彦根愛知犬上広域行政組合は21日に豊栄のさとで開かれた組合臨時会で、彦愛犬の新しい広域ごみ処理施設の建設候補地を西清崎地区=写真=にすると公表した。
組合議会には建設候補地を西清崎地区にすると明記した彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備基本計画の議案が提出された。建設候補地には彦根市の原町と下西川町、愛荘町竹原も選定を目指していた。臨時会では市町議員から西清崎地区に決めた理由の質問があり、管理者の大久保市長は周辺学区での住民説明会、意見交換会、アンケート調査などの結果や30年間のトータルコストをあげた。
神社や古墳に「配慮」
建設費 200億円
建設候補地に決まった西清崎地区は対象面積が4万9363平方㍍。耕作放棄地を含む農地や農道の20件の土地所有者がいる。近くには荒神山神社をはじめとした寺社仏閣や古墳があるため、臨時会ではそれらへの影響を懸念する意見が出たが、市長は「建物の配置やデザインなど景観に十分な配慮をしながら進めていきたい」と理解を求めた。
臨時会では議長の安澤勝市議を除く18人で採決が行われ、獅山向洋市議、伊藤容子市議、共産党の角井英明市議と西澤伸明甲良町議の計4人が反対したが、ほかが賛成し可決された。
同組合は今後、地質・地歴・測量調査を今年度中に行い、環境影響評価を2023年度まで実施。24年度からの造成工事に向けて今年度から用地の取得交渉を行う。24年度から施設の建設工事を開始し、28年度中に完成、29年度の稼働を目指す。
施設の建設費と負担割合について、同組合は約200億円で、彦根62・19%、愛荘14・64%、豊郷7・80%、甲良7・60%、多賀7・77%と説明。「国からの交付金や民間手法の検討で建設費は抑えられる」としている。
約200億円には用地の取得・造成、周辺道路の経費費は含まれていない。同組合は西清崎地区での用地取得・造成と道路整備費が計約24億8000万円と、4候補地(最低額は竹原の約7億4000万円)で2番目の高さになる一方、30年間の圏域での運搬経費を含むトータルコストが約31億5000万円(最高額が下西川町の約57億8000万円)と抑えられると解説している。
市長も組合議会後の会見で「西清崎は施設の建設費が高くなるが、トータルコストは最も安価になる」と強調していた。
※解説=1977年(昭和52年)に建設された野瀬町の彦根市清掃センターの老朽化に伴い、彦根愛知犬上広域行政組合は新しいごみ処理施設の建設を計画。建設候補地を巡っては、これまでに石寺町、海瀬・三津町があがったが、地盤の軟弱さや地元の反対で石寺が08年5月に、海瀬・三津が13年3月に計画が白紙化された。
15年10月からは彦愛犬1市4町内で建設候補地を募集。翌年7月までに彦根市内3地域、愛荘町内2地域から応募があり、同組合内の選定委員会が100点満点で順位を付け、1市4町の首長らによる管理者会に報告。17年6月30日に管理者の大久保市長が竹原地区に決めた。
しかし彦根市が当初、推していた原町案を市長が急きょ変更し、竹原地区にしていたことがわかり、当時の副市長が辞表を提出する事態にまでなった。同組合議会でも彦根市議が中心になり、関連予算を認めず、今年2月定例会では白紙を求める決議案を全会一致で可決。これを受けて管理者会は白紙化と今後の方針を定め、4月に白紙を正式発表していた
なお2008年度の基本構想時の建設費は約102億円だったが、現在は約200億円にまで膨れ上がっている。(山田貴之)