彦根出身のジャーナリスト・田原総一朗さんが、5日の彦根市制75周年記念式典の中で、「時代をよむ」をテーマに講演。新エネルギーや経済など日本の抱えた課題について持論を展開した。
田原さんは日本の展望について、司馬遼太郎の「坂の上の雲」をあげて「今の日本は高度経済成長を経て、坂の上の雲の中に入ってしまった」とし、「民主党や自民党の政治家はその雲の中でうろうろしているだけ」「中曽根康弘元首相まではビジョンがあったが、以降は小泉純一郎さんを除いてビジョンがない」と、現代の政治家を批判した。
エネルギー対策については、「脱原発は反対」とした上で、東日本大震災前の政府の計画が「2030年に原発53%・石油など化石26%・自然エネルギー21%」だったことを指摘。「新しい原子力発電所の建設は不可能になっており、残りを自然で補えることも無理で、ガスなど化石燃料を増やすしかない」「そういう根本的問題を新聞やテレビは報じず、国民も論じないようでは、いつまでも雲の中のままだ」と述べた。
円高で企業が海外へ出ていく産業の空洞化に対しては、満州事変・日中戦争・太平洋戦争が「侵略戦争だった」と主張した上で、現代の日本企業の海外進出と比較。「侵略」と「海外進出」の理由について、▽安い労働力を確保できる▽自国の物を売りつける▽資源をとるーことだと解説。「大きな国になったと考えるべきで、悲観する必要はない」と語った。
記念式典に1100人
彦根市制施行75周年記念式典が5日、ひこね市文化プラザで開かれ、市民ら約1100人が出席した。
彦根市は昭和12年(1937)に彦根町と松原村、青波村など5村が合併して市制を施行。同25年に日夏村、同27年に鳥居本村、同31年に河瀬村と亀山村、翌年に高宮町、同43年に稲枝町とそれぞれ合併した。平成2年には人口が10万人を超え、今年9月1日時点では11万2331人となっている。来年2月に75周年。
式典では、第1部で市長や議長あいさつ、市内34団体への感謝状の贈呈、彦根音楽連盟合唱団による彦根市民の歌斉唱などが行われ、第2部では彦根出身の田原総一朗さんが講演をした。
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