2019年3月23日土曜日

彦根市新年度予算案否決 不信任決議案は否決

 20日に再開した彦根市議会2月定例会では冒頭で大久保貴市長への不信任決議案が提出。議員24人のうち17人が賛成したが、4分の3に1票満たずに否決された。また新年度の一般会計予算案は賛成少数で否決され、市は暫定予算を今月28日開会予定の臨時議会に提案する方針。新年度予算案の否決により、市民生活に影響が出るのは必至で、現市政の混迷の深刻さを露呈させた。
 新年度の一般会計予算案は賛成5、反対18の大差で否決された。ほかの60議案は可決された。
 採決前の討論には9人の議員のうち7人が新年度予算案を取り上げ、夢みらいの小川喜三郎議員が賛成の立場から、北川元気、辻真理子、和田一繁、獅山向洋、山内善男、谷口典隆の6議員が反対の意見を述べた
。採決では夢みらいの小川、赤井康彦、矢吹安子、夏川嘉一郎の4議員と公政会の安居正倫議員のみの賛成で、ほかが反対した。
 新年度予算の否決を受け、市議会閉会後の記者会見で大久保市長は、4月から7月までの義務的経費のみの暫定予算を来週開会予定の臨時議会に提案する考えを示した。
 会見で、市長は「市民生活に影響が出ないよう、行政がしっかり機能する予算を組みたい」と述べた。暫定予算には政策的な予算が盛り込まれないため、市は夏までに開催されるイベントや新しい市民体育センターの整備、小学校校舎の増築などに影響が出る可能性を示唆。6月議会に政策的な事業を含めた本予算を提案するとした。
 花火大会中断や井伊直弼公奉告祭中止、舟橋聖一顕彰廃止など見直し事業について、市長は「まずは関係者が協議の場を設けて、課題を共有するのが大事だ」と述べた。
 辞職の考えについて、市長は「大変、深刻に受け止めている。事業を進捗させることで信頼関係を築いていきたい」と語り、「市税を使って市長選をし、事業を停滞させてはいけない」と辞職を否定した。

 不信任決議案の採決では賛成17、反対6、退席1で、成立する出席議員(24人)の4分の3には1人差で届かず、否決された。
 不信任決議案は最大会派の公政会代表の西川正義議員が提出。庁舎耐震化の裏合意問題について「一連の不祥事で約20億円の負担増となり、事の重大性を市長としていかにお考えか」、彦愛犬の広域ごみ処理施設の建設候補地が白紙濃厚となったことには「1市4町の市民、町民の思いを無下にした管理者の責任は到底許すことができない」、新年度予算案に対しては「市長はどこに舵をとろうとしているのか、全く市民に聞こえてこない」と指摘。「即刻、退陣されることが最良の選択であることを申し上げる」と批判した。
 討論では不信任決議案に反対の立場から夏川嘉一郎議員、賛成の立場から獅山、山田多津子、辻真理子の各議員が登壇。そのうち夏川議員は「彦根大花火大会の中断は、大草原にいるネズミ1匹が通ろうとしているようなもの」と述べた。これに対し獅山議員は「花火大会は今年で70回を迎える予定で、多大な経済効果を生むイベントであり、ネズミ1匹ではない」と反論した。
 一人が退席した後に行われた記名投票形式の採決では、夢みらいの4人と公政会の2人が反対票を投じ、否決された。反対した公政会の小菅雅至議員は本紙の取材に「これ以上、市政を混乱するべきではないと判断した」と話した。
 ▽賛成=辻真理子、獅山向洋、北川元気、谷口典隆、安藤博、奥野嘉己、野村博雄、和田一繁、上杉正敏、中野正剛、山内善男、山田多津子、杉原祥浩、長崎任男、安澤勝、西川正義、馬場和子
 ▽反対=夏川嘉一郎、小川喜三郎、赤井康彦、矢吹安子、小菅雅至、安居正倫
 ▽退席=八木嘉之(以上敬称略)。

 市議会閉会後、今期で市議を引退する安藤博議長があいさつ。新年度予算案の否決にふれ「今後、市は暫定予算を組むことになり、市民の皆様にご迷惑をおかけしますが、ご理解いただきたい」と説明。また庁舎耐震化の裏合意問題を受けての百条委員会の開催などを振り返り「まさに市政の異常事態であり、市政運営を正常に戻すために努めてきたが、来期に持ち越すことになり誠に残念で、悔しい気持ちでいっぱい」と述べた。
 市長に対しては「不信任決議は否決となったが、市長には重く受け止めて頂きたい。そして予算を一刻も早く組んでほしい」と求めた。

彦根大花火大会の中断に歌手の西川貴教さんツイッターで「話だけでも聞いて下さい」

 彦根大花火大会の中断を彦根市が発表したことに対し、滋賀県出身で歌手の西川貴教さんが16日にツイッターで「話だけでも聞いて下さい」とつぶやいた。
 市は、国体主会場整備に伴う駐車場や送迎バスの運行など受け入れ体制と警備員の確保が困難だとし、花火大会を中断すると発表。その後、市議会の予算委員会などで市議の反発を受けて、補助金の交付を中断すると修正した。
 この花火大会の中断報道を知った西川さんは、自身が県内で開催しているイナズマロックフェス(今年は草津で9月21、22日)をあげ「この状況イナズマに預けてもらえないですかね?これまでもイナズマの派生イベント開催のお願いを彦根市や商工会議所に何度も突き返されてきました。話だけでも聞いて下さい。県民の皆さんが最優先です」とツイート。
 市民らは西川さんのツイートをツイッターやフェイスブックなどSNSで取り上げ「花火大会がない夏は寂しい」などと開催を求める声が広がっている。
 一方で、彦根市内では西川さんのツイートと並行する形で、民間団体らが花火大会の開催に向けた組織を立ち上げる動きも見られる。
議会では緊急質問
 今年度の一般会計補正予算案など8議案が18日の市議会に提出されたが、市長の提案説明後、辻真理子議員が花火大会に対する市の正確な答弁を求め緊急質問を行った。
 市は今議会の一般質問の答弁などで「花火大会を中断する」と答えていたが、市議の反発を経て「補助金の交付を中断する」と変更。これに対し辻議員は予算常任委員会で開催に含みをもたせる答弁もあったことをあげ「3つの答弁が存在しており、結局のところ花火大会は開催するのか」「実行委員会で開催が決まった場合、市は協力するのか」などと質問した。
 市の担当部長は「答弁が異なり、お詫びする」と謝罪したうえで「補助金は出さない。議会終了後、すぐに実行委員会に集まってもらい、開催するかしないかは実行委員会で決定される」と返答。市の協力体制については「清掃や事務的なものなど人的な支援はできる」と答えた。

2019年3月22日金曜日

不信任決議と辞職勧告決議

 議会が首長の資質などを問題視し、退任を求める場合に出される。辞職勧告決議には法的効力がなく、昨年6月21日に彦根市議会へ提出された同案は否決された。
 一方で、不信任決議は地方自治法に規定された制度。議員の3分の2(彦根市議会の場合16人)以上が出席し、そのうち4分の3以上が賛成すれば可決となる。その場合、首長は可決の通知日から10日以内に議会を解散しなければ失職する。彦根市議会で不信任決議が出された場合、議事録が残っている平成9年(1997)以降では初めてとなる。
 今議会でも数人の市議がこれまでの「失政」を取り上げたうえで、市長に責任をとって辞する考えを質したが、市長は「事業を継続させるのが責任」と辞任を否定している。
 不信任案が可決され、市長が辞職または失職した場合、職務代理者から5日以内に市選管へ通知があり、50日以内に市長選が行われる。

2019年3月18日月曜日

侍サイクルがPay it forward(ペイフォワード)開始

 彦根市中央町の自転車店「侍サイクル」は4日から、他人の分の費用を多めに支払う「Pay it forward(ペイフォワード)」のサービスを始めた。
 ペイフォワードは、他人から受けた親切を別の人へつないでいく意味。2000年の米国の映画「ペイフォワード」の上映以降に世界的に広まり、スターバックスでは「次の人のためのコーヒーを」と来店客が次の客のために余分に支払う行為がブームになった。
 侍サイクルは以前の場所から店を移す際、サービスの拡充を目指したクラウドファンディングを昨年末に実施。支援者への返礼品に工賃のサービスチケットがあったが、何人かの支援者から「ほかの人にチケットを使ってほしい」との寄付が2万円分あった。そのため同店はペイフォワードの仕組みを活用し、寄付のあったお金を経済的に苦しい学生や、自転車でビワイチをしている旅人など向けの修理やメンテナンスの工賃にあてた。
 来店客から希望があれば、ペイフォワードのサービスをすすめる。支援する金額は自由。「親切」を受け取る学生ら向けに1000円券と2000円券も作った。
 店長の目片貞明さん(44)は「ほかのお客さまからの親切を受け取った学生や旅人などの皆様も、いつかどこかで誰かに親切を与えてつなげていってほしい」と話している。問い合わせは同店☎(26)3626。

2019年3月16日土曜日

中田芙紗さん彦根市のマンホール拓本

 全国各地のマンホールのふたを拓本に採っている中田芙紗さん(83)=奈良県宇陀市=が5日、彦根市民会館で市のマンホールを写しとった。
 中田さんは約40年前に米国文学を研究する夫に同行し、米国の思想家らの墓碑銘を拓本にしたのを機に関心を持ち、帰国後の40代後半から各地の墓碑などの拓本を始めた。70歳の時に自宅近くのツツジが描かれたマンホールに興味を抱いて以降、全国各地を巡って創作活動をしており、これまでに100カ所以上の作品を仕上げた。中田さんの夫が、旧彦根藩士とされる中田貞矩(さだのり)の末えいだといい、以前からゆかりのある彦根のマンホールの拓本を望んでいた。
 彦根のマンホールのふたは直径約65㌢で、現在のデザインは市制施行50周年の1987年に採用。中央に大きな市章、その周りに小さな市章、周囲に市の木の橘の花を配置している。
 松煙(しょうえん)にオリーブ油を入れて湯煎して溶かした後、藻草を混ぜて墨を作製。綿に絹をかぶせた大きさの異なるタンポをその墨につけ、マンホールにあてた上質の和紙に押し付けながら仕上げていく。彦根での作業には上下水道部の倉庫に保管されている予備のマンホールを活用。市民会館のギャラリー内で午前10時半から午後1時半まで実施し、計3点を完成させた。
 中田さんは「マンホールのふたは色んな種類があって、各地域の特色がわかっておもしろい。彦根のは特に橘の花の部分が好き」と話していた。

2019年3月14日木曜日

金城小学校の児童たち市無形文化財の大藪おどり体験

 彦根市立金城小学校の児童たちが5日、市無形文化財の大藪おどりを体験した。
 大藪おどりは江戸時代初期に子どもの成長や豊作、大漁を祈願するため、お盆や祭りなどの時期に地元住民たちが踊ったのが始まりだとされる。かつては10種類以上の踊り方があったが、現在は手ぬぐい、傘、手の各踊りが伝えられている。1972年(昭和47年)に大藪おどり保存会が結成され、93年に市無形文化財になった。
 金城小では社会科の「のこしたいもの、伝えたいもの」の授業で地元の大藪おどりについて学習しており、毎年その中で地元団体の大藪おどり保存会のメンバーを招いて踊りを体験。
 10回目の今年は同会代表の尾本博司さん(69)ら12人が来校。そろいの赤色の法被姿となり、3年生95人に大藪おどりの歴史や使う楽器などを紹介し、踊り方を教えた後、児童たちは一人ずつ手ぬぐいを持って踊りを体験していた。
 児童の一井瑞希さん(9)は「ステップが少し難しかったけれど、コツをつかめば楽しく踊れました。機会があれば、また踊りたいです」と笑顔を見せていた。

2019年3月11日月曜日

彦根市シティプロモーション戦略案が完成しパブリックコメント

 彦根市民がまちへの魅力を感じ、市内外への発信につなげるための「彦根市シティプロモーション戦略」案が完成し、戦略策定委員会の上田洋平委員長らが2月26日に大久保貴市長に報告した。市は市民への意見を求めるパブリックコメントを28日から行っている。
 市は昨年7月に市民向けアンケートを行い、回答のあった302人からの彦根の特徴として▽彦根をほかに推奨したい気持ちや、まちづくり活動に参加したい意欲が低い▽彦根への愛着があり、まちづくりをしている人への感謝・応援の思いが強い―ことを把握。
 また公募市民40人の市民ワーキング会議が昨年8月から12月まで計6回実施。会議での議論とアンケート結果などを踏まえ、戦略策定委員会が作成した案では、さまざまな団体が各事業に一緒に取り組む「協働」、市民がまちの魅力発信を積極的にできる「環境づくり」、市民の取り組みで変化した様子やまちの魅力を市内外へ届ける「情報発信」の3本柱のサイクルを提起。このサイクルを回していくことで、課題の推奨や参画意欲が向上するとしている。
 市は来年度に彦根市シティプロモーション市民会議(仮称)を設置するほか、さまざまな市民が集う「彦根未来フェス」(仮称)を開催。2020年度以降にまちづくりに取り組む市民の熱い思いを伝えていく「地域の熱伝導士」(仮称)の育成や市民への発信力強化講座の開講などをしていく。
 また市民ワーキング会議では、市の木の橘をモチーフに、「ヒコネ」を根にイメージしたロゴマークも作成した。
 同案は市のホームページのほか、市シティプロモーション推進課、情報公開コーナー、支所・出張所で公開。3月22日まで意見を募集している。問い合わせは同推進課☎(30)6143。

キリンビール滋賀工場 見学ツアーのコースに発酵工程が体感できるコーナー新設

 多賀町のキリンビール滋賀工場は「一番搾り」の工場見学ツアーのコースをリニューアルし、ビールの発酵工程が体感できるコーナーを新設。3月1日からツアーを再開した。
 2010年に全面改築して以降、来場者数は昨年12月20日に30万人となった。同社のビールのおいしさの秘密を体感してもらおうと、見学コースのうち発酵工程の約41平方㍍をリニューアル。工事に伴って2月の見学ツアーを休止していた。
 来場者が液晶画面に両手でしずく型を作って投影すると、酵母や炭酸ガス、アルコール、糖の4種がアニメーションで映し出される仕組みで、酵母が糖を分解し、アルコールと炭酸ガスを生み出す工程が体感できる。初日の1日には29人が来場。そのうち名城大学2年の山岡美聖さん(20)=名古屋市=は「いつもは何気に飲んでいるビールですが、新しくなった発酵コーナーをはじめ製造工程を知ることができ、これからは思い出しながら飲みたい」と話していた。
 滋賀工場ではキリンビバレッジと合わせて、工場見学を受け付けている。見学後には試飲会もある。参加無料。問い合わせは滋賀工場のホームページか☎(48)2810。

彦根商工会議所会頭を務めた永昌堂印刷会長の北村昌造さん死去

 彦根商工会議所の会頭を務めた永昌堂印刷会長の北村昌造さんが2月28日に亡くなった。83歳だった。3日に通夜、4日に告別式が営まれた。
 通夜には企業や行政の関係者ら約500人が参列。喪主で永昌堂印刷社長の北村修久(のぶひさ)さんは「地域の皆様に長年にわたってお世話になり、心よりお礼申し上げます」と述べた。葬儀委員長は平和堂会長の夏原平和さんが務めた。
 北村さんは2001年11月から13年10月まで彦根商議所会頭を務め、滋賀経済同友会代表幹事や滋賀県印刷工業組合理事長なども歴任した。11年2月に市功労者表彰を受賞している。

 生前の北村さんは商工関係でご尽力されたほか、2007年3月から11月まで行われた彦根城築城400年祭の実行委員会と、08年6月から10年3月まで開催の井伊直弼と開国150年祭の実行委員会の会長も歴任。築城400年祭に合わせたキャラクターを選考する際、応募のあったイラスト10点のうち絞られた2点から06年2月にひこにゃんを選んだのが、北村さんと当時市長で現市議の獅山向洋氏でした。
 10年10月にひこにゃんファンクラブが発足すると会長に就任。ひこにゃんの誕生日イベントの際にプレゼントする役目が北村さんで、以降も海外出張に同行するなど、ひこにゃんの成長を見守られていました。
 16年4月に天守前で行われたひこにゃんの10歳の誕生日で、北村さんは「10年後にひこにゃんは20歳になります。引き続き、応援をよろしくお願いします」と話され、20歳を一緒に祝いたいように感じました。
 小生にも公私の場でお声かけ頂き、今後もあの穏やかなお姿を忘れることはありません。心よりご冥福をお祈りいたします。        (山田)

2019年3月7日木曜日

ミシガン州立大学連合日本センターの学生たち大江戸吹雪の舞を体験

 彦根市松原町のミシガン州立大学連合日本センターの学生たちが2月26日、井伊直弼の開国への思いをうたった民謡「大江戸吹雪」の舞を体験した。
 大江戸吹雪は1960年(昭和35年)10月にレコードが発売。直弼の開国の決断や桜田門外の変など直弼の生涯をうたった歌詞で、「男の魂ここに見る 彦根の城の天守閣」で締めくくられている。2008年に彦根市内であった井伊直弼と開国150年祭を機に結成された市民団体・直弼のこころを伝える会(小田輝子会長)の「大江戸吹雪を広め隊」が、市内小学校や公民館などで大江戸吹雪の歌詞の解説や舞を教える活動をしている。
 同センターのベンジャミン・マクラケン所長が彦根青年会議所の会員時代に大江戸吹雪を知り、米国の学生たちにも舞を体験してもらおうと同隊に協力を依頼。この日は馬場和子隊長ら3人が井げたと橘の紋が入った朱色のかみしもを着て来校し、「日本の文化と社会」の講義を受講する学生15人に大江戸吹雪を教えた。
 馬場隊長が歌詞について説明し、3人で舞を披露した後、学生たちは3班に分かれ、かみしもを身につけ、扇を手にしながら大江戸吹雪の歌に合わせて振り付けを習っていた。イースタン・ミシガン大学3年生のクリスタル・スレートンさん(21)は「直弼については彦根ではいい印象だけど、(安政の大獄で)全国的にはまだ悪い印象が多いと聞いています。大江戸吹雪の舞は難しかったけれど、練習したら何とかできると思います」と笑顔を見せていた。
 学生たちは今後も練習し、4月19日の修了式で舞を披露するという。

2019年3月6日水曜日

国際総合競技大会ワールドマスターズゲームズ(WMG)2021年に関西地域で開催、彦根市実行委員会が設立

 生涯スポーツの国際総合競技大会「ワールドマスターズゲームズ(WMG)」が2021年に関西地域で開催されるのに合わせて、彦根市実行委員会が設立。21日に四番町ダイニングで総会が開かれた。
 WMGはおおむね30歳以上なら誰でも参加できる競技大会として、オリンピック・パラリンピックの翌年に開かれており、1985年のカナダ・トロントを皮切りに世界各国で4年に1回開催。10回目はアジア地域初、広域初となる関西13府県政令市で2021年5月14日から30日まである。
 公式の35競技59種目、オープン17競技が行われ、主催のワールドマスターズゲームズ2021関西組織委員会は150カ国・地域以上から大会最多の5万人(うち国外2万人)の参加者を目指している。
 滋賀県内では彦根市で10㌔ロードレースがあるほか、6市でホッケーや野球、ソフトボール、カヌー・ボートが開催。ロードレースは開催日が5月23日で、松原町のミシガン州立大学連合センターをスタートし、湖岸沿いから彦根城内を経由、近江高校第2グラウンドをゴール地点にしたコースで調整される。予定参加者数は900人で、うち国外が540人。30歳以上から70歳以上までの男女計10のカテゴリー別に表彰される。
 彦根市実行委員会の設立総会では、彦根市や彦根商工会議所、市陸上競技協会、市スポーツ推進委員競技会などの代表者らの委員20人が出席。関西大会のマスコットキャラクター・スフラやひこにゃんと一緒に記念撮影をした後、会議にのぞみ、会長には大久保貴市長が就いた。
 今後は「開催協議準備・運営部会」と「広報宣伝・スポーツツーリズム推進部会」に分かれて、コースの決定や観光ルートの設定、交流イベントの実施、外国からの参加者への対応策などを検討していく。

井上仏壇店の実績紹介本が発刊

 彦根市芹中町の井上仏壇店の実績を紹介した本「伝統産業の製品開発戦略―滋賀県彦根市・井上仏壇店の事例研究」が発刊された。
 著者は滋賀県立大学博士研究員の大橋松貴さん(34)=長浜市。ライフスタイルの変化などで転換期を迎えている仏壇業界で、新たな視点や技術に基づく開発につなげてもらおうと彦根仏壇の井上仏壇店に着目。本では同店の井上昌一社長(51)を中心とした経営者らが2011年2月に結成したグループ「،m+(ナナプラス)」や、同店が同年8月に考案したカフェ用品シリーズ「chanto(シャント)」を取り上げたうえで、仏壇の伝統技術を生かしながら現代の市場に合った製品開発を推奨している。
 大橋さんは2014年から井上社長へのヒアリングや独自の研究の内容を本にまとめた。「仏壇業界は厳しい状況と言われるが、工夫次第で伝統芸術を生かして色んな物に応用できることをこの本で知って頂ければ」と話している。本では「研究の目的」「彦根仏壇産地の特性」「井上仏壇店の製品開発イノベーション」「ターンアラウンド(経営再建への研究開発)戦略」などで構成している。
 井上社長は「最初は奇抜すぎると思われたかもしれないが、彦根仏壇の伝統技術の継承を目的にぶれずにこれまでやってこられた。この本を読んだ方のお役立ちができたら本望だと思う」と語っていた。
 本はA5判、167ページ。サンライズ出版。税抜き2800円。全国の書店で販売している。

2019年2月28日木曜日

袋小路の大久保市政

 小生は、これまで「現市政はレームダック(死に体)状態にある」と指摘してきたが、先般の広域ごみ処理施設の建設候補地が白紙濃厚となったことを受け、現市政は更に袋小路に追い詰められており、レームダックまたは袋小路から抜け出す気配さえも見当たらない。
 今回の広域ごみ処理施設の建設候補地を巡り、組合議会が全会一致で可決した白紙を求める決議案が持つ意味は極めて重い。昨年までの組合議会は、愛荘町竹原地区の建設候補地を反対する彦根市議と甲良町議、賛成する愛荘、多賀、豊郷の各町議で意見が分かれていた。しかし先週の組合議会では愛荘町議を含む全員が白紙を求めた。これはつまり、今後の関連予算をすべて認めないとする意思表明でもある。
 そして何よりも、竹原地区を独断で決めた大久保市長の責任は極めて重大だ。庁舎耐震の裏合意を巡る問題について、市長は直接的な関与を否定しているため、かろうじて首の皮一枚で市長の座を維持し続けているが、広域ごみ処理施設の問題については直接的に関与しており、責任は逃れられない。
 先週の組合議会でも安澤勝議員からその責任を問われた市長は「建設に向けて進めていくことが私の責任」「議員の間にも色んな意見がある」と、あいかわらず的を射ない発言をしていた。
 議会後の小生の質問に、市長は「管理者会で対応を考える」と答えたが、早期に白紙を表明したうえで、裏合意問題をはじめとした市政停滞の責任を含め、潔く辞するのが政治家としての筋であり、市民のためでもある。
 市政停滞と並行する形で、巷(ちまた)ではすでに次期市長選に向けた動きが出始めている。今後、市議会において大久保降ろしに向けてどのような動きが出てくるかはまだ流動的だが、やはりキープレイヤーとなるのは最大会派で自民系の公政会である。
 公政会の議員からは「自民系の後釜探しが難しい」との声があるが、市政をこのまま停滞または衰退させるのか、独自の市長候補を何とか探し出すのか、市民のためにどちらを選択するべきかは論を俟たない。
 いずれにしても、キープレイヤーは公政会に所属の議員である。4月の市議選に向けて、25日に開会した2月議会で公政会を含めた現職議員たちがどのような対応をするのか、市民は注目している。【山田貴之】

2019年2月27日水曜日

彦根愛知犬上広域行政組合議会が新しい広域ごみ処理施設の建設候補地・愛荘町竹原地区を白紙にする決議案を全会一致で可決

 彦根愛知犬上広域行政組合議会の2月定例会が22日、豊郷町内であり、新しい広域ごみ処理施設(※)の建設候補地になっている愛荘町竹原地区を白紙にする決議案を全会一致で可決。建設候補地が再び白紙化される可能性が出てきた。
 定例会では2019年度の同組合一般会計予算が提案されたが、安澤勝議員が修正動議を行い、竹原地区での環境影響評価業務を省いた修正案を提出し、出席議員17人(議長除く、欠席1人)のうち15人が賛成し可決した。
 一般質問では安澤議員が「混乱させた責任を管理者(大久保市長)はいかにとるのか」と質問し、市長は「一刻も早く軌道に乗せることが私の責任。議員の間にもそれぞれの立場があり、色んな意見もある」と答えた。
 また建設費と1市4町の負担割合について、事務局は「200億円」としたうえで、負担割合については彦根62・19%、愛荘14・64%、豊郷7・80%、甲良7・60%、多賀7・77%と説明。「国からの交付金や民間手法の検討で建設費は抑えられる」と述べ、完成時期については「建設地が決まらないため、平成39年度(2027年度)の稼働から1年延びる予定」と答えた。
 最後には安藤博議員が竹原地区の「白紙撤回を求める決議案」を提出。管理者会議で市長が竹原地区に決めた経緯の不透明さや暗礁に乗り上げている状況から「当初の公募があった5候補から再検討し、選考できない場合は新たな公募も視野に管理者会議で責任ある結論を早期に決定する」ことなどを求めた。採決ではこれまで竹原地区を支持してきた愛荘、豊郷、多賀の議員を含む17人全員が賛成し、全会一致で可決された。
 閉会後、記者陣に市長は「管理者会で話し合いたい」と述べるに止め、現時点で白紙を表明しなかった。
 【広域ごみ処理施設】
 1977年(昭和52年)に建設された野瀬町の彦根市清掃センターの老朽化に伴い、彦根愛知犬上広域行政組合は新しいごみ処理場の建設を計画。2008年度の基本構想時の概算経費は約102億円だった。建設候補地を巡っては、これまでに石寺町、海瀬・三津町が建設候補地にあがったが、地盤の軟弱さや地元の反対で石寺が08年5月に、海瀬・三津が13年3月に計画が白紙化された。
 15年10月からは彦愛犬1市4町内で建設候補地を募集し、翌年7月までに彦根市内3地域、愛荘町内2地域から応募があり、同組合内の選定委員会が100点満点で順位を付け、1市4町の首長らによる管理者会に報告。17年6月30日に管理者会代表の大久保市長が竹原地区に決め発表した。
 しかし、彦根市が推していた原町案を市長が急きょ変更し、竹原地区にしていたことがわかり、当時の副市長が辞表を提出するまで至った。同組合議会でも彦根市議が中心になり、関連予算を認めず、竹原地区の周辺地域の反対も続いている。

2019年2月26日火曜日

近江鉄道700形あかね号「現役引退」、後継に900形デビュー

 近江鉄道は、1998年6月にデビューした鉄道用車両700形(愛称・あかね号)の5月6日での「現役引退」と、後継としてデザインを踏襲した900形が16日にデビュしたと発表した。
 700形は近江鉄道開業100周年と八日市駅新駅舎の完成を記念し、西武鉄道で約30年使われた401系を改造して誕生。蒲生地域をイメージしたクリーム色を基調に、琵琶湖の青色と夕焼けを表した赤色の横線が入ったデザインで、あかね号として鉄道ファンらに人気だった。一方で西武鉄道と近江鉄道で、電車の寿命とされる計約50年活躍してきたため、近年は老朽化が目立っていた。
 引退を前に3月1日から、あかね号の前後面に「LAST RUN」や「あかね」などと書かれた幕や、側面に車両がデザインされた円形のステッカーを掲げるほか、関連グッズを同日から発売する。
 きょうデビューする900形は西武鉄道で約30年走ってきた新101系車両を改造し、近江鉄道で2013年6月にデビュー。ダークブルーを基調にピンク色のラインをあしらったデザインで、「淡海(おうみ)号」の愛称で親しまれてきた。昨年7月から12月までは滋賀県観光キャンペーンに合わせて「虹たび号」として活躍してきたが、700形の引退を前に同じデザインがされた。
 5月6日には700形のラストランイベントがあり、翌日から900形にあかね号の愛称が継承される。

2019年2月23日土曜日

枠配分方式で彦根大花火大会など87事業11億7261万円分を削減

 彦根市は2019年度の一般会計予算に、あらかじめ提示された一定額の枠に応じて各部局が予算要求をする「枠配分方式」を採用。このため彦根大花火大会の中断や住宅リフォームの補助取り止めなど、主要事業費が相次いでカットされた一方、目新しい事業が少ない寂しい内容になっている。
 枠配分方式は12年度予算以来7年ぶりで、採用理由として市財政課は「財政調整基金に頼らない予算編成を行うため」としている。この影響で市は産業部や教育部を中心に計87事業で11億7261万円分を削減した。
 産業部では毎年8月1日に開催している彦根大花火大会について、国体主会場になる競技場整備に伴って、来場者の駐車場やシャトルバスの運行などの体制と警備員の確保が困難なため、防犯と安全面から中断する。また8月に市内商店街である彦根ばやし総おどり大会についても観光客が少ないため廃止を決めた。花火大会については競技場整備の完成後に再開を検討するという。また11月3日の城まつりパレードで恒例となっている著名人の招へいと井伊直弼公奉告祭も中止し、著名人の招へいは周年記念時などの際にする計画。
 住宅リフォームの補助事業は、今年10月に予定されている消費増税までにリフォーム受注の増加が見込まれることから次年度の予算化を見送り、増税後の景気状況を見て年度内に対応を検討する。
 教育部では、彦根市立の小学5年と中学2年で実施してきた学力テストを廃止、いじめや生徒の問題にあたる学校支援室専門員や中学校のハートフルサポート指導員、小学校のふれあい相談員を削減または廃止する。直弼杯囲碁と将棋大会を行政主体では取りやめる。舟橋聖一顕彰文学賞のうち小中高生対象の文学奨励賞を応募数の低迷と応募校の偏りを理由に応募をやめる。
 花火大会の中断や総おどりの中止などについて、大久保貴市長は「構造的変化が必要な時期にある。担当部局の判断を尊重したい。大型事業が一定落ち着けば、創意工夫で再開できるか検討したい」と述べた。
 彦根市は、彦根城の世界遺産登録を進めてきた前副市長の山根裕子氏、地域経済の活性化や地場産業の振興にあたってきた市川悌二氏、情報化施策を務めてきた都筑(つづき)一雄氏の特別顧問3人の雇用を今年度までにする。いずれも「一定の成果、推進が図られたため」としており、次年度予算に経費を入れていない。山根氏について、市長は「体調不良も理由だ」としている。
 次年度予算の事業のうち新規は少ないが、新しい市民体育センターの建設費や広域ごみ処理施設の調査費、国体主会場と金亀公園をつなぐ連絡橋の設置、河瀬小学校の校舎増築など大規模事業関連の経費が相次いで計上されている。ほかには彦根城世界遺産登録の推薦書原案の作成費などが盛り込まれている。
 主な内容は左記の表の通り。

庁舎耐震工事の総事業費52億4300万円に、当初の31億7500万円から大幅増

 彦根市は14日の臨時会で、市役所庁舎耐震工事の総事業費が約52億4300万円になると発表した。当初の設計金額の約31億7500万円から大幅に増えることになり、関連議案が上程される2月議会での対応が注目される。
 市と施工業者の岐建はこれまでの工事費の負担額について、市の14億8361万円と岐建の15億5958万円でかい離が生じたため、大阪地裁で調停を行い、調停委員から示された15億3414万円を双方で了承。14日の臨時会では、庁舎耐震工事の契約解除のための調停成立に向けた議案が審議され、賛成多数で可決された。
 臨時会では4人の市議が質問を行い、そのうち北川元気議員は「庁舎耐震化の総事業費」などについて質問。市は当初の設計金額を見直したところ、一部職員らが勝手に別途工事などを契約した裏合意分を含めて約46億8100万円になるとしたうえで、鉄骨の加工費や仮設資材のリース代の約1億2000万円、消費税が10%に増税した際の約7300万円などを加算して計約52億2400万円に。また当初から別途工事としている駐輪場の設置約1000万円と植栽設置費約900万円を加えて計約52億4300万円になると公表した。
 工事済みの経費(15億3414万円)を除いた再発注の予算額は約36億9000万円。当初の設計金額から20億円以上増加することになり、市議会がどのような判断をするのかが注目される。
 今後は今月20日の6回目の調停を経て正式に契約を解除し、3月末から4月にかけて再入札と落札があり、仮契約、議会の議決を経て本契約を結ぶ。本格的な着工は6月頃で、来年8月末に完成し、その年中に仮庁舎内にある部局が移動。年度中に市民会館と中央町の仮庁舎の部局を新庁舎に移す計画だ。

2019年2月19日火曜日

十王の水、交通事故の影響でわき水出なくなる

 環境省選定の名水百選になっている彦根市西今町の「十王の水」(地元では十王村の水)が7日夜以降、出なくなっている。交通事故の影響でわき水をくみ上げる電源装置の損壊が原因だという。
 十王の水は犬上川の伏流水で、江戸時代から五個荘の清水ケ鼻の水、醒井の水と共に湖東三名水の一つとして知られてきた。1985年に名水百選になったが、88年ごろからの周囲の大規模工事などで枯渇したため、地元住民らが「十王村の水保存会」を設立し、地下約70㍍からポンプで引き上げる方法で復活。市も電源装置を設置するなどの支援をしてきた。
 彦根署によると、7日午後9時50分ごろに西今町南の交差点で自動車2台が出合い頭で衝突する事故が発生。その弾みで電源装置にぶつかったとみられ、事故以降、地下水が引き上げられなくなったという。
 市は翌日朝に現場を確認。保存会の地元住民から「市民をはじめ、市外からわき水をくみに来る人も多くいる。水中にはコイもおり、早急に修理してほしい」と要請を受けた。担当課の職員は「物損事故が影響しているため、保険会社に早急な対処を要請している。連携をとって復旧に努めたい」としている。

長松院で小学生と留学生とが交流するTERAKOYA(寺子屋)

 彦根市中央町の長松院(手塚紀洋住職)は6日から、小学生とミシガン州立大学連合日本センターの留学生とが交流する「TERAKOYA(寺子屋)」を開講している。
 留学生に日本文化と日本語を、子どもたちに異文化と英語に触れる機会を提供しようと企画。留学生からはセントラルミシガン大学3年のジェイ・ケンドリックさん(20)を招いた。
 6日は市内の小学生8人が参加。宿題をした後、本堂内の畳上にテープを貼り付けて約2㍍50㌢四方の巨大オセロ盤を製作。事前に段ボールで作っておいた直径40㌢の白黒の駒36個を使って、ジェイさんに教えながら2チームに分かれて一緒に対戦した。夕食のカレーを食べた後も、英語でオセロをしたり、クロスワードクイズをしたりして楽しんでいた。
 ジェイさんは「日本人の子どもたちは優しく、みんな勉強熱心ですね」と話し、城東小6年の平井竣君(12)は「ジェイさんは賢そうで、一緒に遊べて楽しかったです」と笑顔を見せていた。
 次回以降は13日がトランプ、20日が巨大すごろく、27日がジェスチャーゲーム、3月6日が巨大カルタ、13日がカロム、20日が折り紙、27日が言葉あそび。いずれも午後4時半~同7時半。食事代500円。食事のメニューは日で異なる。
 手塚住職は「外国人と会った時に物おじせず、国際的に活躍できる大人に成長してほしいとの願いを込めて企画しました」と参加を呼びかけている。申し込みは長松院☎(24)3225。

2019年2月16日土曜日

平田町の幼児宅にジャンボ~ル三世がサプライズ訪問

 彦根市平田町の北川志帆ちゃん(2)宅に3日、富山県下新川郡入善町のキャラクター「ジャンボ~ル三世」がサプライズ訪問した。
 ジャンボ~ル三世は入善町の特産品の入善ジャンボスイカをモチーフに平成25年誕生のキャラ。頭に王冠をかぶり、ベルトにはKINGの文字を記している一方、あどけない表情とのギャップが人気だ。
 志帆ちゃんは昨年10月21日のご当地キャラ博in彦根でジャンボ~ル三世に出会ってファンになり、「また彦根に来てね」とのメッセージを添えて年賀状を出した。入善町では3年前から年賀状から抽選で1通を選んで、差し出し人の自宅を訪問しており、今年は38通の中から志帆ちゃんが当選した。
 ジャンボ~ル三世が自宅の玄関前に登場すると、志帆ちゃんは恥ずかしそうにしながらもジャンボ~ル三世に触れて笑顔を見せていた。記念撮影後、ジャンボ~ル三世からの「いっぱい食べて、遊んでわしのようにジャンボになるのじゃぞ」と記したメッセージが読まれ、ぬいぐるみやスイカの果汁を使ったドーナツ、町花のチューリップがプレゼント。受け取った志帆ちゃんはイラストやメッセージ入りのはがきを手渡しした。
 父親の耕史さん(33)は「今度は富山でジャンボ~ル三世に会いたいですね」と話していた。

井伊直弼自筆の和歌集・桺廼四附(やなぎのしづく)の影印本と翻刻本が完成

 井伊直弼自筆の和歌集「桺廼四附(やなぎのしづく)」の原版を複製した影印本と現代語訳した翻刻本が完成。7日、翻訳した彦根市芹橋2丁目の元中学校教員・小田輝子さん(92)らが報告のため市長を訪問した。
 桺廼四附は直弼が15年以上過ごした埋木舎や江戸で詠んだ歌を勅選和歌集の形式で編集。上冊が春・夏・秋・冬、下冊が恋・離別・羈旅(きりょ)・祝賀・哀傷・雑之部・物名に分類されており、計1030首以上あるという。和歌の中では玄宮園内に桜があったことなど、あまり知られていない歴史的事実も登場する。書名は直弼が好んだ柳にちなんで付けられ、「桺の雫」とも書く。1冊の大きさは縦24㌢×横16㌢。上冊が124ページ、下冊が96ページ。
 彦根城博物館学芸員の渡辺恒一さんによると「直弼の字は崩し方やゆがみなどクセがあり、また和歌の教養がないと解読が難しい」とされ、桺廼四附の翻訳は専門家でも難しかった。
 小田さんは2004年ごろに桺廼四附を読み、江戸時代のくずし字を解読できる能力と和歌の教養を生かし、数年かけてすべての歌を翻訳。15年9月までに校正を終え、市民有志と出版に向けて調整してきた。また本町の西地区公民館では毎月第一水曜日に「『桺廼四附』解読会」を開いてきた。
 小田さんは一番好きな作品に、直弼が藩主となって初めて帰郷してきた際に民衆が出迎えた様子をうたった嘉永4年(1851)の歌「初めて 国にかへるとき 道のさきさき民ともの あまた出むかひたるを見て・・・」をあげたうえで、「直弼公は国のこと、彦根のことを良くしようと考えていたことがわかる。まだまだ直弼は人殺しというイメージがあるようだが、和歌集からは直弼公の優しい気持ちを感じることができる」と話していた。
 本は2冊セットで6000円(税抜き)。彦根市内の書店で販売している。問い合わせは彦根城博物館☎(22)6100。

2019年2月12日火曜日

山口四郎さん戦国武将の兜作り

 彦根市開出今町の金属プレス加工技能士一級の山口四郎さん(70)は、戦国武将の兜(かぶと)を自宅に設けた工房で作っており、これまでに100頭(かしら)以上を完成させている。
 山口さんは18歳からパナソニック彦根工場で技術者として勤務し、ドライヤーやシェーバーの小型モーターなどを作り、長年の仕事の中で板金などの加工技術を習得した。55歳の時に「定年後は何をしようか」と考えていたころ、野洲市内で兜作りを趣味でしている男性がいるのを知り「虫が騒いだ」という。
 以降、山口さんは男性の元に3回通って、作っている場面を見て学び、58歳のころから仕事の延長戦として兜作りを始めた。定年後は本格的な製作に入り、自宅の玄関に設けた手作りの工房で、ハンマーやペンチなどで厚さ0・8㍉の鉄板を加工。
 戦国武将の甲冑を紹介した雑誌を参考にしたり、実際に展示品を見に行ったりして、本物そっくりに仕上げている。これまでに井伊直政、石田三成の彦根ゆかりのほか、豊臣秀吉、伊達政宗、真田幸村、明智光秀、黒田官兵衛ら著名な武将のかぶとを作ってきた。
 井伊家当主の天衝きや橘の家紋を着けた型、三成の大一大万大吉の家紋を備えた作品のほか、秀吉から家臣に伝わった放射状の形、加藤清正が着用したとされる長烏帽子型、実際の鹿の角を利用した幸村の着用品など独特な兜も作っている。わざとさびをつけて趣深く仕上げた作品もある。
 兜作りの魅力について、山口さんは「同じ武将の兜を作っても、さびの具合など一つ一つ違う雰囲気になります。作り方によって、どの工具を使うべきか考えるのも面白い。頭と手をフル回転するので認知症予防にもなります」と笑顔を見せていた。
 1作品を完成させるのには2~4カ月間かかる。オーダーメイドの注文も受け付けている。今後作りたい兜として、山口さんは徳川家康の兜をあげ「特に徳川の家紋にこだわって、オリジナルの作り方で作りたい」と意気込みを語っていた。
 兜のほか、灯ろうも作っている。米原市と長浜市では教室を開いている。問い合わせは山口さん090(8934)8685。

海洋教育パイオニアスクールプログラムに取り組む彦根市立佐和山小と福井県小浜市立内外海小が交流

 「海洋教育パイオニアスクールプログラム」に取り組む彦根市立佐和山小学校と福井県小浜市立内外海(うちとみ)小学校の5年生が1月29日、佐和山小で交流学習をした。
 同プログラムは笹川平和財団海洋政策研究所(東京都)と東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センターが、子どもたちに海について学習してもらうことを目的に実施。全国各地の採択校が海に関する教育を進めており、「淡海」とも呼ばれ、海とつながりがある琵琶湖を有する滋賀県では佐和山小学校が今年度、唯一採択された。
 隣接する県のため佐和山小の児童81人と内外海小の児童10人の交流が実現。佐和山小の児童たちは、6月15日の近江八幡市の沖島訪問や、6月25、26日のフローティングスクール、9月28日の県立琵琶湖博物館の見学で学んだ内容や外来魚・赤潮など、これからの琵琶湖について3教室に分かれ、寸劇や紙芝居、クイズなどで発表。内外海小の児童たちが各教室を訪れて、佐和山小の児童の話を聞いた後、質問していた。
 その後、全員が集まって内外海小の児童たちがシーカヤックやシュノーケルをした体験談、ハイキングをした際に知った獣害被害、海と山のごみ問題などについて発表。各校が持参した日本海のワカメと沖島のせんべいを試食しながら交流していた。
 内外海小の山下琉希君(11)は「滋賀で暮らす皆さんは琵琶湖を守るために色んな取り組みをしていることを知りました。僕も海を汚さないように心がけて生活したい」と話した。佐和山小の石原咲都さん(11)は「(漁業の)後継者不足など同じ問題があることが理解できました。琵琶湖の水をきれいにすることを色んな人に広めていきたい」と語った。

2019年2月7日木曜日

佐和山小学校に災害時用のマンホールトイレ

 彦根市は佐和山小学校に、災害時用の「マンホールトイレ」=写真=を設けるための整備を市内で初めて行った。
 災害時は断水などでトイレが使えなくなる場合があり、全国各地で下水道管につながるマンホールを使ってトイレにするための整備が進んでいる。
 彦根市は下水道の整備状況や災害時の建物倒壊の危険性などを考え、避難所に指定されている小学校への整備を計画。今年度は災害時の避難者数が約1300人の佐和山小に直径約20㌢のマンホール15基を整備した。排せつ物を下水道の本管に流せるうえ、被災により本管が破損してもバキューム車で吸引できる「貯留型」を採用している。経費は便器やテントなど地上部分約483万円、下水道管など地下部分約961万円で、国が半額補助する。
 市は来年度、平田小と城東小にもマンホールトイレ15基分の整備を行う予定。残りの14校への整備は未定。

外国人観光客のモニターによるテストツアー女性3人が彦根城散策や剣舞体験

 外国人観光客のモニターによるテストツアーが25日、彦根市内であり、3カ国の女性3人が彦根城散策や剣舞体験などをした。
 滋賀県内の農林水産業で新事業の展開拡大を目指し、県内の関連事業者や研究機関による「滋賀県農林水産業新ビジネス創造研究会」が立ち上げたプロジェクト「Norashiga(ノラシガ)」の一環で実施。ノラシガは、外国人観光客の日本文化の体験を通じて、農山村地域での新ビジネスの創出につなげていくことを目的にしている事業。
 今回のテストツアーは研究会メンバーの近江ツーリズムボード(彦根商工会議所内)の主催で行われ、県内外に滞在している米国、ドイツ、ニュージーランドの20歳代の女性3人が参加。彦根駅で自転車を借りて彦根城に向かい、屋形船の周遊、彦根城や玄宮園の散策、北野神社で剣舞体験、政所園で利き茶をした。
 北野神社では侍の格好になって、光粋流の西邑光粋さん=長浜市=の指導を受けながら、お礼の仕方、刀の使い方、扇子の置き方などを習った後、実際に剣舞「川中島」の演舞を体験した。滋賀県立大学に留学しているカルメン・イエーレさん(23)は剣舞の体験後「エキサイティング(刺激的な)」と笑顔を見せながら「彦根の街は古い建物が多く、とても良かった」と話していた。
 今回のテストツアーを経て、外国人観光客向けのツアー企画としての商品化を検討していく。

2019年2月6日水曜日

滋賀の観光イノベーション研究会を設立

 滋賀県を観光形態の変化に対応できる街にしようと、滋賀大学(彦根市馬場)は県内の民間団体と「滋賀の観光イノベーション研究会」を設立。さきごろ、大津市内で最初の会合を開いた。
 観光の形態が文化やアート、デザイン、本物を重視するシフトに変化していると分析。民間レベルで滋賀の観光振興に向けたグランドデザイン(全体構想)をつくり、問題提起と実行支援をしていこうと、近江ツーリズムボード(彦根商工会議所内)や文教スタヂオ(彦根市佐和町)、びわ湖大津プリンスホテル、琵琶湖汽船らの代表者と研究会を立ち上げた。
 研究会の公表データによると▽外国人観光客の訪日前の楽しみは日本食、買い物、景勝地、町歩きで、観光後の次回には温泉、生活体験、スポーツなどを求めている▽滋賀は東京と大阪を結ぶゴールデンルート上にあるが、訴求力が弱く、うまく生かせていない▽滋賀への日本人観光客は50歳代と60歳代が多い▽滋賀への日本人観光客の目的は自然、歴史資源、町並み、琵琶湖が多い―ことなどを紹介。
 また滋賀大が昨年11月に彦根や長浜、大津など県内5カ所で外国人観光客を対象に行ったアンケート調査では、アジアや欧州の20歳代と30歳代の観光客が多く、名所や旧跡、琵琶湖、地域の食を楽しみにしていることがわかった。
 滋賀の観光の課題としては「日帰り客が大半で滞在期間が短い」「外国人に訴求できるコンテンツがない」「外国人観光客の漁業体験の禁止など規制がある」「花火大会などのイベントが経済効果を生んでいない」を指摘した。
 このほか最初の会議では、健康医療と観光の分野をコラボさせた「ウェルネスツーリズム」を取り上げ、高付加価値と中長期の滞在型の観光につながり、移住や定住の導線にもなり得ると提唱した。今後、研究会は2月20日に大津で2回目の会合を開き、3月15日午後2時~彦根キャッスルリゾート&スパで「世界を魅了する滋賀の観光の新たな展望」(仮称)をテーマにフォーラムを開催する。研究会主宰で滋賀大学社会連携研究センター長の石井良一教授は「民間と大学による自由な発想で滋賀のこれからの観光についてのグランドデザインを描いていきたい」と話している。

2019年2月1日金曜日

明智光秀の多賀町佐目出身伝説の講座

 来年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公の明智光秀が多賀町佐目の出身だとする伝説を広めようと、滋賀県教委は20日、多賀町立文化財センターで講座を開講した=写真。
 県教委文化財保護課の井上優さんは「明智家は美濃の国人だったが、光秀の出自ははっきりしない」としたうえで、貞享年間(1684~88)に近江について書かれて井伊家に献上された本「淡海温故録」を解説。▽(多賀町)佐目に明智十左衞門(光秀の父)が住んでいた▽光秀が越前の朝倉家に仕えることを望んだ▽朝倉家を辞して尾張の織田信長に仕官した▽信長への謀反時、多賀、久徳、阿閉(あつじ)ら多賀の武将が光秀に同心した後に没落した―ことが書かれていると説明した。
 現在の佐目に住み、光秀の家臣の子孫だと言われている見津(けんつ)さと子さんに取材した内容として「小学生の時に佐目が光秀ゆかりの地だと聞いた」「見津は本来、光秀から名の一文字を賜った『みつ』と言われたが、隠して『けんつ』と読んだ」などを紹介。本能寺の変後、安土城に入城した翌日に光秀が多賀大社などに発給した禁制についても取り上げた。
 光秀の佐目出身説の真実性については「良質の史料に書かれておらず、史実としては捉えられない」としながらも「佐目にはさまざまな伝承が残っている」「多賀大社の文書に光秀による禁制がある」「本能寺の変時に光秀に味方した多賀氏や久徳氏の拠点に隣接している」などの点から「決して荒唐無稽とは言えない」と結論づけた。
 佐目出身で株式会社マルト取締役の澤田順子さん=彦根市=は佐目地域を取材した結果報告として、光秀の屋敷があったとされる場所に建物が建てられてこなかったことや、城があった可能性がある3つの山などを取り上げていた。
 光秀多賀出身説の講座は県教委の「語り部づくり事業」の3回目として開かれ、彦犬地区を中心に80人以上が受講した。

彦根城の天守前広場で市民がラジオ体操

 彦根城の天守前広場に毎朝6時半から数十人の市民が集まり、ラジオ体操をしている。
 一番乗りを目指し、本紙記者が午前6時過ぎに天守前広場を訪れた際、すでに市民2人の姿があった。そのうち河原2丁目の村川晃司さん(77)=写真=は25年ほど前から、傷病や旅行を除いてほぼ毎日参加。午前4時半に起床し、本町の宗安寺を参拝した後、午前5時半過ぎに登城し、ラジオ体操の前段階の柔軟体操をしているという。
 村川さんは「朝からラジオ体操をすると気持ちがいい。琵琶湖の景色も毎日違いますよ」と笑顔を見せていた。村川さんによると、雨や雪が降る日は少ないものの、平均で30人ほどは参加しているという。記者が訪れた日も約30人の男女が集まり、天守前広場を囲む形になってラジオ体操の第1と第2をしていた。
 参加者の最高齢は中央町の上田孝一さん(89)。70歳代後半から参加しており、「長生きするために登っています。気分が違いますし、『無』の境地にもなれます」と話していた。
 最も若いのは本町1丁目の箕形とも子さん(55)。家族の介護のため3年前に仕事を退職したのを機に出席しており「仕事をしていた時は不規則な生活でしたが、ラジオ体操をするようになって1日のけじめがつき、朝ごはんもおいしい」と語っていた。
 ラジオ体操を終え、村川さんと下山した午前7時前には表門橋前の内堀沿いを散歩していた中央町の大森修太郎さん(79)に出会った。
 大森さんによると、41歳の時に友人と2人で携帯ラジオを持参し、天守前広場で始めたのが最初だといい、一時は「城歩(じょうぶ)会=丈夫にちなんで命名」という市民団体も結成され、市民の間に「天守前でのラジオ体操」の情報が広まったらしい。
 村川さんによると、時期や天候によってはラジオ体操後に参加者同士で花見会や朝ごはん会もしているいい「普段はあまり人と話す機会がない高齢者同士が楽しく交流できる良い機会にもなっている」と参加を促していた。

2019年1月28日月曜日

桂田道さん押し絵で作った彦根屏風を彦根 辻番所の会に寄贈

 彦根市後三条町の押し絵作家の桂田道さん(84)は押し絵で作った彦根屏風を、芹橋の団体「彦根 辻番所の会」に寄贈。同会は辻番所に保管し、今月27日まで展示していた。
 桂田さんは30歳代の頃に押し絵を始め、その腕を上げて自身の流派・悠弘流を設立。教室も開いており、市内外に50人以上の受講生がいるという。平成7年から彦根屏風を作り始め、約1年半かけて同9年1月に完成させた。
 厚紙を切り抜いて布でくるみ、その布に綿を入れて立体感を出しているのが特徴。大きさは国宝の実物とほぼ同じで、高さ約1㍍×横約50㌢の6枚を3双に構成しており、木組みにはめ込んで仕上げている。
 桂田さんは以前から寄贈先を探していたといい「辻番所という貴重な場所に置くことになり、もったいない限り。ありがたく思います」と笑顔を見せていた。辻番所の会の渡邊弘俊会長(81)は「立体的な彦根屏風で、実物とはまた違った見方ができる。今後開くサロンで展示するなど、活用していきたい」と話している。

彦根商工会議所青年部が石田三成公銅像建立プロジェクト

 彦根商工会議所青年部が「石田三成公銅像建立プロジェクト」を立ち上げた。その第1弾として26日には彦根商工会議所で関連イベント「君は石田三成を知っているか?」があった
 三成は佐和山城主を務めたことで知られる。佐和山城研究会や花しょうぶ通り商店街などが以前から、三成に関するイベントを開催しているが、保守的な市民の中には「彦根は井伊家の街」という意識が根強く残っている。
 青年部は、三成を戦国時代の彦根のもう一人の英雄に位置づけ、多くの市民にその功績を知ってもらおうと同プロジェクトを設立。昨年、創立35周年を迎えたが、5周年の時に彦根駅西口に直政の銅像を建立した経験を生かして、佐和山城跡側の彦根駅東口への三成の銅像建立を決めた。
 すでに佐和山城跡のふもとの龍潭寺に上半身の三成像があるが、青年部は直政像と同様に全体像の建立を計画している。完成時期は滋賀国体が始まる2024年までを目指す。完成後には三成を称える顕彰イベントなども予定している。
 青年部副会長の小出哲士さん(40)は「市民や観光客に愛されるような銅像にしたい」と話している。
 26日のイベントでは、第1部で佐和山城研究会代表の田附清子さんの講話、居合斬りの演武後、第2部として乙訓戦国つつじによる甲冑劇「義曇(ぎうん)~乖離する友鏡」があった。

2019年1月24日木曜日

アライグマの捕獲数が彦根市内で増加傾向

 国の特定外来生物に指定されているアライグマの捕獲数が彦根市内で増加傾向にある。10日には中藪町のお好み焼き芹川近くで、今年度21匹目が捕獲された。
 アライグマは北アメリカが原産地で、日本国内では昭和37年に愛知県で確認。同52年にアニメのキャラクターとして人気が出て以降、全国各地で野生化と自然繁殖が広まった。ペットとして飼われた後、飼育が難しいため遺棄されたことが主な増加原因とされる。平成17年に特定外来生物に指定されて以降、駆除対象になっている。
 市生活環境課が把握しているアライグマの捕獲数は平成27年度が7匹、同28年度6匹、同29年度17匹と増加しており、今年度はここ10年で最多だという。特に国道8号線の西側で捕獲している。
 アライグマは繁殖力が高いことで知られ、雌一匹だけで一度に最大7匹を産み、その子どもも翌年には繁殖する機能があるという。生ごみや農作物、ザリガニなど小動物を食べ、建物の屋根裏や軒下、河川敷を住み家にしている。対処方法としては▽畑の周囲に柵や網を設置する▽ごみの集積所をきれいに管理する▽建物から追い出した後に侵入口をふせぐなど。
 彦根市はアライグマのほか、滋賀県指定外来種のハクビシンも捕獲対象にしている。市民からの報告後、現場の痕跡や撮影画像で確認し、屋外にわなを設置。捕獲後、殺処分する。赤外線カメラの貸し出しもしている。処置代は無料。イタチやタヌキ、ネコなどの在来種は捕獲の対象外で、わなに捕まっても逃がされる。
 問い合わせは市生活環境課☎(30)6116。

2019年1月23日水曜日

小西美術工藝社代表取締役社長のデービッド・アトキンソンさん「海外から見た彦根、そして世界遺産登録の可能性」をテーマに講演

 英国の元アナリストで国宝や重要文化財を修理する小西美術工藝社(東京都港区)代表取締役社長のデービッド・アトキンソンさんが、「海外から見た彦根、そして世界遺産登録の可能性」をテーマに彦根商工会議所で講演した=写真。
 デービッドさんは、日本の人口減少と高齢化が進む推移を数値で示しながら「先進国の中でも日本ほど人口減と高齢化が進む国はない。国の収入が激減するのは間違いなく、これまでの常識が常識でなくなる」と解説。収入の一つになる観光に関して「日本人に代わる消費者が必要であり、日本は稼がなければならない国になる。外国人を『歩くお札』と見るべきだ」と、外国人観光客を増やすための観光施策を進めるよう求めた。
 観光に必要な要素としては、自然、気候、文化、食事をあげ「日本はこれらの条件を満たす稀有(けう)な国だ」と賞賛したうえで「ただ日本各地にある神社仏閣に対して、外国人は区別することができず、長期滞在は難しい。日本が持つ最大の強みは自然であり、最強の伸びしろだ」と助言。彦根城だけではなく、琵琶湖などと連携させた観光施策を推奨した。
 外国人観光客を増やす方法として、デービッドさんはCustomer Experience(顧客満足)をあげながら、彦根を散策した感想として「彦根駅に到着した時に誘導させるという簡単なことができていない。これで外国人に人気が出るのか」と疑問視。彦根城博物館の展示物の案内などの外国語表記についても「英語を横文字にしただけで、3年ほど日本語を習って和訳したほどのレベル。意味不明な個所がいくつもあって、外国人にはまったくわからない。あの英語では国宝に失礼だ」と切り捨てた。改善策としては「井伊家や歴史的流れなどを外国人が理解できるよう、翻訳の専門家を国から送ってもらうことが良い」とアドバイスした。
 世界遺産登録については「世界遺産は建物などを保存するため、またブランドとして発信する材料だ」としたうえで「世界遺産を進めるのと同時に、井伊家の歴史や当時の日本の歴史的事件を外国人に分かりやすく伝えるのが重要。琵琶湖との関係を含めて、彦根城だけでない、彦根という観光地化を作ることが不可避だ」と述べた。
 デービッドさんの講演会は彦根商議所の彦根ヒストリア講座の3回目として開かれた。

2019年1月18日金曜日

彦根市内の女性3人が滋賀の魅力を伝えるPINK滋賀ールズ結成

 彦根市内の女性3人が滋賀の魅力を伝えるための団体「PINK(ピンク)滋賀ールズ」を結成。1月4日から活動を開始した。
 リーダーでデザイナーの森菜実子さん(32)はピンク色のイヤリングや指輪などのアクセサリーを作っており、2013年には「Mu―Mu(ムーム)というブランドを立ち上げ、東京や大阪、名古屋の百貨店などで販売。同ブランドを愛用する芸能人もおり、若者から高齢者までの女性に人気だという。森さんが利用するインスタグラム(namikomori)のフォロワーは1万3000人以上。
 森さんは、ムームを活用しながら滋賀の魅力を伝えていこうと、滋賀県立大学2年生の山本富久美さん(20)と3年生の落合瑞希さん(20)をアシスタントに加える形でPINK滋賀ールズを結成。服装などをピンク色で統一している。
 最初の仕事として、彦根商工会議所と近江ツーリズムボードから「近江美食アンバサダー」に任命され、両団体主催の「井伊枡グランプリ」のPR活動を行う。今月6日には同グランプリの企画に関係するふなずしを製造している木村水産の工場(後三条町)を見学。同グランプリが始まる15日からは協賛の12店舗を順次回って、森さんや近江ツーリズムボードのインスタグラムやフェイスブックにアップしていく。
 今後の活動としては滋賀の食べ物や観光地、穴場、気になる店などをインスタグラムなどでPRする考えで、森さんは「滋賀の魅力をPINK(ピンク)いっぱいの私たちがお届けします」と話している。問い合わせはインスタグラム(namikomori)から。

2019年1月15日火曜日

彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会の会長・宮川富子さんインタビュー

 彦根城の世界遺産登録を目指し、市民の機運を高めようと昨年結成された「彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会」の会長・宮川富子さん(71)=永樂屋副社長=に抱負などを聞いた。   (聞き手・山田貴之)
 ―就任の経緯は
 ◇彦根城博物館で昨年、世界遺産になっている福岡県の沖ノ島の関係者を招いたシンポジウムを聞いた際、行政や学識関係者だけでの世界遺産登録が難しく、市民レベルで盛り上げなければいけないと認識しました。彦根の江戸時代の街並みを残すためには市民による現状の認知が必要で、行政との情報も密にしなければとも思いました
 ―就任を決意した理由は
 ◇私自身、子どものころからお城の近くで育ち、遊び場でもありました。多くの市民が共に過ごしてきた彦根城を世界遺産にするお手伝いができるのならばとの思いから、微力ながらも引き受けました
 ―多くの市民は世界遺産に無関心ですが、変化はありますか
 ◇熱い思いがあっても口にできない、という市民性があると思います。女が外に出る、しかも組織の会長になるというのは彦根では異端児と思われるかもしれませんが、後世に残すべき資産が多くあるという認識は男女に関係なく、多くの市民の共通点です。市外から市民になった人からは「彦根はほんまにいいところ」との声を聞きます。彦根出身者や長く住んでいる市民の皆さんが、もっと「我が町彦根」を大切にして街を残す、そして街をつくるという思いを強くしていただけたらうれしく思います
 ―彦根市は特別史跡内での登録を目指していますが、意見や提言は?
 ◇個人的には井伊家ゆかりの寺社も範囲に入れてほしい。特に清凉寺、龍潭寺、大洞弁財天長寿院、井伊神社は旧松原内湖にも接しており、「点」ではなく、一つの「面」を構成できると思います
 ―市が目指している登録範囲を把握している市民はほとんどいません
 ◇確かに官民の協力強化は今後の課題です。1000人委員会は情報を共有できるという点で良い組織です。彦根が一つになるために、市民と行政がもっと密な関係になって、より良い活動を進めるお手伝いができれば最善です
 ―2年目に入る今年の抱負は?
 ◇彦根の江戸時代の建物は旧城下町を含めて無くなってはならず、そのためには市民の皆さんが自分の街に誇りを持つ必要があります。誇りを持つ市民が増えれば、彦根に定住する人や帰郷してくる人も増えると思います。世界遺産はその(誇りを持つための)足がかりになると思います。多くの市民の皆さまに1000人委員会へ入ってほしいです。
 「彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会」のメンバーは、昨年12月17日時点で計1386人となっている。委員の参加条件は特になく、市内外から随時応募している。申し込みは氏名、住所、電話番号、メールアドレスを記載して、市教委彦根城世界遺産登録推進課ファクス(27)3554かメール(hikone-wh@ma.city.hikone.shiga.jp)。問い合わせは同課(26)5834。

2019年1月7日月曜日

彦根城世界遺産へ登録範囲は特別史跡内で、推薦書原案を年度内に提出へ

 彦根城の世界遺産登録について、彦根市はその登録範囲を中堀より内側の特別史跡と埋木舎に絞った形で目指す考え。現在は推薦書の原案を作成しており、今年度中にも文化庁に提出する予定だ=写真は市作成。
 世界遺産を目指すうえでの懸案事項は、登録済みの姫路城との差別化だが、その問題をクリアするには、海外の人や将来世代にも理解できる「顕著な普遍的価値」を証明する必要がある。
 木造建造物の最高傑作として評価されている姫路城との差別化を図るため、彦根市は江戸時代の武士が城とその周辺に住み、一体となって「統治」していた社会構造に着目。個別の領地を支配していた戦国時代の武士が、江戸時代には統治者へ転換したとしながら「彦根城がその統治を表した代表的な城だ」と説明している。
 焦点の登録範囲については、特別史跡内に天守、櫓、藩主が住んでいた御殿、旧藩校、庭園(玄宮楽々園)、重臣屋敷、堀、石垣が現存していることから「武士の統治を表す要素がまとまって残っているのは彦根城しかない」と強調。一時期、市は登録範囲の候補に外堀土塁や辻番所、井伊神社なども入れていたが、現在は参考物件としての「バッファゾーン」の位置づけに止めて、あくまでもバッファゾーンを除いた特別史跡内のみで勝負する意向だ。
 今後、市は国からユネスコに提出する推薦書の原案を県と連携しながら完成させて、今年度中に文化庁へ提出。2022年をめどに国内で推薦候補に選ばれ、ユネスコに推薦書が提出された後、イコモスの審査と世界遺産委員会で審議を経て、24年に世界遺産登録の決定を目指している。
 彦根市の担当者は「江戸時代の武士の統治の仕組みが彦根城内だけでストーリー立てすることができ、世界遺産登録もできる」と自信を見せている。
 しかし専門家の中では、より差別化が図れる可能性があるバッファゾーンを登録範囲に入れる案や、国宝五城案などを推奨する意見がある。ほかにも、江戸時代の武士や統治の仕組みを海外の人にいかに理解させるか、統治者の井伊家についてどのように説明するかなどの課題がある。そして何よりも彦根市民の間で盛り上がりに欠ける点が最大のハードルとも言えよう。彦根城の世界遺産登録に向けて、その実感を抱く市民が多くないのが現状であり、困難な状況に変わりは無い。       (山田貴之)

近江鉄道ミュージアム昨年12月8日に閉館

 彦根駅構内の近江鉄道ミュージアムが昨年12月8日に閉館した。最終日は鉄道ファンや親子連れら計約1600人が訪れて閉館を惜しんでいた。
 同館は彦根城築城400年祭に合わせて平成19年3月21日にオープン。線路上では近江鉄道の貨物輸送を支えた大正時代以降の電気機関車7両、資料館では閉塞器や開業免許書などを展示してきた。またガチャコンまつりや小学校の社会科見学などの時にも開放した。
 資料館は大正9年(1920)に変電所として設立された建物で、その後、電気関連の事務所となり、ミュージアムのオープンに合わせて改装された。しかし建物の老朽化が目立ち、展示している車両の維持管理が困難なことから閉館が決まった。
 昨年12月8日には「近江鉄道ミュージアム感謝祭」が開催。線路上には、工事列車などで活躍していた東京芝浦電気(東芝)製の大正12年のED31形3号機と、塗装のはがれが少しある同4号機、米国のゼネラル・エレクトリック社製で大正15年に当時の鉄道省が導入したED14形の1~4号機、昭和5年に阪和電気鉄道が導入したロコ1100形が並んでいた。
 一部の車両はパンタグラフを上げて前照灯を付けた状態で展示。皇室向けのお召し列車用として使われていたとされるED14形の1号機には日章旗が掲出されていた。
 このほか、当日は来場者300人に記念のポストカードのプレゼント、部品やグッズの販売があり、長蛇の列ができていた。大阪府交野市から母親と訪れていた岩船小5年の図司陽人君(10)は「近江鉄道ミュージアムは2回目だけど、無くなると聞いて駆けつけました。閉館は残念ですが、鉄道が好きなので電車を撮影しに来ました」と話していた。
 展示されていた車両は引き取り手が出てこない場合、今年度内に解体される。展示物は八日市駅に移す予定で、閉館以降の跡地利用は未定だ。

2019年1月2日水曜日

彦根の投票率向上へ市民性の改革を

 今年は4月に滋賀県議選と彦根市議選、7月に参院選がある。近年の国政、県知事選で彦根市の投票率は県下13市で毎回最下位、町を入れた19市町でも愛荘町と最下位争いをしている。その原因について本紙の山田貴之記者は「彦根特有の殿様文化による市民性にある」と分析。滋賀彦根新聞は投票率の向上に向けて、滋賀県立大学人間文化学部4年の小林真紀子さん(22)=城町1、株式会社いろあわせ代表取締役の北川雄士さん(39)=鳥居本町、滋賀大学特任准教授でNPO法人Links代表の柴田雅美さん(51)=平田町=を招いた座談会を実施した。コーディネーターは山田記者が務めた。

 北川=若者は彦根の低投票率を問題だと思うのでしょうか
 小林=最下位とは知らなかったので驚きがあります。ただ、投票に行ったから何かが変わるという認識が私たち若者にはないようです
 柴田=地区別の投票率では、特に低い地区がいくつかありましたが、彦根の場合は総体的に低い
 北川=やはり誰かがやってくれるという殿様文化の市民性があると思います。今、市民が誇りを持てる街にするための市によるシティプロモーション戦略策定事業を運営させて頂いていますが、自分たちで彦根を面白くしようと思う市民がいる一方で、そうではない市民の方も多くいらっしゃることへも目を向けなければなりません。その間をつなぐ必要があり、市民のシビックプライド(街への誇り)を高める方法を考えています
 ―そのための活動を10年以上前からしてきたのが柴田さんですが
 柴田=熱い人同士は集まるのですが、そこから広まらない。市民活動だけでなく、彦根では新しい商売がやりづらいと聞きます。新しいことや目立つものを、みんなで盛り上げようという感じがあまりないようです。(続きは本紙元日号で)