じてポップコーンちゃんTシャツを提供する取り組みを開始。反響が大きかったため、はなさんの作品展を企画した。
 
はなさん 好物を擬人化
母「娘の思い感じてほしい」
 
 展示作品ははなさんが園児の時から昨年末まで描いた、ポップコーンちゃんなどの原画のコピー10点。そのうち「カエルちゃん」はさまざまな表情や動作をする16匹のカエルを描いている。「やきいも」は遊んでいた公園前を通った焼きいも屋から購入してほおばるまでのストーリーを自身に似せた女の子で表現。「マリオ」にはマリオのゲームに登場する約80体のキャラクターが登場している。
 ほかに「ケチャップちゃん」「ホットケーキちゃん」「イチゴケーキちゃん」など、はなさんが好きな食べ物のキャラクターも見られる。裕子さんは「言葉で表現しにくい娘が何を考え、思っているのか、この絵を見て感じてもらえたらうれしい」、父親の邦雄さん(49)は「来店者の皆さんが楽しんでもらえたら、娘も喜ぶと思う」と話していた。展示場所はエスカレーター横の通路沿い。

山田貴之 記者が滋賀大学で講義、取材・インタビューの仕方と記事の書き方を教える

 彦根商工会議所青年部は、大学生たちがSDGsに関する取り組みを進める企業に出向くインターンシップの事業を企画。7月6日には滋賀大学彦根キャンパスでインターンシップにのぞむ学生たち向けの取材およびインタビュー講義があり、小生はその講師として学生たちにアドバイスした(写真は青年部提供)。
 学生は滋賀大生22人、聖泉大生3人、流通科学大生1人の1~4回生。小生はまずインタビューの「心得」として▽謙虚な姿勢▽聞き上手で▽知ったかぶりをしない▽(学生・新人のうちは)的外れを恐れるな―などと助言。そしてインタビューの「手順」として、事前準備の大切さや質問の具体的な仕方などを解説し、ロールプレイングの体験の時間も設けた。
 学生たちからは「記者がほかの記者をすごいと思う時は?」「緊張しないために心がけることは何か」などさまざまな質問もあった。最後にまとめとして「インタビューや取材は先方のためだけでなく、新たに知識を得るという点で自分自身のためにもなる」などとアドバイスした。
 今後、学生たちは今月下旬から10月初旬にかけてインターンシップにのぞみ、各企業のSDGsを見つけていき、10月中旬に最終成果を報告。最終的には図鑑にまとめて公表する予定だ。このすばらしい取り組みに小生として今後も引き続き協力していきたい。

 小生は9月3日、滋賀大学彦根キャンパスで「記事の書き方」をテーマに講義をした。7月6日の「取材の仕方」に続く2回目の講義だったが、学生たちの熱心にメモをとる姿が印象に残った(写真は提供)。
 学生たちは、彦根商工会議所青年部が企画したインターンシップ事業に参加している滋賀大学などの約25人。7月の1回目の講義後、各企業に分かれてSDGsの取り組みを取材し、記事(原稿)を完成させるため、この日の講義にオンラインと学内に分かれて出席した。
 小生はまず「記事の役割」について解説した後、「リード文の重要性と書き方」「読者に読んでもらうためのコツ」「見出しのつけ方」などをアドバイス。学生からは「主観的な考えを記事の中に入れるコツはあるのか」などの鋭い質問もあった。
 学生たちが仕上げる原稿は企業ごとに掲載され、今年度中に図鑑(冊子)として発表される予定である。学生たちがどのような記事に仕上げてくるのか、楽しみにしている。【山田貴之】



2021年9月10日金曜日

小泉町でサトイモに花咲く

 彦根市小泉町の畑で地元住民たちが育てているサトイモに花が咲いた。サトイモに花が咲くのは珍しいらしく、住民たちからは「何か良いことがあるかも」との声があがっている。
 小泉町の65歳以上の約100人が所属している団体「小泉町安心・安全・助け合いパートナー」(通称・SSP)は一昨年11月、約100㍑の大きな釜を使って、町内の子どもたちを招いての「芋煮会」を開催。多世代が参加し、大盛況だったという。
 そのため自前の材料で芋煮を作ろうと、昨年春に約9平方㍍の不耕作地を借りてサトイモ作りを開始。老人会の老泉クラブと小泉紅かぶらの保存活動などをしている八王子クラブを加えた3団体で、サトイモを作ってきた。昨年の芋煮会は新型コロナの影響で中止だったが、今年も春に子イモを植え、住民16人がローテーションで水やりなど「人海戦術」で世話をしてきた。
 中心になって世話をしてきた北川章さん(76)が8月27日に、1株の中央部に長さ約30㌢の先のとがった黄色い花が咲いているのを発見。その後、つぼみを含め4本が開花し、別の1株もつぼみが育った。
 SSP会長の川嶌順次郎さん(86)は「私も長年、個人的にサトイモを作っているが、花は咲くことはなく、びっくり驚いている。とても珍しいことなので、感服している」と話していた。
 JA東びわこによると、サトイモに花が咲くのは小規模な家庭菜園で10年に1度ほどのペースであるといい、東南アジアが原産のため、日照時間が長かったことも要因にあるのでは、としている。

にじのはしスペイクリニック多賀診療所が開院

 猫の繁殖を制限する手術を専用車内で行う「スペイクリニック」が8月28日に多賀町に開院し、彦根市内などの野良猫の手術が行われた。
 地域での野良猫の増加に伴い、さまざまなトラブルに巻き込まれたり、施設に収容されて殺処分されたりする猫もいる。
 彦愛犬で猫の避妊手術の活動をしている団体・多賀にゃんと、人と猫犬とが寄り添う生活の実現を目指している団体・びわ湖わんにゃんマルシェ実行委員会は、野良猫の生息数を抑制して殺処分ゼロを目指そうと「びわ湖ハッピーにゃんずプロジェクト」と題して、繁殖制限の手術を進めている。今年2月14日には彦根城内や市立図書館の周辺で捕獲した野良猫15匹を対象に、岐阜市の動物病院から獣医師らが専用車で文化プラザに訪れ、車内で順番に不妊、去勢手術を行った。
 
彦根など野良20
多賀にゃんが実施
 多賀にゃん代表の西崎美樹さん(56)は多賀の自宅の一角に3年前、里親を待つ猫を預かる店舗をオープン。そして、繁殖制限の手術を定期的に行うため、自宅の敷地内にストックヤードと駐車スペースを新設。岐阜の動物病院名にちなみ「にじのはしスペイクリニック多賀診療所」と名付けた。
 この日は事前に捕獲した仏生寺町など彦根市内の18匹と犬上郡内の2匹を対象に順番に手術が行われた。資金は「どうぶつ基金」を活用。原則、県内の野良猫が対象で、毎月第4日曜日に開院する。
 西崎さんは「何年後かには飼い主不明の猫、殺処分される猫たちが減少し、同時に人も猫もハッピーに暮らせるまちづくりを目指したい」と話していた。問い合わせは多賀にゃん☎090(5240)7675。

 

2021年8月31日火曜日

くらふとらぼ大橋悠依選手の快挙祝い新イラストを採用ひこにゃんスイムキャップ9月1日に発売

 彦根市平田町の縫製業「くらふとらぼ」は、東京五輪で金メダル2個を獲得した大橋悠依選手の快挙を祝い、ひこにゃんの新しいイラストを採用した「ひこにゃんスイムキャップ」を開発。9月1日に発売する。
 ひこにゃんの新しいイラストは大橋選手の快挙に合わせた特別バージョンで、水着姿のひこにゃんが描かれた金メダルの上に横たわるひこにゃんがデザインされている。
 くらふとらぼでは大橋選手への祝福ムードを継続し、さらに盛り上げていける商品作りを企画。また、新型コロナの影響で気軽にプールに行ったり、水遊びができない中、新型コロナが落ち着いたころに
水泳などを楽しんでもらおうと「スイムキャップ」を開発した。
 伸縮性の生地に工房でひこにゃんのイラストを転写して製造。ひこにゃんや彦根藩井伊家にちなみ、朱色と黄色の兜(かぶと)カラーと白色の2種類。チャイルドサイズとレディースサイズがあるが、縦横に伸び縮みするため大人の男性でもかぶれる。税込み1200円。くらふとらぼのネットショップなどで販売。
 代表の磯嶋美樹さん(50)は「このキャップをして練習し、大橋選手に続く優秀な選手が出てきてくれたらうれしい。子どもから大人まで利用してほしい」と話していた。問い合わせはくらふとらぼ☎(49)2512。

2021年8月29日日曜日

レート白粉 田中嘉蔵商店の建物解体

 彦根市城町1丁目にあった「旧田中嘉蔵商店」の建物が23日までに解体され、旧城下町から貴重な文化財がまた1軒なくなった=店舗の建物は読者提供。
 旧田中嘉蔵商店は旧下魚屋町にあり、「レート白粉 田中嘉蔵商店」と右から左に書かれたレトロな看板が特徴だった。レート白粉は明治11年ごろから昭和29年ごろまで経営の化粧品メーカー・平尾賛平商店が販売していた白粉(おしろい)。市文化財課に建物の詳細な記録はないが、城下町彦根を考える会の資料によると江戸時代の建物とされる。市民によると、今月中旬から数日の間に解体されて更地になった。
 建物があった敷地前の江戸時代後期の長屋10戸は、市が昨年度から今年度にかけて所有者7人から購入し保存活用する。
 一方で、今回の旧田中嘉蔵商店のように旧城下町に残る文化財的に貴重な建物の解体は後を絶たない。財政的に厳しい行政による保存活用が困難な中、民間や各種団体と連携しながらの対策が急がれる。