16日告示・23日投票の彦根市長選を前に、滋賀彦根新聞とエフエムひこねは立候補予定者3人にインタビューを行った。立候補予定者は出馬表明順に、元毎日放送記者の田原達雄氏(68)、前市教育長の前川恒廣氏(61)、現職の大久保貴氏(53)。
インタビュアーは市男女共同参画センター長の土川慶子さん、エフエム彦根の小幡善彦社長、本紙編集長の山田貴之が務め、大規模事業における財政面や稲枝地域の振興策、子どもの貧困対策などについて聞いた。
田原氏は、子どもの頃と比べた現状について「繁栄している映像がくっきりと残っており、繊維業をはじめ廃れていった現状との落差を感じる。現市政は観光行政の傾向が強い。市民生活や住みよい環境作りにしっかりとした目を向けないといけない」と説明。
主な政策については「人口減少の中で、若い世代にどれだけ移り住んでもらって彦根を活性化できるかが大事。その1つが中学3年生までの医療費を無料化にすること。事業計画を徹底的に見直して財政を健全化して、財源を捻出しながら医療費・通院費の無料化をしていきたい」と語った。
図書館整備については稲枝駅西口に小ぶりの南部図書館を整備したい。図書館協議会では中央図書館の新設を求める意見が出ていたが、現在の尾末町の図書館がまだ使用できると仮定して、まずは稲枝に図書館を設けるのが有効だ」と話した。
このほか、危機管理体制については豪雪の時の予算措置が少ない点を指摘した上で「台風などで避難する際、場所によっては芹川を越えていく場合があるので、根本的に避難場所を見直す必要がある」と語った。
前川氏は教育長時代の実績として、「ESD教育と呼ばれる持続可能な社会を担う人づくり。これを各学校において実施してきた」とした上で、子どもの貧困については「子どもの6人に1人が貧困状態にあると言われており、教育長時代もそのような家庭を見てきた。中学3年生までの医療費を無料化することで、子育て世代への負担を軽減したい」と話した。
次期市政で大規模事業が続く点については「大事なのは人への投資であり、そのための予算を確保しなければいけない。現市政が進める国体関連予算は100億円近くだが、実際に進めると、家計でいう貯金にあたる財政調整基金が少なくなる」とし、新市民体育センターについては「今後、武道館やスイミングセンターを整備できるように、拡張性のある場所に建設するべき。計画されている南彦根駅前は福満遺跡や住宅地もある。ひこね燦ぱれすも取り壊す必要はない」と見直す考えを示した。
大学卒業後に彦根に戻って来られる体制作りとしては、滋賀大学に設置されたデータサイエンス学部をあげて「この学部を中心にビジネスコンテストを実施することで、若きベンチャーキャピタリストが招ける。若い人が利用できる最先端の機能を備えたビジネスオフィスを提供し、そこから起業する体制ができれば、若者が戻ってくると思う」と語った。稲枝地区の開発については「稲枝駅西口の道路整備を早期に進めるため、稲部遺跡の発掘調査行って遺跡として残す規模、境界を決めた上で、一帯の整備を進めたい」と話した。
大久保氏は大規模事業について、「あらゆる手段を使って、やりくり算段しなければいけない。4年前の就任時も稲枝駅の整備、紫雲苑、給食センター、庁舎の耐震化が立て込んでいたが、やりくりして小中学校へのエアコンの設置も進めた。厳しい中で、国や県の支援を受けながら進めたい」と説明。図書館の整備方針については「図書館は市民にとって非常に重要だと認識している。用地の確保、地域のアクセス面を考えて、彦愛犬の広域の図書館機能という視点で丁寧に着実に実行したい」とし、広域ごみ処理場については「応募のあった地域から色んな声を聞いており、何とか実現していくため、選定を延期した。4町との合意形成に時間も必要だと思い判断した」と述べた。
子どもの貧困対策については「子どもの貧困は見えにくいが、例えば、子ども食堂においても現場でしか解決できない糸口がある。行政として何ができるのかを議論しながら進めたい」と説明。若者が帰郷し易い環境作りとしては「大企業を誘致するのが難しい中で、ベンチャーや研究開発の小規模な企業の立地を促進する仕組みを作った。人口は少し増えているため、この状況を維持するため、あらゆる施策をしていきたい」と語った。
稲枝地域の開発・振興策については「稲部遺跡の範囲がどこまでかを調査しながら、地元の皆さんにも提示して、活用方法を考えたい。県道2号線から稲枝駅までの開発について地区計画を進める中で、着実にできるようにしたい」と述べた。
FM彦根で随時放送
エフエム彦根(78・2MHz)は立候補予定者へのインタビューの模様を10日から告示日前日の15日まで(13、14日除く)随時放送する。
放送時間は10日~12日が午前6時5分、同8時、午後0時半、同3時、同4時、同5時35分、15日が午前8時、同9時、同11時、午後4時、同5時、同6時の1日計6回ずつ。
立候補予定者1人につき、1回20分間で時間に分けて放送していく。問い合わせはエフエム彦根☎(30)3355。