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2018年8月27日月曜日

曖昧に終わった百条委員会

 市役所耐震化を巡る裏合意の真相を究明する百条委員会が終了した。市制初の百条委だったため、委員長が認める通り「難しさがあった」のかもしれないが、何とも曖昧模糊に終わった。
 元々、百条委が設置された理由は「どの職員が裏合意を主導したのか」「市長の関与は本当になかったのか」を究明するためだった。特に「主導」について、市が今年1月に市議会やマスコミに発表した報告書では、発表直前に辞任した川嶋前副市長にその責任を負わせ、マスコミ各社もその発表に沿った報じ方をした。
 しかし百条委の証人尋問では意見の食い違いが表面化。前都市建設部長の山本氏は「私と川嶋前副市長、企画振興部長、総務部長が話し合って決めた」と述べ、大久保市長は「川嶋氏と山本氏」と答えた。企画振興部長や総務部長も議会などで関与を否定した。
 一方で川嶋氏は、市の発表の「川嶋主導説」に対し「私が(裏合意を)発案した内容で作為的。あらかじめストーリーが描かれ、その流れから外れないよう作られたと疑念を抱いている」と批判。「(山本氏から)『仕様は変更するが、契約そのものは変わらない』と報告を受けて了承したのは事実だが、今から思えば矛盾する話だった」と答えながらも、裏合意への関与は否定した。
 そして7月11日に行われた5回目の百条委員会では、市が当初作成した報告書の製作過程において、前副市長の山根氏が関与していたことも市の担当職員から明らかにされた。
 結局、誰が裏合意を主導したのかの真相は明らかにされないままで、百条委の報告書では「証人尋問で証言に差異が生じたことは執行部の連携体制に不安を感じる」とのみ記した。
 ただ、百条委の唯一の救いは「市長のガバナンス(統治)機能の強化」を求めた点だ。裏合意の問題は山本氏や川嶋氏らが責められているが、市長の統治能力の欠如が最大の要因であり、30億円超(40億円超?)の大事業を山本氏ら担当職員に任せっきりにしていた責任を忘れてはならない。
 さて、百条委の会議や最近の議会、委員会を傍聴しての率直な感想だが、一部市議は誰を見て意見を述べているのか、と首を傾げざるを得ない光景を頻繁に目にする。
 先の百条委でも山根氏の関与を報告書に載せるか否かで委員の意見が対立し、最後は副委員長の八木嘉之議員の折衷案で収まったが、その一方で同じ会派の委員(議員)同士が上役の顔をうかがうかのように同じ内容の意見を述べていた光景は惨めだった。上役からの苦言の恐れや会派のメンツよりも、市民を向いた姿勢が議員諸氏にも求められていると苦言を呈しておく。【山田貴之】

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