陸上競技100㍍で日本人初の9秒台を出した彦根市開出今町出身の桐生祥秀選手(21)=東洋大4年=を招いたイベントが5日、荒神山公園多目的広場であり、桐生選手と小中学生たちがリレーなどで交流した。
彦根南ロータリークラブが創立40周年記念として開催し、陸上競技を学んでいる市内外の小中学生252人と彦根南RC会員、保護者の計約450人が参加。開始式で彦根南RCの高木淳一会長が「小中学生のアスリートの皆さんには桐生選手に続くことができるようがんばって頂きたい」とあいさつ。
ウォーミングアップとして桐生選手を交えて全員でグラウンドをランニングした後、桐生選手が彦根南中の陸上部時代に練習していた広場内の芝山の「桐生坂」(通称)をダッシュで駆け上がり、桐生選手も子どもたちと一緒に駆け上がっていた。
中学校選抜メンバーと、桐生選手を監督とした南中時代のリレーメンバーとの200㍍リレーには、当初走る予定がなかった桐生選手も急きょアンカーとして参加。バトンを受け取り走ると、歓声が沸き上がっていた。桐生選手の後ろを走っていた彦根市立東中2年の菊河隼人君(14)は「桐生選手は腕の振りが大きく、とても速くてすぐに遠ざかっていった。とても良い思い出になりました」と話していた。
桐生選手や南中時代の恩師、同級生のトーク会で、恩師の億田明彦さんは「初めて見た時は肩まで髪があり、女の子みたいだった」と当時を振り返り、同級生の黒丸智弘さんは「中1のころは同じレベルでライバルだったが、(桐生選手は)2年生から急に伸びていった。全国大会でも頼れる選手だった」と語っていた。
これに対して桐生選手は「褒められる関係でも無いので改めてうれしい」と笑顔で答えた上で「(桐生坂の)芝山での練習で鍛えられたことが今にある。中学校のうちは勝っても負けてもいいので、楽しんで陸上をやってほしい」とアドバイスした。
小中学生からは「どうやったら桐生選手のように速くなれますか」「スタートした時に足を地面にするのはどうしてですか」などの質問があり、桐生選手は「トレーニングしかない。高校では技術面を学ぶが、特に中学校での下積みが大切」「足を地面にするのは最短距離で足を運ぼうと思ってするようになった」と答えていた。
交流イベント前には彦根市子どもセンターで、桐生選手の彦根市市民栄誉賞特別賞の表彰式が開かれた。
表彰式では大久保貴市長が「日本人初の記録は彦根市民のみならず、国民すべての誇りだ。これからも高いレベルで戦っていくことを頼もしく思っている。更なる高みを目指してがんばってほしい」とあいさつし、表彰状と記念トロフィーを手渡した。
桐生選手は「栄えある賞を頂きありがたく思います。頑張ることで地元の彦根が盛り上がるなら、もっと盛り上げたい心がある。世界の100㍍でファイナリストになるという夢を目指して、しっかり頑張りたい」と述べた。表彰式後には市長や同級生たちとの記念撮影にも応じていた。