「殿様」的か「商人」的か
ひこにゃんは彦根城築城400年祭に合わせて平成18年4月13日に誕生。当初はそれほど注目されなかったが、築城400年祭の開幕と平成20年6月からの井伊直弼と開国150年祭で国民的キャラとなり、その
後のゆるキャラブームの火付け役を果たした。
一方で著作権や商標権を巡って、市とひこにゃんの原作者・業者らとの対立が表面化し、法廷闘争まで泥沼化した(最終的には和解)。使用できるデザインは3種類のイラストと1種類の着ぐるみ写真となっているが、商品への商標使用は有償で、販売小売額と予定生産数をかけた額の3%を市に納めなければならない。また商品などには1枚1円の証紙を貼り付ける必要がある。
対するくまモンは九州新幹線全線開業を控えた1年前(ひこにゃん誕生から約4年後)の平成22年3月に生まれ、その後、全国区に躍り出た。イラストの利用料が無料ということもあり、関連グッズ数は日用品や小物などさまざまな分野に及んでおり、昨年11月末時点で約1万4000点を超えた。ひこにゃんのように使用できるイラストが限られていないため、くまモンをイメージしたクッションやエプロンなど用途も幅広い。認証番号さえ併記すれば、県外の企業広告看板や名刺、職員研修用の冊子などにもイラストを入れることができるという。もちろん証紙も必要ない。
ひこにゃんはキャラ界の神
観光客の誘致のために生まれた同じご当地キャラクターであるにもかかわらず、「殿様」的なひこにゃんと「商人」的なくまモン。なぜ、ここまで違いが出てしまったのか―。
全国のご当地キャラのイベントに主催者またはアドバイザーとして参加している日本ご当地キャラクター協会(本部・彦根市小泉町)代表理事の荒川深冊さん(43)によると、彦根市の市民性と熊本県の県民性の違いがあると解説した上で、全国の自治体の担当者からは「ひこにゃんは別次元」との声が統一して聞かれるという。
つまり、ひこにゃんに追いつけ、追い越せで、くまモンをはじめとして次々にご当地キャラが生まれたものの、ひこにゃんはいつまで経ってもご当地キャラの象徴であり、いわばご当地キャラ界の「神様」のような存在だという。
そのため荒川さんいわく、ひこにゃんは彦根の殿様文化に合ったキャラクターであり、全国から見ても「殿様」的な地位にあるため「今のままで良いのかもしれない」と分析する。
一方で「ひこにゃんの周りにいる我々、観光に携わる人間は変わっていかないといけないけれど・・・」とも釘を刺す。ひこにゃんの今後の活躍にまだまだ目が離せない。 【山田貴之】
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