遠藤町長は昨年3月11日の震災直後について、福島第一原発の冷却装置が停止したため全町民が避難することになり、自主避難した約1万人を除く約6000人が翌12日に川内村に移り、村民と合わせた約9000人と警察官約40人での生活が始まったと解説。しかし、マスコミに報じられることがなかったため「5日間は陸の孤島で、想像を絶する生活だった」と、当時を振り返った。
彦根市から富岡町へは獅山市長が3月24日に訪れ、4月9日から10月8日までに市職員43人が訪問。講演で遠藤町長は市長や市職員に感謝を示しながら、「町内には今も入れず、ゴーストタウン化しているが、これからが勝負」「時間はかかるだろうが、町民をふるさとに戻すための計画を国と共につくっていきたい」と、復興に向けた思いを語った。
原発については、推進する資源エネルギー庁と規制する原子力安全・保安院で同じ職員が行き来していると説明した上で「原発を推進する側と規制する側が同じ人間では何の緊張感もない。これがこれまでの原子力行政の体制だった」と、疑問を投げかけた。
大飯などの原発再稼働に対しては「経済活動や電力不足という深刻な問題があるが、福島第一原発の事故を起こしたことを忘れてはならない」「福島の事故は対岸の火事ではない。現在ある原発は段階的に減らして、新しいエネルギーを開発していくべきだ」と、原発からの脱却を求めた。
講演後の記者会見で遠藤町長は自治体やボランティアに求める支援について、「復興にかかわるマンパワーの不足や避難者への心のケア、健康管理」をあげた。
遠藤町長の講演会は彦根市と彦根ユネスコ協会が共催し市民や被災地からの避難者ら約200人が参加した。
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