彦根市南部の中心拠点として、市は荒神山古墳(市指定文化財)を国指定の史跡にするため、これまでの調査結果などをまとめた報告書を作成し、年内にも文化庁に提出。年度内の史跡指定を目指している。
市南部の振興は、現市政の諸課題の一つにあがっており、荒神山の整備は南部振興の足掛かりになるとみられるため、史跡指定の行方が注目される。
荒神山は市の西南、琵琶湖岸の宇曽川左岸に位置する標高約284・1㍍の独立の丘陵。山中には前方後円墳(荒神山古墳)、群集墳、日夏城跡など、数多くの文化財がある。
古墳時代前期後半(4世紀後半)の前方後円墳は、山頂から北方へ張り出した斜面に築造。市教委文化財課が平成15年度から19年度にかけて4回の調査をしており、全長124㍍、後円部が径80㍍・高さ16㍍、前方部が幅61㍍・高さ10㍍で、県内2番目の規模を誇ることがわかっている。円筒や筒型の埴輪なども見つかっており、赤色顔料を塗っているなど4世紀後半に作られた埴輪の特徴があるという。同古墳は平成16年度に市指定文化財に指定されている。
古墳時代後期の「群集墳」は、これまでの調査で、稲村神社の奥に17基以上(山王谷支群)、県立荒神山少年自然の家の裏手に6基(日夏山支群)、ほかの単独のものを含めて30基以上が確認されている。これらの群集墳は直径10㍍前後の円墳で、中央に横穴式石室、石室内には棺が置かれ、「須恵器」などが供えられていた。
日夏城跡は、15~16世紀の戦国時代に土豪の日夏氏が荒神山山頂から北側の尾根に築いた城。土塁や曲輪の跡が見つかっている。
市は昨年度すでに、文化庁と県教委に荒神山古墳の国史跡指定のための協議をしており、今後は報告書を文化庁に提出し、史跡指定を目指す。史跡指定後は保存管理計画を策定し、荒神山一帯の整備を進める。
また市は荒神山のほか、周辺の山崎山城跡、曽根沼、肥田城跡などを一帯させた文化財ゾーンでの街づくりを進めるための「歴史文化基本構想」を制定する計画も立てており、市南部の中心拠点づくりとして期待される。
なお市内の国指定の史跡は、彦根城跡(昭和31年7月19指定)と井伊家墓所(平成20年3月28日指定、清涼寺・豪徳寺・永源寺)の2件。
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