ICOFORTはユネスコの世界遺産の答申を行う「イコモス」の国際学術委員会の一つ。世界各地に残されている城郭や要塞、軍港、古戦場などの軍事施設や戦場跡について、その歴史的評価や保存活用などに関する活動をしている。
23日に「城郭の世界史―アジア・ヨーロッパ世界と彦根」をテーマに文化プラザエコーホールで行われたシンポジウムには市民を含む約160人が参加。イコモスの河野俊行会長とICOFORTのミラグロス・フローレス・ロマン委員長があいさつした後、滋賀県立大学の中井均教授らが基調講演。中井教授は彦根城の石垣や堀切を取り上げながら「石垣などだけ見ても軍事性は高く、このような土木施設が残っていることは極めて重要だ」と紹介。城下町を含めたエリアを堀や土塁、石垣で囲い込んだ日本の城郭構造の特徴の「惣構え」を説明したうえで「天守などの建造物だけでは日本の城郭の本質はわからない。堀や石垣などを入れることでその本質的価値に迫ることができる」と述べた。
その後、エクス・マルセイユ大学のニコラ・フォシェール教授による「ヨーロッパの城郭と都市」の講演、彦根市特別顧問の山根裕子氏らの講話後にはパネルディスカッションもあった。
メッセ棟1階では彦根仏壇の技で作られた甲冑や、琵琶湖のヨシ約500本を使って滋賀県立大学の学生たちが作った作品、世界の城郭のパネルと模型などが展示された。24日、一行は狂言を鑑賞した後、彦根城に移動。彦根鉄砲隊の演武を見た後、彦根城博物館や彦根城を見学した。25日には学術セッションと年次総会、26日には安土城考古博物館や伊賀上野忍者博物館などの見学会があった。