県知事選(7月13日投開票)が26日告示され、いずれも無所属新人の元内閣官房参事官・隆史(47)=自民、公明、維新滋賀総支部推薦=、共産党県常任委員の坪田(55)=共産推薦=、前民主党衆院議員・三日月大造(43)の3候補が立った。いずれも大津市内で第一声を上げた。選挙戦は事実上、自民・公明などと、民主、共産の戦いで、「卒原発」など嘉田由紀子知事(64)の政策を継承するかが最大の争点だ。
小鑓候補は滋賀県庁前で第一声。安倍政権の三本の矢に例えて「三本の槍で滋賀に活力を取り戻したい」と訴えた。
「滋賀の経済を成長させることで、教育や医療・福祉、琵琶湖の環境整備などのサービスを充実させることができる」「教育と女性、高齢者を引き出す政策が必要で、特に全国学力テストが全国で下から2番目にある教育を再生させる」「昨年の台風18号では防災力の弱さを露呈させた。河川の整備や公共施設の耐震化など社会資本の整備が必要。関西、中部、北陸の中心地にあるため、物流面も強化しなければならない」と述べた。
また「三本の槍に三本の矢を重ねて、相乗効果で活性させていく」と語り、「やり抜く」を3回連呼して締めくくった。
応援に駆けつけた自民党の石破茂幹事長は「安倍政権による三本の矢は遠い所を射るが、それだけでは日本は良くならない。地域を再生させるためには近い役目の三本の槍が必要だ」と支持を求めた。
坪田候補は膳所駅前で第一声。自らのスローガン「すべては未来のこどもたちのために」と切り出した。今回の知事選を「知事を変え、政治を変える選挙」と訴え、「アベノミクスは暴走政治。嘉田県政は曖昧だった」などと、他の候補との考え方の違いを説明。住民目線から「ガソリン代、原材料費の急騰、消費税アップなど怒りや不安、心配があふれている」と指摘し、ブラック企業の一掃や集団的自衛権行使とTPPの反対を明確に打ち出した。
また▽消費税10%▽戦争する国づくり▽新幹線新駅▽原発再稼働―を止める1票につながると訴え、「大型公共工事など、ムダ遣いをやめて、暮らしを守る県政に」と支持を呼びかけた。
このほか、重点項目として養護学校の新設、住宅リフォーム制度の設置、特別養護老人ホームの建設、介護保険利用料の減免などをあげ、「これまで期待を裏切る政治が続いてきた。県民の暮らしを応援する県政を。皆さんの1票で政治は変わる。同じ変わるのなら、良い方向へ」と訴えた。
三日月候補は大津駅前で第一声。自民推薦候補を「中央主導」と批判し、「上から目線で、押し付けがましく、この滋賀県が乗っ取られてよいのか」「草の根自治を守る声を上げたい」と訴えた。
原発については「できるだけ早くゼロにするエネルギー社会をつくる。危ない、逃げられない、備えられないなら、(原発を)動かさないで欲しいという声を皆さんと一緒に上げたい」と語った。
経済政策では「矢だの、槍だの人を傷つける成長戦略ではなく、人と人が共生できる滋賀らしい豊かさ、誰も犠牲にならない滋賀の経済と社会を皆でつくろう」と滋賀のブランド化、農林漁業の6次産業化を掲げた。
嘉田知事は対立候補の自民推薦を「国直轄」と批判した上で「琵琶湖にとって一番怖いのは若狭の原発。どうにか守らねば」と、三日月候補に託したことを紹介した。連合滋賀・山田清会長は「非正規労働者が増加の一途で、格差が拡大し、所得の平均値が下がっている。こんな社会で経済が成長するのか」と批判した。