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2011年8月20日土曜日

殿様文化が続くのか―江戸期の徳川家と彦根藩・井伊家、現代の官僚支配と彦根市の同質性から―

 江戸時代の徳川家と彦根藩の井伊家。そして現代の日本の官僚支配構造とその末端の彦根市。両者を比較分析した場合、極めて似た体質をもっていることがわかる。
 「彦根市は殿様文化が続いている」と、市外の住民や市外からの移住者が揶揄する声を取材先等で頻繁に耳にするが、小生も同意見であるし、賛同する市民は多いのではないか。つまり、彦根はいまだに殿様文化を引きずっており、行政は殿様気取りで、市民は殿様頼りの資質だといえる。
 それは江戸時代から連綿と続く井伊家を頂点にしてきた体制の名残であるのは間違いなく、この体質は江戸を拠点に全国を支配した徳川家とその後の東京を中心にした日本の官僚支配体制の縮図でもあるようだ。
 経産省の現役官僚・古賀茂明氏は著書「日本中枢の崩壊」(講談社)で、「政治も行政も弊害ばかりが目立つ老朽化したシステムにしがみつき、目覚めない。日本国の『中枢』が改革する心を失い、危機を感じ取る感性さえない」と記している。いわば、現代の官僚を頂点にした支配構造は末期症状を迎えており、その打開策さえ見つかっていないといえよう。
 さて、今回のひこにゃんの取り扱いに対する「お願い」についてだが、ファンや閲覧者からの意見を総合すると「彦根市はひこにゃん人気という地位にあぐらをかいている」としか理解されておらず、「必要な対応をとらせていただく所存」という文言は傲慢極まりなく、脅迫まがいでもある。
 市政の柱の一つである観光施策は、ひこにゃんさまさまで好調が続いているようだが、回遊性や宿泊客の増など課題は一向に改善されていない。
 観光事業は受動ではなく、より能動的な姿勢が求められるが、市からその姿勢を感じることができないのは小生だけか。観光に傲慢さは致命傷となることだけは苦言を呈しておきたい。
 「自己を改めるには、まず自己を知ることからだ」。そのような言葉があるのかは存ぜぬが、それは組織でも同じことである。彦根市の殿様体質を改善し、他者に傲慢ではなく、謙虚さを感じさせるには、職員一人一人の自覚と改革への意欲しかなかろうに。
 官僚支配構造が崩壊しつつある昨今、その末端の彦根市行政も、「改革する心」と「危機であるという感性」を磨くことに間違いはないはずだが。【山田貴之】

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