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2018年1月31日水曜日

市政混迷の責任をとれ

 市役所耐震化を巡り揺れに揺れている彦根市政だが、責任の所在を川嶋副市長の辞任や担当した市職員の処分だけで決して終わらせてはならない。大久保市長の責任は極めて重大であり、広域ごみ処理施設を巡る多くの疑問点、そして市役所耐震化に絡む数々の疑惑の責任をとり、市長は辞任を含めて自らも厳しく処するべきである。
 まず広域ごみ処理施設の疑問点としては▽候補地選定の過程で彦根が支持していた原町から市長が急きょなぜ愛荘町竹原に変更したのか▽候補地を原町にするとした文書を川嶋副市長が地元と交わした際に本当に市長関与はなかったのか▽副市長と原町が交わした文書への弁護士の意見書をなぜ明らかにしないのか―などがある。
 そして新たに浮上した市役所耐震化を巡る疑惑として、▽一部の職員が将来的に必ず公になるにもかかわらず、なぜ施工業者と「裏取引」をしてしまったのか▽その裏取引の全容を川嶋副市長は本当に知っていたのか▽川嶋副市長がゴーサインを指示した際、市長に報告はなかったのか―などである。
 この両事業の問題に絡む共通点は、市長が川嶋副市長に責任を押しつける形で事態の収束を図ろうとしている思惑が見え隠れすることである。また川嶋副市長が早急に両事業を進めようとしていた背景には、市長のリーダーシップの無さや政治家としての能力の欠如があるのではないか。
 ある市職員の幹部は「大久保市長は部長クラスを頼りにせず、外部の顧問らを重視する姿勢がある。そのため部長クラスをはじめ市職員は市長よりも川嶋副市長を信頼していた」と話す。
 万が一、両事業に絡む数多くの疑惑について、市長の関与がなかったならば、それは市職員が市長を信頼していない証左であり、今後の市政運営にも影響を及ぼしかねない。
 いずれにせよ、現市政の屋台骨であった川嶋副市長の辞任により、大久保市政は混迷、いな崩壊しつつあると断言してよかろう。
 市政の事業を軌道に乗せることができず、逆に疑惑を生む市政運営をしているようでは市民、議会、市職員の信頼を得ることは到底できまい。市政は今後も様々な事業や課題を抱えており、大久保市長が真に彦根市の未来を考えるならば、辞任を含め、厳しい処分を自らに下すのが今後の市政のためである。【山田貴之】

市役所の耐震工事で市職員と施工業者が事内容から空調設備などを省いた裏取引

 彦根市役所の耐震工事を巡って、一部の市職員と施工業者が予定されていた工事内容から空調設備などを省いた裏取引をしていたことがわかり、24日の定例会見で大久保貴市長が公表し謝罪した。市役所の耐震工事を担当していた川嶋恒紹副市長はこの問題の責任をとり、23日に辞表を提出し翌日受理された。
 市によると、昨年5月17日から翌日にかけて2社を対象に耐震工事の入札があり、2回目までが40億円前後で不調に終わったため随意契約に方針を転換。3回目の見積もり合わせで38億7700万円を示した施工業者と交渉に入った。
 市の当初の見積額は29億3500万円で10億円近い差があったが、担当していた市職員が施工業者と空調設備や既存庁舎の改修など約20項目の工事を取りやめる裏取引をした上で、5月22日に仮契約を締結。整備費の予算29億3500万円で6月22日に市議会で議決された。10億円近い差が出た理由について市長は「市職員の予算見積もりの査定の仕方に甘さがあった」との認識を示した。
 市長によると、川嶋副市長は「本来の工事から切り離される懸念があったが、全体の工事としては変わらないと担当職員から説明を受けたため、それで進めるよう指示した」と話したという。
 市長は10月3日に担当課の市公有財産管理課長から「市と施行業者の間で工事内容について相違がある」との報告を受けて、初めてこの問題を把握したといい、顧問弁護士からは「競争入札に付する時に定めた予定価格その他の条件を変更することができない」と定めた、地方自治法施行令違反にあたるとの見解が示された。12月27日に市と施工業者、設計業者による協議を経て、今月11日に一部工事を取りやめる合意がなされているのが確認されたという。
 耐震工事の完了予定時期は来年3月で、5月のゴールデンウィーク明けには新庁舎での業務の開始が予定されている。取りやめた工事分の予算を市議会へ再提示するのか、当初の計画通りに施工業者に工事をさせるのかなどについて、市は今後、代理人同士で施工業者と協議する。しかし、市議会からの反発や施工業者との協議の難航は必至で、完成時期が遅れる可能性がある。
 市長は今後、担当職員の処分を検討するとした上で「この問題を大変重く受けとめており、管理責任を感じている」と謝罪し「当初の目標通り来年5月に新庁舎で業務できるよう、精一杯の努力をしていきたい」と述べた。

2018年1月30日火曜日

さざなみ酒店に設けられた立ち飲みができる角打ちスペースが人気

 彦根市佐和町のさざなみ酒店に設けられた立ち飲みができる角(かく)打ちスペースが人気となっている。
 元々は佐和町商店街沿いに店舗を構えていたが、彦根駅寄りの旧ダンススタジオを改装して昨年10月2日に新装オープン。店内は滋賀県内の酒蔵で不要になった木材を商品置き場やインテリアに活用しており、茶褐色や黒色の天然塗料を塗るなどしてリノベーションしている。
 店主の安斎和真さん(46)は「気軽にお酒を味わってもらえる場を提供しよう」と考え、立ち飲みができる場を設置。店のスペース約43平方㍍の約9平方㍍分を角打ちとして開放し、酒を蓄えておく木製の酒槽(さかぶね)の重しぶたに柿渋を塗った高さ約1㍍・幅70㌢㍍×奥行き2・6㍍の立ち飲み用のカウンターを設けた。
 メニューは県内の地酒と県外の地酒を60㍉㍑×3杯で飲み比べができる2種類のセットや、熱燗、ベルギービールがある。つまみとしてふなずし、くん製卵、から揚げジャーキー、干しぶどうなどを用意している。
 壁には▽持ち込み厳禁だが、店主への差し入れは大歓迎▽店主は肺が弱いため完全禁煙とする▽店内が混んできた場合は早めに来た者から退出するのが心遣い▽飲酒運転は論外など10カ条の「角打ち心得」が貼られており、安斎さんは「スマートで粋な文化を皆さんに楽しんでもらいたい。1次会前の0次会や奥さんの買い物を待つ時間などにも利用してほしい」と話していた。
 入店時間は午前9時~午後8時で、閉店が同9時。日曜定休だが、春以降は平日の1日を定休に。問い合わせはさざなみ酒店☎(22)1201。

夢京橋あかり館の近江麻布ばすたおる全国推奨観光土産品審査会で日本商工会議所会頭賞

 彦根市本町の夢京橋あかり館が販売している麻製品「近江麻布(まふ)ばすたおる」が、全国推奨観光土産品審査会で日本商工会議所会頭賞を受賞した。
 あかり館は湖東地域の歴史ある産業を生かす地産の商品作りに取り組んでおり、彦根城築城400年祭が開かれた平成19年には「彦根手ぬぐい」を開発。以降、地場産品製販プロジェクトと題して、安政3年(1856年)創業の近江織物(東近江市五個荘)に製作を依頼する形で、同27年に「近江麻布ばすたおる」、昨年に「近江綿布彦根ふきん」を販売してきた。
 近江麻布ばすたおるは麻100%で水分の吸収性と速乾性が特徴。約170㌘、70㌢×120㌢の大きさで1枚2900円。平成27年11月には全国観光土産品連盟会長賞も受賞している。
 全国推奨観光土産品審査会は日本商工会議所と全国観光土産品連盟の主催で昨年11月30日に開催。菓子、食品、民工芸、グローバルの4部門で計1181点の出品があり、近江麻布ばすたおるは民工芸部門で日本商工会議所会頭賞を受賞した。
 あかり館館長の藪田清氏さん(66)は「近江麻布ばすたおるを湖東地域の土産品としてアピールしていきたい。今後も地産の土産品を開発しながら、湖東地域の活性化に貢献していきたい」と話している。

2018年1月19日金曜日

千成亭 彦根仏壇の技採用したおみくじ「おにくじ」夢京橋キャッスルロードの彦根ギュージアムに設置

 彦根市平田町の千成亭は、彦根仏壇の技を採用したおみくじ「おにくじ」を考案。夢京橋キャッスルロードの「彦根GYUSEUM(ギュージアム)」に設置した。
 同社は昨年2月、近江牛などを販売する千成亭京橋店と、ステーキとワインを提供する心華房(しんかぼう)を併設した2階建ての店舗を開設し、近江牛の情報を発信していく拠点として彦根GYUSEUMとの愛称を付けた。
 情報発信の第1弾として、彦根仏壇の漆の技術を取り入れたおみくじを開発し、「肉屋のおみくじ」にちなんで「おにくじ」と命名。高さ24㌢、幅11㌢の六角柱で、40番までのみくじ棒が入っており、千成亭京橋店で交換したみくじ箋(せん)には今日の運勢や助言のほか、「お薦めの近江牛の部位」や「お薦めの部位からの一言」が記されている。部位にはレバーやヒレなどのほか、ギアラ(胃の一つ)、メガネ(尻)、フワ(肺)など聞き慣れない名称もある。
 おにくじは店舗前にあり、くくり付ける場所もある。肉の「29番」を引いた来店客には朱色の「大大吉」のみくじ箋を進呈。1回100円。同社営業本部の上田美佳さん(50)は「近江牛に親しみを持ってもらおうと企画しました。彦根から近江牛の魅力を発信していきたい」と話している。

清水米穀店、滋賀県産の餅米を使った金粉もち開発

 「お餅を楽しむ食文化を復活させたい」。彦根市後三条町の清水米穀店は、東近江市の七福堂製菓と共同で滋賀県産の餅米を使った「金粉もち」を開発。昨年末から同店などで販売している。
 同店代表の清水孝夫さん(67)は、飽食の時代の流れにより餅を楽しむ食文化が薄れつつあると指摘。「お餅の食文化を後世に伝える必要がある。若い人にお餅に興味を持ってほしい」との思いから、餅米の滋賀羽二重糯(はぶらえもち)をきねでついて仕上げ、「金運」にちなんで食用の金粉を配した商品を考案した。
 金粉もちは半月型の8切れ入り計262㌘、1080円。ワインレッド色の化粧箱に入っている。同店では「贈り物や落慶法要、引き出物などにも使えます」としている。同店やパリヤ(長曽根南町)、あらびか(川瀬馬場町)で販売している。問い合わせは同店☎(23)2062。

2018年1月16日火曜日

「彦根城を攻めよ」西郷隆盛の挙兵計画わかる手紙公開

 彦根城博物館は11日から、常設展「井伊直弼と西郷隆盛」を行う。
 直弼(1815~60)と西郷(1827~77)は直接、出会うことはなかったとされるが、幕末期には対立した立場にあった。安政5年(1858)4月に大老に就任した直弼は6月に日米修好通商条約に調印し、8月には孝明天皇から条約調印を非難する勅諚(ちょくじょう)が幕府に下された(戊午の密勅)。
 この頃、西郷は薩摩藩主の島津斉彬の命を受け、将軍後嗣に一橋慶喜を擁立するための政治工作を行い、政権に反する危険人物扱いされたため、薩摩に退去。自殺未遂や流島生活もした。これらの情報は京都にいた彦根藩士の長野主膳から江戸の直弼にも伝えられたとされる。
 常設展では直弼と西郷の関係性がわかる当時の手紙など6点を展示。そのうち水戸藩の鵜飼知信・知明父子が同藩家老の安島帯刀に宛てた手紙=写真=は、薩摩藩の軍勢を大坂に待機させ、幕府の老中・間部詮勝が京都で「暴政」を行ったら伏見で間部を打ち払い、沢山城(彦根城)を踏み倒すとする西郷の挙兵計画を語った内容。この手紙は安政5年9月付で江戸に送るはずだった密書類の一つだったが、20日に草津付近で幕府の役人によって押収された。鵜飼父子は2日前の18日に捕らえられ、その後死刑になっている。

2018年1月5日金曜日

ミニチュア写真家の田中達也さんの作品展「MINITURE LIFE~田中達也見立ての世界」ビバシティホールで

 ミニチュア写真家の田中達也さんの作品展「MINITURE LIFE~田中達也見立ての世界」が、新年1月3日からビバシティホールで開かれている。
 田中さんは食べ物や文具、書籍などのミニチュアで日常の光景を表現し、それを撮影してインターネット上で公表。平成23年から毎日アップしており、SNSのフォロワーは世界中で100万人以上だという。今年のNHK連続テレビ小説・ひよっこのタイトルバックも担当した。
 ビバシティホールの作品展はNHKサービスセンターが主催。「トウモロコシ燃料ロケット」、アイスクリーム型の「地球は甘かった」、プリン型の「甘島」などのミニチュア約100点を展示。開催時間は14日までの午前10時~午後8時半。入場料は中学生以上600円(HOPカード提示で500円)、小学生以下無料。