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2013年4月24日水曜日

市長選初当選の大久保氏「『和』を大切に」

 彦根市長選は21日、投開票され、元県議の大久保貴氏(49)が1万6903票を獲得。現職の獅山向洋氏(72)、国会議員元秘書の有村国知氏(38)を大きく引き離し、4度目の挑戦で初当選を果たした。当選後、選挙事務所で大久保氏は「強い彦根をつくるためにがんばっていきたい」と話していた。当日の有権者数は8万6819人。大久保氏は5月10日から登庁する予定。
選挙戦は序盤から大久保氏が優勢に立ち、獅山氏と有村氏が追う展開だった。大久保陣営は選対幹部を一市民に任せ、党派色をできる限り無くした「市民党」で戦った。稲枝地区の市議の支援を得ながら別働隊を置き、稲枝での個人演説会では約150人の来場があった。このほか各地でも連日、個人演説会を開き、市南部を中心に着実に支持を広げた。
 獅山陣営は政策ビラの新聞折り込みや支持を受けた市議を総動員させて、インフラ整備や行財政改革などの実績をPRしたが、72歳という高齢と、ひこにゃん訴訟や嘉田知事との対立への市民の嫌悪感から、票を伸ばすことができなかった。
 有村陣営は「滋賀の彦根から日本の彦根へ」などキャッチコピーを前面に打ち出す戦略で、若さと情熱、行動力をアピールしたが、具体的な政策を打ち出すことができなかった。また彦根出身ではなかったため、排他的な彦根の市民性に浸透が図れなかった。
 午後10時15分ごろに当確の知らせを受け、長曽根南町の選挙事務所に顔を見せた大久保氏は支援者の握手を受けながら登壇。「ようやくスタートラインに立った。緊張感を持っている」「『和』を大切にしながら、強い彦根をつくるために市民の皆さんと共に目的の達成のためにがんばっていきたい」と語った。
 一方で、獅山氏は本町の事務所で「不徳の致すところと言わなければならないが、政治や行政をしっかりやってきたので不徳とは言わない。やはり年齢には勝てない。日本には若さを大切にする考えがある。残念だが」と話していた。
 ※(解説)=今回の市長選を分析すると、まず当選した大久保氏が打ち出した主な政策は「民間から女性副市長」「幼小中へクーラー設置」「巡回市長室の実施」などであるが、市民はそのような票目当てと見られる政策よりも、「彦根の閉塞感の打破」を求めたと思われる。
 現職の獅山氏は失政が少なく、財政改革や観光面などを評価する声は多いが、ひこにゃん訴訟や嘉田知事との対決姿勢などへの嫌悪感を抱いていた市民も少なくない。市民が獅山氏に厳しい審判を下した背景には高齢のほかに、嫌悪感や疎外感から波及した閉塞感があったためではなかろうか。
 その閉塞感の打破を求めた象徴が有村氏の健闘からもわかる。彦根出身では無い有村氏に現職とほぼ同数の票が入ったことは、排他的な土地柄の彦根では画期的である。彦根をまったく新しいまちにして欲しいという市民の表れであり、今回の選挙で最も注目すべきだと言えよう。
 ただ閉塞感の打破を求める市民は、有村氏という未知への冒険よりも、安全パイ的な顔なじみの大久保氏を選んだ。つまり、どのように変わるか先が見えない道よりも、先がある程度見通せる道を選択したわけだ。閉塞感をいかに打破するのか、大久保氏の手腕にかかっている。(山田)
投票率、実質過去最低
 彦根市長選の当選証書付与式が22日、市役所で行われ、市選挙管理員会の小川良紘委員長から大久保氏に当選証書が手渡された。
 彦根市長選の投票率は戦後の混乱期を除き、事実上の過去最低だった前回(平成21年4月26日)の44・89%から3・07ポイント下回る41・82%だった。市選管では「争点が無かったほか、他市の市長選でも下回る傾向がある」としているが、低下傾向に歯止めがかかっていないため、根本的な市民性の改革が求められる。

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