2012年8月4日土曜日

寺近くの民家屋根瓦に鍾馗 彦根は約70体 まち遺産ネットひこねマップ作成へ

 彦根市内の寺の周囲にある家の屋根瓦には鍾馗(しょうき)と呼ばれる魔除けが置かれている。市内の歴史遺産を発掘している団体「まち遺産ネットひこね」では、鍾馗のある場所を1軒ずつ回って記録におさめており、年内にマップを作成する。
 鍾馗は口ひげを生やしたこわもての顔が特徴で、近畿を中心に27の都府県で確認されている。大半が京都を筆頭に、滋賀、奈良、大阪、愛知、三重に集中しており、全国には1万体以上あるという。京都などは寺とは関係なく町屋の軒先でみられ、同じ物が多いが、滋賀や奈良などは寺の周辺が多く、それぞれ個性的な表情をしている。鍾馗が寺の周りに多いのは、寺の霊力ではね返された魔物や鬼などに対抗しようとするためらしい。
 まち遺産ネットひこねでは、湖東定住自立圏の地域創造事業の一環で鍾馗探しをしており、これまでに旧城下町と高宮で約40体、ほかに八坂、日夏、河瀬、稲枝地区などを含めると約70体の鍾馗を確認している。寺の近くが大半だが、とばや旅館(河原)のように昔の建物にもある。作成するマップの対象エリアは旧城下町と高宮のみ。
 代表の尾田英昭さん(57)は「宝探しみたいに町中を歩いてもらって鍾馗さんを見つけてほしい。観光の周遊性にもつながれば」と話している。同団体では鍾馗についての情報も募集。問い合わせは尾田さん090(3465)0910。 
 【鍾馗】中国・唐の時代に実在した人物との説もあるが、楊貴妃との恋で知られる玄宗皇帝が高熱で寝込んでいた際、夢の中で小鬼を退治した姿を描かせたのが鍾馗の始まりと伝えられている。
 後に中国の伝統的宗教・道教で魔除けの霊力をもつとして信仰が広がり、それが日本にも伝わってきたとされる。平安時代末期の絵に登場するほか、江戸時代の享保2年(1802)の旅行記でも鍾馗を紹介。瓦に設置される形としては、近江八幡市のかわらミュージアムが所蔵する文政11年(1828)の鍾馗2体が製作年のわかる最古の物だとされる。

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