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2016年6月21日火曜日

大久保市長は責任転嫁するな

 新たな市民体育センターの建設を巡って、市議会内で慎重意見が出始めており、市役所本庁舎の耐震化に続く市政混乱の可能性もある。
 建設予定地になっている燦ぱれす周辺は元々、市立図書館の整備が有力視されており、小生も市民体育センターの整備検討委員会から最初に報告を受けた際は降って湧いた思いだった。均衡ある発展や武道場などの整備を願っていた市体育協会の会員、誘致活動をしていた稲枝などの住民の思いをくみ取ると、その無念さが伝わってくる。6月議会では案の定、稲枝地区の選出の議員を中心に複数から反対意見が出ていた。
 大久保市長はこの問題に対して6月議会で「検討委員会の報告をもとに決めた」「県に要望している」などと、市長就任以来のこの3年間に幾度となく聞いた答弁を繰り返していた。小生はこれまでに何度か、市の将来に関わる重要案件については検討委員会や協議会などに任せる「責任転嫁」型ではなく、市長自らが基盤となる方針を決めた後に、委員会などに諮るべきだと提言してきた。市議会でも安居正倫議員が同様の指摘をした上で「委員会に任せる手法は以前から苦々しく思っていた」と語っていたが、その通りである。
 確かに庁舎耐震については市長が「リーダーシップ」を発揮し、前市長の方針を撤回した上で新たなプランを提示したが、上滑りに終わり、市政を混乱させたのはつい最近のことである。そのため政治的決断には先見性や実行力も伴わなければならない。
 新しい市民体育センターを巡っては今後、7月中旬に検討委員会を開催し、市としての整備基本計画案を示して、地元への住民説明会とパブリックコメントを経て、8月ごろに基本計画を策定。9月議会にも設計費を上程する運びだ。
 しかし、そうは問屋が卸さないであろう。6月議会の慎重派議員の質問を聞くと、「火種」は既にくすぶり始めており、9月議会に向けて広がる可能性がある。
 庁舎耐震化のように再び市政を停滞させることがなきよう、大久保市長は責任転嫁をせず、現行のままで進めるのか、改めて候補地を選定し直すのか、市民や市議会に理解される政治的決断を表明するべきである。 【山田貴之】

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