彦根市長選が終わり、連休明けから次期市政がいよいよ始まるが、この4年間の先行きに対して極めて憂慮しているのは小生だけではないだろう。
まず1点目は財政面だが、大久保市長は選挙時や当選後の会見で「財政は改善している」「財政は極めて健全で、市民には説明が不足している」と強調していた。だが、経常収支比率(地方税など毎年の収入に対して人件費など固定の支出が占める割合)は平成27年度決算時で91・9%と、前年度より悪化しており、県内13市で見ると、湖南、栗東に次ぐ3番目の悪さで、硬直化が進んでいる。
また実質公債費比率(一般財源のうち借金の返済にあてる割合)は平成18年度決算時の23・3%から同27年度時の8%まで改善しているものの、全国の同規模の自治体と比較した順位は31団体中21位となっている。市の財政課も予定している大規模事業を進めれば、実質公債費比率が悪化するとしている。
さらに財源不足を補える財政調整基金の残高は平成27年度末の約50億円から、同33年度末には約12億円になる見通しで、市長選の新人候補は今年度予算での同基金の取り崩し額が計画を8億円上回ったことなどから「(33年度末には)4億円しか残らない」とも主張していた。この状況下で、新しい市民体育センターの建設、市立図書館の設置、広域ごみ処理場の新設、インフラ整備、稲枝駅西口開発などの大規模事業が相次ぐことを考えると、市の財政面を危惧せざるを得ない。
2点目は首長としての資質の面だが、1期目の4年間を通して、大久保市長は率先型・主導型ではなく、調整型・協調型であることがわかった。しかし、2期目の4年間は1期目のように○○協議会や○○委員会任せでは進むべき施策も停滞する恐れがある。率先・主導すべき施策には政治家らしい英断を発揮するべきだ。
3点目としては市長選時に新人の候補者2人や陣営が「犬上郡の有力者」との繋がりを指摘していた点である。その有力者とは豊郷の大野和三郎県議のことだが、滋賀彦根新聞では市長選中の19日付けで大久保市長と大野県議との「蜜月ぶり」を紹介していた。小生は大野県議と何度か会っており、彦犬地区のインフラ整備などに尽力していることも存じている。だが、市民の間には大野県議が豊郷町長時代に旧豊郷小学校を解体するか否かでマスコミを賑わせたイメージが根強く残っているのも事実だ。
以上、今後4年間の市政における大きく3点の懸念材料をあげたが、大久保市長には1期目とは異なる先導型の首長に転換し、彦根をより良き街にして頂きたいと強く願う今日この頃である。【山田貴之】
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