舟橋宛ての手紙やはがきは舟橋家から平成13年9月までに彦根市立図書館に寄贈。その年の10月24日~30日には市民ギャラリー(開国記念館)で展示された。その時の付録には、三島や川端のほか、井伏鱒二、伊藤整、谷崎潤一郎ら著名な作家をはじめ、淡島千景や中曽根康弘ら女優や政治家からも手紙などが送られていたことも紹介。舟橋が幅広い業界人と付き合いがあったことがわかる。
以降は同図書館の書庫に保管されていたが、書かれている内容を調査するため、石川研究員の手に渡り、さきごろ解読が開始。その中で、昭和30年11月19日付けの三島からの手紙では「自分が新聞連載をやってゐるあひだ、他紙に舟橋さんのものが、現代物が載ってゐる、といふ事態はもうコリゴリです」と、舟橋作品がおもしろいことを認め「すつかり自信をなくし」「書く気力がなくなるのです」と弱気のコメントも記している。また川端が谷崎潤一郎の作品をノーベル文学賞に推すのを決めたことを舟橋に報告する手紙もあった。
石川研究員は「舟橋が昭和の文壇で力を持っていたことが改めて証明された。没後40年を迎える来年1月13日に合わせて、全容を解明していきたい」と語っている。
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