彦愛犬1市4町の新しいごみ処理施設の建設候補地を愛荘町竹原に決定した管理者会議(非公開)の議事録が、獅山向洋市議が情報公開請求した資料によって判明。市内の候補地の一つ(原町)を推す彦根市と竹原を支持する他町が対立していた構図が明らかになった。
管理者会議は彦根の大久保貴市長、川嶋恒紹(ひさつぐ)副市長、犬上・愛荘の4町長で組織。公募のあった彦根市内3地区と愛荘町内2地区を選定委員会が評価した報告書に基づき、今年2月15日から6月19日まで計7回、開かれた。
初回は事務局からの説明後に自由な意見交換で終了。2月21日の2回目の会議では川嶋副市長から報告書の分析があり▽地元合意が100%▽投棄場を受け入れるなど圏域行政に協力している▽道路改良が進んでいるなどで、彦根市の応募地の中では「原町」(資料では非公表)が最も優位性が高いと説明。またイニシャルコストが圧倒的に安いとして愛荘町の応募地では竹原が優位として、3回目以降の会議ではほぼ「原町」案と「竹原」案に絞って協議が進んだ。
原町案を推す彦根からは市長と副市長が「収集運搬コストの面で愛荘町になれば彦根の負担が増える」「前(獅山)市長と(原と)の間に、ごみ処理施設の設置について基本協定書が締結された経緯がある」「国道バイパスを進めるためには(原町との)協力が必要」「竹原は地元合意が100%ではない」と説明。また甲良町長は「町施策との関連があるため、(竹原は)絶対賛成できない」と述べた。
一方で、愛荘、豊郷、多賀の各町長からは「(候補地の公募範囲を)なぜ1市4町を対象にしたのか。収集運搬コストを理由にするのはおかしい」「公平公正をするために公募したのではないか。それをうんぬん言うのなら、選定委員会はしなくて良かった」「国道バイパスの関連で(原町に)決めるならば、今まで議論せず、最初から決めれば良かった」「公募要項では反対の方がいたらだめだという要件にはなっていない」などの意見が出た。
5月23日の6回目の会議では「管理者会の総意が得られない中で管理者が決定したということでいいのでは。愛荘町長は反対したと明記してくれたらよい」(愛荘町長)、「こういう施設は土地が安い所に建てるべきであるため、(原町は)あまりかんばしくないが、どこかに建設しないといけないので苦渋の選択をした」(豊郷町長)など、「原町」に妥協する姿勢を示し、最終的には「管理者(市長)の責任」での決定を求めた。
最後の7回目の会議でも「管理者会で総意は得られなかったということを前提に管理者が総合的に決めたということで仕方がない」(愛荘町長)などの意見が出たが、大久保市長が急きょ「これまでの会議録を振り返った。管理者の立場として、選定委員会の結果を尊重しつつ総合的に判断した。竹原にお願いしたい」と語り、竹原に決定した。
※(解説)=新ごみ処理施設の会議録からは候補地選定について、原町案を推す彦根、竹原案を支持または推す多賀・豊郷・愛荘、竹原案に反対する甲良の意見の相違が鮮明にわかる。
そしてもう1点、不可解な事案として、6回目の会議までに3町は「市長(管理者)の責任」を前提に原町案に妥協しているものの、最後の最後で大久保市長が竹原に意見を転換させていることだ。ここからは、管理者会議として意思統一をしたかったという思惑があったと推測できるが、なぜ急に転換させたのか、川嶋副市長の辞任意向騒動と合わせて、市長の説明責任が問われており、9月議会での市長答弁が注目される。 (山田貴之)