タブノキは海岸近くで育つクスノキ科の樹木で、琵琶湖周辺のように内陸部で見られるのは極めて珍しいという。滋賀県のレッドデータブックで郷土種としてタブノキ林が指定されている。
県は平成8年に策定した犬上川中小河川改修計画で、滋賀県立大学側の左岸では河川内にタブノキ林を島として残し、右岸側も河川内にできる限りタブノキ林を保全するとしている。左岸側は平成15年までに工事が完了している。
県立大学の野間直彦准教授が今月6日に切断されているのに気づき、湖東土木事務所に確認したところ、事前の調査無しに伐採されたとの報告を受けた。野間准教授は「地域住民の努力で残されてきた文化財が無くなったことは極めて残念」と話している。
同事務所や知事によると、右岸の改修工事はここ5年間ほど中断されていたため、職員間の引き継ぎが十分ではなく、保全すべき区域と伐採するエリアの図面の照合作業も正確ではなかったことが原因だとしている。今後の対応については失われた環境を少しでも取り戻すために移植などで復元に努める。
現場の確認後、知事は滋賀彦根新聞の取材に「組織的に継承すべきことができておらず、(県側の)ミスだ」と誤りを認めて謝罪した上で、「百数十年かけて育ってきた大木の命が無くなり、心痛い。1本ずつに存在感があり、それらの貴重性を伝えていくことができず、(職員への)教育が不足していた」と語った。
12日には県や市、野間准教授、環境ボランティアの市民らが現地を訪れ、移植の時期や方法について相談。県は来週にも移植作業に入る方針。
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