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2022年1月10日月曜日

LGBTQの彦根市パートナーシップ宣誓制度を活用したカップルにインタビュー

 性的少数者(LGBTQ)のパートナーを行政が認定する「彦根市パートナーシップ宣誓制度」を活用した最初のカップルのmasyu(マシュ)さん(41)とmaa(マー)さん(42)にインタビュー。これまでの悩みや同制度の活用後の変化などを聞いた。
 
 マシュさんは大阪市出身の会社員。これまで男性、女性共に付き合った経験があるが、女性との恋愛の方が「しっくりくる」というレズビアンに近いバイセクシャル。男性と付き合っていた際、女性として「子どもを産むことが女の幸せ」という締め付けに悩む時期があった一方、最終的には「男性とは一生を添い遂げることはできない」との結論に至った。
 マーさんは徳島県鳴門市出身のパティシエ。自身が女性であることに疑問がある一方、身体的に男性になることにも違和感があるという性自認。小学校の低学年のころ、いとこにマニキュアを塗られたことに「女の子みたいで嫌だ」と泣いていた記憶があるという。中学高校時代の制服のスカートに対しては「かっとうがあった」といい、当時の友人との恋愛話にも「男に興味があるふりがしんどかった」と振り返った。
 
「家族になる感じ」
昨年10月「宣誓」
 2人は6年ほど前にインターネット上のコミュニティサイトで出会い、約3年前から彦根市内のアパートで一緒に過ごし始めた。昨年7月に「彦根市パートナーシップ宣誓制度」を知り、手続きを進めて導入開始の1025日に第1号となる宣誓を行った。ひこにゃんが見守る中、宣誓書を和田裕行市長に提出し、市長から「彦根市パートナーシップ宣誓書受領証」を受け取った。この受領証を額に入れて玄関に置いているという。
 同制度に申請した理由について、マーさんは「自分にもし何かあった時、誰とも連絡がとれなかったらと思うと不安しかなかった。結婚したら家族になるように、私たちもなりたかった」と説明。マシュさんは「隠れて暮らすよりも、誰かに認めてもらいたかった。会社の人たちからも祝ってもらえて、うれしかった」と笑顔で語った。
 
「十人十色 過剰に反応しないで」
「県で導入して」「彦根住みやすい」
 性の多様性への理解が進みつつある一方で、差別や偏見は根強くあるという。マーさんは「共感までは求めないけれど、私たちのような人たちがいるということをわかってくれたら」と解説。マシュさんは「人は十人十色で、それぞれの生き方で暮らしている。(LGBTQに対して)過剰に反応しない世の中になって、認め合える社会になってほしい」と訴えた。依頼があれば、小中学校などでも話していくという。
 同制度の導入は県内で彦根市のみ。これに対してマシュさんは「県内にも性的少数者はたくさんいる。県全体でこの制度が広がれば、申請するカップルは出てくるはず」と述べた。
 同制度の申請後、2人はより仲が良くなったといい、結婚指輪も購入した。「お互い健康に気をつかうようになり、2人でのウォーキングが日課になった。人との出会いも楽しく、考え方が変わった」と互いを見つめ合った。最後に彦根の印象について、2人は「歴史の好きな友だちにも案内しやすい。私たちが住んでいる周辺や湖岸もきれいで、本当に住みやすい」と笑顔を見せた。
 
【LGBTQ】レズビアン、ゲイ、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(出生時の性別とは異なる人)、クイアやクエスチョニング(どちらの性か決めかねている)の英語の頭文字をとった言葉。

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