東京・大阪間を最短67分間で結ぶリニア中央新幹線が2050年開通を目指して動き出しているが、そのうち東京・名古屋間の86%にあたる約246㌔㍍がトンネルになり、南アルプスなど山岳地帯や自然公園の地下も掘るという。「時代の流れ」に逆行していると感じるのは私だけだろうか。
先日、環境再生医・矢野智徳さんのセミナーを受講する機会があったが、矢野さんは現代の鉄筋コンクリート化された建造物によって、地中の水と空気が遮断され、水脈に乱れが生じることで土壌が崩壊し、植物が衰退していることを指摘した。
自然環境を壊しながら、人間本意で何不自由なく生活している現代は、確かに「幸福」かもしれないが、土壌や植物の崩壊により、地球温暖化をはじめ、台風・ハリケーン・地震などの自然災害、それらを起因にした土石流やがけ崩れなどが頻発している。また土壌汚染が食物に悪影響を与えていることも容易に予想できる。
「幸福」とは何か
これら、人間が創り上げてきた社会によって、自然を含めた世界全体が崩壊の道を着実に歩んでいる様は自業自得としか言いようがない。私たちは、自然の中で生かされていることを自覚しながらも、目先の欲望や利便性を優先する生き方をしている。言い換えるならば、経済的な発展により、国を豊かにするという短期的な視点を重視してきたため、そのツケが目に見えるまたは肌で感じる形で地球全体に広がりつつあるのだ。
一昔前の人々が自然の恩恵を受けながら、自然と共に暮らしてきた生き方のように、まずは私たち人間社会の礎にある大地を豊かにするという長期的な視点に基づく発想の転換こそが真の「幸福」につながるのであり、将来の子孫や地球のために、今の私たちに求められていると言えよう。【山田貴之】
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