2019年1月7日月曜日

彦根城世界遺産へ登録範囲は特別史跡内で、推薦書原案を年度内に提出へ

 彦根城の世界遺産登録について、彦根市はその登録範囲を中堀より内側の特別史跡と埋木舎に絞った形で目指す考え。現在は推薦書の原案を作成しており、今年度中にも文化庁に提出する予定だ=写真は市作成。
 世界遺産を目指すうえでの懸案事項は、登録済みの姫路城との差別化だが、その問題をクリアするには、海外の人や将来世代にも理解できる「顕著な普遍的価値」を証明する必要がある。
 木造建造物の最高傑作として評価されている姫路城との差別化を図るため、彦根市は江戸時代の武士が城とその周辺に住み、一体となって「統治」していた社会構造に着目。個別の領地を支配していた戦国時代の武士が、江戸時代には統治者へ転換したとしながら「彦根城がその統治を表した代表的な城だ」と説明している。
 焦点の登録範囲については、特別史跡内に天守、櫓、藩主が住んでいた御殿、旧藩校、庭園(玄宮楽々園)、重臣屋敷、堀、石垣が現存していることから「武士の統治を表す要素がまとまって残っているのは彦根城しかない」と強調。一時期、市は登録範囲の候補に外堀土塁や辻番所、井伊神社なども入れていたが、現在は参考物件としての「バッファゾーン」の位置づけに止めて、あくまでもバッファゾーンを除いた特別史跡内のみで勝負する意向だ。
 今後、市は国からユネスコに提出する推薦書の原案を県と連携しながら完成させて、今年度中に文化庁へ提出。2022年をめどに国内で推薦候補に選ばれ、ユネスコに推薦書が提出された後、イコモスの審査と世界遺産委員会で審議を経て、24年に世界遺産登録の決定を目指している。
 彦根市の担当者は「江戸時代の武士の統治の仕組みが彦根城内だけでストーリー立てすることができ、世界遺産登録もできる」と自信を見せている。
 しかし専門家の中では、より差別化が図れる可能性があるバッファゾーンを登録範囲に入れる案や、国宝五城案などを推奨する意見がある。ほかにも、江戸時代の武士や統治の仕組みを海外の人にいかに理解させるか、統治者の井伊家についてどのように説明するかなどの課題がある。そして何よりも彦根市民の間で盛り上がりに欠ける点が最大のハードルとも言えよう。彦根城の世界遺産登録に向けて、その実感を抱く市民が多くないのが現状であり、困難な状況に変わりは無い。       (山田貴之)

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