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2019年4月10日水曜日

県議選彦根犬上 中沢トップ当選 細江大野再選 江畑返り咲く

 滋賀県議選の投開票が7日行われ、彦犬地区ではチームしが公認で現職の中沢啓子氏(60)が9880票でトップ当選を果たした。自民公認で現職の細江正人氏(72)、自民推薦で現職の大野和三郎氏(63)が再選、立憲民主公認で元職の江畑弥八郎氏(64)も返り咲いた。現職の地盤を引き継いだ自民推薦で新人の奥野嘉己氏(60)、共産公認で新人の今村恵美子氏(64)、自民推薦で新人の小菅雅至氏(51)は落選した。
 中沢氏は三日月県政の「健康しが」の推進をPRしながら、市内での知名度を生かしたほか、本籍地の多賀町で次点の886票を得るなど幅広く支持を固めた。当選後、6期目に向けて「女性の視点に立ちながら人に優しい県政を目指して努めていきたい。安心安全な食の提供のため農業振興に力を入れたい」と抱負。彦根については「2024年の滋賀国体を機に市民の皆さんが街づくりに少しずつ関わって、一緒に地域を盛り上げていきたい」と語った。
 細江氏は公政会をはじめとした自民の市議らから支援を受けて手堅い選挙戦を展開。陣営からは終盤にかけて「厳しい戦い」との声も聞かれたが、前回とほぼ同数を獲得した。3期目となることに「県議会でも最高齢になる。2024年の滋賀国体に向けて彦根市内が整備されるのは絶好の機会であり、着実に進めていきたい」と述べた。
 大野氏は彦犬地区の建設業のほか、犬上で5811票を得て他候補を圧倒したが、彦根市内では伸び悩み、前回トップの1万0920票から2309票減らし3位に終わった。
 江畑氏は八坂、三津屋、須越の3町を中心に戦い、連合滋賀や共産を除く野党の組織票も得て3期目を果たした。当確の知らせを受けて選挙事務所に涙ぐみながら登場した江畑氏は支援者らと握手して登壇。「4年前の悔しさを果たすことができ、もう一度恩返しができる。人権、命に関する政策、声が届きにくい人たちを救う仕事をしていきたい」と意気込みを話し、女性スタッフから花束を受け取った。最後は全員で万歳三唱をし喜んでいた。
 奥野氏は稲枝地域で主に戦い、市北中部の一部保守層の支援を受けて4番手を狙ったが、1705票足りず涙をのんだ。
 今村氏は彦犬地区の共産票のほか、地元の豊郷では健闘したが、票が伸ばせなかった。
 小菅氏は自転車に乗って一人で街宣したが、支持を得られなかった。
 投票日の有権者数は彦犬地区全体で10万8235人(うち彦根が9万0470人)。投票率は41・36%と前回(47・29%)から下がり、彦根のみでは38・72%(前回44・3%)と40%を切り、県内では草津、守山に次いでワースト3位だった。
 ※(解説)
 彦犬地区の県議選の結果からまず注目できるのは、前回トップだった大野氏が3位に落ちた点である。
 その理由として注視すべきは、投票率が前回から下がったものの、中沢、細江の両氏が前回とほぼ同数票だった一方、大野氏の彦根での票が前回の3831票から2800票と千票以上減った点である。大野氏は彦犬地区のインフラ整備に尽力しているのは市民でも周知だが、その貢献への評価以上に、豊郷町長時代に世間を騒がせた影響がいまだに「大野アレルギー」として彦根市民に根強く残っているということである。
 また大野氏の獲得票のうち、犬上3町で今回は5811票だったが、前回の7089票から大きく減らしており、彦根の候補者が犬上にも着実に浸透しているとも分析できる。
 そして今回の選挙戦の焦点は、前回350差で敗れた江畑氏と、現職から稲枝の地盤を継いだ奥野氏との4番手争いでもあった。江畑氏には地元とさまざまな団体の組織票がついた一方で、市議会で公政会を脱退し無会派だった奥野氏は地元(稲枝東)以外から支援を広げることができず、苦戦をしいられた。結局、ふたをあければ1705票の大差で江畑氏が4番手に入った。現職の4人には「空白」になった稲枝地域の振興のためにも尽力願いたい。   【山田貴之】

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