「翁」は正月や祝賀の際に演じられる能で、翁の面を着けた演者が神となり、天下太平・国土安穏を祈とうし舞いを披露する。その時の能面は、人間の老人役や、神または神の化身など神聖化した役に使われる。
井伊家の菩提寺・清凉寺の第六世住職・東溟弁日(とうめいべんにち)が賛を書いた「寿老人図」は彦根藩六代目藩主・直恒(1693―1710)の作品。七福神の一人、長寿を表す神を描いており、長く伸びた頭にうちわや杖を持ちながら、楽しげに小躍りしている。2月1日までの午前8時半~午後5時。高校生以上500円、小中学生250円だが、市内の高齢者や子どもなどは証明証提示で無料。
井伊直弼の「具足飾」
彦根城博物館は来年の元日から10日まで、恒例の正月行事として「具足飾」を展示する。
武士が出陣やがい旋など祝い事の際に、よろいを飾る風習は室町時代から始まったとされる。江戸時代には飾り方に形式があり、正月には具足や太刀、弓具が飾られた。それらの前には鏡もちが供えられ、正月11日にそのもちを開いて食べる習わしがあった。
同博物館では、井伊家十三代藩主・直弼が着用し、かぶとに金箔押しの天衝脇立(てんつきわきだて)をつけた藩主象徴の具足「朱漆塗紅糸威縫延腰取二枚胴具足」を展示。ほかに、いずれも江戸時代の太刀や弓具、燭台、三宝も並べる。開館は午前8時半~午後5時。入館料が必要。