首相を代え、新鮮さをアピールし、支持率をあげて、急いで選挙に臨み、そして勝利をする―。小沢一郎がえがいたシナリオ通り、「こと」は進んでいるようだ。
民主党政権は16日、通常国会を強制的に閉会させたが、これはつまり、民主党が唱える「国民の生活が第一」よりも、参院選勝利を優先させたわけだ。党利党略のみに重きを置いており、国会(国民)軽視も甚だしい。
国会閉会により、前首相が国連で大見得を切った温室効果ガス排出量25%削減を明記した地球温暖化対策基本法案や、障害者負担を減らす障害者自立支援法改正案などは廃案となり、ネット選挙解禁の公職選挙法改正案は提出すらされなかった。
これが真の政治といえるのだろうか。前政権の支持率が低迷し、小沢と鳩山の辞任を求める声が高まっていたが、選挙第一主義の小沢はそのタイミングを参院選から逆算していたとしか思えない。そして、それに応えるかのように国民の60%以上が新政権を支持し、民主党の参議院単独過半数は濃厚になっている。
小生は、この旧態依然とした政治手法と付和雷同的な世論の流れに遭遇するたびに、「民主主義とは何か」「国民とは何か」という疑問を抱いてしまう。
政治家の資質やマスコミの責任もあろうが、政治家の思惑通りに国民がなびいる様を見て、一番ほくそ笑んでいるのは官僚であろうに。
16日付の毎日新聞で元外交官の佐藤優さんは、普天間問題での外務官僚の心情を推し測る論文を書いている。その一文には、「官僚には難解な試験に合格した偏差値エリートが国家を支配すべきだという集合的無意識がある。官僚は国民を無知蒙昧な有象無象と見下している。それだから有象無象によって選ばれた国会議員は無知蒙昧なエキスのようなもの・・・」―とある。
つまり、佐藤さんが言わんとすることは、国を統治するのは所詮、官僚であり、国会議員はバカな国民の代弁者に過ぎない―と官僚は思っているということだ。
民主党が政権をとれたのは、脱官僚を党是の一つに掲げたからだが、これまでの政権運営が政治主導で行われていないのは周知の事実。
参院選を控え、有権者は、「風」に流されるのではなく、各党の公約をしっかりと見極めて選択するべきであろう(一部、敬称略)。 【山田貴之】
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2010年6月18日金曜日
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