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2013年1月24日木曜日

名水百選・十王の水 使用の酒・福満、岡村本家が販売へ

 環境省選定の名水百選になっている彦根市西今町の「十王の水」(地元では十王村の水)を使った酒を、豊郷町の岡村本家が9年ぶりに醸造しており、2月上旬に完成する。
 十王の水は犬上川の伏流水で、江戸時代から五個荘の清水ケ鼻の水、醒井の水と共に湖東三名水の一つとして知られてきた。母乳の出が悪かった母親が十王の水を飲んだところ、母乳が出るようになったという言い伝えから、一角の中央には母乳の地蔵をまつった六角形の地蔵堂がある。
 昭和60年に名水百選になったが、同63年ごろからの周囲の大規模工事などで枯渇したため、地元住民らが「十王村の水保存会」を設立し、地下約70㍍からポンプで引き上げる方法で復活。岡村本家では平成10年から名水のPRの一環で仕込み水としての利用を始めた。衛生面の問題から同16年以降は中断していたが、一昨年末に保存会からの依頼で再び活用することにし、昨年12月に3回に分けて計約1800㍑を取水し=写真は保存会提供、酒作りに入った。今月末に試飲され、来月上旬に商品化される。
 西今地区は江戸時代、小泉、野瀬、宇尾、戸賀、平田、竹ケ鼻と共に犬上郡内の村だったが、明治22年(1889)に7村が合併し福満(ふくみつ)村となった。このことから今回、9年ぶりに復活する酒の商品名は「福満」と名付けられる。一升瓶1500本分が岡村本家や彦根市内の酒販店で販売される。すっきりとした飲み易さが特徴だという。
 保存会メンバーで酒造りの発起人の内片祥三さん(71)=西今=は「お酒が復活することで、地域の皆さんに十王村の水について関心をもっていただければ」と話している。
 ※地元などでは十王村の水として知られているが、市史編さん室は「十王村という村は存在しておらず、元々あった十王尊(みこと)という名か、江戸期の書物「淡海録」に記載の十王村から、昭和の戦後に変更されたのでは」とし、彦根市史では「十王の水」としている。

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