2009年9月15日火曜日

米国主導の市場経済を批判、佐伯啓思教授 滋賀大創立60周年式典で

 元滋賀大学教授で保守派論者として知られる佐伯啓思・京大大学院教授が、12日に開かれた滋賀大学創立60周年記念式典で「大転換期の学問」をテーマに講演した。
 佐伯教授は、彦根で過ごした1980年代のバブル期の日本と学問について「国内全体が夢を見ていたが、(バブル崩壊以降への)大変な現実も進行していた」「(価値判断をつけない)『ポストモダン』という考えが急激に広まっていたが、私自身は批判していた」と話した。
 昨今の世界的な経済危機の要因については、90年代から2000年代の米国主導による金融中心の経済とグローバル化をあげ「産業を興し、労働者に賃金を払い、消費を拡大させるという従来の経済学から見れば、とんでもない発想だった」と解説。
 また「政府は市場を管理する役割だが、全てを同じ土俵に扱うポストモダン的な発想で、市場全体を見渡すことができなくなった」「90年代の日本の構造改革は、市場が全てを解決するという幻想を抱いていた。どういう社会が良いかを価値判断する人がいなかったと言え、政治家の責任だ」とし、市場原理主義を批判した。 今後の日本については「これ以上、発展していくことは難しい。生き残るためには、50年先、どのような国にするのかを価値判断しなければならない」「日本の学問においても、米国の考えを取り入れる東京辺りの大学を追いかけるのではなく、地に足をつけた研究をするべきで、滋賀大学は可能な場所だと思う」と話した。

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