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2011年2月2日水曜日

荒神山古墳 国史跡指定記念講演 専門家が被葬者の謎に迫る、犬上君の先祖か?琵琶湖の王か?

 荒神山古墳(※)が年度内に国の史跡に指定されることを記念した講演会が29日、彦根市甘呂町の南地区公民館であり、専門家が古墳の特徴や発掘調査の結果、解明されていない埋葬者などについて説明した。
 県立安土城考古博物館学芸課長の大橋信弥さんは「被葬者」について講演。近江の中で現代の彦根・犬上郡地域を支配していた古代豪族が「犬上君(いぬかみのきみ)」だったとしたうえで、古事記や日本書紀などの古文書に「犬上」が記されている人名を紹介。犬上君が皇室で活躍していたことを記す古文書を示しながら「犬上君は外交と軍事的な面で貢献し、朝廷内で重要な地位を占めていたことがわかる」と解説した。
 また、犬上君が湖辺に本拠地をもっていたと考えられているとしたうえで「一つの可能性として、(琵琶湖近くの)荒神山古墳の地域にも犬上君の先祖が住んでいたのではないか」と述べ、埋葬者が犬上君に関係する人物の可能性を示唆した。
 県教委文化財保護課の細川修平さんは、▽全国で発見されている200㍍以上の前方後円墳は35基でうち畿内が32基▽100㍍以上は303基▽滋賀県内の100㍍超は安土瓢箪山の136㍍、荒神山の124㍍、膳所茶臼山の122㍍―などと説明。
 荒神山古墳については、「湖上交通に関連していた『琵琶湖の王』とも言うべき存在が職務遂行のために造墓したのではないか」と推察していた。
 被葬されたカ所は未発掘のため、今後の調査が注目される。
 ※【荒神山古墳】県下2番目の規模を誇る全長約124㍍の前方後円墳。古墳時代前期末(4世紀末)に築かれ、標高284・1㍍の山頂から琵琶湖側の北へ約150㍍下った尾根に位置している。平成14年度に初めて存在が明らかになり、翌年度から19年度にかけて計4回の発掘調査では、円筒や壺形、家形などの埴輪が出土している。

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