2012年7月24日火曜日

青木八右衛門の刺繍展 近江刺繍・彦根繍など愛荘町立歴史文化博物館で

 明治時代に彦根や愛荘で刺繍(ししゅう)を手がけた青木八右衛門(1849~1913)を紹介したテーマ展「美の造形―描かれた刺繍」が、愛荘町立歴史文化博物館で開かれている。
 青木は愛知郡北蚊村(愛荘町蚊野)生まれ。公職に就きながら、孤児や貧しい子どもたちの働き口のために私財を投じて愛知川に製紙工場を創設。刺繍商品の海外需要の拡大を予想し、彦根に移住後の明治26年(1893)に「貿易刺繍」という名の外国人向けの商品を開発し成功を収めた。
 貿易刺繍には日本の風景がえがかれた物が多く、「湖東」の印も入っていた。窓かけやテーブルかけ、屏風、衝立などがイギリスを中心に海外に輸出された。青木は二代目・八右衛門(本名・増吉)と一緒に刺繍技術の向上に努め、明治38年には職人育成のための私立彦根工芸学校を今の京町3丁目あたりに開校。翌年には愛知川分校(愛知川工芸学校)を設置し、同40年には製品の完成時間を短縮させることも可能にした。この前後には第5回内国博覧会やセントルイス万国博覧会、日英博覧会にも出品している。
 工芸学校はいずれも明治後期に廃校となったが、その技術は郡立愛知実業学校(現・愛知高校)に受け継がれている。近年までは「近江刺繍」として愛荘町を代表する産業の一つだった。また貿易刺繍は子孫に引き継がれ、平成11年には「彦根繍(ぬい)」として県伝統的工芸品の指定を受けた。
 同博物館では、青木が学校創設に向けた申請書類や博覧会での賞状のほか、近江刺繍や彦根繍など計35点を展示。午前10時~午後5時、9月2日まで。休館は月火曜。入館料は高校生以上300円、小中学生150円。問い合わせは同博物館☎0749(37)4500。

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