彦根は彦根東高野球部の甲子園初勝利で盛り上がっているが、国政では彦根東高出身の細野豪志衆院議員=静岡5区=が8日、民進党に離党届を提出した。一部報道では「党内は冷ややかな反応」としているが、小生はこの細野氏の英断を高く評価したい。
細野氏は離党の理由について「憲法改正など基本政策が根本的に異なる共産党との共闘は私の信念に反する」と涙ぐみながら説明し、選挙で共産党と共闘する考えが民進党内に根強くあることを離党の理由にあげた。
小生も昨年5月の言志録(コラム)において「(野党共闘は)政党や政治家の礎に位置する思想性を無視した姑息な姿勢だ」と批判してきた。細野氏の離党は政治家として当然の判断である。
また細野氏は現在の国政について「安倍政権(自民党)による1強多弱。安倍政権を脅かし、政権を獲得できる政党が存在しない」とした上で「明確な理念、政策を掲げて、多くの同志を募るのが望ましい。野党再編は不可避だと考えている。同志が必ず立ち上がってくれる」と述べた。民進党の支持率は安倍政権の支持率が低下している中でも6%ほどであり、今後も反自民の受け皿にはならぬであろう。事実上、党としての役割を終えたと言って良い。
民進党の党首選に立候補している先の民主党政権時代の幹部2人とは違い、細野氏は現国政を冷静に客観視していると言え、政治家として最も重要な資質の先見性を兼ね備えた政治家だと言える。
ただ、細野氏が優れた政治家の一人であっても、自民党に対する受け皿を創るのはそう容易くはない。都知事傘下の日本ファーストの会なる政治団体が立ち上がったが、どのような政策か不明瞭であり、単なるパフォーマンスに終わる様相だ。
小生は今、一橋大学大学院の中北浩爾教授の「自民党『一強の実像』」を読んでいるが、その著書では「無党派層が自民党に失望し(中略)自民党1強と呼ばれる政治状況は急激に転換する可能性も秘めている」としながらも「しかし、歴史的な実績に裏付けられた政権担当能力、2度の下野を短時間で乗り越えた経験、(中略)強固なパートナーである公明党の存在といった政治的リソースは自民党にしか存在しない」と展開。「日本政治が今後も自民党を軸に展開していくことは間違いない」と締めくくっている。
自民党に代わりうる政党が存在しない現国政を鑑みると、中北教授の論調は否定できまい。自民党に対する政党は誕生するのか、細野氏の離党による政界の動きに注目していきたい。
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