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2014年4月21日月曜日

井伊直弼の真の姿に迫った本 彦根城博物館の学芸員まとめる

 真の井伊直弼像に迫った本「井伊直弼のこころ―150年目の真実」が刊行された。
 直弼公に対しては、勅許を得ずに日米修好通商条約を締結したことや安政の大獄により、全国的に悪い印象がある。その評価は明治時代から続いているが、一方で井伊家周辺では直弼公関連の史料を保管して顕彰活動をしてきた。
 井伊家伝来の史料約2万7800点を収蔵する彦根城博物館では平成7年から、史料のうち直弼公の書状260点を読み解きながらテーマ展や特別企画展を開催。今回、「これまでの約20年にわたる研究の集大成」として本にまとめた。
 本は、「修養の日々」「井伊掃部頭の重責」「内憂外患の幕政を担って」「歴史の中の井伊直弼」の4部構成で、直弼公の生い立ちから藩主・大老としての仕事などをわかりやすく解説している。また関連の書状や自作の道具なども写真入りで載せており、直弼公の生の声や性格についても触れている。
 刊行によって判明したこととして彦根城博物館では「直弼公が屋外で体を動かすことよりも本を読んだり、文章を書くことを好んでいた」「不遇の時代とされる埋木舎での生活が上級藩士並みだった」「条約調印前後に、反対派と粘り強く交渉していた」―ことを紹介。
 同館の野田浩子学芸員は「直弼に対する評価は、反対派を弾圧した、開国に貢献した、と分かれるが、この本で史実を理解することで、読者それぞれが既存とは異なるイメージをもつことを期待している」と話している。本はA5判で全ページカラー。2000冊作成し800円で同館内の店で販売している。

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