個人が勝手に作った広告「勝手広告」の滋賀県版を滋賀県立大学(彦根市八坂町)の学生が作り、6日から学内の交流センターで始まった卒業制作展で展示している。プロ顔負けの作品が揃う中で、入り口の特設コーナーに展示の勝手広告はそのレベルの高さに来場者を驚かせている。
勝手広告を製作したのは人間文化学部生活デザイン学科4年生の辻中輝さん(22)。県立大学のほか、近江鉄道、平和堂、CLUB・HARIE、ヤンマー、びわ湖放送、近江兄弟社、久田工芸の県内8社の勝手広告を作った。動画、写真、ドキュメンタリーの3パターンのいずれかで企業・団体ごとにWeb上にアップ。
そのうち、近江鉄道の作品は尼子駅近くの田園地帯を走る電車が新幹線に抜かれる15秒の映像に、「君がロックで僕がワルツ」とのキャッチコピーを入れ、「スローライフの素晴らしさ」を訴えている。また平和堂の作品は、カレー、水炊き、酒とおつまみ向けの食材を用いて3種類の「平和」の文字を描いている。
CLUB・HARIEでは発泡スチロールなどで作った実物より10倍大きい直径1・5㍍のバームクーヘンを、「勝手に」店前において来店客や店員の反応を撮影した映像をまとめている。
辻中さんは広告代理店への就職が決まっており、「お世話になった滋賀県のために何かできないかと思い、勝手広告を作った。より多くの人に見てもらい、興味をもってもらえるよう、できる限り抽象的に仕上げた」と話していた。
作品は「滋賀を勝手に広告」で検索か(http://kattenikoukoku.businesscatalyst.com/index.html)で閲覧可。
荒川希美さんは彦根の景色を「模様」に
滋賀県立大学の交流センターでは10日まで、人間文化学部生活デザイン学科の卒業制作展が開かれている。学生31人の作品のうち、荒川希美さん(22)は彦根のまちをイメージした「模様」を展示している。
テーマは「hikone 模様―まちの景色を伝える模様のデザイン―」。井伊家のかぶと、ベルロード、多景島、近江牛、近江鉄道、花しょうぶ、金亀、ラーメン店など、彦根に関する25種類の模様をさまざまな色を使って表現している。
模様を彩ったネクタイやブラジャー、ハンカチ、紙袋、風呂敷も制作した。荒川さんは「まちの形式が統一化される中、まち独自の景色を残してほしいという思いを込めた。模様という抽象的な形で、より意識し易くしていただけるのでは」と話していた。
卒業作品展ではほかに、野菜ごとに違う子ども用の皮むき器、アニメーション、発砲スチロール製の遊び場、軽トラックに載せる建築空間など、子どもから大人までが楽しめる作品が並んでいる。開館は午前10時~午後6時。入場無料。