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2023年9月29日金曜日

佐和山小 30人が熱中症 運動会後 搬送児童の保護者「驚いた」

 28日午前1115分頃、彦根市立佐和山小学校で運動会を終えた児童が体調不良を訴えているとの通報が市消防本部にあった。その約1時間後、本紙記者が現場を訪れた際はドクターヘリや複数の救助車両が運動場内に止まり、保護者たちが心配そうに眺めていた(写真は午後0時20分頃)。
 佐和山小では運動会を28日と1018日の2回に分けて実施。市教委学校教育課によると、この日は午前9時から約2時間、学年ごとに50㍍、80㍍、100㍍の徒競走が行われた。運動会終了後、6年の男児一人が「しんどい」と訴え、その後も体調不良を訴える児童が相次ぎ、学校側が救急要請をした。市消防本部によると、30人が体調を崩し、全員が市内外の病院に救急搬送された。いずれも熱中症とみられ、中等症が14人、軽症が16人で、高学年が大半を占めた。
 軽症の児童は市が出したマイクロバス1台で運ばれた。ほかにドクターヘリ1機、救急車3台、消防車両6台、湖北地域消防本部の救急車1台が出動した。
 
高温の中、真剣な走り影響か
 
 搬送された児童の保護者の一人は「学校から連絡を受けた際は驚き、急きょ病院へ駆けつけた。真剣に走った時に高温だったことが影響したのかもしれない」と話した。
 佐和山小では熱中症対策として、競技の合間に水分補給をする時間を設け、2時間で計6回の休憩時間があったという。彦根地方気象台によると、この日の午前11時時点の市内の気温は31・1℃だった。

2023年9月12日火曜日

視覚障害者の歩行に支障 中堀沿い歩道のポール3本

 彦根城中堀沿いの県道の歩道にある車止めのポールが、視覚障害者の通行に支障があるとして、障害者と支援者らが8月21日、県湖東土木事務所(彦根市元町)の職員にポールの移動などを現地で要望。県側は問題を認識し応じる姿勢を見せた。

県が4年前設置
大津の事故受け
 
 問題の場所は、県道25号線彦根・近江八幡線と市道立花佐和線が交差するT字路にある歩道で、ポールは立花町の県道内に立っている。2019年5月に大津市内で園児ら16人が死傷した事故を受け、県は19年度に県道交差点に防護柵やポールを整備。立花町の県道歩道には彦根城方面の横断歩道手前に1本、銀座方面の横断歩道手前に2本を設置した。
 しかし、それぞれのポールが点字ブロックと横断歩道の間にあるため、視覚障害者が歩行する際にぶつかるなどの支障が出ている。特に横断歩道から歩道に向かう際、ポールの存在を白杖で確認している間に信号が赤に変わってしまい、戸惑うこともあるという。
 一方で、近くの園の子どもたちも散歩などでこの歩道を利用している。視覚障害者の一人は「園児と視覚障害者の両方が過ごしやすい構造にしてほしい」と話す。
 県湖東土木事務所道路計画課の担当者は「なぜ、そのような場所に設置されたのかは不明だ」とした上で「問題があると認識している。近くの園などと相談しながら、ポールの位置をずらすなどの対処を検討したい」と語っている。

 

稲枝駅西側への専門職大学建設計画なくなる、重要遺構の発見で

映像分野の人材を育てる専門職大学の建設計画があった彦根市の稲枝駅西側のエリア近くで3世紀頃の遺跡が見つかり、同地での開校が困難になっていたことがわかった。市は専門職大学を創設する学校法人吉田学園(大阪市)に市内の代替地を提案している。
 稲枝駅西側のエリアは彦富町にある約4㌶の民有地で、市は当初、県立高専の候補地としていたが、「落選」後に吉田学園側と誘致について交渉。2027年度の開校を目指し、今年3月に基本合意書を締結した。
 吉田学園は大阪と東京でアミューズメントメディアの学校を運営。稲枝駅西側に開設を計画していた専門職大学は1学部・1学科で、映画、アニメ、俳優・声優の3専攻科を設け、1学年100人の4年制計400人の規模を想定していた。
 
稲部遺跡群で大溝跡発見
計画地近く、市は代替地提案
 
 しかし同地は稲部遺跡群の中に位置し、以前から重要な遺跡が見つかる可能性もあった。そんな中、同地近くでの市道整備に伴う市文化財課の発掘調査で、弥生時代後期から古墳時代前期とみられる幅10・8㍍×深さ1・22㍍・長さ約20㍍の大溝跡が昨年11月に発見。その後の学術的な調査で「(周囲を含めて)重要な遺構の可能性がある」とわかり、大溝が専門職大学の建設が計画されていたエリアに延びている可能性も判明。同地で試掘した上での本調査の必要が出てきた。
 文化財課からの報告を受けた市企画課は5月末に吉田学園側に事情を説明。吉田学園側が「早期開校」を目指しているため、稲枝西側のエリアでの開校はなくなった。そのため市企画課は市内の駅近くの地や市有地などを提案している状況だ。計画の白紙について市は否定している。

2023年9月7日木曜日

プロ野球の審判目指し奮闘 鳥居本中の川部大翔君

 彦根市立鳥居本中学校3年の川部大翔(はると)君(14)=鳥居本町=がプロ野球の審判を目指し、学童野球の試合で塁審などを務めている。8月20日に松原町のHPLベースボールパークで開かれた学童野球の試合では三塁塁審で的確なジャッジを見せていた。
 川部君は鳥居本小1年の時に野球を始め、城北小のスポーツ少年団に所属。一時休部があったが、主に捕手を守り、6年では主将を務めた。中学校ではハンドボール部に入ったが、体調不良もあって2年冬に退部。「ほかに何かできることはないか」と考えていたところ、城北小のスポーツ少年団の時に監督を務めていた彦根学童連盟審判部の松本圭生部長(57)の誘いを受けた。
 松本部長は、川部君が中学生になってからも学童野球の審判を手伝っていたため「審判のセンスがあると感じた」と、その腕前を評価。誘いを快諾した川部君は今年2月に審判講習を受けて以降、学童野球の試合で審判を務めている。
 審判を目指した理由について、川部君は「小学生の時からジャッジがかっこいいと思っていた」と説明。その魅力については「際どい判定が必要な際、シーンとする中でのジャッジが楽しい。ヤジがあっても気にしない」と話した。将来の夢については「県の連盟、高野連の審判を務め、最終的にはプロ野球の世界で審判をしたい」と熱く語った。
 彦根学童連盟審判部の審判は平均年齢が55歳(川部君除く)で、人数が川部君を入れて13人。松本部長は「川部君は言われたことを素直に受け入れる。我々もいい刺激になっている」と述べた。

彦根・高松の親善少年野球 2チームずつ対戦 交流深める

 姉妹城都市の香川県高松市の学童野球の代表団を招いた親善少年野球交歓大会が8月20日、松原町のHPLベースボールパークで開かれ、彦根と高松の学童野球のチームが白熱した試合を見せた。
 同大会は両市の交流を深めることを目的に昭和57年(1982年)から隔年ごとに各市で開かれており、新型コロナウイルスの影響で4年ぶりとなった39回目の今年は彦根を会場に開催。彦犬地区のチームの代表選手がレッドとブルー、高松の代表選手たちがレッドとブラックに分かれて2試合ずつ戦った。
 選手たちはこの日に向けて練習してきた成果を発揮し、いずれの試合も熱い戦いが展開された。4試合の結果は彦根の1勝3敗だった。
 前日の19日には甲良町総合運動公園で開会式があり、「友情の宣誓」「土産・手紙交換」などもあり、互いに健闘を誓っていた。

東レアローズ選手の バレー教室プロシードアリーナHIKОNEで

 平和堂は8月19日、プロシードアリーナHIKОNEで、バレーボールのVリーグに所属する東レアローズの選手を招いた小学生向けの教室を開き、選手たちと小学生が交流した。
 東レアローズ女子バレーボール部は大津市が活動拠点。平和堂はママさんバレーボール大会を開くなどバレーボールとのつながりが深く、東レアローズをサポートしている。
 この日は選手7人が来彦し、午前中に公開練習にのぞんだ。午後のバレーボール教室には城西・平田・金城・稲枝東・稲枝西・甲良の6チームの小学2年から6年までの72人と、サポート役として彦根東高と河瀬高のバレー部員が参加。
 小学生たちは選手のアドバイスを受けながら、各チームに分かれてトスやレシーブ、アタック、サーブなどを練習していた。甲良西小6年の宮本來采(くれあ)さん(11)は「選手の皆さんからのアドバイスを忘れず、練習に生かしてうまくなりたい」と話していた。

2023年9月1日金曜日

ビワフロント彦根オープン 温泉やヴィラ施設、琵琶湖の眺望重視

 ホテルニューアワジグループの「蒼の湖邸 BIWAFRONT HIKОNE(ビワフロント彦根)」が彦根市松原町に8月20日に開業した。内覧会で、木下学社長は「団体や施設と連携して、地域活性化に貢献したい」と述べた。
 敷地面積は3万9508平方㍍、延べ床面積1万1437平方㍍。前身の彦根ビューホテル(※)と同じ10階建てで、入り口からフロントがある最上階まで上がるエレベーターを新設。10階でエレベーターを降りると、井伊の赤備えにちなんだ朱色の漆塗りの自動扉があり、扉が開くと琵琶湖が眺められるレイクビュー方式を取り入れた。
 最上階はフリードリンクがそろうブースやライブラリーコーナー、県内の名産品を販売するセレクトショップ、ワークスペースなどとしても利用できる。
 旧彦根ビューホテルの本館には80室の客室があったが、各部屋を拡張して38室にし、2階から9階までに36平方㍍~110平方㍍(定員2人~6人)の広々とした客室を整備。全室から琵琶湖が眺められる。
 
愛犬とも宿泊グランピング
露天風呂新設、食にこだわり

隣接の旧コテージは22室から3タイプの計12室(定員3~7人)のヴィラを備えたグランピング施設にリニューアル。そのうち9室を愛犬と宿泊できるドッグフレンドリールームにした。
 地下約1500㍍を掘って湧き出た温泉を「びわ湖松原温泉」と銘打って、本館の隣接地に露天と内湯の大浴場を男女ごとに設け、内湯の壁面には琵琶湖産のヨシを張り付けた。またヴィラを含めた客室計50室のうち22室を露天風呂付きにした。温泉は炭酸水素塩泉で、冷え性や疲労回復、健康増進に効果があるという。
 料理については地産地消と健康志向にこだわり、近江牛、ビワマス、ホンモロコなどの湖魚、ふなずしなど発酵食品、地元野菜、北陸地方の魚などを用意。ディナーに和食を中心に洋も取り入れたコース料理、朝は和洋のブッフェ方式で提供。木下社長は「おいしく、かつ健康にをテーマに食材をそろえた。心と体が癒やせるウェルネスリゾートを実現させたい」と話す。
 また敷地内にはテニスコート、スリーオンスリーのバスケットコート、フットサル場、キッズパークを整備し、ホテル内だけで様々なアクテビティーが満喫できるようにもした。ほかに式典や宴会などに使用できるバンケット棟も整備する。
 ホテルニューアワジは淡路島、神戸、京都などで旅館やホテルなどを経営。ビワフロント彦根が17館目で、リニューアルの総事業費は約30億円。宿泊客以外にも来年春以降は宴席やセットでの露天風呂の利用も可能にする予定。
 
地域活性化へ団体と連携
木下社長「従業員113人一丸で」
 
 内覧会後には記者発表が行われた。最上階にフロントを設けたことや全客室から琵琶湖が眺望できるデザインについて、木下社長は「戦国時代の武将たちも見たであろう風景を見ながら、心と体を癒やして英気を養ってほしいとの思いを込めた」と解説。また「地域全体を活性化できるホテルづくりに努めたい。周辺地域のさまざまな施設・団体とも連携したい」と説明し、採用した113人のスタッフのうち9割が彦根市や周辺市町の住民だとした上で「スタッフ一丸となって地元の良さを伝えたい」と語った。

 ※【彦根ビューホテル】前身は1981年7月25日に近江鉄道が運営した彦根プリンスホテル。2008年3月に近江鉄道から、伊東園ホテルズとしてホテルや旅館を経営する「スタディー」(東京都豊島区)に経営譲渡され、彦根ビューホテルとなった。しかし新型コロナウイルスの影響もあり、2021年8月に「無期限の休館」に入った。翌年1月にホテルニューアワジが買収し、リニューアル工事を進めてきた。

2023年7月10日月曜日

彦根城の堀のハクチョウにパンなど与えないで

 彦根城内の堀で生息するハクチョウにパンなどを与える市民が相次いでおり、彦根城運営管理センターが頭を悩ませている。湖北野鳥センター(長浜市)でも「パンは鳥の健康に良くなく、鳥インフルエンザの感染拡大の恐れもある」と注意を呼びかけている。
 彦根城運営管理センターによると、城内には中堀と内堀にハクチョウが2羽ずついるが、毎日早朝から夕方にかけて市民がハクチョウにパンを与える光景があるといい、その数は確認できるだけで数十人いるという。
 本紙記者が中堀で、3月6日午前9時過ぎに確認したところ、男性がパンを堀内に投げ入れ、ハクチョウのほか、カモやトンビなど野生の鳥類も食べに集まっていた。7日午後5時半頃にも犬と散歩していた女性がエサを与える光景が見られた。男性や女性が近づくと、ハクチョウたちが寄って来ていたため、習慣化されていると思われる。
 
ほかの鳥と「密に」
カモやトンビも
 
 内堀と中堀にはハクチョウ用のエサ場が設けられている。宮川敏明所長(57)は「十分な量の専用のエサを与えている」と説明した上で「パンなどを与えている市民に悪気はなく、善意からやっているようで、こちら側も注意しにくい。パンなどには塩分や添加物が入っており、ハクチョウの健康が心配だ」と話している。
 湖北野鳥センター職員の荒田麻利さんも「塩分が入っているパンはハクチョウの体に良くない」とした上で「人と同じで、ほかの鳥が集まって密な状態になることは鳥インフルエンザの感染リスクが高まる。変異して人に感染する恐れもある」と指摘。トンビがエサを取りに来ている点にもふれ「餌づけされたトンビが人を襲う事例もあり、餌づけ自体が良くない」と話している。

2023年6月27日火曜日

7月16日ランタン250個を作るギネス世界記録に挑戦イベント

 数々のギネス記録に挑戦している彦根市尾末町の寺村邦子さん(68)が、7月16日にアルプラザ彦根4階でランタン250個を作る世界記録に挑む。コロナ禍が収束したことに触れ「希望の明かりを一緒にともしましょう」と協力者を募集している。
 寺村さんは2007年3月の「世界一長~い連続コンサート」を皮切りに、「最多人数のかくれんぼ」「楽器の種類数最多合奏」「靴下モザイクアートの靴下数」「忍者姿で集合した人数」などに挑み、2018年11月の「ノートを並べた長さ」までの16回の挑戦のうち、12件でギネス世界記録を達成した。
 新型コロナウイルスの影響でギネス記録への挑戦イベントも休止状態となっていたが、コロナ禍が収束しつつあることから「休止期間に温めていた」という企画を実施する。
 
7月16日参加募集
 
 参加者が作るランタンは、願い事や希望の言葉を書いた八つ切り半紙を貼り合わせた筒状の上下に、バッテン状の紙をくっつけて、上部に巻き付けた針金を棒に付けて完成させる。持ち物はセロハンテープ、両面テープ、ホッチキス、ノリ、筆ペン、カラーペンなど。参加無料。
 当日の受付は午後3時半から。▽同4時半~30分以内で製作▽ランタンの直径20㌢以上▽一人1個を自力で作る▽不十分な作品はカウント外などの条件がある。ランタンは持ち帰れる。ギネス記録の達成後には屋上でランタンをともす。
寺村さんは「長かったコロナ禍が収束に向かっている中、希望の明かりをみんなでともしたい」と話している。申し込みは7月9日までに寺村さん☎090(5152)3918かメール(pftkun@me.com

2023年6月8日木曜日

中村一雄さん3冊目の写真集「感動の軌跡Ⅲ」を刊行

  彦根市芹川町の中村一雄さん(91)が3冊目の写真集「感動の軌跡Ⅲ」を刊行した。琵琶湖を中心にした県内各所や北海道から沖縄までの全国各地の季節ごとの風景や行事、生き物を撮影した写真をまとめている。
 中村さんは戦後の16歳の時に、父親からドイツ製の中古カメラを買ってもらったことをきっかけに写真撮影にはまり、高校生から続けてきた。1954年の彦根市展で特選を初受賞し、63年の滋賀県展で県展賞を初受賞、67年には市展の無鑑査になった。91年からは彦根写真連盟の会長を務め、日本カメラ誌月例年度賞などを受賞。92年から94年までは彦根や大津、大阪で個展を開催した。2001年に彦根市文化功績者表彰、17年に滋賀県文化功労賞を受賞した。
 写真集は2002年に「感動の軌跡Ⅰ」、14年に「感動の軌跡Ⅱ」を出版。3冊目の今回は彦根を中心に県内各所をまとめた「湖風」と、全国各地の季節ごとの風景を収めた「四季のふれあい」の2部構成で編集している。
 第1部では天守や堀と共に満開の桜を表した「彦根城の春」、長浜の琵琶湖での渡り鳥「湖上のランデブー」、米原の巨木の下で咲くチューリップ「大樹のもとで」など49点を掲載。第2部では富士山を背景にしたこいのぼり「富士に泳ぐ」(山梨)、岡山の工場群「夜霧に煙るコンビナート」、愛知の「躍動する鯛祭り」、長野の上高地「冬来たる」など96点をまとめている。
 中村さんは数年前に体調を崩し、昨年まで入院や療養生活をしていたが、昨年11月に3冊目の写真集を発刊。「これからも体の続く限り、写真を続けたい。撮影することはなかなか難しくなったが、第2の写真人生だと思って助言などで貢献したい」と話していた。
 写真集は
カラー・159ページ。4180円。彦根市内の書店か中村さん080(1425)6031まで。

2023年6月7日水曜日

キャッスルロードにウクライナ料理の店The Fainaオープン

 ウクライナから彦根へ避難しているイリーナ・ヤボルスカさん(52)たちが5月27日、夢京橋キャッスルロードにウクライナ料理の店「The Faina(ふぁいな)」をオープンした。今後はウクライナに残っているイリーナさんの夫で元料理人のローマン・ヤボルスカさんも呼び寄せる予定だ。
 
内装「昔の家」イメージ
キーウやハリコフの写真展示
 
 イリーナさんは母親のギャリーナ・イヴァノヴァさんと一緒に昨年3月末、娘のカテリーナ・ヤボルスカさん(32)とその夫の菊地崇さん(29)が住む彦根市内へ避難。実業家の菊地さんの働きもあり、ウクライナ語で良いという意味の会社「Faina」を立ち上げ、彦根市内を中心に東京や大阪など各地でキッチンカーを運営し、ウクライナ料理の「ムレンツィ(ロシア語でブリンチキ)」などを提供してきた。
 イリーナさんはオンラインでローマンさんと連絡を取り合っていて、昨年12月にローマンさんが「日本で家族と暮らし、一緒に働きたい」と提案。多くのウクライナ人の雇用や本格的なウクライナ料理の提供も実現できるため店舗化を決めた。集めた資金約352万円を活用して、夢京橋キャッスルロードの空き店舗を借りて、菊地さんたちが今年4月からほぼ独自で内装作業をして、5月12日に完成させた。
 カテリーナさんは「ウクライナの昔の家をイメージした。日本の古民家にも似た雰囲気になった」と話す通り、濃い茶色とクリーム色を取り入れた壁が特徴だ。キーウやオデッサ、ハリコフ、リビウなど主要都市の街の写真も壁に貼って、ウクライナの雰囲気を出している。
 
ボルシチ オクロシカ…
ワイン用意、テイクアウトも
 
 1階が40席の店舗で、2階をキッチン、3階を事務所として活用。イリーナさんたちがボルシチや冷スープのオクロシカ、パンケーキのオラードゥシキ、ミートゼリーなどのウクライナ料理を作り、ブランチやランチ、ディナーの時間帯に提供する。ウクライナのワインやヨーロッパのビールも用意。観光客向けにはレモネードやシェイクなどを販売するほか、テイクアウトメニューもある。
 定休日が月曜と火曜。営業時間は土日祝日が午前10時~午後9時だが、ほかは曜日によって異なる。スタッフはイリーナさんとカテリーナさんを含めウクライナ人6人と日本人4人。イリーナさんは「どのような運営になるのか不安だけれど、楽しみもある。観光客や市民の多くの皆さんにウクライナ料理を食べてほしい」と話していた。問い合わせは同店☎070(9118)4662か、https://www.faina.tokyo/。

 

2023年5月8日月曜日

彦根で密かなブーム、フィンランド発祥のスポーツ・モルック(元日号で掲載分)

 彦根市内で密かなブームになりつつあるフィンランド発祥のスポーツがある。それは「モルック」と呼ばれる競技で、昨年12月には彦根モルッククラブ主催で第1回モルックびわこCUP2022が多賀B&G海洋センターで開催。県内外から20チームが出場し、白熱した戦いが繰り広げられた。
 
先に50点で勝利
芸人代表で人気に
 
 使用する道具は、長さ約
22
㌢・直径約5・5㌢の円柱形の棒「モルック」と、1から12までの番号が書かれた12本のピン「スキットル」、投げる位置に置く「モルッカーリ」のいずれも木製の3種類。
 競技方法は、モルッカーリから3・5㍍先にスキットルを所定の位置に置き、モルックを投げて倒していく。1本倒れた場合は書かれた数字が、複数本倒れた場合はその本数が点数となり、先に計50点を獲得したチームが勝利となる。51点以上になった場合は25点からやり直しとなる。
 投げ方は、基本的な下手投げ、スキットルの手前から転がすイメージのラハティ投げ、軽くバックスピンをかける裏投げ、モルックを縦に持って投げる縦投げがある。
 お笑い芸人「さらば青春の光」の森田哲矢さんらが昨年、モルックの日本代表として世界大会へ出場するなど話題になり、全国各地でブームになっている。
 
彦根モルッククラブ活動
原代表「脳の活性化にも」
 
 彦根モルッククラブは市スポーツ推進員を務め、銀座町でトレーニングジムを経営している原啓一郎さん(30)=日夏町=が中心になって昨年6月に結成。毎週土曜日午前7時から同9時まで中央町の外馬場公園に集まり、モルックの練習をしている。メンバーは彦根、米原、長浜、東近江などの幼児から50代までの23人だが、メンバー以外の参加も自由。荒神山公園など市内外のほかの場所でも練習している。
 昨年11月末には千葉県君津市で開催された第2回モルックアジア大会にも出場した。2024年秋には国内で初となるモルック世界大会が北海道函館市で開催される予定で、日本代表として同大会への出場も目指している。
 モルックの魅力について、原さんは「モルックは年齢や性別に関係なくできる簡単なスポーツだが、計算したり、戦術を立てたりする必要があり、頭も使うため、脳の活性化にもつながるスポーツ」と幅広い年齢層でのプレーを勧める。問い合わせは原さん☎080(5751)6034。
 
(写真=優勝した「ビワモル!」の2人)
多賀で「びわこCUP」
彦根の「ビワモル!」優勝
 第1回モルックびわこCUP2022が多賀B&G海洋センターで昨年12月に開催。彦根モルッククラブなど滋賀の13チームを中心に、京都、大阪、兵庫、愛知、福井の5府県からを加えて計20チームが対戦した。
 4チームごとに予選を戦い、上位2チームで優勝決定戦と3位決定戦を実施。この結果、彦根市の野瀬文徳さん(36)と橋山雄記さん(36)の同級生のチーム「ビワモル!」が優勝。4位にも彦根の「伊織軍団」が入った。

2023年2月26日日曜日

ウクライナから避難の家族にインタビュー

 ロシアの侵略を受けて、ウクライナからイリーナ・ヤボルスカさん(51)と母親のギャリーナ・イヴァノヴァさん(81)が昨年3月以降、彦根市内に住む娘のカテリーナ・ヤボルスカさん(32)とその夫の菊地崇さん(29)を頼りに避難している。イリーナさんら3人に現在の心境と市民に向けたコメントを依頼した。
 
イリーナ・ヤボルスカさん】
 彦根市民の皆さま、日々、私たちを応援いただきまして、本当にありがとうございます。皆様の温かいご声援や多大なるご支援が、今の私たちの生きる活力です。
 ロシアからの侵略から避難し、来日してから9カ月が経ちました。夫のいる母国では依然として戦争が続いております。発電所等のインフラを中心に、市民への攻撃は止みません。その現状を踏まえると心苦しい限りです。心が潰れるくらい辛く不安です。家族が明日、戦争で亡くなるかもしれない、母国や故郷が理不尽にも破壊されていく、帰る家がなくなってしまうかもしれない、そんな極限の苦しみを人生で感じることがあるだなんて思ってもおませんでした。しかし、それは現実に起きていることで、私たちには変えようがないことなのです。
 そんな状況だとしても、私たちは、希望を持ってどうにか前を向いて明るく生きたいと強く思っております。
 彦根以外の地域に避難したウクライナ人の多くは、日本の文化や言語に馴染めず、引きこもり、苦しい思いをしていると聞いております。母国を思えば、仕方のないことですし、その苦悩から抜け出すことは並大抵の努力では叶いません。
 それでも、私たちは幸運なことに彦根に来ることができ、ウクライナ料理のキッチンカーでの営業を通じ、本当に多くの方々にお会いすることができました。彦根の皆様の優しさに触れ、感謝の言葉やメッセージを日々いただく中で、人生最大の苦難の中でも、明るく前を向いて生活が出来ておます。本当に皆様のおかげです。
 この9カ月間、辛い気持ちを胸に抱えながらも、同時に皆様との出会いのおかげでとても幸せな気持ちも日々、味合わせていただいております。どんな苦難な状況でも、支えてくれる人たちがいて、真剣に取組める何かがあれば笑顔になれるのだと、実感いたしました。
改めて彦根の皆様に心よ感謝申し上げます。この私たちの感謝の思いを少しでも多くの皆様にお届けできたらとても嬉しいと思います。
 ぜひ、私たちのキッチンカーにいらしてください。愛を込めて作ったウクライナ料理をご用意してお待ちしておます!
 
【ギャリーナ・イヴァノヴァさん】
 まさか、人生の終盤になって戦争が起き、日本に避難することになるなんて夢にも思いませんでした。
 しかし、その驚きを凌ぐ驚きだったのが、日本の皆さま、彦根の皆さまの温かさや彦根の街の美しさです。遠い国の見ず知らずの私たちに、親身になって接してくれ、励ましてくれ、日々感動しております。四季折々の彦根城周辺や琵琶湖の景色にも心動かされております。私はキッチンカーには乗りませんが、娘や孫夫婦が私の分まで感謝の気持ちをお伝えいたしますので何卒宜しくお願いします。
 
 【カテリーナ・ヤボルスカさん】
 母国が侵略を受け始めてから、本当に辛く不安な日々でした。それでも滋賀県や彦根市の皆様が本当に温かく、ご声援及びご支援くださり、母や祖母を日本に避難させることができました。
 さらには、彦根の事業者の方々や市民の皆様のサポートのおかげで、ウクライナ料理のキッチンカーまで開業し、滋賀県内や首都圏や関西圏に避難したウクライナ人達の雇用を創出することができました。このようなウクライナ避難民による起業という取組みは、日本初でした。それは私たちの力というよりも、彦根の皆さまのご支援の力が日本のどこよりも、凄まじく、前を向きやすい環境であったからだと確信しております。
 この街に来られて本当に幸せです。今後、戦争が落ち着き、父が日本に来られるようになったら、彦根で本格ウクライナ料理のレストランを開きたいと思っております(父はウクライナでプロの料理人でした)。
 それまでの間はキッチンカーで皆様にウクライナ家庭料理をお届けし続けます!引き続きよろしくお願いいたします。

2023年2月20日月曜日

彦根藩の足軽が鉄砲で撃った跡の残る的を張り付けた扁額 西明寺で発見

 旧彦根藩の足軽たちが鉄砲で撃った跡の残る的を張り付けた「扁額(へんがく)」(縦約1㍍×横約1・9㍍)が、甲良町の西明寺に残されていることがわかった=写真は谷口徹さん提供。実在した足軽の氏名や文政11年(1828年)に奉納されたことがわかる墨書が記されており、調査した彦根城博物館では「歴史的に重要な史料だ」としている。
 扁額は寺社の建物内外に掲げられる額。西明寺では本堂を整理していた中野英幸副住職(30)が昨年6月に宝庫で発見。元彦根市文化財部長の谷口徹さんや彦根城博物館の学芸員らが調査したところ、約12㌢四方の薄い木に貼られた紙の中央に、直径約5・8㌢の黒い丸が記された的65枚が平らな板に釘でそれぞれ張り付けられていた。
 的には鉄砲で撃った穴があいており、そのうち解読できた12枚には「小澤久右エ門」や「筒川加内」といった足軽の氏名が書かれていた。当時の旧彦根藩の足軽は37組に分かれていたが、足軽大将が変わるたびに組名も変更していたという。文政11年時、小澤は夏目外記(げき)組、筒川は鈴木平兵衛組に在籍していたとする記録が残る。
 彦根城博物館によると、足軽の末えいの家では単独の的が見つかったことはあるというが、調査した学芸員の北野智也さん(33)は「色んな足軽たちがまとまって奉納した扁額は見たことがなく、歴史的にも非常に重要だ。ただ、練習で撃った的なのか、奉納のためだったのか、なぜ西明寺に奉納したのかはわからない」と話している。
 旧彦根藩と西明寺は江戸時代を通して、藩主が諸物を寄進したり、重臣の藩士が本堂の修繕をしたりするなどの交流があった。

2023年2月12日日曜日

彦根商工会議所の新会頭・滋賀中央信用金庫理事長の沼尾護氏インタビュー

 彦根商工会議所の新しい会頭に昨年11月、滋賀中央信用金庫理事長の沼尾護氏(70)=高宮町=が就任した。本紙のインタビューに沼尾新会頭は、彦根市や彦根観光協会との連携強化、彦根商議所職員の意識改革などに注力する考えを示した。    (聞き手・山田貴之)
 
「小出路線」の引き継ぎは?
近江ツーリズムを「儲ける団体に」
 
 ―前任の小出英樹さんはそれまでの会頭像にはなかった変革的な展開を行い、教育や観光など商工関係以外の分野にも独自路線を貫かれたが
 沼尾 観光に関しては彦根にとって一つの産業であり、私も継続して進めたい。滋賀県と彦根市が目指している彦根城の世界遺産登録も観光にとっては大きな味方になる。
 ―「小出路線」をどのように引き継ぐか
 沼尾 観光業では小出前会頭が設立した一般社団法人近江ツーリズムボード(略称・OTB)があり、私もそれを引き継ぐが、彦根観光協会ともっと一体となって、彦根が儲(もう)かるような土壌を作りたい。ОTBが活躍する分野はインバウンド(外国人観光客)を呼び込むことであり、そのために具体的な案を練って進めていかなければならない。また彦根だけよりも5市4町(彦根・長浜・米原・近江八幡・東近江・犬上郡・愛荘町)といった広域で連携してインバウンドを呼び込む方法を考えたい。ОTBが寄付だけでなく、自らでお金を作り出せる団体にならないと、サスティナブル(持続可能)な団体にはならない。
 
インバウンド強化に向け
「敦賀や5市4町と広域で」
 
 ―各市町にも観光協会があるため、事業内容が重なることも考えられるが
 沼尾 上手に連携していけばやれるはず。5市4町で組織している「世界遺産でつながるまちづくりコンソーシアム」が歴史を学ぶ「ヒストリア講座」を開講しているが、今後は各市町の観光協会や行政ともっと連携しないとダメでしょうね。
 ―連携の具体的な内容は
 沼尾 5市4町と真剣に考えていく。万が一、彦根城の世界遺産登録が実現できない場合でも各市町の観光協会やОTBは存続するため、どうしたら良いのかについて意見を交わしていきたい。
 ―その観点からすると、観光で先進的な長浜との連携を深める必要があるが
 沼尾 もっと言えば、福井県敦賀市にまで広げても良い。敦賀港にはコロナ前、大型の客船が入港し、富裕層の外国人が入国していた。それも復活すると思うため、インバウンドの考えからすれば大きなメリットになる。
 
「親身に」相談できる体制を
商議所職員の意識改革「訴える」
 
 ―彦根商議所の会員をはじめ、中小零細企業に対する取り組みは
 沼尾 会頭になって一番、思っていることは会員もしくは労働者のために何ができるのか。短期的にはお客様(会員もしくは労働者)がDXを導入したい、補助金を受けたいなどの時に親身になって相談できる体制を最優先に整えたい。ウクライナでの戦争を受けて、日本国内ではエネルギー価格や物価が高騰し、円安になっている。この三重苦で苦しんでいる企業からの相談に応じたい。会員や労働者を第一に思うことが最優先。
 ―今の相談体制との違いは
 沼尾 彦根商議所の相談員の考え方、あり方について、職員の前で説いていきたい。「クレド」という言葉があるが、これは企業で言えば信条の意味。商工会議所のクレドとは何かを考えた場合、それは会員と労働者を大事にするということであり、喜んでもらうということ。それらが商工会議所の職員にとってのクレドだということを教えたい。彦根商議所の職員には通り一辺倒ではなく、懇切丁寧に相談に応じることに、もっと専念してほしい。会員や労働者は職員にとってのお客さまであるということを切実に訴えていきたい。
 
座右の銘は「不易流行」
女性の創業支援セミナー実施へ
 
 ―不易流行が座右の銘とのことですが
 沼尾 不易は変えてはならないことであり、会社で言えば理念を指す。しかしこの理念を貫くためには新しい風、流行も必要になる。不易だけだと精神論的になるし、流行を追い過ぎてもいけない。バランスが重要だと言える。
 ―不易の部分は彦根商議所で言えばどの部分か
 沼尾 彦根に住んでいる方の幸せを追求したい。市民が幸せになるには働く場所が必要になる。彦根商議所としてどのように働く場所を維持するか、これが流行にも繋がっていく。お金を稼いで、街が潤い、インフラが整って、住みやすくなれば幸せにもつながる。不易を達成するために、どのような流行をする必要があるのかをこれから考えたい。
 ―流行の部分での構想は
 沼尾 まずは企業の数を減らさないこと。創業者を支援するために創業支援セミナーをもっと充実させたい。女性だけに絞ってのセミナーも一案にある。創業して、会社が成長していく過程で彦根商議所として何ができるのか、副業支援や人材のあっせんについても積極的に進めたい。
 ―学生に対しては
 沼尾 創業支援の一環として、滋賀中央信用金庫が学生を対象に地域課題の解決案を募る「アイデアコンテスト」を開催してきたが、今後は彦根市を巻き込めば、もう少し大規模にできるはずだ。
 
企業誘致「市と進める」
DXやeスポーツも「支援」
 
 ―彦根商議所は彦根城の世界遺産登録に向けた取り組みも熱心だが、それでも市民の機運醸成はまだまだ。
 沼尾 その辺りは継続して、機運醸成を図りたい。
 ―和田裕行市長と安藤博副市長は沼尾会頭と同じ高宮居住。行政との絡みは
 沼尾 学生のアイデアコンテスト、DX、企業誘致、都市計画の面でもう少し彦根商議所としても連携できればと考えている。eスポーツについても支援したい。いずれにしても彦根観光協会、彦根商議所、彦根市が一体となって、街の活性化に進んでいくことが大事。
 ―会頭としてやりたいことは
 沼尾 彦根商議所内には7つほど部会があるが、部会の声をもっと取り上げたい。住みよいまちづくりをキーワードに、人口がそこそこいて、教育やインフラも整って、子育てがしやすい街になるよう貢献したい。特に人口を増やすことは彦根商議所の仕事でもある。

彦根出身の絵本作家兼グラフィックデザイナーの月曜のマミンカさんデビュー作絵本カモンダメダメモンスター発刊

 彦根出身の絵本作家兼グラフィックデザイナーの月曜のマミンカさんが昨年、デビュー作となる絵本「カモンダメダメモンスター」を発刊。作品に込めた思いや市民へのメッセージなどを聞いた。
 本名は綱嶋(つなしま)真理子さんで、神奈川県川崎市在住。愛知県知多市から15歳の時に親の転勤で彦根市へ移住。市内の県立高校を卒業し、ファッションの専門学校の大阪モード学園へ入学。卒業後はアパレル会社でデザイナーとなり、グラフィックデザイナーに転身した後は音楽物販やスポーツ、キャラクターグッズ、アウトドアブランドなどのデザインを担った。
 コロナ禍になってテレワークが続くと、小学1年の息子と3歳の娘と向き合う時間が増加。2人のスピード感のある成長を見るうちに「子どもってすごいな、自分も何かできることはないかな」と思うようになり、以前から考えていた絵本制作に取りかかった。そして数カ月にわたる編集の上で昨年10月に初めて絵本を出版した。
 作家名にある「マミンカ」は絵本で有名な国のチェコの言葉で「母」を意味する。またマミンカの前に「月曜」を付けた理由については「少し憂鬱な気持ちのある月曜も頑張っていこう」とのポジティブな気持ちを込めたという。
 
「地元を盛り上げたい」
市内外の園100カ所へ寄贈
 
 デビュー作の「カモンダメダメモンスター」は、いつも「ダメー」とお母さんに叱られているやんちゃなまんたろくんが主人公。叱られても言い訳をしているまんたろくんに3匹のモンスターが現れるというストーリー。
 絵本に込めた思いについて、綱嶋さんは「子どもと一緒の時間が増えれば必然的に叱る回数も増えてしまう。そうすると『またダメと叱ってしまったな』と、親も少し自己嫌悪になることがあるかと思います。でも、この絵本のように今を全力で楽しむ子どもと楽しんでダメと言いながら遊んでもらえたら嬉しいです」と話す。
 絵本の完成後、友だちの協力もあって、彦根市内を中心に東京、神奈川、埼玉、島根など計約100カ所の保育園や幼稚園に寄贈した。また韓国での出版も決定した。
最後に綱嶋さんは「絵本を出版することで人と人とのつながりにとても感動し、勉強させられることがたくさんありました。地元を盛り上げられるような作家でいられるよう引き続き創作活動をしていきたい」と語っていた。
 絵本はA5判変形32ページ、オールカラー。1冊1540円。市内外の書店やアマゾンなどで販売している。出版はみらいパブリッシング(東京都)。

移住コンシェルジュの業務を担うひこね地域おこし協力隊員に原田佳美さん

 彦根市は移住に関する情報発信など移住コンシェルジュの業務を担うひこね地域おこし協力隊員に、大阪府枚方市出身の原田佳美さん(40)を任命。今月4日に市役所で委嘱式を開いた。
 原田さんは大学卒業後、大阪のゴルフ場勤務やカナダ留学などを経て、2019年10月に北海道野付郡別海町の地域おこし協力隊員に就任。移住コンシェルジュとして、フェイスブックやインスタグラムなどSNSを活用しての情報発信で移住促進に努めてきた。
 任期満了に伴って出身地の大阪近郊で就職先を探していたところ、ひこね地域おこし協力隊員の募集を知って応募した。彦根の魅力について、原田さんは「第一印象は都会というイメージ。大阪まで近く、買い物も便利で住みよい街だと思った」と説明。10年ほど前にプライベートで家族と一緒に彦根を訪れたことを明かし「彦根城などを見学して、ひこにゃんにも会えた。良い所だと思った」と懐かしんだ。
 彦根市では移住に関する情報発信や相談受付、移住希望者への就労支援などを担当する予定。原田さんは「彦根はネームバリューがあり、より多くのことを知って頂けるようアピールできたらと思う」と抱負を述べた。委嘱状を渡した和田裕行市長は「まずは彦根の街の魅力を知って頂き、ユーチューブをはじめとしたSNSでの発信をお願いしたい」と求めた。
 原田さんは6人目のひこね地域おこし協力隊員で、移住コンシェルジュとしては3人目。任期は元日から3月31日までだが、年度ごとに最大3年間まで延長できる。

2023年2月7日火曜日

造形作家の安居智博さんが紙で創作するカミロボ国内外で人気

 彦根市日夏町出身で造形作家の安居智博さん(51)=京都市=が紙で創作する「カミロボ」が国内外で人気を集めている。
 安居さんは物心がついた頃から、絵を描くことや工作が好きで、ロボットアニメや特撮ヒーロー、覆面レスラーなどに「大きな憧れを感じていた」。城陽小5年の時には読売国際マンガ大賞ジュニア部門に入選。「基本的にはその頃から何も変わってないかもしれません」と笑顔を見せる。米原高校卒業後、京都でデザインの勉強をした後に造形会社に入社し、戦隊や仮面ライダーシリーズのテレビ撮影用の着ぐるみスーツの造型製作に参加した。
 
「世界の日本人100
美術教科書で紹介
 
 1998年に独立し、フィギュア造型師として活動しながら、紙でさまざまなキャラクターを作るカミロボの作品発表を開始した。2006年にはイギリス・ロンドンでの展覧会が評価され、News Week誌の「世界が尊敬する日本人100」に選出。08年には高校の美術教科書にカミロボ作品が掲載され、ニューヨーク近代美術館MоMA storeでカミロボなどが販売された。昨年には著書「100均グッズ改造ヒーロー大集合」(平凡社)を刊行した。
 
彦根の思い出「創作の根底」
日用品や百均商品使った作品も
 
 カミロボは現在までに600体以上を制作しており、さまざまな日用品を組み合わせて作る「日用品ヒーロー」もあり、そのうち60体が書籍化された。造形作家としてのほか、クリエイターとしても活躍。フィギュアや着ぐるみの造形、プロレスマスク、映像、陶芸、映画や舞台の衣装・模型なども手がけている。現在は自身の創作と企業から依頼される案件を並行させて活動している。
 昨年7月から?は夢京橋キャッスルロードの夢京橋あかり館2階のまちなか博物館で、カミロボのほか、三角コーン24個で作った「パイロンマン」や100均グッズを使った「改造ヒーロー」計48体を展示。好評を得ており、?月?日まで展示されている。今年は4月に京都で個展を開催する予定。
 彦根に対しては「琵琶湖や荒神山で遊んだ思い出や脳内に浮かぶ昭和の彦根の銀座のキラキラしたイメージがある。そういった子どもの頃に感じた強い印象をベースにして作品制作をしています。『郷愁』は自分の創作活動の根底にある重要な要素だと思っています」と説明する。
 最後に安居さんは「コロナ禍での重い空気を経験してからは、やっぱり楽しい物を作るのが一番いいなと改めて思うようになりました。そこはブレずに引き続きバカバカしいものを真面目に作っていこうと思います」と笑顔で語った。

ラピュタボウル彦根に在籍プロボウラーの伊吹太陽さんにインタビュー

 彦根で唯一のプロボウラーがビバシティ彦根内のラピュタボウル彦根(竹ヶ鼻町)に在籍している。プロボウラーの伊吹太陽さん(29)=小泉町=にプロになるまでの経緯や今後の目標を聞いた。
 
テレビドラマで興味持つ
18歳の時けが「一生しよう」
 
 伊吹さんは市立城南小4年の時、ボウリングをテーマにしたテレビドラマ「ゴールデンボール」を見たのをきっかけに興味を持ち、ラピュタボウル彦根で家族と一緒にプレーしたのが最初。その後も市内外のボウリング場に通いながら、その腕前を上げていった。
 しかし18歳の時に手首をけがし、ボールを投げられない状態になった。伊吹さんはその時について「1年以上、ボウリングができずにとてもつらい時期だった。でもその期間を経て、改めてボウリングが好きだと思い、一生しようと思った」と振り返った。
 
「メンタルのスポーツ」
ラピュタボウル彦根に所属
 
 21歳の時にラピュタボウル彦根を経営する株式会社ユーイングに入社。5年前にアマチュアのナショナルチームに所属し、昨年春の28歳の時にプロテストに合格した。
 ボウリングの魅力について、伊吹さんは「ピンが倒れる時の音に爽快さを感じる」といい、またレーンに塗るオイルの長さや量、種類でボールの曲がり具合が変化する点をあげ「ピンを倒すまでのプロセスが面白い」と説明。さらに「ボウリングは自分との戦いであり、メンタルスポーツとも言える」と解説した。
 今後の目標については「まだプロで1勝目ができていないため、まずはレギュラーシーズンで優勝したい」と抱負を語った。
 
健康ボウリング教室
90代も参加「ストレス発散」
 
 ラピュタボウル彦根では初心者向けに「健康ボウリング教室」を2月から3月まで全6回開く。
 5年ほど前から行っており、教室の参加者は「健康ボウリングリーグ」に進むことができる。現在は市内外の40代から90代までの約300人がリーグに登録されている。
 2月以降の教室の開催日時は毎週月曜から木曜までの午前10時~と午後1時~。料金は全6回2000円。伊吹さんは「ストレスが発散でき、さまざまな年代の人とコミュニケーションをとりながら楽しめる点が人気になっている」と話している。問い合わせはラピュタボウル彦根☎(27)5590。

2023年1月12日木曜日

京町3丁目にコミュニティカフェOn Your Mark Cafeオープン

 彦根市京町3丁目にこのほど、地域の子どもや学生たちが集えるコミュニティカフェ「On Your Mark Cafe」がオープン。滋賀県立大学などの学生たちが空き家をリノベーション(改修)しており、学生たちの活動拠点としても開放している。昨年12月8日からは学生たちの活動費などを募るクラウドファンディングも始めた。
 店主は大津市出身の忠田季空さん(26)。大学卒業後、まちづくりのコンサルティング会社に勤務していた際、銀座町の振興策の検討に携わったのを機に彦根のまちづくりに関心を抱いた。小中学生を支援する子ども食堂などの施設は市内にあるが、高校生以上の学生たちを支援する拠点が市内に少ないことから、昨年4月に退社してコミュニティカフェの開店を目指した。
 県立大学環境科学部3年の梅木望羽さん(21)と坂本日向さん(20)、立命館大学理工学部の学生を含む計6人が昨年7月末から夏休み期間中にリノベーションにあたり、1022日に木造3階建ての2階部分に同店がオープンした。
 店名の「On Your Mark」は陸上競技のスタート時の「位置について」の意味を指す。「学生たちが社会に挑戦する前に過ごす場所にしよう」と名付けられた。
 忠田さんは「高校生や大学生の中には卒業と同時に市内から出て行く学生も多い。学生のうちにチャレンジできる拠点、楽しめる場所にしたい」と語る。リノベーション以外として、SDGsの実現に向けた地産地消の食材メニューの試作を学生たちが担っている。ほかにワークショップや講演会などの会場としても開放している。
 リノベーションの設備費やさまざまなプロジェクトに参加する学生の交通費、活動費などにあてるため、クラウドファンディングを実施。キャンプファイヤーで2月20日まで。目標額200万円。
 カフェのメニューとしては10種類以上の自家焙煎のコーヒーを学生価格で提供。開店時間は午前11時~午後7時。金土曜の午前0時まではカクテルなどのバーとして営業する。月曜定休。問い合わせは同店☎080(5706)7227。