佐賀県伊万里市では毎年の鍋島藩窯秋祭りで、名城が残る自治体に伊万里焼を「献上」している。今年は彦根市に贈られることになり、13日に彦根城博物館能舞台で受納式が開かれた。
伊万里市内の大川内山には江戸時代、鍋島藩の藩窯が置かれ、朝廷や将軍家、諸大名に献上する上質の焼き物「鍋島」が作られていた。現在は伊万里焼として30数軒の窯元がその伝統と技を引き継いでいる。
鍋島藩窯秋祭りでは、江戸時代の文化にならい「献上の儀」を行っており、平成16年からは名城を持つ自治体に伊万里焼を贈呈している。彦根藩と鍋島藩は、井伊家十代藩主・直幸の娘・宣姫が、鍋島家八代藩主・治茂に嫁いだというつながりがあり、今年は彦根に献上されることに。
彦根に贈られた品物は「色絵青海波宝尽文瓶子(いろえせいかいはたからづくしもんへいし)」。全体を青海波の模様、最上部を白くしており、日本人の美意識を象徴している。
受納式には、伊万里市から塚部芳和市長のほか、秋祭りや伊万里焼の関係者ら計22人が訪れた。塚部市長から瓶子を受け取った獅山市長は、江戸時代に彦根で湖東焼が振興していた際、伊万里焼からも職人を招いていたことから「今年は湖東焼を愛した井伊直弼没後150年にあたる。これも何かのご縁があると思う。大事にしていきたい」と述べた。その後、ひこにゃんから塚部市長にお礼の品が渡された。
瓶子は市役所で展示された後、彦根城博物館で保管される。
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