彦根市立病院の「発熱外来」への来院者数が20日で200人を超えた。同病院では同日、救急外来の入り口にテント2張りを新たに設置した。また県は、彦根保健所などの発熱相談センターを24時間体制にした。
市立病院の発熱外来への来院者数は20日までに計204人。うち発熱相談センターを通さずに直接診察に訪れたのが半数以上の116人。国は、院内感染を防ぐため、同センターに連絡した上での診察を求めている。21日時点で新型インフルエンザの疑いがある患者はいないという。
一方、彦根保健所への相談件数は、兵庫や大阪で感染者が相次いだ報道があった18日に103件、19日に92件、20日に176件で急増した。20日夜から24時間体制となったため、今後、更に増加するとみられる。
新型インフルエンザ対策として、マスクの品切れ状態が続いており、滋賀彦根新聞社が市内の量販店や薬局20店舗に確認したところ、全店で売り切れており、入荷の予定もないという。彦根市は21日、急きょ、妊婦約750人に配布することを決めた。
市は当初、備蓄している約3500枚のマスクは救護用や窓口用で、市民への配布は予定していなかった。しかし、新型インフルエンザが感染した場合に合併症の危険がある妊婦のみに配布することを決めた。対象は今月25日以降が出産予定日の妊婦で、1人に5枚ずつ配布。今後は、透析や心臓疾患の患者へも病院を通しての配布を予定している。
一方、市民からはマスクの提供を求める問い合わせが市に相次いでいるが、市は配布予定はないという。一部の市民は、感染が広まっていない地域に住む親戚や知人から送ってもらうなどして対処している。
新型インフルエンザ対策として、南川瀬町の「シガドライ・ウィザース」(田中秀彦代表取締役)は19日、抗ウイルス用のマスク1000枚と消毒剤1000本を彦根市に贈った。市は、備蓄用として保管する。
新型インフルエンザに大津市内の男子大学生(23)が感染していたことが判明したことを受け、県は20日、すべての県立高校を26日まで臨時休校することを決めた。彦根市内の滋賀大、県立大、聖泉大も26日(聖泉は27日)まで休講することにした。
県立高校を臨時休校したほかには、大津、草津、栗東、守山、野洲、湖南の6市にある県立の施設を休業。6市の保育所、幼稚園、小中学校の休校・休園、放課後児童クラブ、高齢者・障害者通所施設にも休業を要請した。県主催のイベント・行事も中止し、6市にも自粛を要請した。
6市以外の県立施設は、今後の状況の変化に応じて休業されるが、日夏町の県立荒神山少年自然の家では6市からの受け入れを中止する。また、映画館やスポーツ施設などの民間施設には、咳の症状のある利用者にマスク着用を徹底させるなど、注意喚起をする。
彦犬地区で中止になった主なイベント(21日時点)は、県中体連、近畿高校野球選手権大会、県吹奏楽祭(文化プラザ)、市少年少女吹奏楽団定期演奏会(同)、肥田城シンポジウム(聖泉大)。
このほか、市教委は19日、市内6小学校の近畿地区への修学旅行や校外学習を延期すると発表した。6月以降は「学校の意向や、状況を見て判断する」としている。学校と予定されていた日程は次の通り。▽平田=21日~23日、三重▽金城=21・22日、奈良▽河瀬=21・22日、奈良・京都▽亀山=22日、奈良▽若葉=27・28日、奈良・京都▽旭森=29日、奈良。