庁舎耐震化の裏合意については、先月22日まで行われた百条委員会などで市長の関与はないとされたが、統治能力の欠如や市政混乱の責任を問う声が相次いでいた。
市議会などからの指摘を受けて市長は当初、自身の給与を6カ月間、半額にする削減案を提案する予定だった。一方、裏合意に関与したとされる市職員の処分について市長は今議会の一般質問で、庁舎耐震化の施工業者だった岐建滋賀支店と市との民事調停の推移を見て判断する意向を示していた。
しかし岐建との民事調停は、耐震工事の契約が解除されるまでの負担額を決める協議のため、一般質問で市議からは「調停の内容と、職員の処分は関係がない」などと批判されていた。
18日の全員協議会でも、複数の出席者によると一部市議から「裏合意に関与した職員の処分発表に合わせて、市長の給与削減案を提案するべきだ」とする趣旨の意見があり、前副市長の川嶋恒紹氏の退職金を盛り込んだ補正予算案の議案を含め、市長は提案を見送ることにしたという。
市長は「今月27日の上程はなくなったが、(決算審議が続く)開会中の今議会で提案させて頂くという方針に変わりはない」とコメントしている。
※(解説)=裏合意の問題を受けて、市長がその管理不届きの責任をとるのは必然であり、これまでの市政運営の不安定さを含めて辞任に相当するが、最低限の責任の取り方として給与をカットするのは当然である。
だが、市長の給与削減と、裏合意に関与した市職員の処分を別日にするのは理解できず、市議会が提案を見送るよう促したことは理解できる。市長は岐建との民事調停の推移を理由にあげたが、案の定、一般質問や全員協議会で議員から「職員の処分と民事調停は別物」と追及されていた。
職員の処分案件は市議会に諮る必要がなく、行政からの公表で決着がはかれる。小耳にはさんだ情報によると、職員の処分は小生らが想定しているよりも軽いようだ。そのため、市議会の反発が予想され、市長としては職員の処分と同時期に給与削減案を提案すれば、市議会から反対されると見越しているのかもしれぬ。
いずれにせよ、市長が市議会で答弁した内容は理屈にもなっておらず、理解に苦しむため、素直に給与削減案と職員の処分を同時に公表し、市議会の審議を受けるべきである。【山田貴之】