平成19年度決算で約12億2021万円の赤字を計上した彦根市立病院―。現在地に移転した同14年度以降、毎年赤字が続いており、累積赤字は約85億円にも上る。また医師と看護師の不足も深刻で、産科を初めとして、5つの科で診療制限に陥っている。
平成16年からの新医師臨床研修制度により地方病院の医師不足が進んでおり、彦根市立病院でも、19年度の医師の退職者が16人だったのに対し採用は13人にとどまっている。看護師も退職者43人に対し採用は29人で、職員の不足に伴い、診療科の制限も余儀なくされており、一部の病棟を閉鎖するなど悪循環に陥っている。
また、職員不足による診療科の制限で、入院・外来収益も減少。19年度決算では、総収益が前年度比8・6%減の83億9616万円だった一方、総費用は96億1937万円となり赤字に。経常収支比率(人件費など経常的支出に市税など経常的収入が充当されている割合)は、ここ5年間で最悪の87・3%を示すなど財政状況も悪化している。
市は、総務省の指針による「経営改革プログラム」を策定し、▽診療所からの紹介率を24年度には20年度の倍の40%にする▽院内保育所の24時間保育と新任研修金の支給で21年度に患者対看護師の割合を7対1にする▽医師の負担軽減のため夜間救急のコンビニ受診者に追加経費を行う―ことなどをあげ、地方公共団体の枠組みから外す「独立行政法人化」への移行も検討。
24年度の黒字化を目指しているが、その実現性は不透明。市立病院など医療問題は、行財政改革と並んで次期市政の大きな問題のひとつとなっている。(山田貴之)
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