2019年2月16日土曜日

井伊直弼自筆の和歌集・桺廼四附(やなぎのしづく)の影印本と翻刻本が完成

 井伊直弼自筆の和歌集「桺廼四附(やなぎのしづく)」の原版を複製した影印本と現代語訳した翻刻本が完成。7日、翻訳した彦根市芹橋2丁目の元中学校教員・小田輝子さん(92)らが報告のため市長を訪問した。
 桺廼四附は直弼が15年以上過ごした埋木舎や江戸で詠んだ歌を勅選和歌集の形式で編集。上冊が春・夏・秋・冬、下冊が恋・離別・羈旅(きりょ)・祝賀・哀傷・雑之部・物名に分類されており、計1030首以上あるという。和歌の中では玄宮園内に桜があったことなど、あまり知られていない歴史的事実も登場する。書名は直弼が好んだ柳にちなんで付けられ、「桺の雫」とも書く。1冊の大きさは縦24㌢×横16㌢。上冊が124ページ、下冊が96ページ。
 彦根城博物館学芸員の渡辺恒一さんによると「直弼の字は崩し方やゆがみなどクセがあり、また和歌の教養がないと解読が難しい」とされ、桺廼四附の翻訳は専門家でも難しかった。
 小田さんは2004年ごろに桺廼四附を読み、江戸時代のくずし字を解読できる能力と和歌の教養を生かし、数年かけてすべての歌を翻訳。15年9月までに校正を終え、市民有志と出版に向けて調整してきた。また本町の西地区公民館では毎月第一水曜日に「『桺廼四附』解読会」を開いてきた。
 小田さんは一番好きな作品に、直弼が藩主となって初めて帰郷してきた際に民衆が出迎えた様子をうたった嘉永4年(1851)の歌「初めて 国にかへるとき 道のさきさき民ともの あまた出むかひたるを見て・・・」をあげたうえで、「直弼公は国のこと、彦根のことを良くしようと考えていたことがわかる。まだまだ直弼は人殺しというイメージがあるようだが、和歌集からは直弼公の優しい気持ちを感じることができる」と話していた。
 本は2冊セットで6000円(税抜き)。彦根市内の書店で販売している。問い合わせは彦根城博物館☎(22)6100。

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